『ヴァンパイアセイヴァー』がEVO Japan 2026のメインタイトルに!その魅力と見どころとは?

1997年にアーケード版が稼働した『ヴァンパイアセイヴァー』EVO Japan2026のメインタイトルとなった。

平成のアーケードシーンに登場した本作は、スピーディなバトルが好評を博し、各地のゲームセンターで熱い対戦が繰り広げられた。発売時期だけを見ると”レトロゲーム”と受け取る方もいるかもしれないが、その独自性に惹かれたプレイヤーたちはまだ戦いを楽しみ続けている。
EVOのサイドトーナメントとして実施された大会には多くの人が集い、有志によって開催されているJudgement Dayという大型イベントも盛り上がっているのだ。

そして『ヴァンパイアセイヴァー』コミュニティの面白いところは、「新規」のプレイヤーの参入も多いところだという。
たびたび家庭用移植が発売されてきたこともあって、本作を手に取り、その魅力に引き込まれるプレイヤーも多い。

本記事では、『ヴァンパイアセイヴァー』の現役プレイヤーである「えご」氏と、「佐伯」氏の協力のもと、本作の魅力や試合の見所、そしてこれからはじめる方の入り口を紹介していただいた。

記事制作協力


えご氏:神奈川在住のレイレイ使い。EVO JAPANの『ヴァンパイアセイヴァー』サイドトーナメントなどの主催を務める。ヴァンパイアセイヴァー攻略wiki/大会イベントwiki/プレイヤーwikiと3つもwikiを作った。大会イベントwikiはセイヴァー勢の誇り!が持論。ゲーメスト杯と闘劇2004に出場しており、今では数少ない公式大会経験者。

佐伯氏:東京在住のキュービィ使い。2010年代以降にプレイし始めた比較的新しい世代のプレイヤーで、『ヴァンパイアセイヴァー』の攻略や大会の感想をnoteでよく発信している。主な戦績はEVOJapanサイドトーナメントTOP8進出(2018年・2025年の2回)など。好きなキュービィの技は立ち弱キック。

独自性のあるスピーディーなバトルが魅力

本作の大きな特徴として挙げられるのは、爽快なゲームスピードです。すべての動作はもちろん、試合展開も高速で、キャラクターの動きが止まっていたり膠着している瞬間はほとんどありません。

さらに、ラウンド間の切り替えがないうえ、時間が停止する暗転演出もなく、気を抜けない試合が続きます。「試合が終わるまで次々に判断を求められ続ける」という要素こそ本作の最大の魅力であり、やりこみどころであり、観戦においても楽しい部分になっています。

試合展開は目まぐるしいものの、かけひきは濃密です。
この濃密なかけひきを生むひとつの要素が「回復可能ダメージ」です。下の画像を見てもらうと、体力ゲージが緑、赤、白の3色で塗り分けられていることが分かります。


緑色の部分が残り体力、赤が食らっているダメージですが、白が回復可能ダメ―ジ(通称:白ゲージ)で、この部分は時間経過で自動回復して残り体力に戻すことができます。【通常ダメージ+白ゲージ】が体力バーの端まで届くとダウンとなり、コウモリを一本取ることができます(コウモリ=ラウンドで、2本取られたらその試合に敗北する)。

つまり、本作は白ゲージの回復により、体力の総量が激変するゲームになっています。
一気に取り切ることができればワンサイドゲームに近づき、上手く回復することができれば試合の趨勢を振り出しに戻すことができます。
白ゲージは【1秒以上ヒット/ガードしていない状態が続く】と回復が始まります。この仕様を理解したうえで対戦すると、白ゲージが溜まっていると防御側は逃げて回復したい、攻撃側は逃がさずに攻めてゲージを取り切りたい、という駆け引きが発生します。攻撃側としては”なんでもいいから技をガードさせて白ゲージの回復を止める”といった選択肢も出てくるのです。

セイヴァーの他にも回復可能ダメージが存在するゲームはありますが、セイヴァーは白ゲージの割合が多く、回復をめぐるシーソーゲームがダイナミックな試合展開を生み出しています。

”基本”は意外と簡単。今からでも気軽に遊べます


本作には弱・中・強の順でボタンを順番に押していくことでつながる「チェーンコンボ」が存在します。格闘ゲームの「基本コンボ」にあたるものは、どのキャラクターもこのチェーンコンボを覚えればOKです。
自分のキャラクターの使いやすいチェーンコンボを覚えたら、まずはそれを当てるように動いてみるというだけでも十分楽しいはず。必殺技コマンドも、一部の必殺技をのぞいてそれほど難解なものはないのでご安心を。

