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【メイキング オブ『俺達の世界わ終っている。』】物語の名手レッド・エンタテインメントはなぜ「神ゲー」を作り出せたのか【森田直樹氏インタビュー】

   

声と台詞が、濃厚なキャラクターを紡ぐ


――本作は声優陣がとても豪華です。「超豪華声優陣」という、よくゲームの売り文句にあるフレーズですら説得力を持たせてしまいそうな方々がキャラクターボイスを当てていますよね。決定するまでの経緯をお聞かせいただけますか?

森田:声優さんについて考えたのは、アフレコのスケジュールを考え始めた時期なのでプロジェクトの中盤頃ですね。このタイミングは、シナリオの全体像が見えてきていて、登場するキャラクターも一通り揃って、キャラデザも出来上がってきているという状況だったので、初めてじっくりとキャスティングについて考えたんです。ただ、僕は声優さんにあまり詳しくないので、若手のスタッフに「どんな声優さんが合いそうか」をリストアップしてもらいました。そのリストを頼りに事務所さんのサンプルボイスを聞きながら、この声はいいなあとチェックを付けていったんです。そしたら、「全員主役級ですよ」と言われて、びっくりしましたね(笑)

――そうですよね、本当にびっくりしました、声優さんの豪華さが、とても新規IPとは思えないです(笑)

森田:ですよね(笑)だから費用よりもスケジュールがまず抑えられないんじゃないのかっていう心配が出てきました。一人何千ワードとある物量なので。でも、いざお願いしたら、奇跡的に全員希望通りの形でお願いすることができたんです。それもこれも音響制作を担当してくださったビットプロモーションさんのおかげなんですけどね。

△最高のキャラクターたちを彩る、最高の声が、作品に豊かな深みをもたらしている。

――シナリオが3MBあるゲームとなると、声優さんの収録量もかなりのものになったのではないでしょうか?

森田:「ゲームでこれだけの分量をとったのは初めてです」と言っていた声優さんもいましたね。一回の収録は長くても4時間くらいなのですが、メインキャラクターだと全部取りきるのに一週間くらいはかかりました。最近のゲームの規模がよく分からないので、これが長いのかどうかピンと来なかったんですが、多分、長いんでしょうね(笑)声優さんの皆さんには、本当にお世話になりました。実は、最初に声優さんに渡したのは、9章までの台本だったんですよ。これは先の展開を隠していたとかそういうことではなくて、その時点で出来上がっていたのがそこまでだったんです。で、その台本を読んで、あ、ここで終わりなんだ、と思った声優さんもいたという(笑)

――ところがまだまだ話は続くんですよね(笑)

森田:そうなんですよ、9章までだとちょうど半分くらいですからね(笑)この後、どうなるの?って聞かれましたし。確かにアフレコは長丁場でしたけど、皆さん、面白がって演じていただけたのではないかと、現場の雰囲気からは判断しています(笑)リップサービスでなければ、いいキャラクターですねという声をいただくことが多かったので、ちょっと手ごたえを感じることもできました。ただ、「長すぎるからレッドのゲームはやばい」みたいな評判が立たないことを祈っています(笑)あと、今だから言える話なんですが、実は前半から尾張のセリフが多すぎて、尾張役の杉田さんのスケジュールを押さえきれないかもしれないから「森田さん、あまり尾張のセリフを増やさないでくださいよ」って音響制作会社さんから言われてて。だからストーリーの展開として、一度尾張を退場させてみたんですが、結果としてボイスの数が減るという効果はあまりなかったように思いますね。話として、面白くなったので結果オーライですけど(笑)

△尾張がしばらくいなくなるシーンは、声優さんへの配慮で作ったつもりが、いざ実装してみると、セリフ数にほとんど影響がなかったそうだ。

――実際に声が入ったゲームに触れてみた時の感覚はいかがでしたか?

森田:声が入ると、ゲームが一気に進化したような感覚を受けましたね。実力のある声優さんは、こんなにも凄いんだということを、作り手として再確認しました。シナリオを書いている時は、「イルカさんがうるさいだろうなぁ」と思っていたのですが、収録をし始めると他のキャラクターもとにかく賑やかなことに愕然として。もしかしたら、これはずっとうるさいゲームなのかもしれないと心配したのですが、それを組み合わせると、心地よい騒がしさになったので一安心しました。

――僕はアドベンチャーゲームが大好きなんですが、遊び方は作った人やファンの人に怒られそうなスタイルで、とにかく音声を聞かないんです。最初の30分くらい聞いて、イメージを頭の中に入れて、あとはどんどん読み進めていくということが多いんです。そんな自分が、このゲームは久々に、ほとんどスキップせずに遊び切りました。キャラクターの声や会話を聴くのが、とても楽しかったんです。声優さんのパワーもさることながら、台詞の一つ一つから、キャラクターの熱を感じました。

森田:キャラクターの描き方はいろいろあると思うんですけど、僕の場合はキャラクターのセリフは、シナリオの説明になってはいけないということを意識して書いていますし、スタッフにも注意するように言ってます。書き手が伝えたい出来事や状況を説明するためにセリフを書くんじゃなくて、そのキャラが喋るのだから、キャラが喋るべきことを書くというイメージです。説明が足りないとしてもそれがキャラクターの言葉であれば仕方ないし、その積み重ねがお話になっていって欲しいんです。「こいつらがこう喋っちゃったら、こういう展開にならざるをえないよね」というノリは常に意識しました。あとは、キャラクターたちの行動や心情についても、それをひとつひとつ説明するんじゃなくて、会話から何をして、何を考えているのかを察してもらいたくて、そういう部分にこだわった結果なのかもしれません。だから、台本は最後に全てチェックして、細々と手を入れてますね。これがかなり、時間がかかりました。

――本当にこれは、じっくりと遊んで欲しいアドベンチャーゲームですね。僕はこのゲームのプレイ動画を自分で録画して、何年後かに最初から鑑賞したいくらいです(笑)

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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