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【対談企画】なぜ今、格闘ゲームを作るのか。その情熱の源泉を辿る【『ミリオンアーサー アルカナブラッド』琢磨尚文氏、『ファイティングEXレイヤー』西谷亮氏】

   

格闘ゲームのコミュニティについて

琢磨:格闘ゲームというジャンルそのものが、盛り上がって欲しいですよね。『アルカナブラッド』と『EXレイヤー』、その他のゲームも、それぞれ個性があって、違う作品ですが、格闘ゲームというジャンルの面白さからはずれていないと思うんです。僕は格闘ゲームの新作が出ると聞くと、とにかく嬉しいですよ。

西谷:そうですよね。格闘ゲームって、売り上げとかの数字だけ見ると実感できないかもしれませんが、特殊なジャンルですよ。プレイヤーが盛り上がりを作っていく。琢磨さんは、開発サイドでもあり、プレイヤーサイドでもあるプロデューサーということで、見えている部分が広いですよね。

琢磨:プレイヤーと開発の線引きは難しいなと感じましたね(笑)僕が一人のプレイヤーだった頃、キャラクターの性能やバランスをよく気にしていました。もちろん今もしているんですけど(笑)ただ、作るとなると、話は変わってきますから。僕は格闘ゲームというジャンルに関しては、クリエイターという立場ではないんです。大好きなジャンルで、いろいろなゲームを遊んできて、それなりに意見も持っていますけど、今回はバランス方面に関しては、あまり口を出さないでおこうと決めていました。格闘ゲーマー的意見を言う時は「いちプレイヤーの意見なので、採用しなくてもいいです」という伝え方をしたことが多かったですね。格闘ゲームの制作という面では、チームアルカナにお任せしていた部分も多くて、いろいろと勉強させてもらいました。

――現在、日本では、格闘ゲームタイトルを、e-sportsとしてとらえる見方が広がってきています。こうした流れを受けて、作品設計に活かした部分などはありますか?

西谷:良くも悪くも、e-sportsを意識したほうがいいという環境になってはきていますね。むかしはe-sportsって言葉はなかったですけど、それなりの大会はあったじゃないですか。そして、その大会が、真剣で、見ている側も楽しいという意味では、現在のe-sports的な大会と変わらないわけです。そういった大会の根本的な動機を考えると、なんらかの理由でみんなが面白いとか楽しいとか思って普及したから、結果的にそういう大会につながったってことなのかなと思うんですよ。でもいまはその逆もありうるとおもっていて、言い方はすごい微妙になりますけど、イースポーツのためにゲームを作るっていうメーカーもきっといると思うんですよね。悪いことでは全くないんですけど、自分がかつて格闘ゲームを作っていた頃とは環境というか、空気の違いを感じたりもしますね。

琢磨:格闘ゲームはe-sportsとの相性も良いですから、気にしている部分ではあります。ただ、『アルカナブラッド』はまだ出たばかりのタイトルなので、バリバリe-sportsに向かうぞという意識はないですね。最初の大会は、『ミリオンアーサー』のファンにも見てもらいたくて、御祭性ミリオンアーサーというイベントの中で全国大会をやらせてもらいました。『アルカナブラッド』は、『ミリオンアーサー』シリーズの作品なので、流れとしては自然なのですが、当日になるまで反応がわからなくて怖い部分もありましたが、終わってみれば、いろいろな人から良かったよと言ってもらえて嬉しかったですね。『ミリオンアーサー』のお祭りとはいえ、来ている多くの人は、格闘ゲーマーではないですから、そこでガチな大会をやるとどうなるのかというのは、読めない部分があったんです。

『ミリオンアーサー アルカナブラッド』の大会シーン
『ミリオンアーサーアルカナブラッド』は、稼働以降、積極的に公式大会を開催している。2018年3月には千葉県・舞浜アンフィシアターで全国大会「血聖大戦2018」を開催。全国の予選を勝ち抜いた強豪プレイヤーたちが火花散らす戦いを繰り広げた。2018年8月25日には、2オン2形式の大会「共闘性アルブラ杯」が予定されており、こちらの大会は現在(2018年7月)、全国のゲームセンターで予選が開催されている。

△2018年3月・千葉県の舞浜アンフィシアターで開催された『アルカナブラッド』の全国大会「血聖大戦」の選手登場シーン。「選手たちがないがしろにされない環境を作りたかった」と琢磨P。

西谷:大会に出ている選手たちの熱気って、そのゲームのことをよく知らなくても伝わってきたりしますよね。格闘ゲームは、それがより伝わりやすいのと、『アルカナブラッド』が、キャラクター描写や演出にとてもこだわったゲームだったからというのもありそうです。

ーー僕も現地で観ていましたが、決勝大会が始まるまでは、どのような会場の空気になるのか気になっていました。新作の情報発表なんかをすると、会場がわーっと盛り上がっていて、これと同じくらいの盛り上がりを作り出せるのかというのはいち格闘ゲーマーとして気になっていたし、正直にいうと心配していました(笑)でも、始まってみると、盛り上がるところでは歓声も起きていましたし、何より出た選手たちもとても満足そうに見えて、とても良いイベントでした。

