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【ゲームレビュー】25年くらい前に『餓狼伝説3 遥かなる闘い』を面白くないって決めつけてすみませんでした

   

2021年最初に遊んだゲームは25年前作品『餓狼伝説3 遥かなる闘い』である。
今考えると狂っているし、僕の2021年は大丈夫だろうか。

▲2021年最初に遊んだゲームは、25年前の格闘ゲームです。アーケードアーカイブス最高。

『餓狼伝説3』ってそういえばあんまりプレイしなかったなという思いつきから、アーケードアーカイブス版を遊ぼうと思ったのだ。この作品のことを思い出すと主人公のテリー・ボガードの「しゃがみC→強クラックシュート→しゃがみC→強クラックシュート」の連続技が浮かぶ人も多いだろう。相手が気絶するか、死ぬまで続く連続技。いわゆる永久コンボというやつだ。以下の動画のような流れだが、格闘ゲームに慣れたプレイヤーならレシピを聞くだけですぐ再現可能。今の時代にこんな連続技が見つかったら「作ったやつ誰だ」と言われかねない代物で、即日アップデートされるだろうが、当時はオンラインによるアップデートなどはなく、稼働からゲームに修正が入るということは珍しい時代だった。

僕のいたゲームセンターでも、この連続技がどこからともなく伝わってきて、「テリー、お手軽だし最強じゃん」という空気がぶわっと広がった。SNKのゲームに永久コンボがあるのなんて当たり前の時代だったのだが、さすがにこれは簡単すぎたのか、みんなつかいはじめた。そこらへんにいるヤンキーなんかも意気揚々と使ってくるもんだから、テリーVSテリー以外に対戦カードしかほぼ成立しなくなり、同じキャラで同じような戦術を繰り出すだけの対戦にみんなすぐ飽き始めた。一週間くらいその不毛な対戦を繰り広げたあと「これはクソゲーだ。やる価値なし」と当時の僕、そして周りにいたゲーマーたちは判断し、違うゲームへと移っていった。当時は格闘ゲームもほかにいろいろあったので、ひとつの作品にこだわる必要もなかった。主人公であるテリーと新キャラのフランコ・バッシュが描かれたポスターの上に”最強は一人でいい”なんて書かれてるのを強烈に覚えている。本当にテリーだけでよかったし、最強は一人だった。

▲このポスターが全てを物語っているとまで言われた『餓狼伝説3』。

そんなわけで、僕は25年前に『餓狼伝説3』を深く遊んだわけではない。他のゲームはほどほどにいろいろなキャラクターを触ったが、本作はストーリーをクリアーしたのも数えるほどだ。でもどこかに『餓狼伝説3』のストーリーって、なんか変わってたなという記憶だけが残っていて、そのことを元旦に思いついた。そしていろいろなキャラクターの一人用モードをクリアーしているうちに「『餓狼伝説3』、すげえ」という考えに至り、ゲーム仲間が集うチャットグループにそのことを報告したが全員に無視された。このままでは終われないので、僕が何に感動したかをつらつらと書いていく。

▲キャラセレ画面の時点で格好いい。今こんなのやるとUIがとか怒られそうだが……。

まず、このゲームのストーリーの描き方に興奮した。そういえば、SNKのゲームって格闘ゲームとしての敷居の低さも魅力だったけれど、当時ゲーム雑誌や攻略本を買っていたゲーマーからするとストーリーが大きな魅力だったのだ。僕がそれを自覚しはじめたのは『ザ・キング・オブ・ファイターズ96』の頃からで、三種の神器神話に絡めたストーリーに夢中になったものだ。つまり『餓狼伝説3』が稼働していた当時は、僕の中でSNK格闘ゲームのストーリーが良いということに気づいていなかった。だから僕は当時バトルバランスだけで判断し、このゲームはクソゲーであると決めつけ、ほとんど遊ばなくなってしまった。しかし、あれから25年『ザ・キング・オブ・ファイターズ96』の影響を受け、それが抜けないまま大人になった僕の目から見ると「『餓狼伝説3』マジはんっぱねえ」となったわけだ。当時、「餓狼伝説3はクソゲーである」と地元のゲームセンターの友達と話したくらいで、今のようにSNSもなかった時代だから、僕一人のクソゲー発言が開発者やファンを傷つけたことはないだろうが、あの時はまことに申し訳ありませんでしたと今ここで謝っておく。時が経たないとわからないこともあるし、やっぱりクラックシュートには納得いっていないけれど……。

