【浅葉の2016年私的神ゲーレポート.05】『ストリートファイター5』と『THE KING OF FIGHTERS XIV』

格闘ゲームを練習せずに遊びたい年頃になってきた浅葉・35歳です。
2016年は家庭用の格闘ゲームがとにかく豊作で良かった。
個人的には、『ストリートファイター5』と『THE KING OF FIGHTERS XIV』が同じ年に出たことがとにかく感慨深く、どちらも非常に楽しく遊ぶことができました。他にもキャラクターゲームなどを含めて、とにかくいろいろな格闘ゲームを買ったけれど、この2作品は自分にとって甲乙つけがたいほどしっくりときた作品です。その理由は単純で、いろいろな練習をしなくても、今までに遊んできた格闘ゲームの延長でパチャパチャと遊ぶことができたから。ハイレベルなところを目指すのは大変ですが、格闘ゲーム初心者にもオススメの作品だと思います。

『ストリートファイター5』

まずは、某所のレビューみたいなもので満点をつけた荒れそうな『ストリートファイター5』の話から。
自分がこの作品を最初に触ったとき、格闘ゲームという初心者が入りづらい分野において、非常にわかりやすく対戦の面白さを詰め込んだ作品だと感じました。従来の遠距離、近距離で変化していた通常技を、どの距離でも同じ技が出るように変更し、前作『ストリートファイター4』で敷居の一つになっていた「目押し」も緩和され連続技なども簡単になりました。勝つためにはいろいろと覚えることや練習することがあるものの、「レシピを見ただけでは再現しにくい」という連係や連続技などに溢れたゲームではなく、一定以上のやり込み要素がある。当時のレビューにも書いたように、「状況判断やアドリブ」みたいなものが楽しく、見どころになるというのは、大きく間違っていなかったように思います。

△操作や連続技の難度がそれほど高くないため、入り口の広いゲームになっています。そこそこ減る連続技のレシピが簡単なキャラクターが多くなっています。35歳、相手キャラ別に変わる空中コンボを練習するのがそろそろきつくなってきました。

実際に発売後、ゴジラインでアップした記事には多くの反響があって、本作から格闘ゲームを始めるという方も多くいたようです。当時の初心者で、このゲームを未だにやり続けているプレイヤーも身の回りに多くいます。『ストリートファイター』というブランドがあるにしろ、自分が実感しているこの継続率はなかなかのものではないかと思っています。入り口が広く、敷居は格闘ゲームの中ではそれほど高くない、格闘ゲームのことをちょっと知っているプレイヤーなら熱い駆け引きもそれなりに楽しめる。非常に可能性に溢れた作品で、「対戦」の面白さは間違いない作品です。やりこむかどうかは別にして、たまに遊ぶ作品としても最適です。

と、対戦部分についてベタ誉めしてきたけれど、本作には、弱点も多くあります。不安定なオンラインモード、”対戦”以外のコンテンツがまだ未完成のように見えたこと、やや物足りなさを感じるストーリーモード。その問題の幾つかは解決され、現在は発売当時よりはずいぶん良くなったけれど、まだまだ「直して欲しい」と思うところは少なくありません。
不安定なオンラインモードに関しては、たまにガチャガチャと遊ぶ程度の自分でもストレスを感じるときがあるので、本作をやり込もうとしているプレイヤーからすればたまったものではないところも多いはず。国をまたいでいるゲームだからか、こうした不具合情報のアナウンスなども正確とは言い難い。直せよという声は随分上がっているのですが、その対応が遅いところを見ると、バグを直そうとして新たなバグが発生する負のループが発生している可能性も想像できます。

発売直後貧弱だったストーリーモードについては、現在はゼネラルストーリーモードというムービーなんかも入った大変豪華なものが実装されています。個人的にはこのストーリーモード、めちゃくちゃよくできてるし、ちゃんと格闘ゲームとしてのバトルも残していてゲームであることから逃げていない素晴らしいモードだと思うのですが、そもそも『ストリートファイター』シリーズでストーリーが評価軸になったことがほとんどないからか、良い、素晴らしいという声はあまり聞こえてきません。おれは良いと思うんだけどなあ。

