こじらせたゲーミングコミュニティ・Goziline(ゴジライン)で神ゲー認定されたソフトを紹介する記事をやろうとしたところ、SNSで最近よく見かける『鬼滅の刃』コラ以上の勢いで「これがいいと思う」、「いやこれもいい」、「これ忘れてないか」みたいな意見が飛び交いはじめました。これをまとめていたら一生終わらないと思ったので、私・こじらせたゲーマーとの自覚ある浅葉が勝手にベストゲームを選び、記事として公開することにしました。
昨年度もアホのようにゲームだけは遊んでいたので、その中からのセレクトです。
2020年のベストゲームはコレだみたいな記事を2021年になってから更新するのはどうなのかというツッコミもあることだろうと思います。
その気持ちはわかりますがちょっと待ってください。
2020年12月31日にはニンテンドーSwitchにて『アーケードアーカイブス 上海III』(他のプラットフォームで発売されてないとは言っていない)が発売されており、これをプレイしなくてベストとか語るのって気が早くないですかねというこじらせた言い訳を用意して、2021年の初記事をこちらとさせていただきます。
▲サイバーパンク2077が面白すぎておれの年末は終わったというのが記事が遅れた真相になります。ナイトシティに締切という文字はない。
2020年は新ハードの発売という大きなニュースがありましたが、プレイステーション5とXbox Series X/Sの新作ソフトはまだまだこれからという段階。こちらは今年の展開が楽しみですね。
そして去年に関していえば、新ハード以上に記憶に残るのはコロナ禍という経験したことのない特殊な状況でしょう。ステイホームが推奨される中でゲームの需要も高まり、最初こそ僕らゲーマーの生活スタイルはそう変わらないのかもしれないと考えたりもしましたが、思いのほか今の時代のゲームというのは”リアルで会う”ことを楽しみ方の中に盛り込んでいるんですよね。ファンが集うリアルイベントはそのほとんどが中止になり、我々が大好きな格闘ゲームでいうと対戦会や大会イベントもほとんど行われませんでした。オンラインがより便利になって、”多人数で遊ぶゲームは会わなくても楽しめる”時代になったのに、やっぱり会うことって大事なのだな、捨てられないんだなと気づかされた一年でした。ゲームは家でできる趣味ではあるけれど、それが全てではないんですよね。
今回選んだゲームは結果として家でゆっくり遊べるもの、またはオンラインで盛り上がれるもの中心になりました。リアルでやればもっと違った面白さがあったのかなと思うタイトルもあったのですが、それはまた別の機会に紹介したいと思います。
目次
『サイバーパンク2077』
メーカー:CD Projekt RED ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、Xbox One、Xbox Series X|S(後方互換)、PC
2020年の1本というと、やはりこのタイトルになるだろう。本作を遊んでいない人、もしくは前世代機で遊んだ方からすると「バグだらけのゲーム」という印象もあるだろうが、プレイした方の多くはこのゲームの底知れぬ力をひしひしと感じているはず。(筆者はプレイステーション5で本作を遊び始め、エラー落ちが多かったのでXbox版を買い、それを終えたあと表現規制の少ないPC版も遊び始めた)本作の舞台となるナイトシティはとてつもなく広大で、多種多様な文化や生き様が混ざり合う混沌とした雰囲気を理想的に描写している。企業の力が強くなりすぎたその世界では、貧富の差は拡大、アンダーグラウンドな生き方をせざるを得ない者たちも多い。市中でも構わず犯罪は発生し、時には刃物が光り銃弾が飛び交う。こうした街に実際に行ってみたいかといわれると話は別だが、多くのプレイヤーを惹きつけてやまない怪しく光る魅力がそこには確かにある。ストーリーもかなり強烈で、一見暴力的だが、実際の未来を予見したような鋭いテーマも含まれている。暴力的な世界設定が合わないという方もいるだろうが、そうでないなら是非プレイしてほしいタイトルだ。主人公のVと、相棒のようで爆発物のようなジョニー・シルヴァーハンドが織りなす物語は興奮に満ち溢れている。
