【特別対談】 スクエニ×SNKがまさかの格闘ゲームで実現!キーマンが語る『ミリオンアーサー アルカナブラッド』×『SNKヒロインズ』&『THE KING OF FIGHTERS XIV』【琢磨尚文氏・小田泰之氏】

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格闘ゲームの面白さを、多くの人に知ってほしい


――格闘ゲームを作り続ける小田さん、スクウェア・エニックスで2D格闘ゲームというジャンルに挑戦した琢磨さん、お二人とも、格闘ゲームというジャンルに大きな魅力を感じていると思うのですが、具体的に惹かれる部分などあればお聞かせください。

小田 氏:まず、遊ぶ側としては、練習した成果を実感しやすいところでしょうか。すごく勝つというのは難しいんですけど、少しずつステップアップしていく楽しさを味わいやすいと思います。あとは、コミュニティや大会といった、ゲームの外側も楽しいジャンルというところです。作る側としては、2Dでも3Dでも、キャラクターを1番カッコよく表現できるのが嬉しいですね。1キャラクターにいろいろなモーション、技を詰め込んでいくんですけど、そこでいろいろと考えるのが楽しくて。あとは、それを作って喜んでくれるお客さんや、真剣にプレイしてくれるお客さんがいるというのは、幸せですよ。本当に。

琢磨 氏:格闘ゲームの画面の見せ方って、舞台に近いですよね。プレイヤーは、舞台を客席から見ているような視点で画面を見るんですよ。各社話し合っているわけではないのに、だいたいの格闘ゲームで、キャラクターが客席側、つまりこっちを少し向いているんです。こっちを見ているということは、画面の中の対戦キャラクターに真正面から向き合っていないわけで、ゲームの中だけで見ると変なんですよ。でも、プレイヤーから見るとこちらを少し向いていてくれた方が、しっくりきて、感情移入しやすい。CEDECの『ストリートファイターⅤ』カンファレンスでは、キャラクターを5度回すという表現のテクニックが紹介されていて、作り手はみんな客席、プレイヤーをとても意識しているんだということを再確認できましたね。

小田 氏:最近は、プレイヤー以外にも「観戦する」というブームが増えましたから、見た目をよくしていくというのは、今後も取り組んでいかなければいけませんね。最近は、e-sportsというワードが力強くて、我々作り手としても、見てくれる方が増えているという嬉しい流れを感じるんですよ。

琢磨 氏:e-sportsブームみたいなものが来ている感覚はあるので、それをきっかけに格闘ゲームがもっと盛り上がってくれると良いですよね。プレイヤーサイドにいると、ビジネスの香りを感じて敬遠する人もいると思うんですけど、僕としては、イベントが増えて嬉しいという感覚ですね。

――e-sportsという言葉が国内でよく使われるようになって、格闘ゲームを見てもらう場所というのは確かに増えましたよね。僕も、毎週のように、いろいろな大会を観戦できて楽しいです。主にネットですが(笑)琢磨さんは、格闘ゲームのどのようなところに魅力を感じますか。

琢磨 氏:プレイヤーとしての魅力を感じる点については、僕も小田さんに近いです。ジャンルとしてはかなり長くプレイしていますけど、1番魅力に感じるのは勝つっていう結果よりも、自分の成長を実感できるところなんです。格闘ゲームじゃなくても、競技であればそうだとは思うんですけど、たとえばリフティングが5回しかできなかったけど10回できるようになったとか、必殺技が安定して出せるようになったとか、このコンボできるようになったとか。その中の一つに、勝てないやつに勝てるようになったとか、勝ち越せるようになったとか。そんないろんな修行パートと結果パートみたいなのが短いスパンで得られるのがすごい楽しいんですよ。ボタンを押せば、どんなマッチョだろうが、もやしっ子だろうが、寸分違わず同じ強さの技が出るんですよ。これって、すごいことだなと。

△琢磨氏は、格闘ゲームを初めて遊んだ時に感じた「キャラクターを動かす楽しみ」が今でも強く印象に残っているという。

――小田さんも、琢磨さんも、プレイして上達するというところにジャンルとしての面白さを感じているわけですね。最近では、格闘ゲームの敷居の高さ、つまり、「必殺技コマンドが昔からあまり変わらない」、「セオリーの中に共通したものがある」ために、新規プレイヤーにとって敷居が高いという意見もあるようです。こうした新規プレイヤー獲得に向けた試みなどで、実施してみたこと、これからやってみたいことなどはありますか?

