クイズゲームにギャルゲー要素を合わせた、(個人的)カプコン最萌タイトル『クイズなないろDREAMS 虹色町の奇跡』を遊んでいたら、寝不足気味の浅葉です。
この作品に初めて会ったのはおよそ20年前。
格闘ゲームでゲームセンターを熱狂させていたカプコンが突如繰り出してきたこのギャルゲー。
当時のギャルゲーの流れからはちょっと外した雰囲気のキャラクターデザインと、クイズゲーム、そしてアーケードゲームとは思えないボリュームのあるストーリーは、多くのプレイヤーたちを驚かせました。
このゲームで思い出すのは、地元のゲームセンターの思い出です。
当時から”ギャルゲー”というジャンルが大好きだったおれが嬉々としてこのゲームを遊んでいると、格闘ゲームしか遊ばないような友達なんかも寄ってきて。
ああだこうだとクイズの答えを言い合い始めて。最初にめぐみちゃんをクリアーした時は、5人くらいでプレイをしていました。
それから、1日1キャラクターずつ、すべてのシナリオを見るためにプレイをしていたら、どんどん周りに人が増えて、一度も話したことのない人まで集まって。
数日後には、そのゲーセンに来ているヤンキーなんかとも入り混じっていて、このゲームを中心に、いろいろなゲーマーたちが筐体を囲んでいました。
”クイズは難度が低めて、プレイヤーに優しい”部類の本作ですが、徳島の小さなゲームセンターに集まっていた僕たちはとにかくコインを積み上げて、コンティニューを繰り返す日々。自信満々にアドバイスされた答えが間違っていることなんてしょっちゅうで、多分おれを含めて、本当にみんなアホだったんでしょう。
ただそれも楽しい思い出へと繋がっていて、コインがなくなるから両替してきてとお願いすると、「俺持ってるわ、使えよ」とコインを筐体の上に置いてくれる人もいて。
数日間、その不思議な”虹色町”コミュニティは盛り上がりました。さすがカプコン、クイズゲームも面白いなあなんて語り合ったことも覚えています。
さすがに一通りエンディングを見ると、一気に人は減ったけれど、それでもちょくちょくプレイしていると、「またやってんのかよ」といろんなプレイヤーが集まってきました。
なんとなくそこで出来たちょっとした仲間意識はその後も健在で、ゲーセンで合うと挨拶をしたり。対戦をした後に、お互い感想を言い合ったり、それまでちょっとギスギスしていた空気がなくなったり。時には、シューティングを教えてもらったり、コンボを教えたり。『虹色町』をきっかけに、ギャルゲーっていいものでしょうと当時流行っていたギャルゲーを勧めたら、断られたこともありました。
毎日そのゲームセンターにいる人間だけがわかる、ささやかな変化がありました。
そんな忘れられない体験も、今でも遊びたくなる理由のひとつです。
電源パターンという、基板の電源を入れてから特定の流れの操作を入れることで、ゲームを進められるという裏技というか、グレーな攻略法なんかも後に広まりましたが、当時の僕らは知る由もなく。それどころかメモすら取らず、既出の問題も次の日には忘れまくるという状態。なぜか真面目にプレイしていました。格闘ゲームのハメやバグは大好物なのに。
その後に発売された家庭用では、ナビゲーターの妖精さんと敵のリンツを攻略するルートが増えました。
アーケード版の頃から、妖精さんのことが超カワイイと思ってたんだよなあとそのルートをクリアーしたら、いろいろな意味で衝撃を受け、未だ大好きなキャラクターです。
家庭用への移植に伴い、ヒロインの名字も、変わりました。アーケード版では、森永、江崎など、実在するお菓子メーカーの名称を名字にしていたのですが、配慮が働いたのか、森次、潮崎などに変更。アーケード版のプレイヤーなら、ちょっと違和感を覚えるところかもしれませんが、遊んでみると『虹色町』の魅力はひとつも衰えていないことがわかるはず。
そしてその家庭用から19年。
今改めてこの作品を遊ぶと、1990年代の一般常識クイズにピンとこなくなっていたり、芸能クイズがコアな問題のように感じられたり、ゲーム中の”現在”と今遊んでいるプレイヤーの現在は大きくかけ離れていることに驚きます。
そして一方で、20年の時が流れても、一向に色褪せない、これだけ”萌え”や”ギャルゲー”が溢れてしまった現在でも映えるキャラクターたちが、この作品に吐いたのです。
おれは結構、昔のギャルゲーをやり直すのですが、もの凄くハマっていたヒロインを改めて見直したときに、昔はこういうのが好きだったんだなと冷静になることも多いです。でも、『虹色町』のキャラクターたちは、今こうして遊んでみても、やっぱり、いいなあ、と思うのです。
アーケード版をプレイした頃は、好みにはあわないなと思っていたキャラクターたちも、なかなか可愛いじゃないかと思っている自分がいます。
自分の中の感覚が変わったのもあるんでしょう。
正直に言うと、いまだに魅力をかんじないヒロインもいるのですが、また何年か後に遊ぶと、違った感覚になっているのかもしれません。