おれは、ゲーム内の育成、コンテンツコンプリート効率が著しく低下するver1.04アップデートを避けるため、オンラインから遮断された『ソードアート・オンライン ホロウ・リアリゼーション』のなかにとどまることを選んだ。
しかし、そんな決意を揺さぶるかのような連絡が、アップデート組のHAMEから入った。
HAME「新コンテンツのサクラメンツ・インベージョン楽しいよ。アプデで増えた装備とかも強い。全体的に火力下がったけど、ゲームのバランスとしてはよくなったのかもしれんな」
おれ「お前、アップデートしちまったのかよ。熟練度は、好感度は?」
HAME「あれ、あなた、まだトロコン(トロフィーコンプリート)しておらず?」
おれ「まさか、お前、前のバージョンで連コン(自動連打機能つきコントローラー)放置をやりきったのかよ」
HAME「アップデート来る前に終わったよ。リアルアーケードプロの連打機能、マジで役だったわ。200時間は連打コントローラー繋いで放置してたな」
完全に出遅れた。慢心が大きな差となったことに絶望すら覚える。連コン放置プレイの存在は知っていたものの、PS4をつけっぱなしにしていなければならないということを嫌がっていたおれの負けだ。だって、『The Elder Scrolls V: Skyrim SPECIAL EDITION』もやりたかったんだよ!
これはますます、安易にアップデートをかけるわけにはいかなくなった。
全部武器の熟練度をあげるために、自動回復持ちのスライムに投擲を連打パッドで放置する作業に戻らなければならない。
そして、全キャラクターの好感度を最大にするため、1キャラクター4時間、連打パッドを使って話しかけ続ける作業を終えなければならない。好感度をMAXにしなければいけないキャラクターは10キャラ以上いるため、この作業だけで40時間かかる。面倒な作業を全て終えるか、11月17日のアップデートやっぱ廃止します、もしくは、もっと美味しい稼ぎ方を追加しましたとかにならない限り、おれはソードアート・オフラインの世界に閉じこもらなければならない。そうしないと、おれが4000円で買った連打ホールド機能付きのHORIPAD FPS+の存在理由がなくなってしまう。
いつまで続くんだ、この孤独な闘い(放置)はと思っていたら。
2016年11月18日のブログをアップしたあとに、『ソードアート・オンライン ホロウ・リアリゼーション』公式サイトに以下のような動きがあった。
平素より本作をお楽しみいただき誠にありがとうございます。
2016年11月17日(木)に配信致しましたアップデートデータVer1.04「サクラメンツ・インベージョン第一弾」におきまして、仕様の調整、変更内容に関し、お客様から多数のご意見を頂戴しております。従来の仕様にてお楽しみいただいていたお客様からは、プレイに影響が出るとのお声も頂戴しております。皆様から頂戴したお声を受けまして、近日中に追加のパッチを配信させていただきます。
(『SAOHR公式サイトより引用』)
1.04にアップデートすることを避けたおれのようなプレイヤーはもちろん、アップデートをして”作業”の効率化が図れずに不満を抱えるプレイヤーなども多かったのだろう。好感度まわりにも”あげやすくする”方向の修正が入るようだ。
Ver.1.04では、非常に好感度が上げ辛い状況となっている事を認識しており、こちらを改善致します。
・Ver.1.04以前の上昇バランスへと修正致します
・親密会話における好感度の獲得量を増加を致します
・バトル中のイイねによって上昇する好感度量をアップ致します
・スキルアライドによって上昇する好感度量を大幅にアップ致します
・親密会話における近づきやすさを改善致します
(『SAOHR公式サイトより引用』)
なるほど。これなら確かに連打コントローラー放置に頼らなくてもいいかもしれない。40時間近くPS4の電源をつけっぱなしにして遊ぶコンテンツから一歩先に進むのだろうか。
これだけユーザーの反応に迅速に対応してくれる運営はスゴイ。
1.05もあることだし、安心して1.04にアップデートできるな!
と、いうわけにはいかない。
制作側の対応の速さは素晴らしく、ユーザーのほうを向いているということがひしひしと伝わってくる。アップデートのハードルが下がった今でも、不具合を抱えたまま放置されたり、どうしようもないゲームがアップデートも踏まず放置されることが多いことを考えると、本作の運営はめちゃくちゃ素晴らしいことは間違いない。
しかし具体案を出すのが早すぎるようにも感じる。1.04アップデートが行われたのが11月17日で、その対応策の具体案が発表されたのが11月18日。1.04アップデートのリリースから一日で出てきた具体案を、すぐに信じることができないのだ。ユーザーの意見に対して、迅速すぎるアップデートは、本当に大事な部分の意見が拾いきれておらず、実際施されてみると微妙なアップデートだったということも少なくない。時間をかけていろいろな意見を集約し、吟味したうえでのアップデートに比べて、ちょっと信用がおけない。実際に、過去にそういう事例も多い。
だから、おれは1.05が来るまで、このままソードアート・オフラインの世界に籠る。
1.04パッチは、トロフィーまわりに必要な、”作業”のバランスがちょっとやりすぎた感のあるこのゲームで、ユーザー側が工夫として見つけた”熟練度、好感度稼ぎ”に途中で乱暴に単純に蓋をしてしまったのがよくなかったのではないだろうか。特に後者の好感度稼ぎは、ゲーム性の一部ではあるものの、その過程は本当に作業なので、ここで連打コントローラーが登場するのも無理もない話だ。開発側はこのコンテンツのテストプレイやデバックに際して、全キャラ自分でプレイしたのかと聞いてみたい。そしてこの要素がやりこみを示すトロフィーと直結しているのがなんだかもやもやする部分で、”ただ時間のかかるトロフィーをつけておけばいい”というように受け取れてしまう。おれの大好きな『スターオーシャン4』も素晴らしいゲームだったけれど、作業だけで数百時間かかるトロフィーだけは、ドヤできるコンテンツではあるものの、集めている当人はとにかく面白くないものだったなあと思い出しながら、おれは勝手に動くキリトさんを横目に、このブログを書き終えた。