オープンワールドならではの程よい自由度に包まれながら、さまざまなミッションをクリアーしていくうちにストーリーは進行する。ミッションの多くは”敵を排除”するもので、その方法としてプレイヤーは暴力の他にも”ハッキング”的な能力を駆使するという方法を選ぶこともできる。一人称のゲーム画面だけを見ると銃を打ちあうタイプのゲームと思うかもしれないが、実際はプレイヤーの得意不得意に合わせてプレイスタイルを選べる。難度ノーマル程度であれば、思うがままに育成してもクリアーまでたどり着くことは難しいことではない。銃をつかった戦闘にしても、確実にヘッドショットを決めるエイム能力が求められるわけではないし、一部の銃は自動で相手を追尾する弾丸を発射してくれたりもする。それでも銃のアクションは苦手という方は、近接武器だけでもほとんどの戦闘を切り抜けられる、本作の世界観の中でも重要なアクションとなる”ハッキング”を駆使して敵を排除するのもいいだろう。ハッキングでは、敵の近くにある電子機器や、または敵に埋め込まれている電子機器などを誤動作させて攻撃を仕掛けることができる。プレイヤーの強さはあくまで育成と装備品が支えてくれるので、アクションの上手い下手はあまり重要ではない。つまり本作は”意外と遊びやすいRPG”なのだ。
『ファイナルファンタジーVII リメイク』
メーカー:スクウェア・エニックス ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)
リメイクと思いきやストーリーが……違う!ところに興奮させられた一作。『ファイナルファンタジーⅦ』のストーリーを活かして、もうひとつ新しい物語が生みだそうとした本作の試みは大成功と言っていいだろう。分割作品であると事前に明かされてはいたものの、終盤には次作へのフックとなるシナリオ展開へと持ち込んだことで肩透かし感は一切ない。シナリオ以外でもプレイフィールはまさに新作のようで、バトル面もアクション風味が入り、オリジナル版のコマンド選択式バトルから大きく変化した。ゲーム内設定を変えることで難度を下げたり、コマンド選択式バトルのように遊ぶことはできるものの、通常の設定でゲームを進めるとところどころに難度の高い部分が用意されていて、そこを超えたときの達成感を味わえる設計も見事だ。多くのプレイヤーが思い入れのある作品を新しくリメイクするということは、期待に添えなかった場合に多くの批判が湧き出たりもするが、本作は多くのプレイヤーに好感を持たれているように見える。(これからプレイするという方のためにネタバレは避けるが、本作はオリジナル版の『ファイナルファンタジーⅦ』を遊んでいるほうが100億倍くらい楽しい。)
分割作品ということで懸念されていたボリューム面もぎっしり。むしろプレイを終えたあとは、原作の序盤の部分を終わらせるのにこれだけの時間がかかるのなら、この後どうなってしまうのか、何作品あれば終りに向かうのかというのが心配になった。というのも、これだけ丁寧に『ファイナルファンタジーⅦ』の世界を再構築したのなら、そのほかの部分もこのクオリティと作り込みで見たいのだ。そしてそこには、スポットごとに濃密な物語も紐づいていてほしい。ちなみに2020年には『聖剣伝説3』もリメイクされ、こちらもグラフィックを描きなおした傑作だったのだが、こちらはオリジナル版のプレイフィールを残すことにこだわっていた。これはこれで、懐かしさを感じつつ楽しく遊ぶことができた。名作を多く抱える会社が本気でリメイクをやると強い。今年も、何か素晴らしいリメイク、リマスターがでてこないだろうか。
『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』
メーカー:バンダイナムコエンターテインメント ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、ニンテンドーSwitch
ゴジラインで今年一番盛り上がったゲームでは間違いなく『キャプテン翼 RISE OF NEW CHAMPIONS』だろう。コミュニティ内だけでもかなりの購入者がいたし、対戦も盛り上がった。2vs2で遊ぶ対戦モードをオンラインでやっていた頃は、毎日がお祭りのような騒がしさで、必殺シュートがゴールにぶっ刺さるたびに歓喜の声と悲鳴が飛びかっていた。我々おっさんゲーマーは、かつてファミコンやスーパーファミコンでシリーズを重ねたテクモ版『キャプテン翼』こそ至高の『キャプテン翼』ゲームであると信じていたけれど、まさか令和にその遺伝子を引き継ぐ、豊かな必殺シュートで彩られ、サッカーのルールとか特に知らなくてもかんたんに遊べるゲームが出てくるとは。