以下は本作のオープニングムービーとギース以降の闘いを少し動画にしてみたものだ。しゃがみC→クラックシュートに頼りすぎとでもなんとでも罵るがいい!このゲームのCPUはマジであほのように強いので、ハメ殺さないと勝てない。誰だ、昔の90年代格闘ゲームはCPU戦が対戦の練習になったとか言ったのは。おれにそんな記憶はなく、パターンを作ってCPUをハメていた記憶しかない。

まず、短いながらオープニングムービーからして渋い。山崎竜二がやばいやつであることがびりびりと伝わってくる。しかもそのやばさというのが、いわゆる厨二的なやばさではなく、リアルな感じの怖さなのだ。あまりしゃべらない、何考えてるかわからない、でもなんかすぐキレそうだし、人もためらいなく殺す。しかも設定とかを資料で見ると”闇のブローカー”とか書かれてるし、武器の密輸とかもやっているとかどこかで見た。やばい。しかも設定がやばいだけでなく、このやばさをアーケードの格闘ゲームという、会話やストーリーに尺をとれないプラットフォームの中でこちらに伝えてくる。しかもその伝え方というのが言葉による脅しとかではなくて、バトルの中の動きとか、デモでの目つきとか、視覚的にやってくる。ちなみに左手を常にポケットに入れているのは、この手をポケットから抜いたら山崎の抱える過去の暗い記憶が彼の中でフラッシュバックして、理性がすっとんでしまうかららしい。やばい。
この山崎の持つやばい感じが、今までの餓狼伝説とは一味違った奥深さを演出している。ちなみに山崎は結果的に人気キャラクターとなったのか『餓狼伝説3』以降の作品にも登場するのだが、饒舌になり、動きにもコミカルなものが増えたことでやばさが薄れてしまった。たくさんしゃべるやばいやつとなってしまったことで、ボスキャラ的な威厳も薄れてしまっているように感じる。『ザ・キング・オブ・ファイターズ』とかでは後付けの設定もいろいろと盛られてしまったが、そろそろまた静かな狂気が垣間見える山崎が見たい。たのむぞ『KOF』の新作。

▲バトルを勝ち進んでいくと、途中で山崎が1ラウンドだけ乱入してくるという粋な展開も良かった。

グラフィックや演出も当時の基準でいうとこれはたぶんめちゃくちゃに凄い。僕自身、昔はグラフィックがどうとか、演出がどうとかあんまり気にしていなかったんだなということがよくわかる。キャラクターの立ち状態ひとつとってもとてもつなく描きこまれているし、デモシーンで登場する立ち絵などのグラフィックは塗りのメリハリがものすごくて、お前が遊んでいるのは重厚な物語なのだぞということを雄弁に物語っている。サウンドもとてもとてもとてもいいから今からサントラがほしい。必殺技のモーションとかもべらぼうに格好よく、本作ではじめて登場した謎の要素である潜在能力などは今見ても興奮を覚える。当時、潜在能力というのは隠し要素扱いで、そのうえ発動するためのコマンドは癖があるものばかりだったこともあり、ゲームセンターに情報が出回ったのは稼働からしばらく経ったあとだった。しゃがみC→クラックシュートの連続技により過疎ってしまった『餓狼伝説3』が一瞬だけ盛り上がりを取り戻したのだが、潜在能力のほとんどは実戦での使い道に乏しすぎて、これがあるからプレイしてみようとはならなかった。当時、対戦台にお金を入れて、片方のプレイヤーが潜在能力を出す係、もう片方が潜在能力の発動条件を満たすべく動く係となって、全キャラクター分みたところで満足した記憶がある。しかし、今自分の手で出してみると、どれもべらぼうに格好いい。しかも潜在能力で決めたあとは勝利台詞が変化するのだ。これも僕は一部のキャラクターのものしか知らなかったから、25年ぶりに興奮している。

