トレモも!オンライン対戦も!『スターグラディエイター2』を『カプコンファイティングコレクション2』で遊ぶ

『スターグラディエイター2』がゲームセンターで稼働したのは1998年。この頃僕の行きつけのゲーセンでは『マーブルvsカプコン』や『ストリートファイターIII 2nd IMPACT』、『リアルバウト餓狼伝説2』の対戦が盛り上がっていた。『スターグラディエイター』はというと、1作目も2作目も対戦相手は少なく、「キャラデザは個性的だけど、システムがよくわからん」みたいな感じで数プレイしたきりの作品だった。ただ、キャラクターのデザインや独特の映像表現は強く印象に残っていた。

家庭用版がドリームキャストで発売され、友人のO君が「『スタグラ2』買ってみたわ」というので遊びにいったときにはじめて本作の対戦に取り組んだ。畳の客間に置かれたブラウン管にドリームキャストをつなぎ、格闘ゲームのプレイに到底向いていないドリームキャストコントローラーを握りしめて戦った。ゲーム雑誌で見たことのある攻略を再現しようとしたが、その理想はあまりに操作性に癖があるドリームキャストコントローラーに即座に打ち砕かれることとなる。そこで僕たちは操作が簡単で、コンボがそこそこ減る、そして格好いいゴーストビルシュタインの同キャラ対戦にたどり着いた。
プラズマフィールドという強化要素が特に面白く、ヒットさせると一定時間キャラクター別の強化要素が発動するという独自要素が頗る面白かったと記憶している。ゴーストビルシュタインの強化要素はというと、「一定時間スーパーコンボゲージが使い放題になる」という豪快なもので、ぶっぱなすだけで興奮できた。細かい操作を放棄した大味な同キャラ対戦の中で、システムを少し理解した頃には「このゲームちゃんとやると面白いかもなあ」といった感想も出てきた。しかし、それから今まで、このゲームをちゃんとやる機会は訪れなかった。

▲SF的世界観とキャラクターデザインを備えた異色の格闘ゲーム『スターグラディエイター2』。一見3D格闘ゲーム風だが、操作感はカプコンの得意な2D格闘ゲームそのもの。

『スタグラ2』のいろいろなキャラクターで対戦をやってみたいという欲求はたまに再燃したが、なかなか実行に移せずにいた。プレイ環境を整えるまでは、レトロゲーム集めに没頭する中で自然とたどり着いたものの、格闘ゲーマーで集まって、がっつりと『スタグラ2』を遊ぶというのはハードルが高い。みんなが持っているハードで、オンライン対戦ができるようになればなあと考えはじめたのはここ数年のことだ。レトロな格闘ゲームの復刻が盛んに行われるようになり、カプコンからもメジャータイトルがオンライン対戦を伴って発売されていくのを眺めながら『スタグラ2』とか来ないかな、いやーでもさすがにないかあ、なんて思っていたところ、まさかの『ファイコレ2』に収録されることが発表されてしまった。オンライン対戦とトレーニングモードを備えた『スタグラ2』がやってきたのだ。

いつもいろいろな格闘ゲームを一緒に遊んでくれる仲間たちに声をかけたところ、ほぼ全員が『スタグラ』シリーズを未経験だという。格闘ゲーム黄金期のゲームセンターに登場した作品ということで、存在は知っているという人は多かったが、どのようなゲームなのか、どのキャラが強いのかという知識は誰も知らないようだった。

「スタグラ2かー、ゲーセンで見たけどちょっとしか遊ばなかったなあ」

「見たことあるけど遊んだことないな」

という人がほとんど。このゲームを遊ぶ最高の環境と人が揃った。

そんなわけで『カプコンファイティングコレクション2』の『スターグラディエイター2』を「ネットの攻略は参照してOK。永久コンボ、ハメ、なんでもありでとりあえずやってみよう」という現代人向けのルールで遊び始めた。

ネットの攻略を見ると調べる楽しみが失われるという方もいるだろう。でも、ここはゴジライン。調べる楽しみよりも、勝つ楽しみを優先したい夜もある。それに、ネットの攻略をそのまま使うだけでは勝てないこともわかっている。それらを「アレンジ」することまで考えていなければ、対人で勝つことなどできないのだ。

▲神ゲー『CAPCOM VS. SNK 2』や『STREET FIGHTER ZERO 3 UPPER』。そして『燃えろ!ジャスティス学園』や『パワーストーン』シリーズ、『カプコンファイティングジャム』などの渋すぎるタイトルも収録されている『ファイコレ2』。『スタグラ2』入れてくれるカプコンに敬礼!

