【プレイレポート】コントローラーを握る人すべてに遊んでほしい、WiiU『ポッ拳』

浅葉34歳、最後にやりこんだ『ポケモン』シリーズは金、銀です。
『ポッ拳』がついにWiiUで発売!
ということで、連休を使ってガチャガチャと遊んでみました。
徳島に来てからというもの、ゲームセンターにめっきり通わなくなったので、アーケード版『ポッ拳』は1プレイ遊んだだけなのですが、そのときに感じた”なんだかおもしろそうだな”という感覚を信じて、ゲームを最大限に楽しむ集団・ゴジラインを巻き込んで始めてみることにしました。
そして、少し遊んでみて、なんだか面白そうだなという感覚が、やっぱり面白いじゃないかという確信に変わりました。
今回の記事では、いろいろなモードやポケモンをつまみぐいして感じた本作の魅力を書いていきますね。

△ポケモンたちが、対戦格闘ゲームで激突!

△ポケモンたちが、対戦格闘ゲームで激突!ピカチュウやルカリオなど、人気どころを抑えています。

△バトルには、サポートキャラクターを助っ人として呼び出せます。

△3D格闘ゲーム『鉄拳』の制作チームによる作品ですが、バトルはどちらかというと2D格闘ゲーム寄りの要素が多め。複雑なコマンドやフレームの駆け引きを覚えなくても、爽快に楽しめる作品になっています。

よくわからないけれど、面白い

右も左もわからない『ポッ拳』を理解するために、まず最初に遊んだのはチュートリアルモード。ここでは、バトルの基本になる三すくみや、攻撃を当てることで切り変わる”フェイズ”(詳細は後述)の仕組みを細かく紹介してくれます。自分が普段遊んでいる2D格闘ゲームや、バンダイナムコのキャラクターゲームにはない要素が多くて、なんだか難しそうだし、バトルシステムも多彩、これはなかなか敷居が高いのかもしれないと感じてしまったのですが、一通りプレイして対戦に臨むと、全然そんなことはありませんでした。わけもわからず攻撃を繰り出すだけでも、画面は派手だし、ものすごい勢いで試合が動く。この、わけもわからず操作しても面白いゲームって、あるようでいてなかなかないんです。わけもわからないまま、ゴジラインのメンバーと対戦して、「よくわからんけど面白い」という感想を交わしたところで、じゃあさっきチュートリアルで見た要素をもう一度見直してみようという気持ちが湧いてきました。
格闘ゲームというのは、”ガチャプレイ”(システムも技の効果もわからないままボタンや方向キーを入れること)ではあまり面白さを発揮しないという弱点があるのですが、『ポッ拳』はその点、格闘ゲームをまったくやらないウチの奥さんも”マスクドピカチュウ”で楽しくガチャガチャと遊んでいます。さすがにスタートボタンをガチャガチャやるのは無理ですが、方向キーと6つのボタンをガチャガチャとやると、いろいろなアクションが出てくれるんです。「連続技ができるようになった」といって、同じボタン連打からボタン同時押しで発動する超必殺技をつなげてよろこんでいます。こういった感覚を、楽しいと思わせてくれる格闘ゲームって、なかなかありません。
Aボタンを連打して超必殺技につながるイージーモードを積んだ格闘ゲームというのはここ数年多数ありましたが、『ポッ拳』は安易にそういうイージーモードを積まずに”面白さ”を生み出すことにこだわっているように感じました。操作をイージにしたうえで、その操作を組み合わせることで起きる演出や効果に凄まじいバリエーションを生み出す、これって本当に大変なことです。
初心者大歓迎の格闘ゲームが、久々に出てきました。