対戦モードを突き詰めていくと、一部の必殺シュートが強すぎることがわかってきたり、今風の攻略っぽく”最強チーム”に行き着いたりもするけれど、仲間内での試合では”禁止キャラ”などを決めて対戦するのも面白かった。なんでもありな戦いも楽しいが、縛りプレイをしてでもこのゲームの魅力に浸りたくなる。また、本作はこの手のキャラゲーでは珍しくプレイヤー同士の対戦に注力して制作されていて、他のキャラクターゲームも見習ってほしいくらいにオンライン対戦が快適(発売初期はいろいろあったけれどそれも笑えた)。さらにはバグやバランスに懸念のある要素は積極的に情報を汲み上げて直そうとしている。信頼できる開発の姿が透けて見えるのは実に幸せだ。
対戦モードで使用するチームを解放するためにはストーリーモードのプレイが必要だが、我々対戦ゲーマの多くはキャラゲーのストーリーモード、一人用モードが基本的に大嫌いである。同じようなキャラクターと対戦させられてひたすら引き延ばされるだけのプレイ時間、ゲーム版オリジナルシナリオとか言いながらもマジつまらない当たり障りのない展開。「ゲームだからメチャはできませんでした」みたいな言い訳が掲載されたインタビューを見たりすると、じゃあ初めからつくんなや的な感想にすらなる。「キャラクター解放をDLCで売ってくれ」というアンケートを何度書いたかわからない。
しかしこのゲームの一人用、しかもオリジナルストーリーは本当に面白い。ベタな展開ではあるけれど『キャプテン翼』のことを好きな人にまず間違いなくブッ刺さる緩急が確かにあり、オリジナルキャラクターへの愛着も湧く。奇跡的に、ゴジラインで購入したほとんどのプレイヤーがストーリーモードをやり遂げ、その先の育成モードに手を出したプレイヤーも多い。2020発売タイトルで最もeスポーツ化を熱望するタイトルのひとつ。めちゃくちゃな試合になるだろうけど、それが見たい。
本作に興味のある方は、できるだけ友達を巻き込んで購入することをオススメする。ボイスチャットしながらフレンドとのオンライン対戦、これはキャプテン翼の原作を全く知らなくても何も問題なく楽しめるし、このゲームからキャプテン翼を学べばいいのだ。
『アークナイツ』
メーカー:Yostar ●対応機種:Android、iOS
新規タイトルが次々と世に放たれ、運営中タイトルがバタバタとサービス終了していくスマホゲーのレッドオーシャンの中で、とびきり力強く存在感を放っているのが『アークナイツ』。『アズールレーン』での実績から期待されている作品でありつつ、下手をすると『アズールレーン』と共食いするのではと心配したが、蓋をあけてみると違った方向性の面白さを持つ傑作だった。スマートフォンで遊ぶタワーディフェンスゲームとして、入りやすく、遊びやすい、そして程よく頭も使うという塩梅がたまらなく良いのです。そこそこに遊ぶ程度であれば、課金圧がそれほど高くないのも嬉しいところ。
ゴジラインのレビュー記事からの引用になるが、
この要素がクリアできた時の喜びを加速してくれる。基本プレイ無料のゲームなので、スマートフォンの中に歯ごたえのある作品を入れておきたいという方は是非お試し感覚でプレイしてもらいたい。
『あつまれ どうぶつの森』
メーカー:任天堂 ●対応機種:ニンテンドーSwitch
私のようなこじらせたゲーマーは、世間でめちゃくちゃ売れたゲームに厳しい目を向けるダメな習性が備わっており、本作に対しても最初はいやこれUI辛いっすねとか言っていた。(ゲームにいちゃもんをつけるときはだいたいユーアイとかいっていればなんとかなる。)しかし、そんな自分が気がつけば毎日コツコツ遊び続けている。私がこのゲームを触るのは寝る前の夜中の2時くらいで、友人たちもさすがに寝ていたりするし、ゲームの中ですら静寂が支配していたりするけれど、それでも遊んでいるのは、なんか本作に”ハクスラ”的な面白さを感じているからだろう。これだけ毎日島に訪れても、ハクスラでとてもレアなアイテムを拾った時のような、意外な驚きが落ちていたりするのだ。日課のように遊んでいる一部のソシャゲでは、だいたい15分くらい、ログインボーナスを得たり、スタミナを消化したり、1日にこなせる回数が決まっているクエストなどをこなしている。『あつ森』もこれらのゲームと同じくらいのペースで日課をこなすように遊んでいるのだが、これほど長い期間遊べていることに正直自分自身が驚いている。たまに思い立って島や部屋の模様替えをし始めると数時間が経過していたりする。
あざといほどにかわいらしいキャラクターたちにも密かにやられていて、ジェラートピケのコラボなど見たときは、私をターゲットにした商品のラインナップではないのに「あざといことをしやがって……でも買ってしまう!ちくしょう」みたいになったことをここで告白しておく。