一人用のストーリーと潜在能力を楽しむためにアーケードアーカイブス版を買う価値は十分ある。1000円せず楽しめる。しかもCPUレベル4とかが強いので、格闘ゲーマーがよくやっている「クリアーしてみる」配信にも向いてる。最大レベル、いや隠しモードのエキスパートモードで今すぐやれ。

▲スタートしてすぐのHOW TO PLAY画面で、左・右・左・右・ニュートラル・右・左・右・左とやるとエキスパートモードになり、難しさがさらに増す。

ここまで早口で『餓狼伝説3』において再発見した魅力を語ってきたが、いやでもしゃがみC→クラックシュートがあるからクソゲーでしょという結論でまとめたい方もいるだろう。ただこれについてもちょっと意見しておきたい。このしゃがみC→クラックシュートを武器に、本作の一人用に挑むと、弱点があることに気づく。まず、ガードされた際に割り込めるポイントがあり、しゃがみC→クラックシュートとセットで入力するのはリスキーなのだ。しかもこのゲームの割り込みは、通常技や必殺技だけでなく、避け攻撃やライン移動といった見返りの大きいものもある。当時の思考停止した考えでは思いつかなかったが、永久コンボではないものの、めちゃくちゃな火力を出せるキャラクターも少なくない。そしてよくよく考えると、クラックシュートよりも、本作は共通システムであるライン移動のほうが強い気もする。1フレームで無敵になって別ラインに移動して、そこで相手が対処を間違えると超特大リターンの別ラインからの攻撃がぶっ刺さる。クラックシュートは許されないかもしれないが、ライン移動も許されないのではないだろうか。あとこのゲーム、この時代のSNKゲームには珍しく、ジャンプ攻撃を複数回出せる。ジャンプAを連打しながら相手に突っ込めるし、ジャンプA→空中ガードみたいな動きもできる。もしかしたら、25年前の自分には気づかなかった対戦のかけひきの妙があるのではないか。そんな妄想をしていると、本当にテリーは最強なのか、意外とほかのキャラが強かったりするのではないかとか考えが膨らみはじめて、早く誰かと対戦してめちゃくちゃにしたい衝動に駆られる。

▲ジャンプ攻撃がべべべべっと連打できるのも当時にしては斬新。今になって気づくあたり、当時いかに適当にプレイしていたかがわかる。

そして、僕が今回遊んでいるアーケードアーカイブス版の『餓狼伝説3』は、かつてゲームセンターで稼働していたものの完全移植版といっていいものなのだが、現在調べた限りではひとつだけ違う要素がある。それは、アーケード版ではメモリーカードという古のアイテムを使うことでボスキャラクターを使用することができたのだが、アーケードアーカイブス版は当然メモリーカードに対応しているわけもなく、ボスキャラクターを使用することができない。(もしかしたらやり方があるのかもしれないので、ご存知の方がいれば教えてほしい。)そこで気になるのが、ボスキャラクターたちははたして最強キャラクターなのかということだ。山崎と、そのあとに出てくる秦兄弟。彼らはボスキャラクターとして高性能な技を持ち、そのまま使うことができるのだが、まずしゃがみC→クラックシュートにどれだけ抗えるのか。本作のラスボスである秦兄弟は身長が低いためしゃがみC→クラックシュートのループコンボが成立しないという強みがあるが、リーチの短さを埋めるだけの性能があるのか。ボスキャラクターまで考えた場合、誰が最強キャラクターなのか。格闘ゲームオタクとして気になる点だ。インターネット上を徘徊して集めた情報では、プレイステーション2で発売されたNEOGEO オンラインコレクション『餓狼伝説 バトルアーカイブズ1』では使用できるような気配もあるが、こちらはまだ未確認。使えるとなったら実際に対戦して自分なりに答えを出してみたい。

▲本作のラスボス、秦崇雷(ジン・チョンレイ)。秦兄弟の兄である。このキャラクターが好きすぎて、以降の『リアルバウト餓狼伝説』シリーズではずっと使っていました。

▲『餓狼伝説3』ならではの性能をした技もあり、使って対戦してみたさがすごい。

戦いのときに備えて、アーケードアーカイブスやプレミアつきまくっているNEOGEO オンラインコレクション『餓狼伝説 バトルアーカイブズ1』を購入するのも良いでしょう。アホのようにCPUが強く、ストーリーもとても良いので、一人用モードも楽しめます。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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