△浅葉家はマスクドピカチュウのあざとかわいさにKOされております。

△技のひとつひとつが派手なのも本作の魅力です。ガチャガチャとボタンを押していても何かが起こる設計がとにかく素晴らしい!
三すくみが面白い

と、ガチャガチャと遊んでも楽しめるというところから、次は格闘ゲーム愛好家として、面白く感じた、打撃、投げ、ブロック攻撃の三すくみについて触れておきます。この三すくみを、ウルトラ雑に、かんたんに説明すると、
・打撃は投げに勝ち、ブロック攻撃に負け
・投げはブロック攻撃に勝ち、打撃に負け
・ブロック攻撃は打撃に勝ち、投げに負け
というルールなのですが、これが非常にわかりやすく爽快感を生み出しています。打撃が辛いなとおもったらブロック攻撃を適当に出し、ブロック攻撃が辛いなと思ったら投げをあわせるというシンプルな駆け引きをするだけでも、それなりに対戦っぽくなるんですね。もちろんこれだけがこのゲームの全てというわけではないんですが、とりあえず近づいてこのじゃんけんに持ち込むというシンプルな目標を覚えておけば、そこをきっかけに上達が見込めます。
このじゃんけんに近い三すくみに勝利すると、クリティカルヒットが発生し、このゲームの盛り上がりどころ”共鳴バースト”を使うためのゲージが増えるという設計になっています。肝となるシステムが、他の見どころにうまく絡み合っているのは非常に好印象です。

△ブロック攻撃には打撃を受け止める効果があります。

△ブロック攻撃には打撃を受け止める効果があります。

△ブロック攻撃を読んだら投げの出番。投げは共通システムですが、キャラクターごとに動作が異なりますよ。

△ブロック攻撃を読んだら投げの出番。投げは共通システムですが、キャラクターごとに動作が異なりますよ。

この連係ガードしても反撃できないじゃん!というところで、ブロック攻撃をぶっぱなしたり、起きあがりに投げを重ねてくるときに打撃であばれてみたりという読みあいが、システム上のルールにもとづいて行われるため、基本的なかけひきがわかりやすいんですね。
(このじゃんけんの中の一要素であるブロック攻撃は、『ストリートファイター4』シリーズのセービングアタックに近い性質を持っていて、使いどころは『KOF MAXIMUM IMPACT』シリーズのさばきや『デッドオアアライブ』シリーズのホールドに近く、『ギルティギアイグザード』のブリッツシールドのようなリターンもあります。ウルトラ強引ですが、格闘ゲーマーなら間違いなく脳汁の出る瞬間を楽しめる作品になっています。

戦いにメリハリを生むふたつのフェイズ

そしてもうひとつ。本作ならではの特徴が、バトルに大胆なメリハリをつけています。本作のバトルには、フィールドフェイズとデュエルフェイズというふたつの”フェイズ”があります。バトルスタート時はステージ上を自由に動き回って戦える”フィールドフェイズ”でスタートします。フィールドフェイズは、3Dアクションゲームに近いプレイフィ―ルで、遠距離攻撃やジャンプ攻撃、近距離技などをさまざまに使って闘います。遠距離攻撃に長けたキャラクターは、このフェイズでアドバンテージを得やすいという設計になっているんですね。

△こちらがフィールドフェイズ。360度動けるため、自由度が高いです。

△こちらがフィールドフェイズ。360度動けるため、自由度が高いです。

フィールドフェイズ中に、特定の攻撃を当てると”デュエルフェイズ”に移行します。こちらは、2Dアクションゲーム、2D格闘ゲームに近いプレイフィールで、打撃と投げ、ブロック攻撃を使い分けた攻防が激しくなり、連係やコンボ(連続技)の重要度が増します。ここでは、近距離攻撃や攻撃力に長けたキャラクターがアドバンテージを得られることも多いのですが、少し工夫すれば、どのポケモンでも、コンボや大ダメージを狙えるチャンスになっています。

△こちらがデュエルフェイズ。2Dアクションゲームのような構図になります。

△こちらがデュエルフェイズ。2Dアクションゲームのような構図になります。

この2つのフェイズの切り替えがあるため、同じキャラクターでも、フェイズに応じて全く別の狙いや戦術が生まれてきます。遠距離に特化したキャラクターかと思いきや、近距離では思わぬ牙をむくといった意外性を含めたかけひきが、まだ始めたばかりの今ですら面白く、「もっと先を知ってみたい」という気持ちをかきたててくれます。