『Ghost of Tsushima』
メーカー:ソニー・インタラクティブエンタテインメント ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)
日本人としてこのゲームを遊べて幸せだったと思うくらい、海外の開発会社が描く日本が素晴らしかった。このゲームの中で描かれる日本は、私たち日本人ですら憧れてしまう美しさを垣間見せる。戦いのための準備を整え、戦場を求めて走っている間にふと目に入ってくる古びた社や、静謐な雰囲気を醸し出す緑の塊などに引き付けられる。それがリアルだとかリアルでないとかはどうでもよくて、私たちの美しいと感じるシーンが見事な形で配置されているのに驚かされる。その世界の中で語られる主人公・境井仁の姿は鬼気迫る凄味があり、アクションのひとつひとつもずっしりとした重みがある。
『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』と雰囲気が似ているためプレイしていない方は”死にゲー”だと感じているかもしれないが、本作の難度はかなり易しい部類だ。死なずにクリアーするとなるとハードルは高いが、アクション面の操作を頑張らなくても戦闘を切り抜ける方法は用意されているし、育成によって難度を緩和することもできる。オープンワールドタイプのゲームではかなり遊びやすい作品になっていて、システムの理解にも時間はそれほどかからないし、この手のゲームに不慣れな人でも何をすればわからない感は少ないはず。自由度は高いが、ある程度の道筋は示されていて、その途中で見つけた気になる場所や人に関わるか、関わらないかを選んでいく感覚でプレイを進められる。『サイバーパンク2077』と同じく、オープンワールドゲーム未体験の方にも遊んでもらいたい傑作だ。
『桃太郎電鉄 〜昭和 平成 令和も定番!〜』
メーカー:コナミデジタルエンタテインメント ●対応機種:ニンテンドーSwitch
あまり人と会えない時代に、オンライン対戦機能つきの『桃鉄』が登場。最初はフレンドとの対戦のみオンライン対戦対応とのことだったが、それでも十分すぎるほどに楽しい。むしろこのゲーム、知らない人とオンラインで遊んで大丈夫なのかというほど”滅多”されるゲームなので、フリーでオンライン対戦が解禁されたらどうなってしまうのか楽しみではある。
本作に関して私は完全なるエンジョイ勢で、いわゆる『桃鉄』ガチ勢ではない。普段一緒に本作を遊ぶ友人たちは30歳か50歳くらいのゲーマーたち。オンラインということで、僕は徳島、ある人は東京、ある人は新潟、みたいな状況もある。それで地元の駅に行くと、地元の人ならではの情報を話したりしながらゆるーい『桃鉄』を楽しんでいるのだが、時々こいつほんま……と血管がキレそうになる事態が多々ある。何度対戦しても面白いのは、めちゃくちゃな幸せの裏にめちゃくちゃな不幸があり、ゲームの中ではそれをいとも簡単に逆転できるからなのかもしれない。何度か「『桃鉄』やりこんでいます」という方と対戦したときは、気持ちいいほどボコボコにやられた。しかしボコボコにされているうちに、なるほどこのカードが強いのか、この駅は美味しいとかがわかりはじめてきて、数回対戦したあとに1回だけ勝ちを拾うことができた。時々運ゲーになるこの絶妙なバランスも本作のやみつき度に大きく貢献している。最近は仲間内でも、”周遊カード、ダビングカードを禁止にしましょう”なんて身内ルールを採用してみたりして”桃鉄わかってきた面”をして遊んでいるが、個人的にはなんでもありの方がハチャメチャ感があって好き。本作の大会とか開催されたら、是非観戦してみたい。
『ブリガンダイン ルーナジア戦記』
メーカー:ハピネット ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、ニンテンドーSwitch
なぜいまになって『ブリガンダイン』の続編を出すのか。遊んだプレイヤーからの評価は高かったが、めちゃくちゃに売れたゲームでもないし、そもそも前作は20年前とかだし、覚えている人がどれくらいいるのか。ただ私は『ブリガンダイン』を遊んで面白かったという記憶もあるし、こういうわけのわからない発売のされ方をするゲームが好きなのでプレイしてみた。そして気づいてしまった。本作は『ブリガンダイン』に惚れ込んだ方々が”続編を出したかった”から世に出た作品なのだろうということに。売れる売れないとかじゃなく、たぶん本当にこのゲームの続編を作りたかったんだと思う。そしてその情熱のもとに作られたこのゲームは凄い。2020年に『ブリガンダイン』の新作が面白かったんだよとか言ってしまうくらいに。
