【ゲームレビュー】一年続けても面白い『アークナイツ』を今夜から始めるべき理由

自分で言うのもナンだけど、結構な飽き性だ。

色々なゲームに興味を持つが、冷めて離れるのも早い。ソシャゲについても同様で、戦力が整ったら、後はログインボーナス目的で起動するだけになる。

好みのイラストを広告で見かけたのがきっかけで『アークナイツ』を始めたら面白くてハマった。いきなり高難度ステージに挑戦して、地獄のように楽しい時間を味わい、「ゲーム開始から2ヶ月間のレポート記事」を書いたのは、去年10月のことだ。

『アークナイツ』



サービス開始日:2020年1月16日
プラットフォーム:iOS/Android
開発元:Hypergryph 運営元:Yostar

7月30日から、ゲーム内で1.5周年記念キャンペーンが始まる。筆者が本作を遊び始めてから、そろそろ一年が経つ。一年間、毎日楽しくアプリを起動し続けている。飽き性の自分にとっては本当に珍しいことで、この機会に“この一年、何がそんなに楽しかったのか”を振り返ってみることにした。

この一年で、ゲームへの印象はずいぶん変わった。前回の記事では「歯応えのあるゲームにユニークな世界観がついてくる」と紹介したが、今はそれだけで済ませるのは勿体ないと考えている。第一部のストーリーが完結し、幾つものイベントを体験した。世界観、キャラクター、シナリオ、音楽。本作は、ゲームを彩るすべてが魅力的だ。今回はコアゲーマーじゃなくても楽しめる側面を紹介できればいいと思う。

△見た目が刺さったキャラ「チェン」(の正月スキン)。物語でも重要人物で、活躍を楽しませてもらった。

余談だが、本作は不思議なゲームで、定期的に誰かがネットに熱いプレゼンをアップしている。簡潔かつ丁寧に紹介するYoutube動画、デザインや作中の雰囲気作りに焦点を当てた某企業メディアの記事、”奥深さ”を圧倒的な熱量で綴るnote等々ーーだいたい2~3ヶ月の間隔で、本作について無性に語りたくなった誰かが”発信”する。この記事も、前に拡散されていたやつから3ヶ月くらい経っているんじゃないだろうか。

【『アークナイツ』とは?】

『アークナイツ』は中国の企業Hypergryphが開発し、Yostatが運営を行っているスマートフォン用ゲームアプリだ。ジャンルは「タワーディフェンス」と呼ばれるシミュレーションで、自軍の拠点に向かって進行してくる敵の道中に味方ユニットを配置し、進路を妨害しながら敵を全滅させるのがクリア条件となる。

△バトルではデフォルメされたキャラが正方形のマスに配置される。最初はショボいと思ったけど、よく見ると結構動きが細かくて個性的だ。

物語の舞台は、動物がモデルの様々な種族が暮らす「惑星テラ」。人々はエネルギー源となる「源石(オリジニウム)」により飛躍的な発展を遂げたが、同時に、肉体の一部が鉱物化する不治の感染症「鉱石病」に脅かされている。 頻発する大規模な自然災害「天災」から逃れるため、人々は移動式の都市「移動都市」を建造し、過酷な環境を生き抜いている。 プレイヤーは「ドクター(博士)」という記憶喪失の人物となり、「鉱石病」の治療や各地への支援を行う製薬会社「ロドス・アイランド」の一員として、「鉱石病」がもたらす事件や人々の争いに指揮官として立ち向かっていく。

中国製のゲームだが、半年先行している「大陸版」でも最初から日本の声優を起用していて、キャラクターデザインも日本人に親しみやすいものとなっている。

【一年経ってもタワーディフェンスが面白い】

『アークナイツ』の基本ルールはとてもシンプルだ。正方形のマスで区切られたマップを、敵ユニットが自軍の拠点目指して進行してくる。そこに味方ユニットを配置して妨害する。出現する敵の進行ルートはあらかじめ表示される。拠点に侵入されれば負け、守りきれば勝ち。味方ユニットは攻撃性能の高い「前衛」、防御性能の高い「重装」、遠距離攻撃できる「狙撃」「術師」など、職業ごとに分類されている。

