SNKの2D格闘ゲーム『餓狼伝説 City of the Wolves』に、カプコンの『ストリートファイター6』からケン・マスターズが参戦する。
『ストリートファイター6』では、テリー・ボガードや不知火舞のカプコン流アレンジを楽しめたが、『餓狼伝説CotW』ではいよいよケンのSNK風アレンジ流が見られるのだ。
本記事では、配信前にケンを試遊する機会を得たので、キャラクターの特徴や攻略のポイントとなりそうな部分をいち早く紹介する。
原作のイメージ通り、苛烈なラッシュを得意とするキャラクターになっており、攻めが爽快な『餓狼伝説CotW』にふさわしい暴れっぷりを見せてくれそうだ。

発売日:発売中
ジャンル:格闘ゲーム
メーカー:SNK
価格:7,920円(税込)
プラットフォーム:PlayStation®4 / PlayStation®5(デジタル版/パッケージ版)
Xbox Series X|S、Steam、Epic Gamesストア(デジタル版)
『餓狼CotW』のケン・マスターズ
『ストリートファイター6』はパンチとキックボタンの合計が6つだが、『餓狼伝説CotW』はパンチとキックボタンの合計が4つ。攻撃ボタンの数の違いは、通常技の多彩さに影響するのではと思っていたところ、『餓狼CotW』のケンは「方向キー+攻撃ボタン」で繰り出せる”特殊技”の数が実に多彩なことがわかった。たとえば、『ストリートファイター6』で立ち強Pに割り振られている「正拳突き」は、『餓狼伝説CotW』では6+強P、「突き上げアッパー」は3+強Pで繰り出せるといった具合だ。この基本操作の部分は『餓狼伝説CotW』の中でもかなり独特なものとなっているため、使い始めたばかりの頃は戸惑うかもしれないが、自在に技を出せるようになると本作ならではのケンの強みや面白さが見えてくる。

▲ケンは方向キーを入れることで繰り出せる通常技を多数持つ。6強Pはリーチが長くキャンセルも可能ということで、主力の技になりそうだ。

▲回転足払いと突き上げアッパーは斜め下入れなので入力にやや癖がある。バリエーション豊かな特殊技の入力からまず覚えよう。
必殺技には『ストリートファイター6』をベースにしたものが揃っており、飛び道具の波動拳、割り込みや対空迎撃に使える昇龍拳、コンボに役立つ竜巻旋風脚といったおなじみの技はわかりやすく強力。波動拳で相手の出方を伺い、昇龍拳で対空迎撃を狙ったり、前に出て試合を作るという動きは本作でも顕在だ。ちなみに、『餓狼伝説CotW』には強力な飛び道具が多いためか、ケンの波動拳もよりスピーディな技になっているのも面白い。けん制はもちろん、通常技の隙をフォローしたり、起き上がりに技の後半部分を重ねて攻めを継続するという使い方も有効だろう。

▲『餓狼CotW』の強烈な飛び道具に対抗するためか、ケンの波動拳もかなり高性能。けん制技はもちろん、通常技キャンセルで繰り出してラインを上げるような使い方も可能。

▲強昇龍拳は無敵技ではなく、「対空中攻撃無敵」なことに注意。ブレーキング対応技となっているため、対空の他にもコンボパーツとして重宝する。弱昇龍拳は無敵技となっているので、密度の高い攻めに割り込む場合はこちらを使おう。
『ストリートファイター6』で強烈なラッシュの軸となった迅雷脚や、奇襲やコンボパーツとして使われる龍尾脚、相手に走りこむように接近する奮迅脚とそこからの各種派生も健在だ。迅雷脚は派生の風鎌蹴りが連続ガードになるうえ、ガードされても隙が小さいのが強み。風鎌蹴りはディレイをかけることで暴れ潰しとしても機能するため、原作さながらの圧を発揮するシーンもありそうだ。
龍尾脚は強版とREV版であればガードされてもケン側が有利になるため、奇襲として使えるシーンも多そうだ。奮迅脚は多彩な派生を出せる移動技で、派生する昇龍拳や竜巻旋風脚は大きく前進するため、コンボなどでも活躍するだろう。また、奮迅脚は本作では「必殺技」扱いになっており、さまざまな通常技からキャンセルで発動できるのはもちろんのこと、REV版はキャンセルで他のREV技へと派生するコンボパーツにも活用できる。

