【MAAB特別企画.02】『ミリオンアーサー アルカナブラッド』×『聖剣伝説』、不思議なコラボの交差点【琢磨尚文氏・小山田将氏インタビュー】

2D格闘ゲーム『ミリオンアーサー アルカナブラッド』に、『聖剣伝説3』のリースがプレイアブルキャラクターとして登場することが発表された。今回の記事では、両作品のキーマンを取材し、スクウェア・エニックスの新風として話題沸騰中の『ミリオンアーサー アルカナブラッド』と、語り継がれる名作『聖剣伝説』の交差点を探る。二人のプロデューサーが語る、不思議なコラボの源泉と展望に注目だ。

△スクウェア・エニックス初の2D格闘ゲーム『ミリオンアーサー アルカナブラッド』に『聖剣伝説』のリースが登場!

△『ミリオンアーサー アルカナブラッド』のプロデューサー・琢磨尚文氏(左)と、『聖剣伝説』シリーズのプロデューサー小山田将氏(右)による対談が実現。奇跡のコラボはどう生まれたのか、お二人に話を伺った。

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琢磨尚文:『ミリオンアーサー アルカナブラッド』プロデューサー。ゲームセンターに通い詰めていた時期もあるという、「ガチ」の格闘ゲーマーでもある。

小山田将:『聖剣伝説』シリーズプロデューサー。2017年6月1日に発売された『聖剣伝説コレクション』の制作指揮も務めた。

※記事内では、『ミリオンアーサー アルカナブラッド』を、略称の『MAAB』と表記している。

『ミリオンアーサー』×『聖剣伝説』
コラボのきっかけは

——早速ですが、このコラボが立ち上がった経緯についてお聞かせください。

琢磨:『ミリオンアーサー』の格闘ゲームを作るというプロジェクトを立ち上げたときに、自社のIPとのコラボをするというのはいち早く構想に入れていました。僕は、小山田とは付き合いが長いので、「いつか格闘ゲームを作りたい」と何度か話していたんです。そこで、企画が動き始めたときに、『聖剣伝説3』のリースを登場させたいという話を持ち掛けました。

小山田:最初に琢磨から話をふられたときは、絵面が変じゃなければいいよという返答をしたと思います(笑)ゲームでのコラボって、スマートフォンゲームから拡大していったところがあると思っていて、『ミリオンアーサー』でコラボを行うのは自然なような気がしたんです。それに、コラボをすることで『聖剣伝説』の活性化にもつながると思っているんですよ。特に『ミリオンアーサー』は若い世代のプレイヤーが多いコンテンツなので、大人たちから支持されている『聖剣伝説』が絡むことで、面白い反応が得られるかなと思いました。

琢磨:『聖剣伝説』のリース目当てで『MAAB』を始めて、そこから『ミリオンアーサー』に興味をもってもらえるという流れも僕たちとしては大歓迎なんです。

——スマートフォンゲームでのコラボの流行は、いろいろな垣根を取り払っていった印象がありますね。『聖剣伝説コレクション』の発売日と近いタイミングでの発表だったので、なおさら驚きました。

小山田:コラボの話をもらったときに『聖剣伝説コレクション』も動いていたので、タイミングは少し意識しました。意外だったのは、発表したときの反響ですね。びっくりするくらい拡散されて、格闘ゲームとリースの不思議なコラボの手ごたえを感じましたね。

『聖剣伝説コレクション』
発売日:2017年6月1日
価格:4,800円+税
対応機種:Nintendo Switch
プレイ人数:1〜3人(『聖剣伝説2』、『聖剣伝説3』のみオフラインマルチプレイ対応
CERO:B(12歳以上対象)

琢磨:『聖剣伝説』って、僕のような30近い人間からすると「レジェンドタイトル」のひとつなんですよね。反応してくれた方々の多くは、僕らと近い年の方々じゃないかなと思います。

——コラボを発表したとき、社内の反応はいかがでしたか?