この基本ルールの上に、倒すと周囲を巻き込んで爆発する虫とか、HPが減ると攻撃力が激増する剣豪などの厄介な特性を持つ敵。さらに“脱獄した囚人の能力を封印する装置”“敵と味方で奪い合う自動砲台「蓄音機」”などのギミックが組み合わされ、とてもバリエーション豊かなステージが作られている。挑戦前にステージマップを眺めながら、どこに誰を配置するか考える時間は最高だ。想定外の敵が出現して、崩壊しかけた戦線を慌てて立て直すのも面白い。失敗しても、「やりやがったなー!」と対抗策を練り、ノーコストで挑戦を繰り返す間はずっと楽しい。

△ステージを飛び回る中立のドローンを撃ち落とすと、支援物資が獲得できるステージ。イベントの内容に沿ったギミックがゲーム内に落とし込まれている。

イベントや新章などで新しいステージが追加されるたび、「これ作ってる人たちめちゃくちゃ頭いいんだろうな」と感心する。一人用ゲームは開発者との戦いだと思っているのだが、本作は難しそうに見えるが少し頭を捻れば攻略できる絶妙なバランスで、頭を使う快感を刺激してくれる。「君、接待上手いねぇ!」とか思いながらプレイするステージも多い。開発者の手のひらの上だ。未だに、新しいイベントのステージを始める時はわくわくする。

これも個人的にだが、『アークナイツ』はソシャゲというより、継続的なアップデートが保証されている、普通に面白いタワーディフェンスゲームだと考えている。ソシャゲ要素はガチャとスタミナ消費あたりだがーーこの辺は後で触れたい。

ソシャゲとして見た場合の問題点は「1ステージが長いのにスキップチケットが無い」所だろう。一度クリアしたステージはオート操作で流せるが、スキップは不可能。スタミナ消費のためにスマホを専有する時間が割と長く、特に毎週ガチャ石が貰える特殊ステージは倍速でも1周15分かかる。スマホを使わない時に放置プレイしているが、これはちょっと面倒くさい。筆者は朝の支度をする間や、夜にアニメを見ながら流している。

△前の記事で触れた高難度イベント「危機契約」は現在5回目。契約を積むと、とある2体の敵がまともな手段じゃ倒せないほど固くなり、対処に悩まされる。あえて2体を素通りさせ、残った敵の処理することで攻略の幅が一気に広がるステージだ。

ところで前回「このゲームは全部このための準備期間だ」と言い放った高難度イベント「危機契約」だが、本記事の執筆中に5回目が開催されている。割とイベントの扱いが雑になってきたことと、4回目と5回目の間が1ヶ月くらいしかなかったせいで、価値というか威厳みたいなものはだいぶ下がっている。それでもステージの歯応えはあるし、報酬を回収するだけなら手軽にプレイできるし、スタミナ消費がないから色んな編成で無限に遊べる、本作随一のお祭りであることは変わりない。

△左に表示されている数字が「危機契約」での(自分で縛った)難易度の高さ。18等級以上は頭を抱えて唸りながら転げ回りたいマゾ向けの域である。日替わりステージは、最高難度を取りつつ出撃を何人まで減らせるか、みたいなチャレンジが始まる。

【強キャラとゲームバランスについて】

前回の記事にも書いたが、筆者はソシャゲでは最強キャラ厨だ。新しいゲームを始める時は必ずキャラランキングを調べ、一番強いキャラを引くまでリセマラを繰り返す。ガチャ石も基本的には、新しい最強キャラが実装される時に備えて天井まで貯め込んでおくタイプである。本作はキャラの育成がかなり重い。育成コストの高い☆6キャラを優先していたせいで、使えるキャラが少ない状態で「危機契約」に挑む羽目になり、アドリブ攻略に悶絶したのが去年の話だ。

google playストアで本作のレビューを眺めると、「キャラバランスがいい」「インフレしていない」という声をちらほら見かけるのだが、ぶっちゃけバランス崩壊しているしめちゃくちゃインフレしている。一定時間ほぼ無敵状態になり範囲攻撃を連発できる「スルト」がいい例だが、他にも一人で範囲攻撃と回復を両立できる「マドロック」といった、ポンと置くだけで敵の戦線を崩壊させられるキャラがかなり増えている。ストーリーが進むにつれ敵も強くなっているのだが、それ以上に味方が強い。

