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290年代の家庭用格闘ゲームシーンを賑わした『あすか120%』シリーズをご存知だろうか。
一見ゆるふわな美少女格闘ゲームに見える本作だが、一度対戦が始まるとガードキャンセル、相殺、オートガードなど、当時にして最先端のシステムをぶつけ合うスピーディで熱っぽい戦いがスタートする。20年以上前の作品ながら、今の格闘ゲームと比較しても新しく、オリジナリティのある要素も少なくないというのだから驚きだ。
今回の記事では、シリーズ作品の一つ『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』に情熱を捧げる現役プレイヤーに本作の魅力と対戦シーンを尋ねた。
発売日:1996年3月29日
プラットフォーム:プレイステーション(※)
※現在はプレイステーションゲームアーカイブスでも配信中)
発売元:ファミリーソフト
みやざき 氏:『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』の現役プレイヤー。10年ほど対戦シーンから遠のいていたが、久々の対戦を経て本作の魅力を再確認。九州の宮崎県に住みながら東京での対戦会も企画する『あすか』コミュニティのキーマン。twitter ID:@miyazaki_desu
聞き手:浅葉たいが
『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』に
初期版と後期版があるって知ってますか?
――今日、お話を聞くのをとても楽しみにしていました。僕のような、90年代から格闘ゲームにのめり込んでいるプレイヤーの中には、『あすか120%』シリーズの対戦を通った人も多いと思うんです。僕は、プレイステーションとサターンを中心に遊びました。最近になってサントラが出たりして、実は長くファンに支えられているコンテンツだなという印象です。
みやざき:私はプレイステーションのスペシャルで初めて『あすか120%』シリーズに触れたのですが、発売当時から”いろいろなことができるゲーム”ということで、とても楽しく遊んでいました。当時のゲームにしては自由度が凄くて、プレイすることがとにかく楽しかったんですよ。それで、一番自分に合っているなと思ったのが『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』のVer2(バージョン2)なんですね。
県外の対戦仲間もスペシャル派が多くて、98年から09年頃までは年に数回遠征して対戦していました。その後、仕事が忙しくなったりして対戦してくれる人が少なくなったこともあって10年程対戦から遠ざかってましたが、昨年ネットを見ていたら、このゲームが有志の”対戦会”の種目となっているのを知ったんです。そこで、久々に非日常を味わいたいと参加したのですが、やっぱりいいなあと(笑)それをきっかけに対戦会に参加したり、イベントを開催するようになってしまいました。復帰と同時にtwitterを始めたのですが、当時対戦していたメンバーが次々に見つかり、現役復帰してくれたのが嬉しかったですね。
ex.01動画でサクッと
『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』を知る
まず最初に、『あすか120%』コミュニティのもう一人のキーマンである「わたよ」(twitterID:@GENRyuK)氏が製作した、『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』解説動画を掲載する。かつてプレイしていたという人は、懐かしく眺められる部分も多いはず。そのうえで攻略の最先端にも触れた見応え十分の動画となっているので、是非チェックしてもらいたい。
――『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』のVer2。僕も『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』は遊んだのですが、ver2というのは聞いたことがありません。これは、バージョン違いということでしょうか。
みやざき:ver2というのはプレイステーション版の、再販分のことを指しています。メーカーが公式にVer2ですよと言ったことはないのですが、実はこのゲームの初期版と再販版には違いがあるんです。Ver.2では性能がおかしかった技が修正されたり、ロード時間が半分になったりと色々修正されているのですが、対戦システム上の大きな違いは、空中コンボのルールです。初期版は、空中で技を当てるとすぐに復帰されてあまりつながらないのですが、ver2ではいろんな空中コンボが組み立てられるようになっています。個人的には、このver2がシリーズ作品の中で、一番バランスが良くて駆け引きが熱いと思ってます。
――『あすか120%ファイナル BURNING Fest.』は、『ストリートファイターZERO』のオリジナルコンボのような要素が増えた作品なのでちょっと毛色が違うとして、セガサターン版の『あすか120%リミテッド BURNING Fest.』とはまた駆け引きが違うのでしょうか。
