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【特別対談】 スクエニ×SNKがまさかの格闘ゲームで実現!キーマンが語る『ミリオンアーサー アルカナブラッド』×『SNKヒロインズ』&『THE KING OF FIGHTERS XIV』【琢磨尚文氏・小田泰之氏】

   

スクウェア・エニックスとSNKは、格闘ゲームを題材にした漫画作品『ハイスコアガール』で「いろいろとあった」仲だが、2018年8月には、奇跡の格闘ゲーム相互コラボを発表した。なんと、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』には『THE KING OF FIGHTERS XIV』の八神庵が、『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』には、『ミリオンアーサー  アルカナブラッド』の盗賊アーサーがそれぞれ登場するというものだ。

△『ミリオンアーサー アルカナブラッド』に、『THE KING OF FIGHTERS XIV』のコラボキャラクターとして登場する八神庵。紫の炎を操る、攻撃的な戦闘スタイルを得意とする。

△『SNKヒロインズ』に『ミリオンアーサー アルカナブラッド』のコラボキャラクターとして登場する盗賊アーサー。凄まじいスピードで相手を撹乱するキャラクターだ。

このコラボの実現には、格闘ゲームを愛する二人のプロデューサーの存在があった。今回の記事では、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』のプロデューサー琢磨尚文氏、『KOF』シリーズや『SNKヒロインズ』を手がける小田泰之氏に、コラボと格闘ゲームに関するお話を伺った。
二人が、面白い、熱い、と信じて送り出す格闘ゲームに込められた想いを読みとってもらえれば幸いだ。

作品紹介:【プレイレポート】アーケード『ミリオンアーサー アルカナブラッド』、宇宙最速プレイインプレッション

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琢磨尚文 氏:『ミリオンアーサー アルカナブラッド』のプロデューサー。格闘ゲームの腕前は筋金入り。自身の作品の大会にも、「選手としても出てみたかった」とのこと。さまざまなゲームに幅広く触れるコアゲーマーで、ユーザー視点を失わないクリエイターとして知られている。

小田泰之 氏:格闘ゲームファンに愛されるSNKの名物プロデューサー。『THE KING OF FIGHTERS XIV』、『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』などを手がける。

interviewer:浅葉 たいが

小田 氏「とりあえず、記事に使う写真は殴り合ってる感があるほうが良いですかね」

琢磨 氏「良い子のみんなは真似しないようにお願いします」

▲スクウェア・エニックスとSNK、本当に仲良くなったのか謎のまま、我々取材陣はインタビュー場所であるSNK本社に飛んだ。

編集部注:文中では、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』は『アルブラ』、『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』は『SNKヒロインズ』、『THE KING OF FIGHTERS XIV』は『KOF XIV』と表記している。

奇跡のコラボのきっかけは


――今日はよろしくお願いします。早速ですが、スクウェア・エニックスとSNK、いろいろあったような気がするんですが、すっかり仲直りされたんですね。
琢磨 氏:一応そういうことになりますね(笑)というのは冗談で、『アルブラ』と『SNKヒロインズ』のコラボは、プロジェクトとして順調に進みました。もともとゲームとは関係ないところなんですけど、こういうコラボができるようになったんだよというのは安心してみてもらえると嬉しいですね。

小田 氏:『SNKヒロインズ』と『アルブラ』のコラボを発表させてもらったのは、スクウェア・エニックスさんが主催する大会だったんですよ。そこでまずコラボの発表をしたんですが、そのときには達成感のようなものがありましたね。

琢磨 氏:押切先生にこんなコラボがあるんですとお話したら、イラストのほうも書いていただきました。みなさんにイラストをお見せできたことで、ほっとしていただけた人もいるのではないでしょうか。とはいえ、僕はスクエニ側ですが、和解というほど激しくやりあった印象もないというのが実感です。コラボの話をいただいて、上にもっていったら「いいんじゃないの」っていうポジティブな返答だったので。もちろん、会社単位では、「いろいろあった」と思うんです。何か抱えている人もいるかもしれないけど、同じエンタメを愛する会社として、ポジティブな動きにできたのは嬉しいですね。小田さんが、コラボしませんかと話をもちかけてくれたおかげです。