△少数の高性能キャラで敵の侵入口を塞ぐプレイは暴力の極みで、”タワーオフェンス”などと揶揄される。

さっき「このゲームは頭を使ってステージを解く快感が素晴らしい」と書いたが、そういう感動と自分のプレイスタイル、上記のバランス崩壊がぶつかり合った結果ーー

最強クラスのキャラが何体も出禁になった

△出禁とは、出入り禁止の略である。高難度用に育成したキャラの前に、通常ステージはあまりに無力だ。

通常ステージの初見プレイ限定で、高難度ステージや稼ぎプレイでは存分に活躍してもらうのだが。強すぎてステージを破壊するキャラたちは、楽しくゲームを遊ぶために縛られていった。ーーあくまで筆者のプレイスタイルの話で、疲れている時や面倒くさい時はポンと置いて解決させている。

縛った時は、☆6以外のキャラを使うことが増えるのだが、すると単体で全て解決できるパワーは無いが、工夫できる面白い性能のキャラが沢山いることに気づくのだ。ドローンを配置できる「召喚」系のユニットはその最たる例だろう。それ以外でも、高耐久のデコイを設置したり、攻撃せず周囲にバフをかけたり、スキルを発動すると性能が一気に変わったりーー。面白さだけでなく、レアリティが低いから弱いと思っていたキャラが、意外とかゆい所に手が届く性能をしていることもある。課金で強キャラを引きまくると、過剰戦力になりやすい。オマケにマゾの道へ進みやすい。最高レアを集めなくても十分クリアできるし、楽しめる

では高レアを持たないプレイヤーはと言うと…少し大袈裟かもしれないが、ぶっちゃけ、真面目にタワーディフェンスと向き合っているプレイヤーは全体の半分くらいなんじゃないかと思っている。本作の中国版は、グローバル版より半年近く先行して運営されている。つまり、日本版のプレイヤーからは未来が見える。新規実装のステージでも、当日にはすぐ☆4以下の低レア編成での攻略動画がアップされる。ステージが難しかったらいくらでもカンニングできるのだ。

攻略動画では、サービス初期から最強ランクに居座る前衛「シルバーアッシュ」と術師「エイヤフィヤトラ」が軸になることが多く、この2キャラを確保ーーもしくは、この2キャラをサポートに置いているフレンドさえ作れば、無課金低レア編成でも新規ステージを攻略して報酬を獲得できる。この「下のライン」が崩れていないのが、「ゲームバランスが保たれている」と言われる所以なのだろう。『アークナイツ』を楽しむのに、わざわざ頭を使わなくてもいい。慣れてきたら、カンニングで得た知識を使って自力で挑戦を始めてみればいいのだ。

△無課金でも低レアでクリアできるから、戦力がそろうまでじっくり育成できる。カンニングは悪ではない、「半マスずらし」のような配置テクニックや、意外な戦術を、色々なプレイヤーから学んでいこう。

【ストーリーがめちゃくちゃ良かった】

前回、「序盤は微妙だけど5章くらいから面白くなるよ~」と軽く書いた。それから現在まで、幾つものイベントが開催され、メインストーリーは最新の8章で第1部が完結を迎えた。 最初は固くてぎこちない印象の強かったテキストが、徐々にくだけて自然なキャラクターの台詞として読めるようになり、質のいい海外の翻訳小説みたいなノリで楽しめている。