△ゼネラルストーリーモードでは、『ストリートファイター5』の物語が大迫力で展開されます。

いろいろと弱点を抱えながらも、日本でも、世界でも、かなり盛り上がりのあるゲームになっているので、オンラインの海に繰り出せばとりあえず対戦相手には困りません。プレイヤー同士のレベル差を超えたマッチングなどの格闘ゲーム全体の課題もそこそこにはありますが、楽しもうとすれば環境だって作れますし、探せます。
あとは、格闘ゲームを【競技】として捉えるe-sportsの中心にいる作品であることはまちがいなく、イベントなども多いので観戦も楽しめます。格闘ゲーマーとして有名になったるぜという方は、現状ではこのタイトルの人気を無視できなくなっています。そういう人たちの熱い戦いを観戦するだけでも、なんだか上手くなった気がするし、楽しいです。

『THE KING OF FIGHTERS XIV』

次は『THE KING OF FIGHTERS XIV』の話。この作品は、お祭りゲーとして楽しんでいます。総勢50を超えるキャラクターが登場し、ストーリーモードも充実。今作の主人公チームは、中国チーム(シュンエイ、明天君、タン・フー・ルー)なのですが、このストーリーはSNK作品ファンならぐっとところがあります。『餓狼伝説』のテリー、アンディ、ギースなどを弟子に抱えてきたタンの最後の弟子である、シュンエイと明天君の物語は次回作に続くようなので、今後の展開にも期待です。まさか、あの男が生きていようとは!という衝撃のエンディングも、個人的にはかなりツボりました。

この作品も、オンライン対戦周りなどにバグを抱えていましたが、アップデートでさまざまな改善がされてきたことで、現在はかなり快適になりました。アナウンスと対応が早いのも魅力的です。多くのキャラクターを出すことを優先したためか若干物足りなかったグラフィックも、アップデートで見違えるようによくなりました。

△本作の主人公・シュンエイくん。

自分自身はこの作品を”やりこむ”という方向では遊んでいませんが、今でもたまに草薙京や八神庵、麻宮アテナをトレーニングモードでガチャガチャと動かしています。キャラクターの性能は、『KOF96』時代のものに近いので、昔このシリーズを遊んでいたプレイヤーならすぐにしっくりくる。連続技の要となるMAX発動も、一見難しそうに見えるけれど、そこそこのものなら、ちょっと練習すれば身につくカジュアルさも魅力です。

ただ、勝つことを追求していくと、過去の『KOF』シリーズから続くセオリーを身につける必要が出てきます。ゲームバランスが調整される前は、すべての『KOF』を過去にする女・ナコルルが大暴れしていたのですが、お咎めを食らってしまい普通の強キャラに戻ってしまいました。

△派手なコンボも基本操作を寄せ集めた形で組み立てられることが多いので、基本操作をしっかりと習得すれば、爽快なプレイフィールを味わえます。

2016年のゲームとはいえ、今年もまだまだ盛り上がりそうなこの2タイトル。格闘ゲームを遊んでおきたいという方は、買っておいて損はないかと思います。この2タイトルに関しては、家庭用優先のプラットフォームになっているので、すべてのプレイヤーが同じプレイ体験を得られるのも嬉しいところ。

ゲームセンターでリリースされているアーケード版と”バージョン”が異なる家庭用移植作品が多い中、これは非常に嬉しいことです。アーケードと家庭用、どちらか一方を優先されると、ゲームそのもののバランスやプレイフィールが異なるため、いまひとつプレイする気にならないおれのような格闘ゲーマーも多いのではないでしょうか。海外のe-sportsを観戦している時に、アーケードの日本先行タイトルも、なんだか微妙な雰囲気になることが多いので、ここは今後steamなどで溝を埋めるようにしてほしいといち格闘ゲームファンとしては願っています。メーカー側からすれば、アーケードの売り上げ、お金の問題もあるのでそう簡単に何かが変わるわけではなさそうですが。

おれはかなりの浅瀬プレイヤーですが、今年もこの2タイトルをパチャパチャと遊びたいと思います。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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