9月21日に徳島県の四国大学交流プラザにて、『ストリートファイター6』を種目とするDNECUP 2025 in Tokushimaが開催された。本大会は2024年に開催された「BATTLE ARENA TOKUSHIMA 2024」に引き続き、徳島で開催される大型大会となっている。募集人数は256名で、賞金総額100万円。そして成績上位者2名(1位・2位)に対し、JeSUとのプロライセンス(説明はこちら)の発行が行われるとのことだ。

▲徳島県で開催されたDNE CUPは徳島のゲーミングチームDOPENESSが主催する『ストリートファイター6』の大型大会。徳島駅前の四国大学交流プラザにて、256名の参加者が集まる熱い大会が行われた。
国内『スト6』シーンでは、JeSUのプロライセンス獲得を目指すプレイヤーが増えてきている。プロゲーマーになるためには、企業から協賛を受けるほか、JeSUのプロライセンスを獲得するという道もある。そのため、「勝てば推薦が得られる大会」というのは、プロゲーマーを目指すプレイヤーにとってはまたとないチャンスとなる。こうした事情もあり、推薦制度のあるDNECUP 2025には、関西圏のプレイヤーはもちろん、関東圏からも多くのプレイヤーが参戦していた。
DNE CUP
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1日目に行われた256名からTOP24名まで絞る予選大会から白熱した戦いが繰り広げられた。上位を狙うプレイヤーはもちろん、徳島では珍しい大型大会に参加しにきたという地元のプレイヤーの姿も見られた。実績を積み上げてきた強豪プレイヤーたちが勝ち上がることが予想されたが、強豪プレイヤー同士のぶつかりあいや、関東圏の大型大会では見かけないプレイヤーの活躍などもあり、ベスト96が決まった時点で、意外な展開を見せる試合も数多く見られた。そんな中、しっかりと存在感を放っていたのは、強豪プレイヤーとして知られるおらりん選手。持ち味である鋭い攻めを活かし、多くのプレイヤーの防御をかいくぐって勝ち星を積み上げていた。

▲初日の予選大会会場は序盤は熱気に包まれ、後半は緊張感が満ちる空間となっていた。大会で敗北したプレイヤーも、勝ち進んでいるプレイヤーの試合を観戦したり、応援したりと、閉場まで多くの人で賑わっていた。
大会2日目の午前中に行われたベスト8を決める戦いは、初日にも増して緊張感あふれる試合となった。選手はもちろん、それを見守るギャラリーたちも試合が始まると真剣な面持ちで画面を見つめていた。配信などでゲームの大会を見ているとゲーム音が会場の配信にしっかり乗っているが、現地では多くの選手がヘッドセットをつけて対戦する。こうした事情もあり、大会現地では、配信に乗らない試合中はギャラリーにはゲーム音が聞こえない。試合を近くで見守っていると、聞こえてくるのは選手たちのコントローラーの操作音だけという緊張感のあるシーンも見られた。

▲大会二日目、午前中に行われたベスト8を決める戦いは、ギャラリーも真剣な面持ちで見守っていた。
2日目のベスト8からはストリートファイターリーグなどでおなじみのアール氏とハメコ。氏が実況と解説を担当した。アール氏の「いってみましょう」コールに応えた会場の観客席は満員。
ハイレベルな試合の数々に会場は熱気に包まれていた。

▲アール氏(左)とハメコ。氏。昨年、徳島で開かれた大型大会でも実況・解説を務めた二人が、今年も会場を熱く盛り上げていた。
ひときわ注目を集めていたのは、操作タイプ・モダンのブランカを巧みに操るゆかり選手。モダン操作のブランカは、崩しの武器がやや減るものの、モダンならではの強みであるワンボタン必殺技を活かした立ち回りで相手を圧倒していた。

▲ゆかり選手のモダンブランカは会場ギャラリーの興味を惹きつけていた。モダンタイプのブランカは、崩しが弱くなる……はずが、ゆかり選手の多彩な引出しの前に、多くのプレイヤーが崩されていった。
勢いよくザベス選手を下して迎えたゆずぽんず選手との試合では、操作タイプ・クラシックのブランカを投入するなどのユニークな戦術も披露してくれた。モダンとクラシックで同キャラを使うのはハードルの高いやりこみ要素だが、ゆかり選手は操作タイプによってゲームパッドを変更するという戦略を見せていた。
しかし、この試合はゆずぽんず選手が、ベガの攻めの強みと、独特なリズムかつ強気な攻めでゆかり選手にペースを握らせないまま勝つという展開に。型にはまった攻めも強力な『スト6』だが、立ち回りや攻めのバリエーションなどでベガというキャラの可能性を感じさせてくれる動きを見せたゆずぽんず選手には、会場から熱い声援が送られていた。