みやざき:セガサターン版も対戦していて楽しさはあるのですが、個人的には同時押しの暴発がしやすいところがちょっと気になりました。あとは、スーパージャンプのでかかりに無敵があるので、攻めの流れを止められやすいんです。もともと『あすか120%』シリーズは、防御システムが強い作品なのですが、ハイジャンプを咎める方法が少なく、試合がちょっと冗長に感じました。
ファイナルは、攻撃のヒット感や技のダメージが低すぎる事があまり私の好みに合わなくて、それほどやりこみめませんでしたね。ただ、あすか120%はどのシリーズも一長一短があってそれぞれにファンがいるというのは強調しておきたいですね。シリーズの他の作品が嫌いというわけではなくて、対戦してくれるなら大歓迎なんですが、攻防のバランスやコンボの長さ等がちょうど良く、自分で最も熱くなれるのが『スペシャル』のver2だったというのが正直な話です。
――なるほど”好み”というのは大事ですね。ところで、『スペシャル』のVer2は、メーカーが公式に謳っていないとのことでしたが、初期版と見分ける方法があるのでしょうか。
みやざき:Ver2はCDのジャケット右下に黒い丸がついています。これを注意していれば見分けられるのですが、問題は多くの中古ゲーム屋ってジャケットとCDが別管理されているので、ジャケットと中身が一致しないことがあるんです。なので、中古で買う場合は”ガチャ”のような感覚ですね。難しいのですが、可能な限り購入前に動作確認することをお勧めします。事前に質問できる場合は、購入先に聞いてみると良いかもしれませんね。
ほかにも見分ける方法はいくつかあるのですが、わかりやすいのは起動後に表示される「Fill in Cafe」ロゴの残像で、赤いのがVer.2、青いのがVer.1です。絶対に間違いが起こらないのは、プレイステーションアーカイブスで配信されているものを遊ぶことです。これはVer2が配信されているんです。ただ、問題も少しあってですね、プレイステーション3で遊ぶと実機と比べて3フレームくらいのインプットラグが出るんです。そういうものだと慣れてしまえば十分遊べるんですが、きっちりした環境を求めるなら初代プレイステーション、プレイステーション2で遊ぶのが良いかもしれませんね。ちなみに、アーカイブスでもPSPだとラグは無いらしいのですが、対戦が出来ないのが惜しいですね。
――みやざきさんは、どういった環境で遊んでいるのでしょうか。
みやざき:初代プレイステーション(SCPH-1000)と純正パッドで遊んでいます。SCPH-1000はAVマルチに加えてビデオ出力とS端子があって、分配しなくても録画ができるスグレモノなんです。コントローラーについては、アナログスティックは邪魔です。一生遊べるよう、アナログスティックが無いものを幾つか確保しています。モニターは、家ではブラウン管ですが、対戦交流会のためにアナログの液晶モニターを収集しています。対戦交流会も本当はブラウン管でやりたいんですけど、対戦会とかで使うことを考えると輸送が課題になるので、やむをえずです(笑)変換器をかませると遅延してしまうようなので、持ちやすさと遊びの再現度を追求したらここに行き着きました。最近ハマっていたのが、アナログの液晶モニターで遅延のないものを探すことですね。
――モニターの遅延検証などもしているんですね(笑)
みやざき:分配器を通して映像をブラウン管とモニターに分けて、デジタルカメラで撮影した映像を、コマ送りして確認しています。私が試した範囲だと、AQUOSの4:3モデルは遅延がほぼありません(0.5フレーム程度)し画質も良いです。後期モデルのLC-●●(13、15、20とインチ数が入ります)S4やSX7aあたりが良い感触です。このテレビはビデオ、S、Dと入力端子も豊富な上に、出力もついているんですよ。録画機やプロジェクターに出力できるというのはあまりにも便利です。出力も遅延が無いので、2台つなげてEVOみたいに向かい合って対戦もできますよ。もちろん、カジュアルに遊ぶなら、ここまでやる必要は全然なくて、プレイステーションアーカイブスで遊んでも十分楽しいんです。興味のある人がいたら、なるべく簡単に用意できる環境で遊んでみて、ハマったらその先を考える方が良いと思いますね。
――みやざきさんが環境にこだわり始めたきっかけについてお聞かせください。
みやざき:きっかけは、対戦会であすかが種目として選ばれていて、それに参加したことですね。10年くらいあまり触れていなかった状態で、対戦会があるということで家で少し練習したんです。そのときは環境などをあまり考えずにエミュレーターで練習して、そこそこ動くようになったつもりだったんですが、対戦会では主催者のこだわりでブラウン管が設置されていて、慣れるまで目押し系の全然コンボが入りませんでした。後で調べてみたら、3フレームくらい遅延があることが分かり、わずかな遅延で結構違うものだなあと感じました。
やりこむと見えてくる
『あすか120%』の本当の姿
――『スペシャル』 ver2のセオリーについてお聞かせください。僕が昔プレイしていた印象だと、特にゲージを使うことなく繰り出せるガードキャンセルが強くて、体力差がつくと負けている側の攻撃力がめちゃくちゃ上がって、ぶっちゃけると”大味”なゲームだと思っていました。この認識って、間違っていますかね?