▲『ストリートファイター6』で親の顔より見た「でいや!ふん!」こと迅雷脚も健在。派生の下段攻撃と中段攻撃を使い分けて相手のガードを揺さぶれる。なお、『ストリートファイター6』のしゃがみ中Kは、本作ではしゃがみ強Kに割り振られている。

▲強orREV龍尾脚はガードされてもケン側が先に動き出せる。奇襲や連係に使っていけそうだ。

▲奮迅脚は必殺技扱いで、REV版はコンボにも重宝する。なお、一文字蹴りは必殺技キャンセル不能だが、奮迅脚でのみキャンセル可能となっている。
強攻撃を軸にしたラッシュが強力そうな予感
各種必殺技が高性能なため、リーチの長いしゃがみ強Kや6+強Pからキャンセルで各種必殺技を繰り出すというシンプルな攻めも見切られづらく強力だ。迅雷脚に対しては、REVガードで距離を離すなどの本作ならではの対策もありそうだが、他の必殺技もあることで的を絞らせないように出すこともできるだろう。また、大味な攻めだけでなく、弱攻撃を軸にした細かやか攻めも持っているのも見逃せない。弱攻撃からはREV竜巻旋風脚が連続ヒットするため、ダウンを奪いつつ攻めを継続できるのだ。
やりこみ要素としては、相手をダウンさせた後に、技の終わり際を「持続」で重ねる戦術は調べがいがありそうだ。ケンの下段避け攻撃は小さく飛び上がってから攻撃する中段攻撃となっており、この技の持続部分をヒットさせるとしゃがみ弱Pがコンボになる。REV昇龍拳→前ジャンプ~下段避け攻撃というレシピで簡単に持続ヒットを狙えるほかにも、多彩なフレーム消費で持続ヒットの状況を作り出せるので、セットプレーを模索してみるのも良いだろう。

▲REV版昇龍拳から前方ジャンプ~着地~下段避け攻撃と繰り出すと、持続部分を起き上がりに重ねられる。持続部分がヒットすればしゃがみ弱Pが連続ヒットし、そこからコンボへとつなげられる。持続を狙える状況はほかにもいろいろありそうだ。

▲REV版の空中竜巻旋風脚はめくりを狙えるうえ、地上ヒット時はコンボに持ち込める。
また、マニアックなところとしては『ストリートファイター』シリーズの過去作へのリスペクトを感じる要素も押さえておきたい。特に疾風迅雷脚は面白い性能をしており、稲妻カカト割りのしゃがみヒットからコンボになる(疾風迅雷脚は稲妻カカト割りの後半部分をキャンセル可能)。また、しゃがみ強P(『ストリートファイター』シリーズのしゃがみ中Pと似たモーション)から遅めのキャンセルでもつながったり、REV版波動拳に「スーパーキャンセル」風にキャンセルをかけられるようになっている。
ケンを使ううえで
必須となりそうなテクニック
6+強Pなどのレバー入れ攻撃から通常の入力で波動拳コマンドを出そうとすると昇龍拳コマンドが暴発するという方も多いだろう。たとえば、ケンの主力である6+強P【C】波動拳でけん制するつもりが、6+強P【C】昇龍拳になってしまったり、6+強P【C】迅雷脚のコンボを狙おうとして、6+強P【C】龍尾脚が暴発してしまったりすると目も当てられない。こうした暴発を防止するために覚えておきたいのが、2369と入力したあとにボタンを押すことで、6方向が入っていたとしても236コマンドが優先されるという仕様。つまり、6+強P【C】波動拳を繰り出したい場合は、6+強P【C】2369+Pとやれば、昇龍拳の暴発を防げるのだ。この特殊な入力は、素早い入力を使うコンボの多い近年のSNKゲームでは使う場面の多かったものだが、ケンで活用することで、自在に連携やコンボを組み立てられるようになるはずだ。