前キャンの練習を夜な夜なした『CAPCOM VS. SNK 2』でもなく、人のいないゲームセンターを探してオリコンを探した『STREET FIGHTER ZERO 3 』(ファイコレ収録作はアップデート版の『STREET FIGHTER ZERO 3 UPPER』)でもなく、ヤンキーの使う空中浮遊する恭介をどう倒すかを模索した『燃えろ!ジャスティス学園』でもなく、『スターグラディエイター2』しか今のところやる気がない。

25年も前のゲームだけど、知らないことだらけで新鮮で、見たことのないような性能の技が戦いを盛り上げてくれる。
「その技ふざけんなよ」と何回言っただろう。

25年前とは思えない多彩なシステムに感動

10分のトレーニングモードを経て始まったオンライン対戦は、危険な永久コンボを狙い合う戦いとなったが、本作のコンボ難度はまあまあシビア。失敗して数ヒットで終わる永久コンボをやりたいがあまり、基礎コンボよりも火力が劣るコンボが飛び交う醜い戦いとなった。しかしそんな醜い戦いの中でも、僕たちは本作の駆け引きを学んでいけるのだ。

本作の駆け引きはシンプルで、攻める側はコンパクトな縦斬り、攻撃範囲の広い横斬り、そして蹴り技という攻撃手段からコンボを狙うのだが、守る側には回り込みプラズマリバースという強力な防御システムが用意されており、攻守が一瞬で入れ替わる。回り込みは直線的な攻撃はもちろん、投げまで回避してしまうため、攻める側は縦斬りもうまく使う必要がある。ただし、斬撃だけでは斬撃を受け止める「プラズマリバース」の餌食になる。プラズマリバースで相手の斬撃を受け止めると、そこから手痛い反撃を決められるのだ。プラズマリバースを読んだら蹴り技の出番だが、蹴りからのコンボは限られていて、ガードされた場合は攻めを継続しにくいというデメリットもある。こうした地上の読み合いは、ジャンプ攻撃で解決できる場合が多い。しかも本作には、多彩な空中機動を持つキャラクターが存在しており、一見すると「こざかしい地上の読み合いをジャンプで破壊できる」かのように見えるが、そこに超高性能な軸移動が対策として機能する。軸移動というと世間一般の格闘ゲームの印象からか、方向とか考えてしっかりやらないといけないから難しいという印象を持つ方もいるだろうが、このゲームでは「とりあえずすごそうな技は軸移動してみる」ことで対策できたりする。

▲地上の斬撃を受け止めるプラズマリバース。プラズマリバースは2種類存在し、自動で反撃を叩きこんでくれるものと、自分で任意の反撃を叩きこむものがある。ゲームに慣れるまでは、自動で反撃するほうを使うといいだろう。

▲軸移動は縦斬りはもちろん、投げやジャンプ攻撃まで回避する超性能。このシステムで逃げまくればいいじゃーんと思っていた時期が僕らにも2分くらいありました。

2D格闘ゲーム風の操作感に、3D格闘ゲーム風のシステムをカジュアルにアレンジして入れ込んでいる。なんという繊細なゲームなのだ……。
僕たちも2分くらいはそう思っていた。しかし、繊細な駆け引きも立ち回りも、「プラズマフィールド」という暴力的なシステムの前では塵のごとく消し飛ぶ。プラズマフィールドは冒頭で説明したように、各キャラのハチャメチャな特殊能力を発動させるシステムなのだが、この特殊能力はプラズマフィールドの発動とともに発生するクソデカ衝撃波をヒットさせることで発動するのだ。このクソデカ衝撃波が発生さえしてしまえば、ジャンプはもちろん軸移動や突進技、飛び道具にすら跳ね飛ばしてしまえる。プラズマフィールドがヒットしようものなら、そのままコンボに持ち込み、5割とか10割体力を吹き飛ばすキャラクターもいて大変危険だ。プラズマフィールドの出かかりに無敵時間がないという開発の最後の良心を頼りに、このプラズマフィールドを喰らわないように動くのが本作のセオリーとなる。

▲プラズマフィールドは超広範囲に衝撃波が発生する。この衝撃波がヒットすると、お楽しみタイムのはじまりだ。

▲プラズマフィールドがヒットすると、「ステージに壁」が発生し、やりたい放題の時間が訪れる。発動する特殊能力はキャラにより異なり、ジューンの場合は、攻撃とともに光弾を連射するようになる。

一晩の対戦で理解した。
『スターグラディエイター2』とは。「ゲージを溜め、プラズマフィールドを当てて相手をメチャクチャにするゲーム」である。
この技強すぎるどうするの、この動きつよすぎるどうするの、答えはすべて「プラズマフィールドでなんとかしろ」となる。