膨大な世界設定や未だ明かされない謎が下敷きにあっても、『アークナイツ』は人と人の物語だ。”忌むべきもの”だと思っていた感染者の境遇や真実、信じていた国家の闇に触れた時に、人は動く。偏見、思想、しがらみが壁となって立ちふさがり、乗り越えようと足掻く。誰にも過去があり、背負うものがあり、譲れないものがある。それが原因で悲しい対立を引き起こすこともある。悲しみ、苦しみ、傷つくのは人だ。痛みを伴う人の物語だ。

海外小説の特徴に「1ページ埋め尽くすほど描写がくどい」というのがあるのだが、『アークナイツ』は台詞の量がハンパない。口を開けばすぐにキャラが御託を並べ始める。特に8章は膨大なテキストの海を泳ぎきった感じだったが、台詞のくどさは、そのキャラクターが持つ信条や立場の厚みでもある。とにかく重量があるので好みが分かれる所だが、筆者は「キャラが立ち止まって御託を並べるシーン」が好きなので、めちゃくちゃ楽しく読んでいた。

△迫害された感染者が蜂起したテロ組織「レユニオン」との戦いを描いた第1部は、メイン8章で完結。鉱石病の治療を目指す「ロドス」は、本当に感染者たちと戦うしかないのか?重厚な物語が繰り広げられた。これまでの激戦を振り返る8章のPVは、多くのドクターの涙を誘った。

イベントシナリオでは、4月に開催された「マリア・ニアール」が筆者のお気に入りだ。

主人公が所属する「ロドス・アイランド」が国境なき医師団のような組織なので、それとは対称的な国家、種族、勢力、貧富、健常者と感染者といった境界線が強調して描かれる。

「マリア・ニアール」の舞台となる国は、騎士が活躍する歴史ある国家である。しかし、現在の騎士は「競技騎士」として企業のスポンサー下にあり、剣闘士のような見世物の決闘をやるほどに落ちぶれている。そこへ商業主義に反した騎士の誇りを持つ少女マリアが挑み、試合を勝ち進んでいくーーというストーリーだ。

『アークナイツ』は、煌びやかな近代都市と荒廃した外界の荒野という、「サイバーパンク」を彷彿とさせる設定やビジュアルが多い。商業主義の下で腐敗した過去の権威…みたいなシチュエーションは、実に“サイバーパンクらしい”

スポンサーの意向で実戦に向かない装備を着込んだ「合成樹脂(プラスチック)騎士」に漂う哀愁と、競技騎士が活躍するたびに商品の宣伝文句を口にする実況者のおかしさ。国家の歪みを浮き彫りにする細かい描写の数々と、本作には珍しい王道のストーリーで、完成度が非常に高かった。

△筆者の好みすぎた「マリア・ニアール」。ステージが進むごとにニュース記事が追加されたり、雰囲気作りが素晴らしい。これから始めるドクターは復刻をお楽しみに。

△落ちぶれた老騎士が管を巻きにやってくる、寂れた場末のバー。「マリア・ニアール」の拠点になる場所だが、筆者はこのハゲたオッサンの絵だけでご飯3杯はイケる。

陰鬱な寒村へ消息を絶った仲間を探しに行ったり、移動する監獄からの脱獄劇があったり、本編を保管するミニシナリオ集「逸話」など、イベントではバリエーション豊かな物語が展開される。大きな事件だけでなく、その世界で生きる様々な人々の暮らしにスポットが当たるのも、本作の魅力の一つだ。

△夏イベント「帰還!密林の長」では、現地住民を雇って、味方の配置を邪魔する切り株のキノコを伐採するギミックが面白かった。

あくまで個人的な解釈なのだが、『アークナイツ』の全てのシナリオの根底には「縛られる」ことのモチーフがあると考えている。権威や金銭への執着、精神的な束縛、産まれた環境や育った境遇、絆やしがらみ、物理的な拘束、贖罪の念、負った傷や犯した罪の共有。多くのキャラが何かに縛られている。本作の勢力の一つに、無秩序で自由奔放な物流業者「ペンギン急便」があるが、彼ら・彼女らが魅力的に見えるのはそういう束縛から、(今だけは)解放されているからなのかもしれない。