▲レバー入れ攻撃から波動拳コマンド系の必殺技を出したいときは9まで入れておくのがオススメ。
SNK流の表現もいいもんだ
SNKとカプコンは過去にも格闘ゲームでコラボしており、SNK側の作品としてはアーケード版や家庭用に展開された『SNK VS. CAPCOM SVC CHAOS』、ネオジオポケットの『頂上決戦 最強ファイターズ SNK VS. CAPCOM』、カプコン側の作品としては『CAPCOM VS. SNK』シリーズなどを遊んだという方もいるだろう。こうした作品群では、他社のキャラをどのような性能で落とし込むのかという部分はもちろん、キャラクターやステージを描く映像表現、サウンドのアレンジがプレイヤーをわくわくさせてくれたものだ。先駆けて『ストリートファイター6』に参戦したテリーや舞を見ていると、なるほどカプコンはこういうアレンジで来るのだなと驚かされることも多かった。

▲また、ケンにはクラシックな『ストリートファイター2』ライクな衣装も用意されており、こちらを選ぶとキャラの印象が大きく変わるのも面白い。ステージである朱雀城もSNKならではの解釈が見られるリッチなものとなっているのでこちらも必見だ。
SNK流のケン・マスターズに関わる表現は、ケンの熱いイメージを前面に押し出した見ごたえのあるものになっている。映像面では「技のキレ」のようなものが伝わってくるカットも多く、操作が画面に反映される瞬間がとにかく心地よい。また、バトル以外の部分も見ごたえたっぷりだ。テリーVSケンの試合前の掛け合いでは、静かなところから闘志が燃え上がっているような印象がうまく描かれている。『ストリートファイター6』のテリーや舞も世界観にうまく溶け込んでいたが、『餓狼CotW』のケンもこの世界の住人かのような存在感がある。本作には、実在の人物とのコラボレーションとして、クリスティアーノ・ロナウドやサルバトーレ・ガナッチが参戦しているが、発表時に驚かされたこのコラボも、遊んでみるとちゃっかり世界観に馴染んでいて面白い。

▲テリーとケンの掛け合いも超かっけえ……。
そして、サウンド面のアレンジは最高である。『ストリートファイター』シリーズでおなじみの「ケンのテーマ」のアレンジは、オリジナル曲のコアな部分を守りつつも、新しく増えた音やアッパーなテンポがSNKらしく心地よい。このサウンドは最新のケンのイメージとぴったりあううえ、『餓狼伝説CotW』の陽気なイメージの中にしっかりと納まる。コラボレーションにおけるアレンジの匙加減というのは実に難しそうだが、この曲を聞いていると、本コラボが挑戦的かつ、クリエイターの情熱を注いで作られたものであることが伺えるはずだ。このゲームのサントラ是非ともはやく発売してくださいお願いします。
ケンで『餓狼CotW』に参戦するのはどう?
ケンは『ストリートファイター6』をベースにしながらも、『餓狼伝説CotW』の攻めの強さに合わせて作られているため、攻めのパターンさえ身に着ければすぐに強みを発揮できるようになっている。通常技をガードされてもお構いなしにゴリゴリ必殺技を入れ込んで攻めていくという動きからまずは実践してみよう。本作はとにかくコンボダメージが高いので、始動技を積極的に当てるような動きから覚えていけば、すぐに対戦を楽しめるようになるだろう。

▲慣れないうちは動作途中に相手の攻撃を受け止める性質のあるREVブロウに頼りまくるのもおすすめ。REVブロウはS.P.Gゾーン中のみ発動可能なので、S.P.Gゾーンは体力満タン部分にしておくと良いだろう。
ちなみに『餓狼伝説CotW』はジャストディフェンスやハイパーディフェンスといった防御システムを活用するとなると難度は高いが、攻撃面のセオリーはそれほど難しいものではない。また、攻撃面の操作がこなせるようになれば、防御システムを使ってもしのぎ切ることが難しい攻めを簡単に作れるため、楽しく対戦できるまでの敷居も低めだ。必殺技コマンドもそれほど複雑なものはなく、コンボも2~3個覚えるだけで、体力があっという間に溶けるような熱い試合を楽しめる。

浅葉 たいが

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