キャラランクはシステムでも覆せないかもしれない

ネット上の攻略を参照してOKというルールを決めたため、僕たちの対戦は先人たちが導き出した強キャラが乱舞する戦いとなってしまった。コンボや立ち回りの操作にも慣れてきたころ、数名のキャラクターが圧倒的な勝率を納め、僕たちは早急に使用禁止キャラクターを制定した。
僕たちも大人になり、「こんな永久あるならこのゲーム終わりや」とか「永久を身内ルールで縛って対戦して何が楽しいの?」みたいな発言を繰り返す厨二病小僧ではなくなった。大人なので「永久はおもんないから身内ルールで使用禁止でいいか」、「せやな」みたいな感じであっさり使用禁止キャラが決まる。ギラつきはなくなったかもしれないが、ぬるま湯みたいな戦いだって良いものだ。
使用禁止措置が取られたのは、凄まじいゲージ回収能力を持ち、いろんなところから永久コンボに持ち込める雷怨(ライオンと読む、かっけえ)とそのコンパチキャラクター(※性能的に類似しているキャラクターのこと)の白虎。そして狂った機動力で永遠に先手を取れるゼルキンと、そのコンパチキャラクターのイーグルの4名である。ちなみに、本作は24名のキャラクターが登場するが、その半分はコンパチキャラクターとなっている。コンパチとはいえ結構性能が違うキャラクターもいるのが面白いところだが、強キャラのコンパチがまた強キャラであることも事実だ。

▲上段と下段のキャラクターはコンパチキャラクターとなっている

『スタグラ2』の対戦はまだ続いている。とても面白いが、コンボダメージが極めて高いゲームのため、「これに50円とか100円入れてゲーセンでガチ対戦していた人たちがいたとしたら、それはそれでスゴすぎる」という謎の尊敬の念も湧いてきている。
試合時間はあまりにも短く、プラズマフィールドが炸裂した試合は体力が溶ける。
でも、『ファイコレ』さえ買えば無限に遊べるので、興味が湧いた方がいたら、是非友人を誘って遊んでもらいたい。


過去の名作が蘇る

『ファイコレ2』のおかげで、現役格闘ゲーマーの多くが所有しているハードで、トレーニングモードで練習しつつ、オンライン対戦を楽しむという現代的な遊び方ができるようになったのは感無量である。クロスプラットフォームには対応していないが、現行ハードのほとんどで遊べるのは嬉しい。
また、『ストリートファイター6』をきっかけに格闘ゲームを始めたという方も、カプコンの過去の名作群に是非触れてみてほしい。当時の映像表現や技の作りこみ、各キャラクターのユニークな動きは必見だ。また、『CAPCOM VS. SNK 2』や『STREET FIGHTER ZERO3』などは現役としてプレイし続けているプレイヤーも多く、もうアップデートされないゲームだからこそ、安心してやりこめるという良さもある。
各作品の移植度は概ね素晴らしいが、注意点を書いておこう。『燃えろ!ジャスティス学園』『カプコンファイティングジャム』『パワーストーン』シリーズは、対戦シーンで使うテクニックや対策の練習にも使える出来栄えだ。『燃えジャス』には、プレイしている人にはお馴染みのバグである”「恭介の空中浮遊」の有無”を設定できる心憎いオプションも追加されている。

『Capcom vs. SNK Millennium Fight 2000 PRO』こと『カプエス1』だが、こちらはアーケード版1作目のバージョンアップ版であることに注意。PROはダンやジョーが新キャラとして追加されたものだが、レシオの性能差に大きな変更が入っている。『CAPCOM VS. SNK 2』はプレイヤーマッチやトレーニングモードで、アーケード版の駆け引きやテクニックを楽しめるようになっている。注意点としては、本作はバージョンセレクトが可能だが、ランクマッチは家庭用準拠のEO版でしか対戦ができない。EO版は、キャラやグルーヴの性能に調整が入っているため、アーケード版とは攻略が若干異なる。バージョン選択はアーケードモードやトレーニングモード、プレイヤーマッチなら選択可能で、ここでアーケード準拠のものを選べば「前キャン」が使えるバージョンで遊べる。

『STREET FIGHTER ZERO 3 UPPER』については、『STREET FIGHTER ZERO 3』とキャラクター性能やシステム面の仕様が大きく異なる部分があるため、『STREET FIGHTER ZERO 3 UPPER』を楽しむという気持ちでプレイするのが良さそうだ。
『スターグラディエイター2』はドリームキャスト版の移植のようで、アーケード版の攻略が一部使えない。変更点はそれほど大きなものではなく、そもそもこのゲームのアーケード対戦シーンがあるという話もあまり聞かないので、『ファイコレ2』版に身を投じてることをおすすめする。キャラクターの性能差はかなり激しいので、ランクマッチに出かけると殺伐としたキャラクターセレクトと立ち回りを行うことになりそうだが、友達とプレイヤーマッチで遊ぶ分には、とても楽しいゲームである。

そうだ。『カプコンファイティングコレクション』に続きがあるのなら、『ファイナルファイト リベンジ』を是非ともお願いしたい。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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