小田 氏:格闘ゲームが難しいのではという話は、実は25年前から聞いてきた話なんです(笑)そこで、システム的にはいろいろとやってはきているんですよ。例えば、難しかった必殺技コマンドを簡単にしたり、ボタンを押すタイミングの猶予を増やしたり。最近では、連打である程度コンボが出るというのも流行りですよね。それでも、難しいと敬遠する方は多いわけです。なぜかというと、対戦に勝つのは大変ですから。だから僕らとしては、ゲームの中のことも考えつつ、体験の場を増やすことが大事なのかなと考えています。スポーツでもそうなんですけど、すぐ身近に体験できる場所があったりすると、簡単、難しいという感覚以外が刺激されることもあると思うんですよ。ちょっとやってみてもらえる導線を増やす、そこで、ちょっと難しいことができた達成感をゲーム側で用意してあげる、そういうことを目指していますね。

△小田氏は、格闘ゲームの「敷居」と長く向き合ってきた開発者の一人。ゲーム自体を簡単に

琢磨 氏:最近では、うまい人のプレイに触れられる機会が増えたことで、「これくらいできないといけない」みたいなのをみんなが持ちすぎなのかなと思うんですよ。たとえば、卓球でプロ選手の動きを見て、「卓球すごい!でも、あの動きは初心者にはできないから敷居高い」とはなりにくいですよね。そこで卓球に興味を持って遊んでみる温泉卓球だって、きっと楽しいじゃないですか、僕が格闘ゲームを好きになったきっかけには、自分と近いレベルの人と戦った時に初めて得られる楽しさというのがあったんです。そういう戦友みたいなものを見つけられる機会が減ってきているということに関して、敷居は高くなっているのかなと感じますね。そこで、格闘ゲームとしては、少しでもレベルの近い人と当たりやすくするとか、離れた人と対戦する機会をちょっとでも減らすっていう努力をしていますね。アーケード版『ミリオンアーサー アルカナブラッド』では、オンライン対戦、ランクに応じた対戦相手の選出、乱入されないモードを用意すると行った取り組みを行いました。今回発売する家庭用に関しても、対戦が1番カタルシスが得られるおもしろいものではあると思いますけど、アクションゲームとして1人で遊んでもらってもいいし、ストーリー見てもらうというのも視野に入れています。

小田 氏:格闘ゲームにおいて、ゲームセンターが持ってくれている役割って、とても大きいなと思うんです。そうでない作品もありますし、我々は最近家庭用を先行して出したりしていますが、特にことわりもなく対戦することができて、相手やそのゲームセンターのレベルを見てから対戦できる。あわよくば友達ができるかもしれないというのは、オフラインの空間じゃないと難しいですからね。しかし、ゲームセンターの数は減っていますし、我々としては、コミュニティの育成や支援にも力を入れなければならないなと最近は感じています。コミュニティって、格闘ゲームの大きな楽しみだと思うんですよ。

――SNKさんはここ数年、リアルイベントへの出展や協力に力を入れているように見えます。それも、触れる場所を増やす施策のひとつなのですね。岐阜県で行われたイベント「ぜんため」の試遊台出展、とても良かったです。子供達が格闘ゲームをガチャガチャと遊んでいて。

小田 氏:ありがとうございます。本格的に力を入れ出したのはここ一年半くらいですね。もう一度、SNKコミュニティというのを育てていけたら、どんどん明るい未来に繋がるのかなと思っています。どういう風に支援するか、協力するかというのはいろいろ考えつつ、これからも継続してやっていきたいですね。

△2018年8月に岐阜県で行われたイベント”ぜんため”は、『SNKヒロインズ』が出展されていた。商店街のど真ん中にアーケード筐体が並ぶ姿は圧巻。格闘ゲームファン以外にも、小さな子供達がプレイしていたのも印象的だった。

――『アルブラ』も家庭用から一年、大会などを積極的に開いていますよね。

琢磨 氏:そうですね。やっぱり、プレイヤーだった僕としては、大会があるのは楽しいなと思うので。第一回の全国大会とかは、幸い『ミリオンアーサー』全体のイベントと一緒にやったので、けっこうでかいやつをやらせてもらいました。ただ、そのイベントっていうのが『ミリオンアーサーファン』が99パーセントみたいな予定で、怖かったんですよ。「格ゲーとか興味ないんですけど」というお客様もいらっしゃるわけです。それでも、大会を終えると、考え変わったみたいな、すげー興奮したって人が多かったんで、嬉しかったし、手応えも感じましたね。これは会社向けというよりは僕の個人的な感情の話なんですけど、「格ゲーの魅力を知ってもらう」という意味では成功したところがあるのかなと思います。ぶっちゃけると、イベントをやると金もかかるし、月一回くらいでやっているゆるい生放送とかも、結構大人たちが動いているんです。SNKさんのように、ユーザーコミュニティのほうを支援してっていうがほんとうはできたらいいんですけど、ここまでフットワーク軽くやられてるっていうのは凄いなと思いますね。

