『MARVEL vs. CAPCOM ファイティングコレクション』で「永久」に夢中だったあの頃を思い出してしまった

『MARVEL vs. CAPCOM ファイティングコレクション』に収録されている格闘ゲームが好きすぎる。ここに収録されている格闘ゲームは、発明と挑戦に満ちていた。そして、永久コンボにも満ちていた。

90年代、僕がゲームセンターで『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』から、『MARVEL vs. CAPCOM2』までの収録作をどう遊んでいたのかを思い出しながら書いてみようと思う。本シリーズを遊んでいない人には暗号みたいな文章になるだろう。かつていずれかのゲームを遊んだことがある人なら、重なる部分もあるかもしれないし、全く重ならないかもしれない。それぞれのゲームセンターには、違う物語があるのだ。

あの頃、僕は地元の今はもうない小さなゲームセンターで、夢中でコンボの腕を磨き、永久コンボを完走する喜びに打ち震えていた。永久コンボとは、一度技があたると体力がなくなるまで続くコンボである。中にはひどく長いものもあって、自分のキャラクターがやられているのを数十秒見ているということも起こりうる。現代の格闘ゲームに慣れたプレイヤーなら、そんなバランスブレイカーな要素なんてあっちゃだめでしょと思うだろう。でも、当時はあったのだ。そして直らなかった。オンラインによる修正パッチがあたるような時代でもない。あまりにもダメな要素は基板の差し替えなどで対応されていたが、そんなことは稀だった。あるものを遊ぶしかない。そういう時代だった。

正直、永久コンボをくらっている時はつまらない。ただそのつまらなさを帳消しにしてあまりある興奮が、キメる側にはもたらされることを、一部の格闘ゲーマーは知っているかもしれない。しかも、その永久コンボの難度が、ちょっと練習が必要なものだとなおいい。「この永久コンボさえできれば勝てる」という気持ちが練習の原動力となる。永久コンボを自重して対戦できないのかという意見もあるだろうが、『MARVEL vs. CAPCOM ファイティングコレクション』に収録されているゲームにそれは通用しない。ここに収録されているゲームのほとんどは「即、死ぬゲーム」なのだ。即死武器をもっているかどうかわからない相手が突如乱入してくる。できることは「やられる前にやる」ことだ。この人優しそうだななんて人に限って、セイバートゥースとウルヴァリンのチームを選んでくる。

▲シリーズ作品にトレーニングモードとオンライン対戦がついてしまった。これで永久コンボを永久に練習できるぞ。

X-MEN CHILDREN OF THE ATOM(1994)

1994年に稼働した『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』は、それまでの格闘ゲームの枠にとらわれないアクションや表現をたっぷりと見せつける力強く斬新な作品だった。尋常ではない脚力を見せつける猛スピードのダッシュ、超遠距離まで一瞬で届くレーザーのような攻撃、キャラクターの分身が画面いっぱいに広がる強化技、キャラクターのアクションのひとつひとつに感動した。
僕が当時通っていたゲーセンでは、対戦はあまり盛り上がっていなかった。対戦が発生しても、それほど連戦にはならなかった記憶がある。キャラクターたちの動きが斬新すぎて、セオリー化するのが難しかったためだろう。どこかに、格闘ゲームでこんなのありなのかという気持ちもあったと思う。一人用を遊ぶプレイヤーは多かった。僕もその一人で、いろいろなキャラクターの謎の技を使うだけで面白かったのだ。とにかく画面がド派手なので、ゲージをためて大技を放つだけで楽しい。アクションゲームのように、いろいろなキャラクターで一人用を楽しませてもらった。

▲『X-MEN CHILDREN OF THE ATOM』をはじめてみたときの感動はすごかった。それまでの格闘ゲームでなかなか見られない豪快な技が、必殺技はもちろん、通常技としても備わっていたのだ。強パンチを押すだけでビームが出るセンチネルには特に痺れた。

そんな一人用メインの状況を一変させたのは、『ストリートファイター』の豪鬼が隠しキャラとして使えるという情報が出回った頃である。豪鬼を一回使ってみたいというプレイヤーが徐々に増え、豪鬼で対戦してみようぜと対戦し、なんとなく対戦のセオリーが共有されはじめた。豪鬼の技は『ストリートファイター』ライクだが、コンボや立ち回りの性質は『X-MEN』式のものを覚える必要があった。豪鬼に興味を抱いたプレイヤーの対戦シーンに、もともと一人用で遊んでいたプレイヤーたちも合流し、結果としていろいろなキャラクターの対戦が発生して嬉しかったことを覚えている。ただ、みんなあまり勝ち負けやキャラの強弱を気にしてはいなかったように思う。

