【聖地巡礼】『Root Film ルートフィルム』&『√Letter ルートレター』ご縁の国島根を歩く舞台探訪

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5日目午前
寄り道:足立美術館・揖屋神社・中海方面


紅葉館を出たあとは、足立美術館へ。ここはゲームの舞台ではないのだが、この日は午前中をゆったりすごすつもりだったので行先に加えてみた。この美術館は美しい庭園を保持する施設として知られており、横山大観のコレクションも数多く抱えている。僕らがいったタイミングでは丁度、横山大観の生涯を振り返りつつ、多数の作品を鑑賞できる企画展が開かれており、ついつい長居してしまった。大観の作品を鑑賞したことを今まで何度かあるのだが、大観が生きた時代の流れ、その中で変化、進化していく作風とでもいうべきものを学ぶことができた。企画展と作品にすっかり満足して、美術館のミュージアムショップで作品集を買ってしまった。

▲足立美術館の庭園がこちら。庭の鑑賞を楽しむつもりが、気が付けばすっかり大観の企画展に夢中だった。

美術館を出た後は、再び黄泉比良坂を経由して揖屋神社へ。黄泉比良坂は前日手に入れられなかった御朱印をお願いした。ここの御朱印は紙に書かれたものをいただく形だが、黄泉比良坂という文字を見るだけでちょっと高まる。どれだけ黄泉比良坂に惹かれているのか。ただ同時に、自分がだいぶ前に古事記を読んだことを思い出して、その時得た知識がごくごくわずかなものであること、記憶として残っているものも少ないことを自覚して、帰ってから古事記、日本書紀、神社などの書籍を読んでみようと誓ったのだった。揖屋神社は黄泉比良坂の近くにある神社で、揖屋神社は『出雲国風土記』に伊布夜(いふや)社として記載されている古社。これも舞台探訪とは関係ない場所だが、黄泉比良坂に来てここに寄らないというのも勿体ない。主神祭は日本の国生み神話で知られる伊弉冉命(いざなみのみこと)。これも黄泉比良坂と同じく、ゲーム的なものから得たイメージが多い神様で、実際にその言葉を見ると何かが揺れるような気がする。神社自体はとても古くて、奥の方に行くと歴史とともに刻まれたであろう綻びなども見えてきて、遥かな時を超えて目の前に現れている事実に感激する。

▲島根県を巡るうちに、すっかり神社めぐりの虜になり、揖屋神社にも立ち寄った。

足立美術館を出たあとは、馬渡港という場所を目指すことにした。今回の旅でひろげ300地点と同じく、Googleマップ上での特定ができなかった『Root Film』作中で中海として描かれる場所がここではないかという情報を、前日の夜に友人からもらったのだ。実際の馬渡港からゲーム内と同じような角度で写真を撮影してみたが、細部は異なる。ただ、似ていると言われれば似ている気もする。そして、この場所に来るまでに、舞台探訪とは関係ない場所ではあるが、大根島の廃船という珍しいものを観ることができた。これは、1950年代に、防波堤代わりに廃船を置いたものがそのままになったものらしい。ただ、地元の人ですら、この船を誰が置いたものなのかもわからず、そのままにされているという。そしてこちらのほうまで来たことで、鳥取県の境港市にも立ち寄ることができた。境港市は『ゲゲゲの鬼太郎』で知られる水木しげる先生に縁ある場所で、水木しげるロードと名付けられた町の一角には、ゲゲゲの鬼太郎のグッズなどを扱う店や、記念館、妖怪たちを形どった像などが町の中に点在している。昼食もここで食べたのだが、蕎麦を注文したら、そこの人がとってきた栗があるから食べるかいとか、揚げ物も食べていいよと揚げ物を出してもらったり、飲食店というよりはゲストハウスのような感覚で食事を食べることができた。それでいてお会計はどんなに悪いと言っても蕎麦の価格しか受け取ってもらえなかった。

▲こちらがゲーム中に登場する中海。実在の中海と同じく、松江市と安来市、さらには鳥取県境港市にまたがる湖という説明がでてくるが、中海はとにかく広い。

▲こちらが馬渡港に近いような気もするが、細部は微妙に異なる。

▲観光スポットというにはあまりにも渋すぎる大根島の廃船。

5日目午後
美保関


境港市を出たあとは美保関へ。島根県の東端に位置する美保関は『Root Film』でしっかり描かれるスポット。ここも津和野と同じく、事前の自分の想像の中では期待が高まっていた場所だ。まずは、舞台探訪ではないが、日が出ている間に見ておきたい美保関灯台へと向かった。この場所だけは、旅館からかなり離れているので、車やバイクでのアクセスが良さそうだ。この灯台は明治31年に建てられた山陰最古のもので、世界の歴史的灯台100選、日本の灯台50選にも選ばれているそうだ。内部を観ることができるのは一年に一度、海の日のみとのことだが、周囲から見る景色は圧巻。併設されている灯台の宿舎や事務所だった場所は、現在はビュッフェとして営業している。

宿は作中に登場する偉い映画監督が宿泊する美保館にした。巨匠が取る宿だからその中でも良い部屋だろうということで、有形文化財のはなれをとってみた。これは古民家の二階層を丸ごと借りられる贅沢なプランで、チェックインすると部屋ではなく、古民家の鍵を渡される。古民家は古い空間だがしっかりと手入れがされていて、何より広い。二人では広すぎるくらいの空間で、ゆったりとくつろぐことができた。そして美保関周辺に広がる青石畳み通りは、青石が張り巡らされた路地となっていて、その両側に歴史を積み重ねた店がちらほらと見える。お醤油屋さんで家用の醤油と、風呂上りに食べる用の醤油アイスを買った。ここまでで5日近く旅をしてきて、洗濯物が溜まっていたのでどうしようかと思っていたら、観光客用の小さなコインランドリー的なものがあったのも助かった。

美保神社(RF)


青石畳み通り(RF)



美保館(RF)


▲今回予約したのは有形文化財のはなれ。美保館にはさまざまなタイプの客室が用意されている。

▲こちらが離れの内部。とてつもなく広い部屋。

美保関では旅館は朝食のみにした。先にも書いたが、小食気味な僕からすると、旅館飯というと食べきれないほどの量が出てきて、だいたい似通った食事が出てくるのだろうと旅の前は思っていたからだ。ただ、ここに来るまでの間食べた旅館飯は個性があり、量は多いけれど全て食べたくなるほどおいしかったので、美保関に到着する頃には、やっぱり旅館でご飯を食べればよかったなとも思った。しかしこの旅に出る前の選択はなかなかリスキーなもので、到着してからわかったのだが、この美保関という場所、ホテルからコンビニまでは車で15分ほどかかるし、飲食店もはやめに閉店する。19時くらいに夜ご飯にしようとかいうのはとても悠長な考えで、下手をしたら県を超えて米子まで行かないと外食にありつけない可能性もありそうだ。夕方頃、空いているお店に、夜ご飯やっていますかと聞いてみたら2件目で、空いているお店を見つけることができた。何時くらいに来ますかと聞かれたくらいだから、もしかしたらわざわざ僕たちのために開けておいてくれたのかもしれない。このお店で食べた定食は新鮮そのもので美味しく、そのうえおまけとして出てきたイカのミミの刺身に刻み生姜を載せ、醤油で食べるお酒のあてのようなものが、今まで経験したことのない食感と食べ方で感激した。

次のページでは、隠岐諸島西ノ島の舞台探訪を掲載

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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