戦国時代の武将は秀吉が好きながちょです。10月某日、徳島の浅葉邸にてスーファミからGBまで色んな格ゲーを遊びたおしてきました。今回はそんな有象無象の格ゲーのなかでも特に面白かったPS1格ゲー『SAMURAI DEEPER KYO』の魅力を紹介していきたいと思います。
『SAMURAI DEEPER KYO』
発売日:2002/12/12
プラットフォーム:PlayStation
ジャンル:対戦アクション
発売元:バンダイ
週刊少年マガジンにて1999年から2006年のあいだ連載されていた上条明峰によるバトル漫画を原作とした格闘ゲーム。関ヶ原の戦いから4年後の日本を舞台としており、徳川家康、織田信長、真田幸村など史実上の人物が数多く登場する。
ディープだけどシンプルな格闘ゲーム
本作のシステムは攻撃は弱と強、必殺技は方向キーとボタン、ゲージ消費の秘奥義は2ボタン同時で発動と非常に簡単かつシンプルな造りになっています。ちょっと格闘ゲームをかじったことがある方なら、操作を覚えて3分で勝てるようになることでしょう。
そんなシンプル格ゲーの本作ですが独自システムが3つあります。パッケージ裏や公式サイトで「3つの新システム搭載!」、「格闘ゲームマニアをもうならせる、3つの新システム!」と煽っているシステムです。本作は『SAMURAI DEEPER KYO』格ゲー1作目で何を基準に新システムと言ってるのかはわかりませんが、目玉であることはわかります。ここでは、その目玉である“3つの新システム”と本作の特徴的なシステムやバグを紹介しましょう。
【新システム①】
交差の瞬間が勝敗を決める“相殺ラッシュ”
まず新システムひとつめの目玉が“相殺ラッシュ”です。技の攻撃判定と攻撃判定がぶつかると動作を中断し、両者が連続で突進しあったあとに五分の状況に戻るいわゆる相殺システムとなります。交錯した瞬間にボタンを押すとダメージを与えるのですが、最初のうちは何の意味があるのよくわからないぐらい地味なシステムです。
【新システム②】
時間切れなど許さない“サドンデスモード”
ふたつめの目玉は“サドンデスモード”です。いわゆる、時間切れになったあとの延長戦ですが、本作のサドンデスはほかのゲームのサドンデスとは一線を画します。
公式曰く「残った体力なんかで勝敗は決めさせない!“秘奥義のみの大技勝負でライバルを完膚無きまでにたたきのめせ!”」というモードです。要約すると、時間切れは残体力に関係なくサドンデスモードに突入し、ゲージ消費技の秘奥義だけがトドメを刺せるトンデモモードです。賢明な読者様ならもうお気づきでしょう……。そう、このモード秘奥義の性能差がそのままサドンデスの勝率に直結します。結果として何がおこるかというと秘奥義の性能がいいキャラは負けそうになると露骨に守りに入り、最後のサドンデスで秘奥義を決めて今までの攻防を台無しにするという戦法が浮上してきます。このモードさえなければ戦えたのに……というキャラも少なくありません。
【新システム③】
いつでも出てくる“アシストシステム”
3つ目の目玉“アシストシステム”は、時間経過で溜まるアシストゲージを消費することで味方キャラクター(アシスト)を呼び出せます。これだけならよくあるシステムですが、本作のアシストシステムはガード中だろうが食らい中だろうがいつでも発動できます。簡単に言うと無敵アシスト兼ガードキャンセル兼バーストみたいなシステムです。永パが蔓延る“SAMURAI DEEPER KYO”ですが、このいつでも出せるアシストのおかげで永パも許されている感はあります。
そんなシステム的に強いアシストですが、その中でも特に狂ったアシストが“四聖天のアキラ”です。高速移動から相手に接触した瞬間に3連斬りを放つ強行動で、拘束時間が長い上にジャンプで避けようとしても当たる攻撃判定の大きさが強み。アシストゲージの回復速度だけがやや遅い気がしますがそんなの関係なしに最強アシストでしょう。なお、プレイヤーキャラと同一のアシストを選ぶことができるのも本作のスゴいところ。プレイヤーキャラにアキラを選んでも、アキラが助けにきてくれるのです!
これぞキャラゲー!