豪鬼は歩きしゃがみ弱キックを繰り返すシンプルな永久コンボを持つキャラクターだったが、「まあ防御力低いし殴られると死ぬからいいんじゃね」みたいな感じで許されていた。本作は突き詰めていくと結構いろいろなループコンボがあるのだが、当時は豪鬼とウルヴァリンくらいにしか永久コンボの気配を感じ取ることができなかった。結果として「どのキャラクターが強い」かはよくわからないまま、本作の対戦シーンは次回作に移ることになった。

▲隠しキャラクターである豪鬼(右)のコマンドを失敗すると、カーソル位置の都合上選ばれてしまいがちなシルバーサムライさん(左)。結構な数の面白技を持ついいキャラクターではあるが、豪鬼の存在発覚以降、シルバーサムライを使っていると「あっ……この人……豪鬼出すの失敗したんだ」という烙印を押される事件が多発したとか。

Marvel Super Heroes(1995)

相手を空中へと浮かせ、そこから怒涛の連続攻撃を叩き込む「エリアルレイヴ」が実装された作品である。空中コンボ的なものはほかの格闘ゲームでもちらほらあったのだが、これほど派手につながり、空中コンボ始動技を明確に用意し、フィニッシュ技で叩き落とすという構成を全キャラクターに実装したゲームは珍しかった。元をたとればこのシステムが爽快すぎたのがよくない。このゲームがなければエリアルレイヴに夢中になることもなければ、永久コンボの面白さに出会うこともなかった。

エリアルレイヴ導入一作目ということでバランスを緩く作りすぎたのか、一度始動技が入ればそのまま勝負が決まってしまう永久コンボが見つかり始めた。この頃には僕たちはもう永久コンボ中毒で手遅れだった。「この必殺のコンボを対戦相手、生きた人間に決めたい」という欲望のまま、僕たちはコインを入れ続けていた。僕が当時好んで使っていたのは、前作のラスボスであるマグニートーと、永久コンボが簡単な部類のウルヴァリン。ただ、ウルヴァリンのコンボは簡単とはいえ、当時の僕の腕前では多少練習が必要な難度で、それは他のゲーマーたちにとっても同じだった。一人用にコインを入れてコンボを練習し、精度の高まったそのコンボを対戦に投入するというループを繰り返した。

永久コンボやハメは、ゲーセンでのリアルファイトと結びついているとよく言われる。確かに、永久コンボや即死コンボを見知らぬ人に決めていると、アーケードの筐体を激しく台パンされたり、向こう側から灰皿や椅子が飛んできたり、サラリーマン金太郎のように「キレちまったよ。屋上へいこうぜ」みたいな展開になることも珍しくない。しかし、このゲームに熱中していた頃は、行きつけのゲームセンターに身内の対戦相手しかいなかったため、誰かと争いになったことはほとんどなかった。

▲あまりにも中毒性の高いエリアルレイヴの爽快感。どんどん技がつながるシステムだったが、やりすぎたのか永久コンボも存在した。

このゲームには、永久コンボともうひとつ、ゲームをハチャメチャにする「ジェム」というシステムが搭載されていた。バトル中に入手できるジェムを使うと、さまざまな特殊効果が発動するというもので、うまく使えば試合の流れを一気に変えることができた。さらには、キャラクターごとに設定された「得意ジェム」にはハチャメチャな効果を持つものもが存在し、僕の使っていたマグニートーは、一定時間相手の攻撃を無効化するバリアーを貼り、自由に行動できるというすごいキャラクターだった。画面上にジェムが発生したら壮絶な奪いあいが始まる。でも、ジェムを得たからといって安心はできない、ジェムの所持状態で相手の攻撃を受けてしまうとそのジェムを奪い返されてしまうので、相手の得意ジェムだった場合は問答無用で即使うというプレイも仲間内で流行した。「こんな危険なジェムはすぐ使うに限る!」とか叫んでいた。

▲後のゲームでは嫌われることも多いジェムだが、このハチャメチャなゲームにおいてはハチャメチャを加速させるおもしろ装置として注目された。マグニートーはバリア貼りながら無限コンボ始動技を振り回すなどの雑なプレイが気持ち良すぎる。シュマゴラス(右)はキュートな見た目と言動で人気のキャラでしたね。

▲なんと、今回の移植版ではアニタが使えます。このキャラ、アーケード版ではフリープレイモード限定だったんですよね。登りジャンプ攻撃を繰り返すだけで永久コンボになるすごい女の子です。もちろん、Dr.ドゥームとサノスも使えます。