ーーはい、筆者こういう「御託」が大好きなんです。早く設定資料集国内で売ってくださいお願いします。

【無課金で遊ぶなら。配布キャラと無料ガチャについて】

イベントの話ついでに、配布キャラの話だ。ここ最近、配布キャラのイラストがやたらレベル高い

素直にかわいくてガチャに高レアで入ってそうなキャラもいれば、人の性癖を歪ませてきそうなキャラもいる。サービス開始初期の配布キャラはパッとしない性能が多かったが、前回の監獄イベントで配布された「ロビン」なんかは地雷を配置できる能力で、使いこなせば面白くて強い。かなり前に配布された「バイビーク」は、現在の危機契約で最高難度の攻略に貢献している。配布が豪華なのも本作の特徴と言っていいだろう。

△最近の配布キャラたち(雑加工)。ストーリーで活躍し、そのまま加入するキャラも多いので、愛着が湧く。☆5なので上限レベルが高く、育成すれば戦力としても期待できる。

無料ガチャの「公開求人」は、アイテム「求人票」とゲーム内通貨がある限り回すことができ、一日3回はキャラを引ける。本作はキャラが数種類の属性を持っていて、職業や属性のタグを選択すれば、排出されるキャラの傾向を選ぶことができる。タグの再抽選も一日数回可能だ。

その中に「エリート」「上級エリート」というタグがごくまれに出現する。前者は☆5、後者は☆6のキャラクターが確定で排出される。この排出候補の中には最強の一角「シルバーアッシュ」も含まれており、「前衛タイプ」や「近距離」「支援」といったタグが同時に出現していれば、高確率で入手することが可能だ。

△無料ガチャ「公開求人」のタグ選択画面。「上級エリート」を選択したうえで、他のタグを選ぶことで、目当ての☆6キャラが当たる確率を上げられる。何百回か回せば来る…かもしれない。

「上級エリート」ばかりは本当に個人差なので確率について言及できないが、☆4のキャラなら毎日3回引くだけでポコポコやってくる。低レア攻略動画に出ているキャラは、「公開求人」でほとんど入手できる。

【ガチャと課金圧について】

無料ガチャに触れたついでに、通常のガチャの話もしよう。

筆者、ハマったので、現在一体を除く全ての☆6キャラを所持しているが、新規実装時のピックアップガチャについては☆6で沼った記憶はほとんどない。50連以降は☆6の排出率が1回につき2%ずつ増えていく救済システムがあり、3週間で10連分の配布石が獲得でき、加えてイベントなどの新ステージ攻略でガチャ石が結構手に入る。現在は毎月補充されるお得パックとスタミナ回復アイテムのサブスクで一月に約三千円課金しているが、新規実装の☆6を狙うならほとんど微課金で回していける。

が、その先に別の沼が口を開けている。「2体動時ピックアップガチャ」で、☆6の片方を狙うなら覚悟した方がいい。「常設スカウト」では新しいキャラと古めのキャラが同時にPUされ、古めの一方はガチャの副産物である「資格証」で獲得できる。新規実装で好みのキャラが来たらガチャを回し、そこで手に入れた「資格証」で旧キャラを購入するのが健康なプレイだ。

△現在PU中の片方、「イフリータ」はゲーム内通貨と交換できる。初期のキャラだが、唯一無二の攻撃性能を持ち、今でも最前線で戦える。一定期間でラインナップは更新される。

また、新規実装でも☆5は闇だ。ガチャの確率なんて個人差があるからあくまで筆者の体験談だが、ここ2回、☆6をあっさり引いた後に、イラストが好みの☆5キャラを引けるまでめちゃくちゃ沼った。石が尽きて死ぬかと思った。新規☆6は割と引けるが、☆5は危険だ。ーーあくまで体験談ではあるが。