▲ゆずぽんず選手とゆかり選手の戦いでは、ユニークなバトルスタイルが会場を魅了していた。ギャラリーの応援が両プレイヤーに暖かく注がれる試合となった。
グランドファイナルはおらりん選手(W)ときんちょ選手(L)という見ごたえのあるカードに。おらりん選手は舞、きんちょ選手はテリーを選択し、『餓狼伝説』コラボキャラクターが激突する幕開けとなった。勢いよく勝ち上がってきたおらりん選手のスピーディーな攻めにどう対抗するか注目が集まったが、きんちょ選手はどっしりと構えて舞を迎え撃つ形に。攻めのきっかけを作るために使われる花蝶扇に対して、多彩な防御で凌ぎつつ、ねじこんだ通常技からしっかりコンボをつなげるという戦術で2試合を先取した。
L側のきんちょ選手によるリセットが見えてきたところで、おらりん選手はケンにキャラクターを変更。本バージョンではケンの弱体化もあり、他のキャラクターへの移行するプレイヤーも増えたが、切り札的に投入されたケンに会場は大盛り上がり。会場の熱気も味方につけつつ、おらりん選手の代名詞ともいえる、スピーディな攻めが炸裂し、瞬く間に2試合を取り返していく。ケンでの3試合目も、画面端だけではなく中央でも切れ味のある攻めを見せつけて見事優勝をもぎ取った。

▲左から実況のアール氏、プレゼンターのはぴかさん、準優勝のきんちょ氏、優勝のおらりん氏、三位のゆずぽんず氏、解説のハメコ。氏。写真はDOPENESS公式X(@dopeness2021)より引用。
徳島で『スト6』大型大会を!
DOPENESSのCEO・宮本さんのコメント

▲DOPENESSのCEO・宮本全人(まさひと)氏(左)と、COO・上木健嗣さん。二人の熱意が徳島県での『スト6』大型大会開催に漕ぎつけた。会場には、DOPENESS所属のストリーマーである”えよこ”さんのパネルも用意された。
――前回の「BATTLE ARENA TOKUSHIMA 2024」を経て、今回「DNECUP 2025 in Tokushima」を開催されました。今大会の開催の経緯と、手ごたえについてお聞かせください。
宮本:前回の大会は多くの人が協力してくれて、選手の皆さんの暖かい声に支えられた大会でした。結果として手ごたえを感じたので、次も是非やりたいと早いうちから考えていました。実は、前回の大会は、格闘ゲームの大型大会の開催経験がないところからのスタートだったんですよ。次にやる大会は、少し成長したところを見せたいという思いもありました。
――前回は128名、今回は256名規模の大会ですものね。しかも、参加締め切りまでに、定員が埋まったとお聞きしました。
宮本:エントリーを開始する前は、256名も集まるのだろうかと思ったりもしていました。いざ受付を開始すると、ものすごい勢いで選手の皆さんが登録をしてくれて安心しました。結果として256名の定員が埋まって、盛り上がる大会を開催できましたが、定員が埋まるということは、「出たくても出られなかった方」はやっぱりいるもので。次回はエントリー枠を増やすことも検討しています。前回の大会もそうですが、大型イベントの経験豊富なユニバーサルグラビティーさんが力を貸してくれたのは実施にあたって大きかったですね。僕たちDOPENESSと運営チームとしては、「今回は余裕を持って準備できる」と思っていたのですが、開催前はやっぱりそわそわしましたし、ドタバタすることもありましたね。
※ユニバーサルグラビティー……eスポーツイベントの制作、企画、運営などを手掛ける東京都の会社。代表の松田泰明氏はアーケード格闘ゲームの大会「闘劇」の運営としても知られており、プレイヤーからの人望も厚い。
――大型大会の運営は本当に大変ですものね。徳島で大型大会を開くことにした経緯についてもお聞かせください。
宮本:ひとつは、徳島を盛り上げたいという想いがまずあります。わたし自身、eスポーツに限らず、徳島のある地域の花火などいろいろなことに関わっているんです。eスポーツの場合は、大型大会を開催することで、県外の方も多く足を運んでくれますし、選手と一緒に徳島に遊びにくる感覚で会場まで来てくれている方もいます。いままでにない層が徳島に来てくれることでeスポーツならではのにぎわいを作れるのかなと考えているんです。もうひとつは、若い方がゲームに夢中になって、それどころか真剣に「競技」としてみるような時代がやってきています。そういう方々を応援したいという想いですね。
――今回の大会の手ごたえはいかがですか?
宮本:イベント後に改善すべきことなどは話し合っていきますが、いろいろな方の協力もあり、前回以上に手ごたえのある大会になりました。アールさんやハメコ。さんも、徳島の空気に少し馴染んでくれたかなと思っています。毎回、地元ネタを盛り込んで舞台でトークしてくれるのは嬉しいですね。選手が256名集まったあとは、ギャラリーがどれだけ来てくれるのかを心配していたのですが、おかげさまでこちらも立ち見がでるほどでした。今回は会場のスペースの都合上、立ち見が出てしまったので、次回はなにかしら対策をうちたいところですね。
――「次回」というキーワードが出ましたが、次回も開催する予定があるのでしょうか。
宮本:もちろんです。いまのところやるつもりではいますし、この大会が終ったら、また次に向けて動き出そうと思います。今年大会を発表したときに、「今年もやってくれるんですね」という声や、「続けてくれて嬉しいです」というお声もいただきました。今回の盛り上がりを是非次回に続けていきたいですね。
――最後はお決まりの質問ですが、記事の読者にメッセージをお願いします。
宮本:この大会を通じて徳島やDOPENESSというeスポーツチームを知ってくれる方がいると嬉しいですね。DNECUP 2025もDOPENESSもまだまだeスポーツの枠組みの中では小さな動きですが、これからもいろいろ仕掛けていこうと思っています。そのためには、僕たち自身が、チームを大きくしていくということに取り組まないといけないと思っているので、そこも頑張っていきます。応援、よろしくお願いします。
――ありがとうございました。

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様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。