X-MEN VS. STREET FIGHTER(1996)

X-MENのキャラクターたちと、ストリートファイターのキャラクターたちがコラボした夢の作品は、エリアルレイヴがより爽快になっていた。爽快になったということはおおらかな調整になったということであり、「永久持ってないキャラどこにいるの?」みたいな状態になってしまったが、僕たちにはそれでよかった。前作の経験が活きたことで、サイクロップスとウルヴァリンの永久コンボがすぐに見つかり、同時にセイバートゥースという「飛んでボタンを押してるだけで強い」怪獣も暴れはじめていた。セイバートゥースの攻略を書くと「ジャンプして強P→強Kのチェーンコンボを振り回し、気分でダッシュしゃがみ弱Kやしゃがみ強Pなんかも振り回す。なんかあたったらしゃがみ強Pからジャンプ弱P弱K中P→補正切り空中投げ→スーパーコンボをやる」以上だ。もう教えることはない。免許皆伝である。この空中投げの補正切りコンボは体力をバターのように溶かすうえ、とてつもなく簡単なので、多くのド厨房……、いや対戦を愛するプレイヤーに人気を博していた。20世紀を代表する厨房キャラクターを挙げよと言われたら、僕はこのセイバートゥースを挙げるだろう。

このゲームはストリートファイターのIPパワーのおかげもあってか、地元のゲームセンターでも新規プレイヤーがたくさん増えた。そして、永久コンボやハメをめぐるリアルな喧嘩も結構な頻度で怒っていた。この喧嘩をふっかけてくるのが、「おれのキャラは永久コンボじゃなくて、大ダメージコンボのセイバートゥース」だからみたいなヤバイ人たちだった。セイバートゥースは永久コンボじゃないからOK、ウルヴァリンとサイクロップスは永久をする卑怯なキャラというのが彼らの言い分だった。そういう争いが起こりすぎたせいか、ゲーセン側は「なんでもあり。永久OK」と張り紙がされた台を用意してくれた。これは永久、ハメ、バグ、なんでもありな台で、この台の登場以降、僕たちは喧嘩に巻き込まれることはなくなった。隣の「永久禁止台」では、セイバートゥースが元気に暴れているのを横目に、僕とその仲間たちは、永久コンボをぶつけ合う対戦を楽しんでいた。今思うとあまりにも斜め上の解決方法だ。でも、ゲームセンターの店員さんも気づいていたのだろう。これは「そういうゲーム」だということを。

△お手軽キャラの筆頭候補であるセイバートゥースは多くのプレイヤーが好んで採用していた。この厨房キャラクターへの簡単な対策として、補正切りの空中投げが決まりにくいキャラを選ぶというものがある。マグニートーやキャミィは、補正切りの投げで投げにくい。

ウルヴァリン、サイクロップス、セイバートゥース、マグニートーあたりが跋扈する対戦に飽きてきた頃、他のキャラクターの永久コンボが次々と見つかり、対戦シーンへと投入されていった。永久コンボが飛び交う対戦から足を洗うのではなく、さらなる永久コンボを求めてしまったのだから狂っている。その頃、「なんでもあり台」には、顔見知りではないプレイヤーも徐々に増え始めた。特に人気だったのは胴着キャラクター、『ストリートファイター』シリーズから参戦した、リュウ、ケン、豪鬼だ。この3キャラは永久コンボが比較的簡単かつ、アレンジできる場所が多いため、「おれの永久は普通とはちょっと違うんだぜ感」を出しやすいのも良かったのだろう。まあこの胴着キャラの立ち回りときたら、波動拳とか昇龍拳とかしてる場合ではなく、ダッシュから判定が強く、当たれば永久コンボにいけるしゃがみ強パンチを、「体のどこかに当たってくれ!」とお祈りしながら繰り出すような感じだったのだが……。テクニカルそうに見えるド厨房キャラはウケるということをこの時に学んだ。
このシリーズの永久コンボは本当に難度が絶妙だ。コンボは比較的簡単だが、100%完走できるかというと、ちょっと怪しい。3試合したら、1試合くらいは永久をミスっている。そしてそこから、相手の怒涛の逆襲にあって負けたりする。最初の一撃で敗北の予感が漂うものの、最後の一撃をくらうまで諦めなくていい。そういうところに惹かれていたのかもしれない。

▲マグニートーは、立ち強K1段目キャンセルハイパーグラビテーションが軽量級キャラにループする。ミスの置きにくい永久コンボが、ゲーセンであふれかえるウルヴァリンに決まるという大きな強みを持つキャラクターとしてみんなに愛されていた。