みやざき:ガードキャンセルが強くて、体力差があっても逆転が起きやすくなるので油断ができないというのは間違っていないですね。体力をリードしていると”気絶”のリスクも高まるので、緊張感は凄いです。気絶については、ゴジラインさんの『真サムライスピリッツ』の記事を読んで驚いたのですが、このゲームも近い仕様になっています。打撃をくらわない時間が3秒続くと一気に蓄積されていた気絶値が回復するという仕様です。キャラにより気絶耐久値に違いがあるのですが、このゲームはコンボを食らって、次の攻めをくらうと気絶してしまう事が多いんです。最後の攻撃を受けてから3秒なので、コンボの後はこの事を意識した攻防が繰り広げられます。
さらに、体力差がある時の逆転性というところが絡んでくるので、実際の対戦はもっと緊張感があります。実は、総体力の6分の1以上、相手の体力をリードしてしまうと、この気絶回復時間が延長されて6.7秒になるんです。リードが広がりすぎると、一気に気絶のリスクが高まるんですね。攻撃力もあがっているので、大逆転へとつながります。これが”大味”と言われるあすかの仕様です。しかし、ただ”大味”かというと、そうではないと感じています。これは私も外に出て対戦するようになって驚いたのですが”強い人は強い”んですよ。強い人は、体力差による補正も意識しながら行動を組み立てています。狭いコミュニティでプレイしていた頃は”面白いけどこのゲームって運ゲーじゃないの”と思うことも少なくなかったんですが、実際はそうではなかったというのが驚きでした。ハイレベルなプレイヤーが揃う中で、連勝を積み重ねている人もいたりします。
――なるほど、とても興味深いです。僕らのプレイを思い返してみると、とにかく減る技で攻めを組み立てて、触られた側はガーキャン、ガーキャンにさらに強そうな技をかちあててメチャクチャにしに行くという感じでした。あすかの超フェノメノンクラッシュとか、すごく強いなあと思ったいたんです。でも、プレイしている時は、強弱とかあんまり考えてなくて、爽快で楽しいという部分が大好きだったんですよ。
みやざき:浅葉さんの持っているイメージと近い人は多いでしょうね。そこからもう一歩、戦術を考えていくと、ちょっと違った世界が見えるかもしれません。このゲームは他の格闘ゲームだと対戦バランスが破綻してしまうような
・超強い攻め(チェーンコンボ、超速の中段、1フレ投げ、スキが少ない必殺技)
・超強い反撃(どこでもガーキャン、無敵が長い必殺技、相殺)
・超強い回避(避け、バックダッシュ、ジャンプ、オートガード)
があるのですが、これらが組み合わさることでギリギリのところで対戦バランスが成立していて、攻防のあらゆる局面で、この「攻め」と「反撃」と「回避」を巡る読み合いが繰り広げられているんです。この中でも特に、このゲームで勝つことを考えるなら、最初に覚えたいのは”避け”ですね。このゲームの避けはコマンド入力完成直後から無敵になって、隙もありません。なので、超フェノメノンクラッシュなどは、ガードしてしまうと何も起きませんが、見てから避けでかわせば隙だらけの状態に攻撃できるんです。つまり、避けを知っている人にとっては、それほどびっくりする技ではありません。あとは、いつでもガードキャンセルがかけられることがこのゲームの醍醐味で、普通の格闘ゲームで考えると”ガードキャンセル待ち”をどうするのだろうと考える方が多いと思いますが、攻撃キャンセル避けでガードキャンセルを空振らせれば、反撃のチャンスなんです。