琢磨:社内のベテランの方からすると、『聖剣伝説』というのは、思い入れはあるものの、ユーザーの人気というのはいまいちピンと来ていないようなんですよ。コラボするんですよと言ったときも、「ふーん、面白そうだね」という反応の方がいて、もっと「うぉーっ!」とかなると思ったんですけど(笑)それが、発表してみたら、もの凄い反響だったので、社内でも「やっぱり『聖剣伝説』って凄い」と見直すきっかけになった気がしますね(笑)Twitterでの反応は、僕らも驚きました。

小山田:『聖剣伝説コレクション』も、同僚はみんな応援はしてくれていたんですが、「売れるといいね」みたいなニュアンスの人もいて(笑)実際に発売してみたら、こちらも想像以上の反響がありました。

『聖剣伝説』ファンが納得する
リースのデザインができるまで

——『MAAB』は格闘ゲームなので、動作の数がとても多くなっています。しかも、『聖剣伝説3』のときよりも、より情報量の多いビジュアルを見せられる時代となっていますが、こうした条件、環境の中で、リースを表現するときにこだわったことはありますか?

琢磨:まずは、絵コンテを立ち上げていきました。おっしゃる通り、『聖剣伝説3』は今でいうとクラシックなドット絵ですが、ここから動きの雰囲気などを掴んでいます。そして、当時の設定画などもチームアルカナに共有して、『MAAB』のリースを打ち出しました。小山田が監修してくれているので、ファンの皆様にも安心して見ていただけるはずです。

小山田:チームアルカナの方々も、ゲームや資料を読み込んでいるので、リースのポイントをおさえたキャラクターになっていると思います。僕としては、こうしたコラボで絵素材が増えるというのはとても楽しいです。ゲーム内では、昔に比べて情報量が増えているので、『聖剣伝説3』のあとに『MAAB』を遊ぶと、びっくりするかもしれませんね。

琢磨:『聖剣伝説3』の頃は、ドット絵を見ながら、プレイヤーが頭の中でキャラクターのビジュアルや喋り方を妄想するという部分が少なからずありました。情報量の増えた現在の技術でキャラクターを描写すると、そういった想像や妄想の余地が減ってしまうので、「これじゃない感」が出てしまうと目立ってしまうんですよ。ただ、小山田やチームアルカナのメンバーのおかげで、これはリースだよねというキャラクターになっているので、楽しみにしていてください。

△こちらはリースの超必殺技の流星衝の絵コンテ。

小山田:コラボとはいえ、リースにはちゃんとストーリーが用意されているんですよ。『MAAB』のリースは、『聖剣伝説3』の物語の途中という設定もあります。

琢磨:まだ発表していない情報が(笑)『MAAB』では、一人用モードにストーリーをのせているのですが、コラボキャラクターのリースにも用意しています。アーケードゲームなので、やはりメインはバトルになりますが、ファンの方はもちろん、リースのことを知らない人でも興味がわくようなものになっています。

——リースのキャラクターカラーについては、オリジナルのもの以外でどのようなものを予定しているのでしょうか。

琢磨:オリジナルにもいくつかカラーバリエーションがあるので、それを参考にして作っています。ただ、格闘ゲームって、たくさんのカラーがあるほうが楽しいと思うので、不思議な色も作りたいですね。どうですか?(笑)

小山田:あまり逸脱しすぎなければ、とここでは返事をしておきます(笑)実は僕は、格闘ゲームは『ストリートファイターII』くらいで止まっているんですよ。琢磨は現役のプレイヤーなので、格闘ゲームファンが喜ぶポイントをわかっているので、カラーの話などは「確かにそうなのかもと思いますが」。うーん(笑)

琢磨:カラーバリエーションの多い格闘ゲームだと、あえて変わったカラーを使うというプレイヤーも少なくないんですよ。ゾンビのように白っぽいカラーなんかも、好んで使う人がいますよね。そういう人は、だいたいめちゃくちゃ強かったりするんです。

小山田:まだ時間はあるので、じっくり話し合いましょう(笑)

——キャラクターカラーがどうなるか、楽しみにしておきます(笑)リースとともに、ホークアイがサポート騎士として登場することが発表されました。こちらは、どのような経緯で選んだのでしょうか。