本作は6つの勢力から1つを選び、国盗りを目指して戦うシミュレーションRPGだ。編成フェイズで自国の戦力を整え、そのあとの戦闘フェイズでそれを活かしたバトルに挑む。編成フェイズは国盗りゲームとしてはかなりシンプルに作られていて、そのゲームならではの要素をマニュアル見ながら暗記するというようなこともしなくていい。個人的に、国盗り系のシミュレーションゲームは他人に薦めようとしてもいわゆる内政パートみたいなものが凄く煩雑なので、この割り切りはとても好感度が高い。シンプルとはいえ決して手抜きではなく、この編成フェイズならではのやりこみ要素も存在しているのも見逃せない。戦闘フェイズは、ヘックス状のマップでユニットを動かしてバトルする。属性による3すくみと、ユニット別のスキルなどを使った戦略でバトルを切り抜けていくのだ。このフェイズも、シミュレーションRPGを遊んだことのある人からするとすんなりと仕組みが理解できるはず。
国盗りものとしてのシナリオ、個性あふれる登場人物たち、場面をもりあげるBGMなどもハイレベルで、『ブリガンダイン』らしさも失われていない。昔の『ブリガンダイン』は不満点がいろいろあったけれど面白いゲームと記憶しているが、本作はそういった不満点がうまく抜き取られていて、プレイしているときの安心感がすごい。もう少し不親切で難解でもよかったのではと思うのは、私がこじらせているゲーマーだからだろう。ただ、クリア後も遊べる要素などを含めるとまだまだ”極めた”とはいえないレベルなので、今後もじっくり遊べそう。気になる方は体験版のプレイを。
『ライザのアトリエ2 〜失われた伝承と秘密の妖精〜』
メーカー:コーエーテクモゲームス ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、ニンテンドーSwitch(PC版は2021年発売予定)
今作もライザが可愛かった。可愛かった。可愛かった。
アトリエシリーズって一時期おしゃれかわいい路線に振ってきた印象はあるけれど、ライザ2は特に”かわいい”全開。ライザに魅力を感じて買ったのなら、まず満足な時間を過ごすことができる。
とても遊びやすいRPGになっていた。『ライザ』を遊んだあとに、昔の『アトリエ』を遊ぶとかなりのギャップを感じるほどに、このシリーズで一気にわかりやすくなった部分が多いのだ。アトリエシリーズに慣れているとちょっと簡単にしすぎたのではと思ったりもするが、普段このシリーズを遊ばないプレイヤーからも感想の声が聞こえてきたのは大きな成果だろう。
登場人物の女の子に萌えられるRPGというのも随分と減ってきて、その中で遊んでいて楽しいと思うクオリティに達しているものは正直少ない。萌えヒロインのいるRPGを求めていろいろ買ったりするのだが、定価で販売されていることに怒りを覚えるような代物も珍しくない。そんな中でアトリエシリーズは、大きな変化こそないものの、堅実に萌えられるRPGとしての土壌を築いてきた。次の主人公はどんなだろうと想像しながら待つ時間も楽しい。ライザが発表されたときの反響、そして続編にまでつながってしまう人気を考えると「次」の主人公はまだ先かもしれないが、今からとても期待している。
『ALTDEUS: Beyond Chronos』
メーカー:MyDearest ●対応機種:Oculus Quest2 / Oculus Quest / Oculus RiftS / Oculus Rift
Oculus プラットフォームで配信されているビジュアルノベルをVRに落とし込んだ傑作。こちらもレビュー記事に書いたが、「物語の舞台は、建物や食べ物に見栄えの良いテクスチャーを貼って過ごしている未来。人類の敵として現れる謎の敵”メテオラ”と戦うプロメテウスという組織に所属する主人公と、その周囲の強い想いを持つ人物たちのドラマが描かれます。以下のPVを見て気になった方は”ジャケ買い”して良い」ともう一度紹介しておく。
日本人には馴染みのあるビジュアルノベルをVRに落とし込んだ傑作。VRだからこそできる表現を盛り込みつつも、止めるところは止める、動かすところは動かすという緩急のある表現のおかげで、プレイヤーが疲れたり酔ったりしにくい作りになっている。結構いろいろなVRソフトを遊んでみたが、VRの表現をゴリゴリに詰めた結果、ちょっとプレイしただけで三半規管がやばいみたいな作品も多かった。そんな中で、ユーザービリティが良質な本作は多くのプレイヤーにオススメできる入門用の作品としても紹介することができるだろう。Oculus Quest 2はかなりお手頃なVRハードなので超オススメ、そしてこのソフトと前作にあたる『東京クロノス』を買おう。