奥深いアドバンシングガードの駆け引き

セイヴァーのシステムで特徴的なのが「アドバンシングガード」(通称”AG”)です。他の格闘ゲームにも同じようなシステムがありますが、本作の場合は「入力方法」とそれに伴う駆け引きが実にユニークです。

▲相手の攻撃を「押し返す」性能を持つアドバンシングガード。『ヴァンパイアセイヴァー』の近距離の攻防において非常に重要なシステムだ。

AGは攻撃をガードしてから約10フレーム以内にボタンを3~6回押すと成立し、”TECH HIT”の表示・ボイスと共にキャラクターが白く光ります。
そしてこのAGは、ボタンを押した回数が多いほど成立する確率が高くなり、6回押すと必ず成立するという仕組みになっています。

AGに成功すると「相手との距離が離れる」、「ガード硬直が減少する」という2つの効果が得られます。
これらの効果により、硬直を減らしたうえで間合いが離れるので、よくある「有利フレームを取れる技をガードさせてから2択をかける」という状況を簡単に回避できます。
また、セイヴァーはAG前提で作ってある節があり、他の格闘ゲームでは到底許されなさそうな技も多く、AGしないと抜け出せない固めというのもまぁまぁあります。
成功時の恩恵が大きいため基本的にAGは出し得なのですが、その分入力が難しく、どれだけ正確に出せるかの精度が勝率に直結する要素になっています。

▲アドバンシングガードをしないと厳しい”固め”なども当たり前に存在する。

強力なシステムではあるものの、「入力が難しい」という点は、AGを攻略する糸口にもなっています。
代表的な攻略法である「ずらし」という戦術は、相手がAGしてきそうな場面で一瞬遅らせて技を出すことです。
AGは入力の猶予が約10フレーム以内と非常に短いため、ガードタイミングを予測して入力するのがセオリーです。そこでガード状態にならなかった場合は通常技が暴発するので、わざとガードさせるタイミングを遅らせ、相手のAG入力で暴発した通常技にカウンターを取りにいくのです。
最近のゲームの読み合いでよく採用されている、「グラップ潰し」や「シミー」の考え方に近いかもしれません。

とはいえ、「ずらし」は”ただの遅い打撃”なので、相手がAGを狙わずガードを固めていると効果がありません。しかし、それはガードさせて有利フレームからの投げや、中段/下段の厳しい2択など、ピンチを受け入れることになります。
そのピンチを脱するためにはどこかでAGするしかなく、そのタイミングを読んでずらしで刈り取る……というような駆け引きが上級者同士の対戦では基本となっています。
防御側には、最速投げ暴れ・バックジャンプ離脱・ガードキャンセルなどの選択肢があるため、高速のゲーム展開の中で次々と多彩な駆け引きが生まれるのです。

EVO JAPAN2026ルール
ガード不能バグはなぜ禁止なのか

EVO JAPAN2026のルールでは、「ザベルのガード不能が条件付きで禁止」というレギュレーションが取られています。
その理由が知りたいという方も多いと思うので、記事執筆にあたり関係者に取材したので、この場を借りて以下に公表したいと思います。

理由は主に2つです。
(1)『ヴァンパイアセイヴァー』というゲームの面白さ、魅力に寄与するものではないため

(2)プレイヤーコミュニティが新たなルールを設定することで、古いゲームでもより長く遊び続けられるようになることを示すため


(1)については、ガード不能はセイヴァー独特の強さではなく、どの格闘ゲームでもそんな技があったら間違いなく強い、楽して勝つにはうってつけという戦術です。EVOJapanがきっかけで始めるプレイヤーが練習する、あるいは喰らったとしても、「セイヴァーの面白さはこれだな!」とはならないはずです。

(2)については、対戦ゲームは基本的には「なんでもあり」で競うことが美徳とされがちです。しかし、何かしらの問題を抱えたゲームをバグ修正もバランス調整も込めない状態で何十年も遊び続けることは、現実的に難しい場合もあります。

ゲームを楽しくプレイして競い続けることを可能にするためには、時と場合によって、プレイヤー側で一定のルールを設けることも必要かもしれないと考えました。
また、他にもいろいろと戦術として使えてしまう強力なバグはありますが、あれもこれもとルールを作りすぎても逆に興が削がれてしまう可能性があります。
制約を課すならまずは1つだけにしようと考えた結果、今回はザベルのガード不能バグがその対象として選ばれました。
ただ「強すぎるから禁止」という話ではなく、『ヴァンパイアセイヴァー』というゲームの楽しさを最大化して、これからも良いゲームとして遊び続けるために、今回のルールを設けました。