――なるほど!プレイしていた当時は、全然気づきませんでした(笑)ガードキャンセルさせないように投げを狙ったり、中段と下段で揺さぶっていました。
みやざき:この駆け引きを知っている人の攻めに対しては、ただガードキャンセルで技を出すだけではなくて、ガードキャンセルダッシュから投げると行った裏を読む行動も必要です。このレベルになると、「やるなあ」とか思いながら対戦できるようになりますね。
――隙のない避けが強いとなると、投げが非常に重要なゲームに感じます。
みやざき:その通りです。実は本作の強さの要素に”投げが強い”というのがあります。一部の投げ抜けフレームが極端に短い通常投げを持つキャラや、コマンド投げを持つキャラクターは、避けの読み合いに強いですね。実は、避けの間も投げ抜けを受け付けているので、投げ抜けフレームが長いキャラクターは、避け投げ抜けでほとんどの攻めをシャットアウトされてしまうんですよ。ただ、コマンド投げを持っているから強キャラクターというわけではなくて、キャラクターによって得意とする間合いや戦術が全然違いますから、投げが弱いからといって楽しめないわけではありません。コンボなどのリターンも大きく、体力補正が大きいゲームなので、いわゆる中堅キャラクターと言われるラインでも、十分に牙を持っています。たとえば、あすかは強さの評価はそれほど高くないですが、決まれば一気に勝負を決めてしまうようなコンボもあります。難度は高めですが、永久コンボもいくつかありますよ。
――本作の攻めは、ダウンをとって起き攻めという流れなのでしょうか。
みやざき:やはりそれは基本になりますが、このゲームでダウンを奪っても、リバーサルでバックダッシュやジャンプ等、ローリスクな行動が取れるので、期待値はあまり高くないキャラクターが多いんです。そこで、このゲームの特徴である”受身をとったあとはリバーサルの先行入力を受け付けない”という仕様を活用した攻めを仕掛けるのがセオリーになってきています。これがあることで、連続技の後に受身をとる、とらないの読み合いが発生していて、受け身を取られても有利になる連携や受身をとらない相手用のコンボが開発されていたりします(笑)。私はこれがスペシャルを面白くしている重要な仕様だと思っていて、うまくハマれば流れるように気絶まで持って行けるのでとても爽快ですよ。
『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』
ここでは、「わたよ」氏が作成した『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』の基本戦略を掲載する。システムの多いゲームではあるが、こうして図にしてみると、実にわかりやすい駆け引きが行われていることがわかる。これからプレイしてみるという方は、こちらを参考にしてみるといいだろう。
1996年のゲームとは思えない!
マニアックなシステムも
――1996年のゲームとは思えない戦術ですね(笑)最近のゲームでも、受身攻めが話題になったりしますが、この時代のゲームでそれを考えてプレイしているのは凄いです。このゲームならではの特徴的な要素というのは、他にどんなものがありますか?