△ベスト4以降では、舞浜アンフィシアターのステージからプレイヤーが登場する演出アリ。

小田 氏:ウチの場合は、タイトルがたくさんあって、中に信頼できるコミュニティが既にあるというのは大きいのかもしれません。この人たちなら大丈夫という人たちが、大会をやってくれたりするんです。ただ、がっつり組んでいるというわけではなくて、あくまで「公認大会です」という形です。僕らとしては、大会をごりごり運営できるパワーがまだないので、提案していただいて、実施の見込みがあるものには、できる範囲で協力するという体制をとっています。

――そろそろお時間となってしまいました。最後に、これからの展望などをお聞かせください。

小田 氏:『SNKヒロインズ』は、このインタビューが掲載される頃には、ミスXという謎の新キャラクターが出ていると思います。一応、昔のファンには配慮した見た目とかにはなっているんですが、技は現在でも許される表現に差し替えました。バイクで人を轢くとかはやっていませんが、動かしていても、見ていても楽しいキャラクターになっているのでよろしくお願いします。あとは、ウチとスクウェア・エニックスさん、我々一応ですね、NESiCAファミリーっていうことになってますので、ぜひみなさんゲームセンターに集まって、格闘ゲームをじゃんじゃん遊んでいただければと思います。『SNKヒロインズ』も『アルブラ』も『KOF XIV』も入ってますし、こんど『ファイティングEXレイヤー』も入るそうなので、これからすごくゲームセンター熱くなるんじゃないのかなーと思ってます。コンシューマ版買って家で練習して、アーケードで実戦という流れも考えてみてくださいね。

琢磨 氏:最近でも、格闘ゲームの新作が最近いっぱい出たなって意見もあると思うんですが、個人的には、ちょこちょこ出るものの、その後だいたい続編出てないことが心配です。今出てる格闘ゲームってナンバリングのものがほとんど続いてて、新作については続編がこないケースも多いんです。もうこれぶっちゃけてしまいますが、新作が出るためには、みなさんの応援が必要なんで、家庭用版を購入していただき、練習して、ゲーセンに足を運んで、またみんなでワーワー言いながら遊んでもらえればと思います。それで、面白いなと思ったら、手間かもしれませんが、友達を誘ったり、SNSで「面白いよ」と言ってくれると嬉しいですね。SNKさんとは、いつか合同イベント的なのがあっても楽しそうだなと思いますね。

小田 氏:SNKのゲームと『アルブラ』を並べて、二台同時にプレイして対戦するとかはどうでしょうか(笑)

琢磨 氏:片手で操作できる名人もいると聞くので、面白そうですね(笑)コラボなんかも、次があればぜひやってみたいです。個人的に、ルガールが大好きなんですよ。『アルブラ』も、庵とルガールで悩んだくらい(笑)

小田 氏:ルガールもお貸しできると思いますので、いつでも声をかけてください(笑)『アルブラ』のキャラクターにジェノサイドカッターを振舞うのは絵面凄そうですが(笑)

――本日はありがとうございました。両作品の今後、楽しみにしております!

作品紹介


『ミリオンアーサー アルカナブラッド』
発売日:2018年11月29日(※1)
アーケード:稼働中
プラットフォーム:プレイステーション4
価格:パッケージ版、ダウンロード版ともに 6,980円+税
発売元:スクウェア・エニックス

※1ダウンロード版事前購入者のみ、48時間アーリーアクセス権利あり。アーリーアクセス版では、11月27日から遊ぶことができる。

△『ミリオンアーサー』シリーズの人気キャラクターたちが戦う、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』。簡単な操作が多く、少し練習すれば、爽快感抜群のバトルが楽しめる。

『SNKヒロインズ Tag Team Frenzy』
発売日:発売中(2018年9月6日)
プラットフォーム:プレイステーション4、ニンテンドーSwitch
アーケード版:稼働中
価格:パッケージ版 4,800円+税、ダウンロード版5,184円(税込)
発売元:SNK

▲格闘ゲームの必殺技コマンドを見直し、方向キーとボタンのみで大技を繰り出せる。超必殺技でしかKOを取れないという特徴を持つ。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』
発売日:発売中(PS4 2016年8月25日、Steam 2017年6月16日)
プラットフォーム:プレイステーション4、Steam
アーケード版:稼働中
価格:PS4パッケージ版 7,200円+税、PS4ダウンロード版7,776円(税込)、Steam 6,980円(税込)
発売元:SNK

△『KOF』シリーズ最新作、『アルブラ』に登場する八神庵も登場する。

©SNK CORPORATION ALL RIGHTS RESERVED
© 2018 SQUARE ENIX CO., LTD. All Rights Reserved.

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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