△前回の☆5キャラ「アイリス」。『アークナイツ』を象徴する黒・白・青・緑・黄のカラー。一見かわいい”萌えキャラ”だが、このナリでアニメPVでジープを運転してるのが好きすぎた。ガチャ石は尽きた。

ガチャ以外の課金要素で厄介なのがスキン(衣装)だ。ガチャ石と交換で入手でき、バトル時の2Dキャラにも反映される。キャラの印象が一気に化けるほど出来が良いものが、更新のたびにショップに並ぶ。イラストが本当に良いので、今は使っていないキャラのものもつい買ってしまう。中にはキャラの印象が一気に化けるものがある。

もちろん買わない選択肢もある。筆者は沢山買っているが、後悔はしていない

△スキンには”シリーズ”として共通のモチーフを使っているものがある。中でも荒野での服装をイメージしたシリーズは好みに刺さった。1枚目と2枚目が同じキャラだよ、本当か? 石の残数は見ないで欲しい。

ただ、新規実装の☆6でも、期間限定キャラが追加される場合は、2体同時PUになってしまう。闇だ。現在、3体の限定キャラがいるが、どれも最強クラスほどの性能ではないため、環境に置いていかれることはない。しかし、今後は限定キャラがこれまでより短いスパンで実装されることが、大陸版の情報から判明していて、プレイヤー間で物議を醸している。そこはこのゲームの闇だ

【俺たちの課金の行方について】

ユーザーが継続的に課金をするソーシャルゲームでは、運営がどのように資金を使うか、ソシャゲ界隈では「俺たちの課金が○○になった」という言い方をよくする。リアルイベントに巨大な滑り台が出展されたり、圧巻のスケールで再現された騎空艇が現れたりすると、注目の的になる。

『アークナイツ』の場合は、「ゲーム内に登場しない謎の曲」「高品質なアニメーション」が挙げられる。高品質のアニメーションは、新規イベントや新章公開時のPVだけに留まらず、昨年末には「Holy Knight Light」というオリジナルの短編アニメーションが作られた。現在はYoutubeで無料公開されている。

「ゲームに登場しない謎の曲」はマジで意味がわからなくて、新規の☆6キャラが実装される時にプロモーションのような形で公開されるのだが、クレジットを見るとテレビで流れていたあのCMを作った人だったり、名だたる作曲家の面々が並んでいる。特に有名なのはハリウッドのメディアアワードにノミネートされた「W」のイメージ曲「Renegade」だ。

こんなものを作っておいて、ゲーム内に登場させない意味がわからない。いいぞもっとやれ。「ペンギン急便」のイベント「喧騒の掟」のイメージ曲「Speed of Light」とか、オタク好みすぎてコレを書いている間もしょっちゅう聴いている。

大陸の1周年記念テーマソングであるReoNa「Untitled world」は、本作の退廃的なサイバーパンク世界観とオタク心にマッチしすぎて、フルサイズを買って無限に聴いている。音楽の良さも『アークナイツ』の売りだが、専門外なので語るのは他の誰かに任せたい。他の曲が気になったらYoutubeの公式チャンネルを覗いてみよう。早くサントラ売ってください。

【統合戦略-ケオベの茸狩迷界-について】

強キャラ厨の話の続きになるがーーこれまで開催された中で、最も印象に残っているイベントが、「統合戦略-ケオベの茸狩迷界-」だ。ローグライクというゲームジャンルがある。定義が面倒くさいのでざっくり言うと、『風来のシレン』みたいな、道中がランダムで、失敗すると最初からやり直しで、ターン制で、探索してアイテムを集め、最奥を目指していくタイプのゲームだ。そんな感じの特別なルールのイベントだった。

△「ケオベ」は犬の種族の陽気な愛されキャラ。彼女がそこら辺に生えていた幻覚キノコを食べて見た夢の中の出来事、という設定のイベント。

プレイヤーは、ランダムに配置された「イベントや戦闘が発生するマス」を通過しつつ、バフ効果のアイテムや仲間の招集券を拾いながら、“その回だけの編成”を作り、奥の階層に待つボスを目指して進んでいく。通常は3しかない拠点の耐久値もアイテムで10以上まで増やすことができ、難しい場合は何体か通過させながら(ダメージを負うように)、先へ進んでいくのだ。

