【浅葉のむだ話.01】クソゲーの効能

ゲームメディアでは「クソゲー」という言葉はタブーのようになっているが、確かに「クソゲー」は存在する。明らかに制作途中で力尽きたような作品や、過去の名作を模倣しようとしたもののまるで模倣できていないゲームなどにはもやもやとしたものを感じる。一応、前提として書いておくと、丁寧に情熱をこめてつくられた作品が、歯車が噛み合わずクソゲーの烙印を押されているという事例もあるけれど、僕はこうした作品をクソゲーとは思わない。面白い、面白くないという個人的な好みによるところではなく、明らかに手抜きとわかるものをクソゲーとしている。

かつては僕も、手抜きが明らかに分かるクソゲーを「つかまされた」ことに怒って、せっせとブログに書いていたことなどもあるのだが、最近では黙して語らないことにした。その理由はいくつかあるのだが、一番大きいのは、SNSなどの普及によって、クソゲーがすぐに周知されるようになったからだ。
僕は基本的に、神ゲーだろうがクソゲーだろうが、一度ゲームをクリアーしてからいろいろ書く性質なので、ファーストインプレッションが溢れがちなSNSや掲示板の速度に勝てない。僕がゲームを終える頃にはネット上でクソゲーの烙印が押されてしまっていることがほとんどだ。それを後から追いかけるような記事や発信を、わざわざしなくていいかなというのがここ数年のスタンスだ。面白いものを書くのと違って、クソゲーをクソゲーと証明するための発信は変な方向の活力が必要なので、できればそれほど頑張りたくない。(あとは、自分自身が、ジャンルは違えど、物作りにかかわる立場なので、名指しで何かをクソゲーと批判することに対して抵抗が出てきたというのもある。)

しかし最近は、さらに考え方が変わってきた。クソゲーがなくなってしまうと、自分のゲームライフがちょっと味気なくなるのかもしれないと思い始めたのだ。神ゲーばかり遊べればいいのかもしれないけれど、最近は、クソゲーがあるから神ゲーのありがたみが分かるのではと考えたりする。山あり、谷あり。神ゲーを噛み締められるのは、虚無を感じるクソゲーにあてた時間があるからなのかもしれない。2017年も、いろいろなゲームを遊んだ。神ゲーもあり、凡作もあり、クソゲーもあった。神ゲーに感動するとき、ふとクソゲーのことが頭をよぎる。
どこか比較することによって、面白さを噛み締めている部分は確かにある。このゲーム、クソゲーっぽいよなあ、と思いながらも、ついつい買ってしまうのは、そんな部分もあるのだ。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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