▲胴着キャラの永久コンボは、エリアルレイヴ中に8+強Kを決めて相手よりも先に着地して追撃をかけるパターンが主流。ここからの追撃がさまざまにアドリブ可能なので、テクってる感を出せる。

Marvel Super Heroes Vs. Street Fighter(1997)

『X-MEN VS. STREET FIGHTER』でインフレしすぎたエリアルレイヴをマイルドにした作品が『Marvel Super Heroes Vs. Street Fighter』だった。永久コンボに脳を焼かれた僕たちの感想は、「今回コンボつまんねえな」という身も蓋もないようなものだった。永久コンボがなければ「つまんねえ」。今思うと永久コンボへの依存度はヤバイレベルに達していたのかもしれない。「今回はなんでもあり台はいらないな。まともなゲームっぽいから」とゲーセンの店員もにこにこしていた。『X-MEN VS. STREET FIGHTER』がまともじゃないとでもいうのか。

ウルヴァリンのバーサーカーチャージという自身のスピードを上げる強化技があまりにも強かったため、みんなウルヴァリンを用心棒に入れて楽しんでいたのだが、ある日「バーサーカーチャージしなくても、しゃがみ弱Kからダッシュ弱Pつながる」ということが判明した。理論上は【ダッシュ立ち弱P→しゃがみ弱K】を繰り返せば永久コンボになるのではということもわかってきた。とはいえ、このコンボを成功させるには、素早く正確なコマンド入力が必要になる。しかも失敗すれば、弱攻撃中心のコンボのため、ほとんどダメージを与えられないというリスクもある。そんな事情もあり、最初は「割り込まれにくいラッシュのパーツ」として使っていたのだが、一人、このコンボを毎日練習し続けた狂気の男がいた。最初は、僕たちも「それ狙うなら弱からエリアルとかいったほうがいいでしょ。絶対安定しないよ」とか言っていたのだが、日を追うごとに狂気の男のコンボ成功率があがってきて、ついには気絶まで弱攻撃を叩きこむシーンも見られるようになった。僕たちは誰からともなく、その永久コンボを練習し続けた。そして、対戦シーンにいる何人かのプレイヤーが、ウルヴァリンの弱を繰り返す地味すぎる永久コンボを修得した頃には「なんでもあり台」が復活していた。

▲ウルヴァリンのダッシュ立ち弱P→しゃがみ弱Kは素早く繰り返すとループする。このコンボを修得すると、本作も「1発の攻撃から永久コンボへ持ち込める」神ゲーと化す。

▲ヴァリアブルアシストという、控えのキャラクターにサポート攻撃を出させるシステムが実装された。最近のゲームと異なり、戦っているキャラクターの攻撃動作中にアシストを呼べないので、立ち回りのアクセントとして使う程度だったが、いまならもう少しましな使い方を思いつくのかもしれない。

ちなみに、このゲームでよく話題になる『とんねるずの生でダラダラいかせて!!』とのコラボで爆誕した憲磨呂は、当時僕らの間では性能面で評価が低く、あまり話題にならなかった。格闘ゲーマーは性能でキャラクターを評価しがちだ。このキャラクターもダッシュしゃがみ弱Kを繰り返すループコンボがあるのだが、これがウルヴァリンのものよりも数倍難しい。今ならできるかなあと思ってチャレンジしたが、まるで無理だった。

▲憲磨呂はダッシュしゃがみ弱からダッシュしゃがみ弱Kがつながるが難度は極めて高い。しゃがみ弱K→ダッシュしゃがみ強Pというルートもある。

複数の隠しキャラクターが用意されており、その中に使っていて面白いキャラクターが何人かいた。日焼けしたさくらは空中コンボがオシャレだし、阿修羅閃空で逃げ回れば体力リードを守り切れそう。なんか戦えそう……と思ったけれど、すぐにウルヴァリンに駆逐されてしまった。

MARVEL VS. CAPCOM CLASH OF SUPER HEROES(1998)

前作では、控えにいるキャラクターをサポート攻撃「ヴァリアブルアシスト」として呼び出せたが、本作では「スペシャルパートナー」と呼ばれる専用のキャラクターがサポート攻撃を行ってくれる。好きなキャラクター二人で組んでいいよみたいな方向性になったかと思いきや、このスペシャルパートナーが「ルーレット」状のもので決定されるのには驚いた。なんでそこ運ゲーにしたの?聞いてみたい。
後にこのルーレットを無視してキャラを指定する方法がわかるのだが、そうなってしまうとスペシャルパートナー「コロッサス」の人気がヤバい。ルーレットでしか決められないと思っていた頃は、皆ルーレットの目押しに必死だったけど、選べるようになるとスペシャルパートナーはコロッサスしかいない。コロッサスは画面端から現れ、複数回ヒットする体当たりを繰り出す。その巨体ゆえに攻撃範囲が広く、ヒットすると追撃をかけられるというナイスガイ。このコロッサスとのシナジーが極めて高いのが、どこからともなく伝わってきた「ガンビットの永久コンボ」だった。