最小限の被害と最高の戦力を目標に、ランダム要素の中から最良と思うものを選んでいく。“その回だけの編成”と、“その回だけのバフアイテム”の中で最善手を考える。

このイベントが、めちゃくちゃ面白かったのだ。スタミナを使わないから、報酬を取りきったとしても何度でも挑める。道中で連続イベントを数回発生させると隠しボスとも戦うことができ、倒せば特別なエンディングが見られた。

当時、筆者は☆6キャラ育成の真っ最中だった。だが、この「統合戦略」では味方を招集するのにコストが必要で、レア度が上がるにつれ要求コストも高まった。 目当ての職業の招集券を引くまで、コスト消費を抑えるため、有能な低レアキャラを使う必要があった。☆3や☆4のキャラだ。序盤は味方ユニットが少ないから、ドローンを召喚できるタイプのキャラも重宝された。ーーしかし、その時はまだ低レアや召喚キャラまで育成の手が回っていなかった。

△ランダムで部隊を編成するが、本当に欲しいキャラのために道中を低レアで進む必要があった。

結局、隠しエンドを見ることができないまま、イベントが終わってしまった。けっこう悔しくて、低レアキャラをもっと育てておけばよかったと後悔した。常設されなかったので、復刻待ちのイベントだ。次は絶対に隠しエンドまでたどり着いてやる、と戦力を増強している。そのくらい、素晴らしくて楽しいイベントだったのだ。何が言いたいかというとーー例え最強キャラ厨でも、低レアを育てておくことはゲームを楽しむうえで無駄じゃないのである。

△イベントマスはTRPGやゲームブックのような風情があり、200種類近いアイテムには本編の設定を保管するようなフレーバーテキストが付いていた。システムも内容も規模も、色々と異色なイベントだった。

【やっぱり資源管理ゲーじゃないか】

前回の記事で書いて、この一年、『アークナイツ』を続けるうえで正しい楽しみ方だなと確信していることがある。本作が“リソース管理ゲーム”だということだ。

△使ってみたいキャラがいるのに、進化素材が絶望的に不足している。

あらゆる面でリソース不足に悩まされる。一年経った今でも悩まされている。強いキャラ、面白そうなキャラ、見た目が好みのキャラ、プロフィールを完全開示させたいキャラーー育てたいキャラの多さに対して、入手できる資源・通貨・スキル強化アイテムが絶望的に足りない。しかも”この育てたいキャラ”、新キャラが追加されるたびに増えていく。それだけこのゲームが形作る世界観と、そこに生きるキャラクターたちは魅力的なのだ。

△本作はトップ画面から倉庫に簡単にアクセスできるのだが、プレイ中はよくこの画面と睨み合っている。素材の在庫管理は、本作を遊ぶうえで大切な要素の一つである。

イベントでは通常ステージより特定の素材がドロップしやすいステージがある。日本人は未来が見えるので、今後のイベントで拾える素材はなるべく我慢して、実装されたら温存していたスタミナ回復アイテムを一気に吐き尽くす。素材を200個くらいかき集める。 本当は300個くらい欲しい。イベントが終わって、倉庫を覗いて大量の在庫を確認する瞬間は、最高に気持ちいい。

△基地の運用と資源の回収は、通常のステージを周回するのと同じか、それ以上に大事なことだ。朝・昼・夜と1日3回くらい基地を開いて、配置換えを行う。

「『アークナイツ』は沼だ」という言葉は前回、「良くできたタワーディフェンスだが、隠された世界観も実は奥深いぞ」という意味で使った表現だ。それが、一年プレイを続けると、ゲームの見方が随分変わってくるものだ。

ストーリーが進むことで、隠れていた設定が「物語」へと変換され、「タワーディフェンス」と同じくらい「ストーリー・キャラクター・世界観」への興味が膨らんでいった。もっとこのキャラのことを知りたい。プロフィールを閲覧するためには、信頼度を上げ昇進(進化)させねばならず、そのために資源が必要になる。