相手をイラっとさせる“決め台詞フィニッシュ”
これは目玉システムではありませんが、個人的に好きなシステムをひとつ紹介しましょう。
本作の秘奥義は、発動時にカットインが出ますが、トドメを刺したとき限定で追加でカットインが発動します。このカットインには専用ボイスがついており、その演出や間も絶妙です。
あなたも聞いたでしょ
神風(かぜ)の清響(こえ)を
と中二病感あふれる台詞に合わせて、真横で同じ台詞で煽られると最高に煮えたぎってジタバタしたくなること請け合いです。
この決め台詞フィニッシュ、これからのキャラゲーにもぜひとも搭載していただきたいものです。
狂ったバグ
“連続ガード切り替え不能”
最後は本作のガード崩しを語る上で最重要システムと言っても過言ではない“連続ガード切り替え不能”バグを紹介。
“連続ガード切り替え不能”とは、簡単に説明すると連続ガード中は最初のガード方向が固定されるということです。一般的な格闘ゲームでは、連続ガード中はガードモーションが固定されるものの内部的には立ちとしゃがみの判定を切り替えられたりできます。が、このゲームは違います。ガード方向が固定される=内部的にも立ちとしゃがみの判定が固定されるため、中段→下段や下段→中段といった中下の連続ガード連係はガード不能になります。
これだけ聞くとすぐに悪い格ゲーオタクはジャンプ攻撃→下段でガード不能になるのではと邪推するかもしれません。しかし、ご安心ください。このゲームそこんとこよくできており、ジャンプ攻撃から着地後すぐにしゃがみ攻撃を出すと立ち攻撃に化けます。着地硬直が悪さしているのかはわかりませんがそういうことです。
ちなみに本作には起き上がりの回避行動がいっさいなく、無敵技や投げ技などの切り返しもできません。そのため、この連続ガード切り替え不能バグを使った連係を起き上がりに重ねられると受け入れるしかないのが辛いところです。
二夜漬けキャラランク
この項ではゴジラインのおっさんどもで一夜漬けならぬ二夜漬けで対戦して考えた適当キャラランクを紹介しましょう。浅瀬感満載ですが、とりあえず上のキャラを触ればわりと勝てるので、友だちと殺り合うときの参考にどうぞ。
鬼目の狂
対空攻撃や優秀な2段ジャンプ攻撃など接近戦に優れたキャラ。最初は微妙かと思われたもののダウンする中段突進と下段突進で一生択り続けるチンパンスタイルが判明し、読み勝てば勝てると評価が上昇しました。このゲーム、コンボ補正が重いため単発でヤルスタイルわりと強いです。
梵天丸
ステゴロで戦ういわゆる投げキャラ。判定の強いボディプレスで近づき、起き上がりに投げと打撃のシンプル択でハメてきます。打撃からは永パがあるのでなかなかのプレッシャーです。
影法師の紅虎
判定が強くめくれるジャンプ攻撃に、優秀なリーチの技で戦う立ち回り系のキャラ。対空行動が弱い本作でちゃんと対空を持っているのも高評価。突進タイプの秘奥義は発生とリーチに優れており、投げ始動やアシストヒット始動など色んなとこから繋げやすいのもポイントです。
壬生京四郎
飛び道具と当身対空を持つスタンダードぽいキャラに見せたクソキャラ。
このキャラの何がすごいかというと中段技に異常に恵まれていることでしょう。例えば、牽制攻撃に見えるリーチの長い横突きが中段判定です。さらに中下が混じったコンビネーションがあり、最後の突きが中段判定でダウンします。もうわかりますね、こいつのコンビネーションはハメです。
京四郎のスゴ技最終兵器が秘奥義“無明神風流殺人剣 みずち”です。攻撃発生が早いだけでなく、攻撃判定が縦横に長くパなしや対空などに使える優秀な技なんですが、なぜか中段判定の秘奥義だったりします。しゃがみ弱→みずちは当然ガード不能です。
中段判定の秘奥義とか設定ミスなんじゃないかと疑ったものの公式サイトの京四郎の説明にこんな一文が。
「秘奥義“みずち”は屈指の高性能技で、京四郎の恐ろしさに磨きをかけているぞ!!」
これは故意的ですね……。同じKYOである鬼眼の狂の“無明神風流殺人剣 みずち”は中段でないあたり露骨な格差を感じて仕方ありません。
番外:躯
隠しキャラ。攻撃するたびにアーマー判定がついてます。アーマー中段突進から超必が決まった瞬間にキャラゲーのラスボスと判断され即座に出禁認定です。
やや大味ではあるものの演出面などかなり優れた作品である『SAMURAI DEEPER KYO』。キャラゲーとしてかなりデキがいい作品なのではないでしょうか。このころの作品はオンライン対戦がロクになかった時代なので、今オフライン対戦で実際に対戦してみるといろんな発見があるのもいいですね。
今後もゴジラインでは過去の名作や迷作格ゲーを発掘したときに紹介していきたいと思います。それでは。
がちょ
この男が作ったフレーム表は数知れず。
持ち前の調べもの力を活かして、キャラゲーの発売初日に永久コンボをひっさげて現れることも珍しくない。
「走ってきて無敵技しか打たない」と言われるほどの力強いプレイスタイルは、ゴジラインでも異彩を放っている。
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