皆さんは覚えているでしょうか。ゴジラインのホームページ開設直後、『レトロフリークも使っていこうという話』なる記事がアップされたこと。そして三ヶ月弱、この神ハードを活用した記事が一本も書かれていないということを…!なんて適当な集団なんだ!
記事の中でははじめまして。ゴジラインの雑用係として影ながらお手伝いしていたところ、総帥のA氏から「何か原稿書いてよ」というあまりに適当すぎる電話がいきなり飛んできた、さいとうと申します。
自分はゲームをやり込むというよりも、『孤独のグルメ』の井之頭五郎がごとく一人でぽちぽち大作RPGを遊んで「そうそう、これでいいんだよこれで」とか頷いている類の人間なので、最新ゲームをガツガツ攻略というより、好きなゲームについてだらだらと書いていく感じになるかと思います。
四月になって、新年度が始まりましたね。年度末の慌ただしさも過ぎて、新しいことにチャレンジするにはうってつけの時期だと思いませんか。そんな時期におすすめしたいゲームが、今回紹介する『天地創造』です。始めちゃいましょう。天地、創造。
本作は1995年にエニックスから発売されたSFCソフトです。同じ年に『クロノ・トリガー』や『ドラゴンクエスト6』がぽんぽんと発売されて盛り上がっていたため、話題的に埋もれてしまったタイトルなのですが、間違いなく、胸を張って万人にお勧めできる名作です。
友人曰く「シミュレーションゲームかと思った」的な壮大すぎるタイトルとは裏腹に、ジャンルはARPG(アクションロールプレイング)で、『ゼルダの伝説 神々のトライフォース』なんかと同じ系統。十字キーで移動、ボタンを押しながらだとダッシュ、ジャンプ、それぞれのアクションと組み合わせて多彩な攻撃を繰り出せる、という、直感的な操作で手軽に爽快感が味わえるゲーム性になっています。また、とある技が異常に強く何の制限もなく連発できるため、難しすぎて積むという状況も起こりにくいのがポイント。腕に覚えがあればこの”とある技”を縛ってプレイしてみるのも面白いかもしれません。
タイトルにもある通り、本作の目的は天地の創造です。主人公であるアークは”地裏”と呼ばれる、閉ざされた世界に住むやんちゃな少年です。物語冒頭、とある事件がきっかけとなって、アークは地裏の人々を移住させるために地表を住みやすい場所にするべく長い旅へと繰り出すことになります。舞台はやがて地表へ。そして数々の生き物を復活させていくことになります。
天地創造、と言いつつ、正確には”地表の復活”が旅の目的となります。
アクションゲーム部分は、主にアークが世界を復活させていくための試練としてプレイヤーの前に現れます。例えば序盤では寄生生物に犯された大樹の内部が冒険の舞台となり、ボスとして立ちはだかる寄生生物を倒すことができれば、大樹が復活して世界中を植物の緑が覆います。
復興シーンは当時の映像技術の粋が詰まっています。めっちゃわくわくします。
そうやってゲームを進めていくと、鳥の楽園、動物の王国、やがては人間が地上に復活し、文明が築かれていきます。
人間が復活すると、大陸には町が出現します。武器やアイテムが店で購入できるだけではなく、本作のやり込み要素として”都市の発展度”というものが存在します。アメリカ大陸に出現したとある町では、どこかで名前を聞いたことがあるような人が家を構え、そこで新しい発明を生み出すための研究をしていたりします。その発明のお手伝いをしてあげることで街の”発展度”が上昇し、一定値を超えると街の景観がより豪華に、近代的に成長していきます。
地球を復活させていく、というゲーム内容はスーパーファミコン後期の美しいグラフィックも合わせてとても壮大なのですが、個人的に本作で最も好きなのはシナリオ。地表を復興していくアークはやがて、地裏の知り合いに良く似た顔の相手と出会うのですが…。張り巡らされた伏線や謎が絡み合っていく終盤の展開は激熱なのですが、ネタバレを避けるためにこれ以上は触れないでおきます。是非、自分の手でクライマックスに辿り着いていただきたい!
そんな感じで、全力でみんなにお勧めしたいタイトルがこれ!なのですが、実は他のハードに移植されておらず、バーチャルコンソールでの配信も行われておりません。そこで登場するのが、レトロフリークというわけですね。レトロフリークはHDMI出力に対応しているので、本作の美麗なドット絵がより鮮明に描かれるというおまけつき。実際、僕は『天地創造』を遊ぶためにレトロフリークを買いました。
ここまで書いてぶっちゃけ、本作の魅力は、言葉では言い表せない部分にあります。世界がよみがえっていく感動、グラフィックの美しさ、衝撃のストーリー、それらの一端が写真や動画から伝わってくれればいいな、と願いつつ。このタイトル、移植や配信が行われていない関係上、中古でも普通に新作ゲームを一本買うのと同じくらいの出費になってしまうのですが、それだけ不朽の名作であると言い換えても問題ないでしょう。レトロフリークを持っている方だけでなく、家でSFCが眠っている方も、新しい年度のはじめに、天地、創造してみませんか?
さいとう
多人数よりも一人用のゲームを好み、体験やストーリーを重視しては無駄にウンウンと頷く。
でも面白ければジャンル問わず何でも触ってみるタイプ。
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