西谷:プレイヤーに注目が集まるというのは、昔からあるのですが、今はそれがより大規模になってきていますよね。『ファイティングEXレイヤー』でも、そういう流れが作れたらいいなとは思っています。とはいえ、アリカ主催で大会をやるというのはちょっと規模的に難しそうなので、いただいているコミュニティやイベントからのお声がけに応えていきたいなと思います。特殊なやり方かもしれませんが、ウチがコンテンツホルダーとなるゲームなので、ポリシーとしては、やりたいというところにはご自由にどうぞという形でやっていくつもりです。イベントをやっていただいて、入場料や有償配信でも、一次配信であれば好きにしてくださいという形です。

琢磨:画期的なやり方ですね。プレイヤーやコミュニティさんの力というのは大きいですよね。『アルカナブラッド』の全国大会の予選をやって、それでいろいろなゲームセンターに遊びに行ったんですが、プレイヤーやコミュニティに支えてもらっているんだなということを強く実感しましたね。

西谷:e-sportsの下地を作ってきたのは、メーカーの助力なんかもあるんでしょうけど、一番はプレイヤーさんの愛だと思うんですよね。プレイヤーがいなければ、大会は盛り上がりませんからね。いろいろな作品のプレイヤーたちが、真剣に競っている流れがあったから、これは若い人たちにとってはスポーツなのではという見方が出てきたんだと思います。――琢磨さんがガチ格闘ゲーマーであることはプレイヤーにも知られてそうですが、そこで「こう調整してくれ」みたいな声ってあまりないんですか?コアな話がわかるプロデューサーだからこそ、いろいろ伝えよう!みたいな。

琢磨:僕もそれはたくさん来るのかなと思っていたんですが、あまりないんですよ。調整をこうしてくれみたいな要望って、格闘ゲーマーの多くがなんらかの形で持ってるものだと思うので、僕としては嫌いじゃないんですが、対策や攻略の話をすることが多かったり(笑)不具合やバグなんかを報告してくれるプレイヤーの方もいるんですが、その伝え方が丁寧な人が多くて逆に恐縮です。バグが出ているとしたら申し訳ないのはこちらなのに、向こうからすると聞いてくれて感謝していますみたいな空気になっていて。みんな暖かいですね。西谷さんも、よくユーザーさんと交流していますよね。波動拳のポーズの写真を、よくネットで見かけます(笑)

西谷:ファンサービスですね(笑)海外のプレイヤーにも伝わる直感的なポーズかなと。僕もユーザーさんの暖かさや熱意を感じなければ、『EXレイヤー』はエイプリルフールのネタで終わっていましたね。海外のプレイヤーの方に、スカロマニアが人気だということは耳にしていて、バンダイナムコエンターテインメントの原田さんからも「スカロマニアが人気」と聞いていたので、PVに盛り込んでみたのですが、その反響がすごくて。

琢磨:海外ではスカロマニアが人気なんですね。日本の格闘ゲーマーなら知っている人は多そうですが、キャラクターの見た目的なところでしょうか。

西谷:見た目や動きみたいですね。EVO2017の最終日にスカロマニアを発表したのですが、その前日まで海外の格闘ゲーマーから「スカロマニアはでないのか」という質問をたくさんされました。スカロマニアを出すことを発表したあとは、ロッソは出ないのかという声も寄せられたりしましたが(笑)

△海外人気の高いスカロマニア。(画面写真は『ファイティングEXレイヤー』より。)

――両作品の今後の展望についてお聞かせください
琢磨:『アルカナブラッド』は現在、全国大会の予選を行っています。7月、8月と予選をやって、8月25日に東京・秋葉原のイースポーツスクエアで決勝大会を開催する流れになっています。春の血聖大戦はシングル大会だったので、今回は2on2の大会を企画してみました。チーム戦ならではの面白さが見られる大会になっているので、是非遊びにきてください。あと、この日、いろいろ新情報をお届けする予定です。

西谷:『EXレイヤー』は6月からスタートということで、まずは一人でも多くの方に遊んでもらうのが目標ですね。久々の自社オリジナルタイトルなので、売れてほしいです(笑)売れればなんでもできると思っているので、応援よろしくお願いします。

 

△スクウェア・エニックスの琢磨尚文氏(左)と、アリカの西谷亮氏(右)。格闘ゲーマーにはおなじみのあの必殺技のモーションで一枚。


格闘ゲームとゲームセンターを愛し、プレイヤーとしての情熱や視点を併せ持って作られた『ミリオンアーサー アルカナブラッド』。かつて『ストリートファイターⅡ』の制作に携わったレジェンドとも言えるクリエイターが満を持して世に送り出した『ファイティングEXレイヤー』。
どちらの作品も、少し遊べば、これが格闘ゲームを愛するプレイヤーたちのために作られた作品である事は一目瞭然だ。絶妙なコマンドのレスポンス、試合のテンポ、作品ならではの遊び心地をはっきりと演出する独自のスパイス。そこには、プレイヤーを呼び込むための緻密なクリエイティブが詰め込まれている。
我々ゴジラインにも、格闘ゲームを愛するプレイヤーが多数在籍しているが、彼らの多くがこの2作品を、「遊びやすい作品」と評価しているのも見逃せない。2つの作品は、格闘ゲーマーをターゲットにした作品でありながら、ビギナー、これから格闘ゲームを触ろうという人にも配慮した設計が施されているのだ。
コアなユーザーには、やりこみや発見の喜びをもたらし、初心者には、遊びやすさや爽快感、そして上達の楽しみを節々で味わわせてくれる2作品となっているので、興味のある方は是非、気軽にプレイを楽しんでもらいたい。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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