【ゲームレビュー】なりきりアクションはここまで来た!『Marvel’s SPIDER-MAN』で”親愛なる隣人”のヒーロー生活を体験!

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美麗なCG、爽快な演出、直感的なキャラクターの挙動。ハイクオリティなゲームをプレイすることは、ただの暇潰しを超えて、現実では味わえない壮大な冒険の疑似体験だ。そして強烈な擬似体験は現実の認識にまで影響を与えてくる。例えばパルクールを題材にした『アサシン クリード』を長時間やり込んだ時、しばらく日常生活でも街に並ぶ建物や歴史的な建造物を見ると、無意識に”掴んで上れる箇所”を探してしまった。

では、本作はどうだろう。都会に住むプレイヤーならば、高層ビルに囲まれた通りを歩く時、まずはスイングの起点になる街路樹に目が行く。それから建物の2~3階、スイングで高く跳ね上がって7~8階くらいだろうか、そこまで来ればもう自由だ。屋上を越えて空高く跳び上がることもできるし、街を歩く人々の頭上を風の如く通り抜け一瞬でビルの向こう側に姿を消す、そんな”アクション”を空想するはずだ。スパイダーマンならそれができるし、このゲームを遊んでいるあいだ、”プレイヤー自身がスパイダーマンだった”からだ。

というわけで前口上からこんにちは、ゴジラインの一人用ゲーム好き、さいとうです。本作は2017年に公開されたトレイラーの映像の凄さに感動して以来、発売を心待ちにしていたタイトルの一本でした。もう既にネット上で絶賛の声が相次いでいる本作ですが、実際にプレイしてみても2018年でも最高峰のゲームだと断言できる出来の作品でした。「面白いゲームですよ!」というところから、本作の魅力なんかを書いていこうと思います。また、記事の2ページ目には実際にゲームを購入した方々に向けた、軽い攻略やキャラクター紹介なんかも載せているので、そちらもチェックしてみてください。

『Marvel’s SPIDER-MAN』

発売日     :2018年9月7日
プラットフォーム:プレイステーション4
ジャンル    :オープンワールドアクションアドベンチャー
販売元     :ソニー・インタラクティブエンタテイメント
価格      :パッケージ版:6900円(税抜) ダウンロード版:7452円(税込) CERO C

ビルの隙間を跳び回るスイング移動がとにかく楽しい!

本作のジャンルを一言で表すなら“ヒーローなりきりアクション”といった所でしょうか。スパイダーマンの特徴であるクモの糸(スパイダー・ウェブ)を使った行動が非常に多彩で、映画やコミックで見た覚えのある格好いいアクションの数々がコントローラーで手軽に再現でき、それらを駆使して敵を倒したり事件の謎を突き止めていくものです。ゲームシステムの根幹は、以前の記事でも紹介した『バットマン:アーカム』シリーズとほぼ共通なのですが、スパイダーマンらしさを追及した本作はさらに進化し、爽快かつ軽快なスピード感にあふれています。その”スパイダーマンらしさ”を代表するのが“移動”です。

映画でお馴染み、スパイダーマンの移動手段と言えば何が思い浮かぶでしょうか。クモのように張り付いて壁を登る、超人的な身体能力で壁を駆け上がる、建物にクモの糸を引っ掛けて高層ビルの間を振り子みたいにスイングしながら跳び回る。全部できます。

“移動”と単に言葉にすると地味ですが、ゲームプレイにおいて切っても切り離せない基本中の基本みたいな要素です。最近のゲームは「スカイリムのマップ○個分」みたいな比較をすることもあってフィールドの広さが重視されますが、それは同時に目的地まで行く移動の煩わしさを生んでしまいがち。ニューヨークを舞台にしたオープンワールドである本作も、見渡す限りの広大なマップが特徴なのですが、あちこち回るゲーム性の中で“移動が楽しい”ということはつまり“ゲームプレイのほとんどの時間がずっと楽しい”ということになるのです。

△移動に関してはもう「映画と同じことができる」と言うのが手っ取り早い。…え、映画を見てない?どれも面白いので全部見ましょう!とりあえず最新作のホームカミングがオススメです。

 

敵とのバトルには、肉弾戦をする近接モードと、見つからないよう隠れながら敵を無力化していくステルスモードの二種類があります。肉弾戦ではボタン連打で簡単にコンボが繋がり、被弾せずにこちらの攻撃を当て続ければヒット数が増えてボーナスが得られます。また、ボタン長押しで敵を空中に打ち上げられる技が出せ、浮いた相手に華麗な空中コンボを叩き込むことができます。クモの糸を撃ち出すウェブ・シューターをはじめとしたガジェットの数々は戦闘にも活用でき、糸を巻きつけた相手を拘束して動きを封じたり、壁に張り付けて無力化したりと大きな助けになってくれます。直感的な操作で爽快アクション、とキャラゲーの大事なところをしっかり押さえてますね。

△ゲージが溜まると敵を一撃で倒せるフィニッシュ・ムーブがくり出せます。色んな状況からボタンだけで発動でき、その攻撃方法の演出が実に多彩。日本のゲームだと『龍が如く』のヒートアクションが近い感じ。

ステルスモードでは、敵の頭上にある足場を跳び回り、発見されないように敵を仕留めていきます。見つかったらそのまま近接モードに移行するのでペナルティは無いのですが、ステルスモードの不意打ちだと敵を一撃で倒せるというメリットがあります。敵を手玉に取っている感が味わえるので、好きな人には刺さるモードでしょう。面倒だったらさくっと見つかって近接戦に入れるのも楽で良いです。僕はこういうの好きなので最後の一人までステルスモードで仕留めています。

△頭上からこっそり不意打ちしたり、物音を立てて敵をおびき寄せたり、頭を使ったテクニカルなプレイができるステルスモード。ステージによっては天井に張り付くことも可能。

スパイダーマンの(大変な)生活を体験できる!