『黄泉ヲ裂ク華』
メーカー:エクスペリエンス ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、Xbox One、Xbox Series X|S(後方互換)、ニンテンドーSwitch
本作を開発したエクスペリエンス社が、アドベンチャーゲームの『死因』や『NG』で見せてくれた陰鬱とした”恐怖”の描写をダンジョンRPGの中に持ち込んだ怪作。黄泉という過酷な空間に投げ込まれ、そこからの脱出を通じて、世界を覆う陰謀を暴いていくというシナリオは、新しいダンジョンを踏破するごとに心地よいカタルシスをもたらしてくれる。ダンジョンRPGにはかかせないほどよいやりこみ要素、そしてハクスラ要素を楽しむために必要なテンポの部分もぬかりない。意外と敷居が高そうなダンジョンRPGというジャンルだが、本作を遊んでみるとその先入観も晴れるだろう。詳しくは過去記事のレビューで。ダンジョンRPGというジャンルが大好きなので、今年もコンシューマーで発売されたタイトルは全て遊んだ(はず)。このジャンルの新作が出るだけでもありがたく、基本的にはすべてのソフトを応援しているのだが、本作ほど多くの人におすすめという名のごり押しできるものは珍しい。売れに売れて続編や、エクスペリエンス制のダンジョンRPGがまた出てほしい。
番外:アーケードアーカイブスいろいろ
メーカー:ハムスター ●対応機種:PS4、PS5(後方互換)、Xbox One、Xbox Series X|S(後方互換)、ニンテンドーSwitch
※ラインナップはハード別に異なる
単一のソフトではないのでルール違反感があるが、2020年もアーケードアーカイブスは怒涛のラインナップで走り切ってくれた。遊んだことがあるゲームも、知っているけれど未プレイのゲームも、初耳のゲームにもアケアカのおかげで出会うことができてとてつもなく感謝している。格闘ゲームファンである自分としては、オンライン対戦機能があればいいのにとか、せめて簡素でいいからトレーニングモードがあればいいのにとか贅沢を言いたくものもあるけれど、状況さえ許せば友達を呼んで対戦したくなるほどには面白い。格闘ゲーム以外のタイトルも、かつてゲーセンでチラりと見たけれど遊ばなかった作品を楽しくプレイさせてもらっている。めちゃくちゃに難しいものもあってびっくりするけれど、一度買ってしまえばいくら遊んでも追加料金はかからない。コンティニューするのだって、一人でやっているから恥ずかしくない。2021年もアケアカの動きに期待したい。
まとめのようなもの
5本紹介するつもりが10本になり、気がつけば11本+アケアカになっていた。他にも今年面白かったゲームはたくさんあり『The Last of Us Part II』なんかはものすごく印象に残るタイトルで、さまざまなゲームアワード的な賞を受賞しているのにも異論はない。ただ、冒頭にも書いたように、今回の記事は私の好みを反映したセレクトなので、「ラスアス2は何もかもすごくて、シナリオが大きな見どころの一つなんだけど、それがすごすぎて合わなかった」ということで12本の中に入れなかった。好き嫌いが分かれるシナリオの部分でゲームを評価するというのはナンセンスだが、今回の記事は好みのゲームを選んだということでひとつ見逃して欲しい。(もちろん、『ラスアス2』は是非とも遊んで欲しいタイトルのひとつである。なぜ本作の評価や感想が「賛否両論となっている」のかを考えるのは楽しい。)
2020年もコロナ禍という状況ではあるが、プレイしていて楽しいゲームにたくさん出会えて幸せだった。ここには書かなかったが『ガレリアの地下迷宮と魔女ノ旅団』やリメイク版『デモンズソウル』も寝る間も惜しんで遊んだし、オンラインでは『Among Us』や『Fall Guys』も身の回りを含めて盛り上がっていた(『Among Us』は昨年リリースのタイトルだが、人気に火が付いたのは今年という印象)。めちゃくちゃ個人的に印象に残った『ルートフィルム』は、自前の舞台探訪記事を公開し、角川ゲームスからの協力でインタビューまで載ることになった。一方で触れなかったゲームもたくさんあって、特にインディーゲームはスカスカである。来年はこのジャンルにももう少し積極的に触れていきたい。