最強クラスのキャラだけじゃなく、癖のある変な性能のキャラも使って遊んでみたい。そのためには、育成しなければならない。資源が必要だ。

だから毎日、わくわくしながらアプリを起動する。明日が来れば、資源が増え、回復したスタミナで素材を拾い、信頼度も上昇させられる。次のイベントが近づくのが楽しみになる。ガチャ石を砕いてでも今すぐ育てたいキャラは大勢いるが、簡単には育てられないから、楽しくプレイを続けられるのだろう。少なくともーー内政屋気質の筆者にとって、この一年間『アークナイツ』はそういう“時間の経過と共に見える世界が広がっていく”のが楽しくて仕方がないゲームだった。

改めて「『アークナイツ』は沼だ」と言いたい。一人のプレイヤーの進行度では、この世界のほんの一端しか覗けない。メインストーリーは第1部が完結したが、作中ではたった2週間しか経過していない。隠されているもの、今後新たに見える風景はきっと広大だ。男キャラなんかほとんど育てていないから、そっち方面は全然知らない。今後どんな物語が待っているのか、「惑星テラ」のどんな景色を見せてくれるのか。気になったが最後、ズブズブとハマって、明日もアプリを起動する。だから「『アークナイツ』は沼だ」。今から乗り込んでも全然遅くはない。

△育成段階ごとに開示されるプロフィールは、ユニークなものから、シリアスなもの、キャラの関係性を理解するのに重要な情報が書かれているものなど、色々ある。シナリオの台詞ひとつ取っても、キャラの内情を知っているかどうかでエモさが大きく変わるものは沢山あるのだ。

【今夜から『アークナイツ』を始めるべき理由】

ほとんどプロモーションみたいなレビューだが、この記事にお金は出ません。

7月30日から、ゲーム内で1.5周年記念イベントが開催される。豪華なログインボーナスがもらえるし、記念イベント「画中人」も実装される。メインストーリーは区切りがよく、今ならリセマラで最強キャラの一角「スルト」が狙いやすい。また、8月には『レインボーシックスシージ』とのコラボイベントが予定されていて、「タチャンカ」が配布される。

大陸版では先日、夏イベントの詳細発表があったばかりで、熱狂が海を越えてこちらまで伝わってくる。これからまだまだ盛り上がるゲームだ。面白さはお墨付き。ゲーム性、世界観、ビジュアル、センス、どれか一つでもビビッと来たなら始めてみよう。ほとんど一人用だから、合う合わないはあるだろうけど、クオリティは最高峰だ。めっちゃ布教したけどこの記事にお金は出ません

【もし始めるなら、序盤の進め方】

詳細はwikiなどの攻略サイトに任せるが、ゲームを始めたらまずは掲示板やSNSを使ってフレンドを募集し、高レベルのサポートを借りられるようにしよう

そのまま低レアを中心に育成し、サポートを借りながらメインシナリオを4-7まで攻略、入手したアイテムで基地の制御中枢を5.0まで上げよう。基地の貿易所と製造所の施設レベルを全て3まで上げれば、後は放っておくだけでステージを周回するより高い収入が得られるようになる。効率が段違いだ。

また、負担の少ないリセマラ目標は現在、「スルト」と「シルバーアッシュ」のニ枚抜きだが、より高みを目指すなら、術師「エイヤフィヤトラ」、前衛「ソーンズ」、重装「マドロック」、前衛「ブレイズ」、先鋒「バグパイプ」、重装「サリア」、前衛「マウンテン」のどれかを引くまで粘ってもいいだろう。

公式のアンソロジーコミックも素晴らしいぞ。

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さいとう

ゴジラインの座布団運び兼格闘ゲーム中級者枠。
多人数よりも一人用のゲームを好み、体験やストーリーを重視しては無駄にウンウンと頷く。
でも面白ければジャンル問わず何でも触ってみるタイプ。

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