以上が、今回のルール選定にあたっての考えとのことでした。

ちなみに、これまでのEVOJapanサイドトーナメントではザベルのガード不能は容認されていましたが、極端に猛威を振るっていたわけではありません。しかし、今回はメイントーナメントということで、改めて将来を考えた結果このルールにしたという話でした。申告制にすることで、双方合意していれば不能を使ってもよいという抜け道を用意したそうです。

また、2022年に開催された5on5大会(Apocalypse of Darkstalkers 3)でも今回同様のザベルガード不能禁止のルールを採用していましたが、特に物議やトラブルはありませんでした。
あまりにも有名なバグですし、プレイヤーによっても考えは違うので、話のネタのひとつとして捉えてもらえれば幸いかなと思います。

▲有名なビシャモンのガード不能などは今回のレギュレーション上OK。グレーゾーンギリギリだが禁止事項を多くしては面白くないし、新規プレイヤーを遠ざけてしまう可能性もある。

注目キャラクターたち

現在の三強キャラクター:大会における優勝候補キャラたち。

ザベル


ガード不能がなくても他の全キャラと比べて頭一つ以上抜けている正真正銘の強キャラ。
全てにおいて優秀で、かつては「理論上最強」というキャッチフレーズが有名だったが、近年は実戦値で見ても普通に最強という評価。
操作がやや煩雑ですが、特に弱点はないので、誰がザベルを止めるのか?というのは大会の注目ポイントになりそうです。

 サスカッチ


高威力、高耐久、高機動という三拍子揃った「セイヴァーの主人公」と言われるキャラ。
誰にでもおすすめできるハイスタンダードキャラ。 接近してしまえば強いが、その反面で空中ダッシュや空中必殺技を持たない為、どうやって接近するかという部分に個性が出る。

 キュービィ


「最速で発生9Fの地上コンボに繋がる中段」を持っている究極の2択キャラ。
空中で相手の位置をサーチして飛んでいくホーミングダッシュを出せるため、まとわりついてひたすら手数で押すのが得意。
技の判定や火力には足りない部分があるので、防御に回ったときにどう切り抜けるかも腕の見せ所。


職人好みのキャラクターたち:大会で活躍すると盛り上がるキャラ。性能の差はやり込みで埋める!?

アナカリス


アドバンシングガードと通常投げが使えないという尖りすぎた弱点を持ち、アナカリス限定で永久ガードになる固め連携が多数存在する。
防御面では恵まれていないが、攻撃力は上位キャラすら圧倒し得るほど。近年の研究により長所を伸ばして評価上昇中。

モリガン


ヴァンパイアシリーズの看板キャラ。しかし本作ではジャンプもダッシュもゆったりめな上に通常技の判定も並みで、「化け物」がはびこるセイヴァー界での立ち回りがとにかく苦しい。
投げ、飛び道具、無敵技、チェーンダクネスによる火力とそれなりの武器は持っているが試合の流れを作るのが苦手。
しかし、長年モリガン一筋で使っているプレイヤーたちのキャラ愛と強さの引き出し方はホンモノ。

リリス


セイヴァーから追加された新キャラで、モリガンと人気を二分するヴァンパイアシリーズの代表格。
無敵技、強判定の飛び込み、接近しやすいダッシュ攻撃など素直で使いやすい武器を揃えているが、空中ダッシュや軌道変化技は持たず、尖った部分がない。大きな弱点は崩し能力で、通常投げ以外にガードを崩せる手段に乏しく、おまけに投げ抜けされると不利(-2F)を背負ってしまうという悲しいキャラ。
その一方で火力はトップクラスで、「ずらし」が最大限に生きるキャラでもある。相手を崩す技術さえあれば一気にパワーを発揮できるため、職人達がいかにしてガードをこじ開けるかが見どころ。

ここで紹介できなかったキャラについて知りたい場合は以下のページも参考にしてみてください。

VampireSavior攻略wiki

【対戦環境をご紹介】

盛り上がりを感じられるのはアーケードシーンですが、家でネット対戦やトレモをするなら2022年に発売された『カプコンファイティングコレクション』でOKです。ロールバックネットコードを採用しているのでネット対戦の品質も上々。