ニューヨークに住む人々の危機を見過ごせない“親愛なる隣人”ことスパイダーマン=ピーター・パーカーは、お金に困っていたり、気になっている女性がいたりする等身大の青年です。ありふれた悩みを持ちながら、それでも市民の安全を最優先にヒーロー活動をしているため、私生活がままならず苦労したり悲劇を招いてしまう、というのが映画でもお馴染みの描写です。

さて、オープンワールドである本作は、とにかくニューヨークの様々な場所で事件が起こります。その都度、現場へ向かうことになるのですが、ここで面白いのは移動中にいきなり発生する事件イベント。あるイベントを進めようと目的地まで移動している最中に、突然「○○で悪党が暴れている!」という警察の無線が届くのです。マップを見ると結構近所、じゃあ軽く悪党をこらしめてくるかと現場に向かうと、爆弾を積んだ車で逃走していたりして、追いかけっこが始まります。無事悪党を追い詰めてこらしめると、そこは最初の目的地から大きく離れた場所。仕方ないから近くのミニイベントを解決しながら戻るかー、と街中をスイング移動していたら再度「○○で悪党が暴れている!」の警察無線。まじかよ!と思いながら現地へ急行。とにかく慌ただしい。そんなプレイをしていると、唐突に「今、すっごいスパイダーマンしてる!」という実感が湧き上がってきます。個人的に本作で一番テンションが上がったのは、どんな格好いいアクションをキメている時よりも、こんな苦労の真っ最中な瞬間でした。ただのアクション再現だけでなく、さまざまな角度から”スパイダーマンらしさ”を味わえるゲームなのです。

△スパイダーマンの中の人、ピーター・パーカー。かなり前から開発していたからか、最新作のトム・ホランドではなく、『アメイジング・スパイダーマン』で主演を務めたアンドリュー・ガーフィールドに近い顔だちですね。

また、ストーリーもドラマティックなシナリオというよりスパイダーマンのいつもの感じ、といったもの。私生活で苦労したり、お馴染みのヴィランが登場したり、街に住む人々と協力して事件を捜査したり、映画で見た覚えのあるシーンがたくさん出てきます。それだけではなく、二代目スパイダーマンであるマイルズ・モラレスが物語に関わってくるなど、映画ファンにとって未知の世界にも足を踏み入れます。

△挿入されるムービーシーンは迫力が凄くてとにかく圧巻。だいたい映画です。

強いて本作の問題点を挙げるなら、戦闘が難しいところでしょうか。前述の通り『バットマン:アーカム』シリーズの操作が下敷きにある本作ですが、バットマンでは使用可能なアクションが少しずつ増えていったのに対して、本作では最初からアクション全部入りみたいな状態で、特殊な対処方法を使わないと倒せない敵が序盤からバンバン出てきます。また、通常の回避行動が弱いため、銃を持った敵が非常に大きな脅威となっています。序盤で「空中コンボを使えば安全に攻撃できるぞ」みたいなチュートリアルが入るのですが、これが罠で、空中で止まりながら敵をポコポコ殴っていると銃弾の格好の的になります。対処法が分かるか、レベルが上がってスキルが充実するまでは苦しい戦闘を強いられることになるでしょう。ここに関しては、次のページに軽い攻略を書いたので、上手くいかない方はチェックしてみてください。

何気に充実しているのが写真モード。好きなタイミングでゲームを一時停止しつつ写真を撮影することができるのですが、設定の項目がちょっとおかしいくらい多いです。フレームや画面効果だけでなく、カメラを触っていないと意味が分からないような細かい設定が盛り沢山で、かなり自由度高くカスタマイズした写真を撮ることが可能です。これも主人公ピーターがカメラを使ってスパイダーマン(自分)の写真を撮り、それを新聞社に売って生計を立てていたことがあるからですね。そういうスパイダーマンの世界観の中でできる遊びを詰め込んだのが本作。スパイダーマンによる、スパイダーマンのための、スパイダーマンのゲームなのです。まず一本のゲームとして面白いので、スパイダーマンをよく知らない方も本作を通してキャラクターを好きになれるのではないでしょうか。ビジュアルのクオリティは飛び抜けていますし、システムも充実、間違いなく“世界最高峰のキャラゲー”と言えるでしょう。

△写真のカスタマイズは自由自在。ただし加工はできません。また、スパイダーマンがSNSのアカウントを持っていて、ゲーム内の行動に応じて人々の反応が見られるのも面白いところです。

 

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さいとう

ゴジラインの座布団運び兼格闘ゲーム中級者枠。
多人数よりも一人用のゲームを好み、体験やストーリーを重視しては無駄にウンウンと頷く。
でも面白ければジャンル問わず何でも触ってみるタイプ。

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