【対談企画】なぜ今、格闘ゲームを作るのか。その情熱の源泉を辿る【『ミリオンアーサー アルカナブラッド』琢磨尚文氏、『ファイティングEXレイヤー』西谷亮氏】

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オンライン対戦へのこだわり

西谷:『アルカナブラッド』をプレイして驚いたのは、オンライン対戦が導入されていることです。ゲームセンターというと、コアな格闘ゲーマーも多いと思うんですが、そこにオンライン対戦というデリケートなものを持ち込んだのはなぜですか?

琢磨:アーケードゲームのオンライン対戦は、『鉄拳7』という良い前例に触れることができたので、是非やってみたいと思っていました。僕がゲームセンターに通いつめていたのは、北海道に住んでいた頃なんです。10年前くらいですね。その頃というのが、まさにだんだんゲームセンターにくる人が減っていることを実感した時期だったんです。北海道を出る直前の時期は、人を電話で呼ばないと対戦すらできないということがありました。都内では盛り上がっている、でも地方では対戦相手を探すのが難しいということを痛感したこともありました。だから、対戦できるのが一番だなと、オンライン対戦の導入を決めましたね。本当はゲーセンの醍醐味というのは、顔を合わせて遊ぶことにあるんでしょうけど、対戦を盛り上げないと、そのラインまでいかないですからね。

西谷:人がいてこその格闘ゲームという部分ですから、素晴らしい取り組みだと思います。

△自信もガチの格闘ゲーマーであるからこそ、「対戦できること」にこだわってオンライン対戦を実装したそうだ。

ーー『アルカナブラッド』も『EXレイヤー』もオンライン対戦に対応していますよね。両作品のオンライン対戦モードで、こだわった点についてお聞かせください。

琢磨:ただオンライン対戦ができるというだけでなく、プレイヤー情報を表示する部分などでカスタマイズなどを楽しんでもらうことですね。あとは、こだわった点というわけではないんですが、稼働後はオンライン周りの調整を何度か行いました。稼動前のテストではうまくいっていたものが、環境によっては思った通りのパフォーマンスを発揮できないということもあったんです。アップデートで改善した部分も多いですが、ゲームセンターによって回線の質が違うという問題もあって。アーケードならではの難しさだなと感じています。

西谷:プレイしている環境によるというのは、ゲームセンターなどではさらにコントロールが難しそうですね。『EXレイヤー』についても環境に左右される部分はありますが、一般的な格闘ゲームのオンライン対戦が可能な環境であれば、国内ならほぼ遅延を感じずに遊んでもらえるのではと思っています。もちろん、推奨する環境で遊んでいただければという条件はあるので、そこは『アルカナブラッド』と同じような難しさを抱えているかもしれませんね。

琢磨:オンライン対戦である以上、「遅延がない」ということは考えられないので、『アルカナブラッド』ではちょっと特殊な仕様を入れています。いわゆる一人用のモードは、オンライン対戦を想定して、1フレームだけ遅延を入れているんです。全国対戦のアンテナ5、ゲーム側が最もオンライン対戦に適していると判断する環境での遅延って、1フレームなんです。そして、オンライン対戦では一人用モードにあった遅延をカットしているので、実質的には、一人用とオンライン対戦の遅延が0ということを実現してみました。一人用モードの1フレーム遅延環境と、オンライン対戦の遅延が同じになるように設計しています。僕自身の感覚としては、3フレーム遅延すると対戦に支障が出るなと思ったので、そこはこだわっていますね。

『EXレイヤー』開発裏話.02
『ファイティングEXレイヤー』のオンラインは、過去に制作してきた作品のノウハウを活かした快適なものになっています。ウチ(アリカ)は、通信に関してはわけのわからないことに何度か取り組んできたので、今回もそこは自信を持っていますね。国内の対戦に関しては、ストレスフリーで遊んでもらえると思います。
余談ですけど、発売前に行ったβテストでは、国内だけでなく、国外とのマッチングについてもデータをとりました。アメリカと対戦するだけで遅延が3フレーム発生するというのは計測上もう見えてたんで、余裕持たせて、最長4フレームでゲームが成立するように、コマンドとか通信を調整しました。感覚は違いますが、対戦できないことはないというイメージです。計測した範囲で一番遅延が出るのは、日本 、インド間です。0.5秒以上遅延がかかるんで、これだけは、ゲームとして一応つなげさせますけど、たぶんもう読みあいになりますね。飛び道具売ってくるだろう、俺は信じてガードするからっていう(笑)あとは、本作ならではの仕様として、「もし遅延が起きたとしても、ゲームでやっている感覚はそのままになる」システムを組み込んでいるんです。反応は遅れるけどゲームでやってる感覚はそのままなんですよ。「あれっ、ちょっと遅いぞ」と思っても、見た映像でガードしてるものが、ちゃんとガードで成立するようにはなってるハズです。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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