Steam/PS/Xbox/Switchと多機種で発売されていますが、クロスプレイはありません。対戦人口が多めなのは現在PSかSteamです。

『カプコンファイティングコレクション』を利用した定期的なオンライン大会や対戦会も活発に開催されています。興味がある方は以下のDiscordサーバーに入ってみるのがおすすめです。

【ヴァンパイアシリーズDiscord】
https://discord.gg/3QSpGbU9Ju

ゲームセンターでの大会、対戦会

2025年現在、30年近く昔のゲームとは思えないほど現役で活動しているコミュニティが関東、関西、名古屋、東北、北海道など各地にあります。ここに全部は列挙できないので以下のサイトを参考にしてください。この機会に是非遊べる場所を増やしましょう!
ゲーセン未体験プレイヤー、新規プレイヤーへ もし近場にセイヴァー稼働店があるならゲーセンに行ってみませんか?
今ゲーセンで対戦したり大会に参加しているのは、そのタイトルが大好きな人達です。セイヴァーを始めた話、キャラの話、困ってる話、すぐに輪に入れると思います。
EVOJapanも友達と一緒だと何倍も楽しめるはずです!

【ヴァンパイアセイヴァーロケーション情報】
https://x.com/savior_111

【イベントWiki】
https://seesaawiki.jp/vswiki_event/

えごさん、佐伯さんからのメッセージ

ここまで読んでくれたみなさん、まずはありがとうございます。
『ヴァンパイアセイヴァー』の魅力は伝わったでしょうか。
とはいえ、プレイしてみないと分からない点も多いでしょう。

『ヴァンパイアセイヴァー』は発売から30年経過しており、対戦どころか画面すら見たことがない人も多数いると思います。「古い作品がなぜEVOJapanのメインタイトルになるのか?」と疑問に思う方もいるでしょう。

1997年の稼働時には数多のプレイヤーがいましたが、当時はSNSもなく情報共有が難しい時代でした。そこから5年、10年と経過して稼働するゲーセン自体が減っていく中で、プレイしなくなっていったという方も多いのではないでしょうか。

しかし、時間の経過が必ずしもコミュニティを滅ぼすわけではありません。

時代が移っても本作を愛するプレイヤー達は対戦を続け、時には自ら大会を開き、新たな仲間を増やし、コミュニティを維持し続けてきました。

こうした取り込みの継続により、2010年代に入ってからも100人超の規模の大会を毎年開催するに至っています。

EVOJapanが誕生した際にも、かつての闘劇のように皆を繋ぐものになればと、サイドトーナメントを2018年の初回から皆勤で開催しています。

近年では2022年に発売されたカプコンファイティングコレクションによりネット対戦の環境が再整備されたことも大きなプラスとなりました。

2025年に開催された大規模大会「Judgement Day 8」では、コロナ禍により5年ぶりの開催となったにもかかわらず、過去最高の162名の参加を記録しました。

また、海外ではEVO VegasやEVO Franceでのサイドトーナメント開催や、北米(Makai World Cup)やフランス(Vampire Street Battle)でも独自の大会が開催されるなど、その盛り上がりはグローバル規模で最高潮に高まっています。

大会に参加するプレイヤーの数で、現代のゲームと肩を並べるのは正直に言って難しいと思います。しかし、どれだけ古いタイトルであっても、コミュニティの愛と工夫次第では現代でも楽しく競い合えるものとなって新たな熱量を生み出すことができると信じています。

幸い、EVOJapan2026までにはまだ十分な時間があります。このタイミングに始めてみるのはどうでしょうか。

かつて闘劇の種目に選ばれた際もそうでしたが、こうした大きなイベントがあると新規プレイヤーがドバッと増えて対戦相手もわんさか見つかります。なんと言ってもEVOJapanメインタイトルです。やるなら今この瞬間しかない!

そして最後に、全セイヴァープレイヤーにお願いです。
EVOJapanにエントリーをしましょう!普段の対戦以外は興味ないなんて言わず、この再び見られるか分からない奇跡のビッグイベントを楽しみましょう!
セイヴァープレイヤーがEVOJapan2026を一番楽しんでいたと言えるように力を貸してください!

5月のEVOJapanが終わったあと年内に3on3大会の計画もあります。EVOJapanからの流れで2026年はめいっぱいセイヴァーが楽しめますよ!

始めるなら今がベスト!行こうEVOJapan、やろうヴァンパイアセイヴァー!

【EVO Japan メイントーナメント エントリーページ】
https://www.evojapan.gg/join/register

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