△『ハイスコアガール』の作者である、押切蓮介先生描き下ろしのコラボイラスト。結んだ両手にぐっときてしまう人も多いはず。

――ゲームファンとしても安心しました(笑)あくまで僕のイメージなんですが、スクウェア・エニックスとSNKって、ともにアーケード展開をしつつも、『アルブラ』が出るまで作っているジャンルが異なるメーカーだったと思うんです。実際、コラボをやってみて、違いや共感を感じた部分などはありますか?

小田 氏:今回のコラボは、進めてみるとすんなりいったなという印象です。お互い格闘ゲームなのと、琢磨さんが、ガチの格闘ゲーマーだからですね。スクウェア・エニックスって、いろいろなジャンルのエンターテイメントに取り組んでいる巨大企業じゃないですか。アーケードも力を入れているメーカーさんなので、いつか何かできたらなと考えてはいたんです。でも、ウチは格闘ゲームが多めなので、貸すことはあっても、貸してもらう機会というのはそうそうないぞと思っていました。そうしたら、まさかの2D格闘ゲームが発表されて、嬉しかったですね。ただ、すんなりとはいえ、コラボを作っている時の話でいうと、ウチは熱が入る連中が多くて、「盗賊アーサーはスクエニさんのキャラだから、大事にしないとだめだよ」ということは何度も確認しましたね。だんだん、作っているうちに自分のところのキャラクターのように感じてきてしまうんですよ。

琢磨 氏:僕らのほうは、安心してお任せできました。盗賊アーサーが、SNKさんの解釈でどうなるのだろうというのを楽しみにしていたくらいです。小田さんのいうように、作っているジャンルが同じだからこそ、ハードルを感じないコラボができたのかなと思っています。僕はSNKのゲームは、格闘ゲーム以外にも、『メタルスラッグ』とか大好きなんですよ。だから、なんかファンとして楽しみにしている、みたいな(笑)

――コラボのきっかけについてお聞かせください。

琢磨 氏:2年くらい前に、NESiCAxLive2発表ステージでご一緒させていただいたことがあったんです。そこで、「コラボもやるつもりなので、何かキャラかしてくれませんか」という雑談をしたんですよね。きっかけといえば、それになるのかもしれません。具体的になったのは小田さんの提案のおかげです。SNKさんがうちのほうに提案をもってきてくれて、こちらもでは、八神庵をかしてくれませんかとお願いしました。

小田 氏:『SNKヒロインズ』に出てもらうキャラクターは最初は、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』の主人公のどちらかをお願いしようかなと思っていたんですよ。そうしたら琢磨さんから、「盗賊アーサー」が良いのではというお話をもらったんです。

琢磨 氏:当時まだ『アルブラ』を作っている最中で、二刀アーサーも居合アーサーも自分にとってはまだ世間の反応を得ていないので、手ごたえがなかったんですよ。せっかくコラボしていただけるなら、『ミリオンアーサー』の人気キャラクターの盗賊アーサーが良いかなと思ったんです。当時はまだ、盗賊アーサーも『アルブラ』に出ることは決めていたものの、動きが固まっていなかったので、絵コンテなんかを送ったことを覚えています。作ってみて難しいところ、ありましたか?

小田 氏:アホ毛が特に難しかったです(笑)真面目なところ、3Dに盗賊アーサーを起こすというところが、最初のハードルでしたね。自分の会社のものではないので、ちゃんと再現できるかどうかっていう判断を厳しくしなければいけないので。盗賊アーサーは、アクセサリーが多いので、開発初期は処理が重いって現象が起きていました。性能的なところもかなり悩んだところでして、『アルブラ』って機動力がすごいゲームじゃないですか。その中で盗賊アーサーは最速なわけです。それを普通につくるとすると、1人だけ戦闘力が頭一つ抜けてしまう可能性がありますからね。素早いキャラクターはやらかしてしまいがちなんですが、いかがでしたか?