琢磨:リースを出すなら、サポート騎士にも誰か入れようと考えたときに、ホークアイが一番に浮かんだんです。人気の高いキャラクターですし、リースとのセットは映えますから。使い勝手のいいサポートなので、いろいろな構成に組み込めると思います。

△ホークアイはサポート騎士として登場。

——リースは、どのようなスタイルで戦うキャラクターなのでしょうか。

琢磨:リーチの長い槍を使った攻撃を得意とするキャラクターですね。とはいえ、原作のイメージもあり、ある程度の素早さも兼ね備えています。格闘ゲームで「長い、早い」というのはだいたい強くなりすぎてしまうので、バランス調整は難しくなりそうですね。

小山田:コラボキャラクターが強すぎても違和感ありますし、弱すぎると寂しいですよね。

琢磨:プレッシャーをかけるのはやめてください(笑)ホークアイとの相性がいいように作りたいなとか、いろいろと頭を悩ませているところですね。クラシックな格闘ゲームを遊んでいた世代にも刺さるキャラクターなので、敷居は低めに設計しています。

△リースは、槍によるリーチの長い攻撃を得意とするキャラクターとなっている。

格闘ゲームという新たな舞台に
両プロデューサーが期待するもの

——『MAAB』はゲームセンターで稼働する作品ですが、この作品に期待することをお聞かせください。

琢磨:この作品をきっかけに、みんなにゲームセンターや対戦格闘ゲームの楽しみを知ってほしいですね。格闘ゲームって、うまくないと楽しめないわけではないんですよ。スポーツのようなもので、自分のスタイルに合わせて楽しむこともできます。オンライン対戦もあるので、気楽に遊んでほしいですね。

小山田:『ミリオンアーサー』に『聖剣伝説』、そこにゲームセンターと格闘ゲームファンが加わって、どんな反応が起きるのか楽しみですね。大会などがあれば、こっそり様子を見に行きたいと思います。僕自身、今のゲームセンターというものには疎いので、このタイトルをきっかけに接点ができるのは楽しみです。

——時間も残り少なくなってきたので、ズバリお聞きしますが、稼働後に新しいコラボなどは考えているのでしょうか。

小山田:どうなんですか?

琢磨:稼働後の評判次第ですかね(笑)スクウェア・エニックスには、楽しいIPがたくさんありますから、前向きに検討しています。

小山田:『ファイナルファンタジーXIV』のチームも、格闘ゲーム風の動画をイベントで出展していましたけど、XIVのキャラクターなどが出てくると楽しそうですね。

琢磨:スクウェア・エニックスにはいろいろな人がいるんですが、格闘ゲームが好きな人も少なからずいるような気がしますね。「2D格闘ゲーム作ってるの?」と声を掛けてくれる人も増えたんですよ。

——本作の稼働と、リースの登場を楽しみにしているファンの方に、メッセージをお願いします。

琢磨:スクウェア・エニックス初の2D格闘ゲームの本作をよろしくお願いします。ちなみに、リースとホークアイは稼働日から使えるので、気になる方は初日にゲームセンターに行ってみてください。

小山田:リースをきっかけに『MAAB』を遊ぶ人は、『ミリオンアーサー』の世界も楽しんでみてください。『MAAB』で初めてリースを見るという人は、『聖剣伝説』もよろしくお願いします。シリーズ作品が遊べる『聖剣伝説コレクション』は、お手頃価格で販売しておりますので(笑)

『ミリオンアーサー アルカナブラッド』ロケーションテストのお知らせ
【開催日時】
2017年9月9日、10日
AM11:00〜PM22:00【開催店舗】
北海道「MAXIM HERO」
仙台「タイトーステーション 仙台クリスロード店」
秋葉原「Hey」
愛知「タイトーステーション 大須店」
大阪「タイトーステーション 梅三小路店」
博多「タイトーステーション 福岡天神店」

※本イベントは無料体験会ではございません。ゲームのプレイは有料となります。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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