みやざき:本作には、コマンドジャンプというシステムがありまして、これは上上と押すことで成立するジャンプなんです。この入力で繰り出したジャンプは、必殺技と同じような扱いになっていて、通常技キャンセルなどに活用できます。このゲームの通常技は、ヒット時のみ上要素を入れておくことでジャンプキャンセル可能というものもあるのですが、コマンドジャンプであればガードされた場合にもジャンプへと移行します。さらにコマンドジャンプはコマンド入力完成直後から空中判定になるので、守りにも使えるんです。リバーサルやガードキャンセルでこのコマンドジャンプをやるという形ですね。これを読んだ場合は、空中投げや空中ガード不能技を仕掛けるのがセオリーですね。
――マニアックな仕様ですね。
みやざき:他には、オートガードですかね。方向キーをニュートラルにしていたらオートガードになるのですが、これは表裏のわかりづらい攻めをガードするときに使います。めくりなんかにも有効ですね。
――オートガードでめくりをガードして、ガードキャンセルなどを狙うのでしょうか。
みやざき:そうですね。対空としてよくやるのは、オートガードからコマンドジャンプでガードキャンセル、その後に空中投げですね。このゲームの空中投げはとても発生が早く、上方向の判定が大きいんです。相殺や二段ジャンプがあるこのゲームでは、対空技が対応されやすいので、ガードキャンセルコマンドジャンプ空中投げが比較的安定感のある対空なんですよ。レバーニュートラルでオートガードなので、簡単ですよ。
――いやいや(笑)ガード方向がわからないめくりがくると思ったら、方向キーから指を放してニュートラルで待ち受けるってことですよね。普通の格闘ゲームに慣れていると、怖くてなかなかできないですよ(笑)結構忙しいことをさらりとやっていることに驚きました。たぶん、あすか勢は凄いことをやっているのに、それに自分たちで気づいてないんだと思います(笑)
みやざき:そうなんですかね(笑)私はこのゲームを軸足にしているので、当たり前になってきましたね(笑)ちなみに、この戦術への対策は、空ジャンプ着地下段や投げですね。相手はジャンプ攻撃をガードするのを待っているので下段や投げが通りやすくなります、この攻めが裏の選択肢になるんです。
▲表裏がわかりづらいめくりはオートガードでしのぐのが”通”のプレイング。ここからコマンドジャンプで空中投げを狙うのだ。
――その対策にも驚きました。それっていわゆる、ガーキャン待ちの対策としては今ではセオリーの一つなんですが、このゲームではいつ頃からやっていたのでしょう。
みやざき:この駆け引きは発売してそれほど経っていない頃からやっていましたね。オートガードコマンドジャンプ空中投げを狙う相手に、空ジャンプから下段や投げを狙うということですよね。
――僕がそれ系の戦術を意識したのは稼働から随分経った『KOF98』からです。2000年にはやっていたような気がしますが、96年とか97年ならかなり早いと思いますよ。ガーキャン食らったら「相手がうまい」みたいな時代でした僕の96年は。
みやざき:このゲームの場合は、ガードキャンセルがすごく簡単なので、まずそれをどうにかしようというところから攻略をスタートしたから、まずはこれを潰しにかかったんでしょうね。
――そういえば、相殺というシステムも新しいですよね。シリーズ初代の『あすか120% BURNING Fest.』からあると考えると、1994年ですか。この時点だと、『あすか120%』的な相殺を持っているゲームってほとんどないような気がします。今では、結構なゲームにこの要素が積まれていて『ギルティギア』シリーズなどにも登場しますよね。
みやざき:当時、自分もそういう新しさに惹かれてこのゲームを始めたんですよ。ちなみに相殺についてはちょっと驚かされるのは、この時代のゲームにも関わらず、攻撃判定と相殺判定が別に用意されていることです。技によっては相殺判定が先にでて、攻撃判定が出るといったものもありますね。それぞれ個別に設定されているので、作るの大変だっただろうなと思います。
――他のゲームから逆輸入した攻略や戦術もあるのでしょうか。あるとしたら、どういったきっかけがあったのでしょう。
みやざき:今年の3月に対戦会を開いている時に、他のゲームをたくさんプレイしている人がたくさん遊びにきてくれて、その人たちが見つけた要素やテクニックというのが最近になって出てきました。これは、格闘ゲームのコミュニティのおかげですね。一つその流れで見つかったものを紹介すると、”ガードキャンセルを行った側は投げられ判定が255フレームの間消えるという現象”です。ガードキャンセルの対策をしていながら、なんでこれに気づいてなかったんだろうと思うような要素なのですが、これは画期的な発見でした。ガードキャンセルで必殺技、避け、ジャンプなどを行うとこの現象が付与され、以降255フレームの間は打撃をヒットかガードさせる、前後ダッシュを出す等の行動をするまで投げられ判定が消えます。この現象がわかった上で対戦するとガードキャンセルの後に”ここは投げを捨てていい”ということを認識しつつ守りに専念できるわけですね。昔は、なんか投げれないなあと思っていたシーンもあるのだけだったのですが、検証を通して戦術につながる知識に変わったというケースです。
発売から23年も経ってますが、やり込み人口があまり多く無かった事もあって、まだまだ新テクニックが生み出される余地が残されていると思ってます。
次ページでは2019年度版
『あすか120%スペシャル BURNING Fest.』キャラランクを掲載!
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