△盗賊アーサーは、アクセサリーが多いため、軽快に動かすことに苦労したのだとか。

――僕らとしては、ちょうどいい塩梅だと思います。強いキャラクターではあると思いますが、露骨に1強というわけではないですし。コラボキャラクターが弱いと寂しいですし(笑)琢磨さん、庵については、ちゃんと強いんでしょうか。

琢磨 氏:いきなりこちらに矛先が(笑)庵は、『KOF XIV』の動きを再現するところからはじめて、『アルブラ』に必要な要素を足していったのですが、現状「起き攻め」が強烈なキャラクターになっています。他のキャラクターたちのように、武器をもっていないので、リーチ面で苦戦するのかなと思っているのですが、強みは十分にあるキャラクターだと思います。あと、言い訳ではないですが、発売後の状況を見つつ、必要そうであればバランス調整も検討しています。また、いわゆるゲームの性能以外の要素も、伝統あるキャラクターということで、作るのは緊張しましたね。我々チームアルカナ、特に開発チームの人間は、みんな庵のことが大好きなんですよ。だから、仕様書なんかに「これはこの年度の庵からとっています」みたいなことがびっしり書かれているんです。

小田 氏:あがってきた庵を見て、本当にウチの庵がいると驚きましたからね。

琢磨 氏:庵だけは、頭身を『KOF XIV』風に合わせたんですよ。全体で見たらちょっと浮いてくるかもという懸念もあったんですが、やっぱりみんなが納得する八神庵でいてほしかったんです。落とし込んでみたら、あれ、これはこれで合ってるかもという形になってくれたのは良かったですね。ただ、コマンドだけはとても悩んで、こちらは『アルブラ』ルールに合わせてもらったのがいくつかあります。まず、『アルブラ』は攻撃ボタンが3つなので、それに技を割り振りして、葵花は属性攻撃にして、相手が燃えるように設定しました。超必殺技の八稚女は、『KOF』シリーズのコマンドではなく、前、下、斜め+2ボタンになっています。『KOF』で親しんでいる方は、慣れるまで大変かもしれませんが、使うと味のあるキャラクターなので、是非メインキャラクターにしてあげてください。

△八神庵については、『アルブラ』の制作を手がけたチームアルカナにもファンが多く、最初に上がってきたもので高い完成度があったという。そこから『アルブラ』のシステムに合わせて、少し要素を足したとのこと。画像は必殺技のひとつ葵花、原作では燃えないこの技だが、『アルブラ』では属性技扱いになっている。ちなみに、小田氏曰く「庵のズボンの間の紐は、ファンタジーなので伸び縮みします」とのこと。

小田 氏:僕らは出張先のゲームにある程度合わせてくれたほうが楽しいかなと思っているので、『アルブラ』の庵は良いところに着地させてくれたなと喜んでます。らしさを残してくれつつ、空中ダッシュとか空中コンボとか、今までにない庵を見せてくれますよ。でも、コラボキャラクターの性能って、作り手にとっては悩ましいことなのかもしれませんね。

琢磨 氏:『アルブラ』で大会をやったときに、決勝が庵vs庵になっても、気にしないでください(笑)

――ところで小田さん、SNKの『KOF』シリーズに出てくる庵は、だいたいの作品でメチャクチャ強いんですが、あれは弱くしてはならんという社内ルールでもあるんでしょうか。

小田 氏:信じてもらえないかもしれませんが、ありません(笑)持っている技が強いんですよね、飛ばせて、落として、崩せる、みたいな。『KOF ’96』で永久を振舞っていた頃の庵については、今見るととんでもないですね。すみません。

→次ページのテーマは、「格闘ゲーム」の魅力と今後の展望について

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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