▲スペシャルパートナー「コロッサス」。攻防一体のド厨房サポートだ。ガンビットはここから永久コンボに持ち込める。

ただし、地元のゲーセンでは、ガンビットが天下を取ることはなかった。お手軽永久コンボを持つというのにガンビットのキャラパワーが、若干足りていないのではという議論になった。結果として、しゃがみ強Pからダッシュ攻撃が間に合ったり、立ち中Pの一段目がしゃがみでキャンセルできたりする開発からの愛情と永久コンボの気配漂うウルヴァリン。ガンビットほどではないがお手軽な永久コンボなのに、「難しいことしてますから」みたいな面がしやすいウォーマシン。そして、1ゲージで謎のバリアを纏うウロボロスを出してからごり押してくるストライダー飛龍あたりが人気だった。「おれ飛龍好きなんだよね」とか言ってたやつに、『ストライダー飛龍』を遊ばせようとしたことがあったが、未プレイだったという事件もあった。

▲ウォーマシンの飛行を絡めたコンボは意外と簡単。ただ、処理落ちと戦っていた記憶があります。

MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES(2000)

世界的人気を誇る『MARVEL VS. CAPCOM 2 NEW AGE OF HEROES』だが、僕とその仲間たちは本作をそれほど熱心に遊ばなかった。ハイジャンプしてストームやブラックハートで強攻撃をばらまく、近寄られそうになったらキャプテンコレダ―を置き、ゲージを使って削りまくるという対戦はしばらくの間盛り上がったけれど、次第に人は減っていった。
その理由は今ならいろいろ想像できるが、本作が「立ち回り」に寄ったゲームであることが大きな理由だろう。あと、もう一つ、仲間内で話したときに「今回ウルヴァリン弱くてつまんないわ」という意見が出たのを強烈に覚えている。そう、僕たちは、永久コンボを愛し、それと同じくらい強いウルヴァリンを愛していたのだった。本作におけるウルヴァリンは、過去作のように「選んでおけば間違いない」という存在ではなく、選ぶと一人損しているような弱キャラのような立ち位置だった。ウルヴァリン・サーガの終わりとともに、僕たちのVSシリーズはひとまず幕を下ろすことになる。その後僕たちは、永久コンボの祭典ともいえる『ザ・キング・オブ・ファイターズ2000』にのめりこんでいくのだが、これはまた別の機会にでも。

▲親の顔よりも見たキャプテンコレダ―。名作ではあるのだが、なぜか徳島ではあまり流行らなかった。いまだ根強い人気を持つ作品なので、今回のコレクションで改めて遊んでみたいと思っている。

ただし、現在の僕はというと、このゲームのことがかなり気になっている。Xで最近、このゲームのコンボを紹介し続けている方を勝手にフォローしているのだが、そこで見られるコンボがあまりにも美しすぎて、「練習してみたい……」という気持ちでいっぱいになっている。今回のコレクションの発売をきっかけに、またこのゲームを遊んでみたい。

トレーニングモードとオンライン対戦のシナジー

20年ぶりくらいに、ゲーセンで夢中で遊んだ永久コンボゲーに触れていると、「これ、人に決めたいな……」みたいな気分になってきたので、昔の知り合いに連絡してみたところ「おれも永パ練習してて人に決めたいと思ってたんだよ」という返事をいただいた。今週末は、いくつかのタイトルであの頃対戦した、永久コンボが大好きなやつらと対戦することになった。マジで楽しみである。トレーニングモードとオンライン対戦をこのシリーズにつけたらもうこうするしかないんだよ。
そんな感じで中年男性の思い出を刺激してしまうとても危険なコレクションソフトなのだが、『スト6』あたりでコンボの楽しさを知った方は、是非この古き良きこのゲームに触れてみてほしい。インターネットを検索すると、さまざまな永久コンボが見つかるはず。それが仕上がってきたとき……ちょっと人に決めてみたいななんて思ったら、オンライン対戦に飛び込むのもいいだろう。『MARVEL VS. CAPCOM』以前の作品は、ウルヴァリンを一人選んでおけばまず快適に楽しめるはずだ。

そういや格闘ゲーム以外にも横スクロールアクション『パニッシャー』が収録されています。これもありがてえ!

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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