”大人のためのポケモンの闘い”の可能性

ポケモンごとの個性づけも素晴らしいし、インターフェイスやレスポンスも快適、これは間違いなく、プロモーションでも強調されているように大人のポケモンバトルであることは間違いなありません。オンライン対戦のレスポンスも良く、マッチングまでが異常に早いのも凄いところ。格闘ゲーマーとしては、多人数が観戦しつつ対戦できるルーム機能などがあればなお良かったと思いますが、それ以外に特に注文はありません。2D、3D問わず、格闘ゲームが好き、好きだったという人は、おさえておいて間違いない作品になっています。

△トレーナー(プレイヤー)の見た目を、かなり幅広くカスタマイズできるのが個人的には素晴らしい。ハートのエフェクトをつけて、女の子ぶって遊んでいます。

△トレーナー(プレイヤー)の見た目を、かなり幅広くカスタマイズできるのが個人的には素晴らしい。ハートのエフェクトをつけて、女の子ぶって遊んでいます。

そして、個人的にはこのゲーム、キャッチコピーには”大人のためのポケモンの闘い”と書かれていますが、個人的には”子供たちにも楽しいポケモンの闘い”になれるポテンシャルを秘めているように感じました。大人のためとは謳っているものの、小学生から、中高生まで、絶対に面白いはず!(ローカルマッチはWiiUを二台使わないと30FPSになるという仕様があるものの、面白さの導入として遊ぶ分には、これでまったく問題ありません。フレームという概念を知らない人が遊べば、これでちゃんと動いているように感じますから。こういうところの仕様を素直に書いてくれるあたり、『鉄拳』チームは真摯だなぁと感心してしまいました。)

△ローカルマッチは、30FPSになります。つまり、フレームレートが低下するのですが、格闘ゲームとしての面白さの入り口として楽しむためには何の問題もありません。

△ローカルマッチは、30FPSになります。つまり、フレームレートが低下するのですが、格闘ゲームとしての面白さの入り口として楽しむためには何の問題もありません。

子供たちのほうが楽しめそうな要素も盛りだくさんで、『ポケモン』というコンテンツ、簡単な操作で画面に飛び出す派手な演出、格闘ゲームとしてだけでなく、一人用ゲームとしても楽しめるゆるい育成要素などなど、駒は完全に揃っているように感じられます。この作品が、新たな『スマブラ』的なものになる可能性も感じるし、子供たちの格闘ゲームへの入り口になってくれるのではとさえ思います。コマンドと戦略の絶妙なバランスを持つ作品だからこそ、闘うことの楽しさがすぐに感じられる。この面白さは、もう、是非、コントローラーを持ったことのある人全員に楽しんでもらいたい。

△シンプルかつ遊びやすいストーリー。

△シンプルかつ遊びやすいストーリー。

子供に向けてというと視点でいくと、チュートリアルモードが大人にとって親切丁寧でありすぎるゆえに、子供たちが直感的に遊ぶ前に息苦しさを感じてしまうかもしれないという懸念はありますが、先にも書いた”わけもわからず遊んでも面白い”というのは、いろんな人に突き刺さるはず。チュートリアルを一通り終えたら、深いことは考えず、まずは一人用モードを遊んでみてください。CPU戦の難度のあがりかたもかなり絶妙なので、快適に遊びはじめられますし、難しいところで躓いたらチュートリアルに帰ればいいんです。

△チュートリアル関連のメニューは非常に丁寧です。ただ、あまりに丁寧なため、覚えることが多いのではと身構えてしまうという可能性も。

△チュートリアル関連のメニューは非常に丁寧です。あまりに丁寧なため、覚えることが多いのではと身構える人も出てきそうですが、遊んでいればそのうち、チュートリアルを振り返りたくなるときが来ます。

と、いろいろ書きましたが、格闘ゲーマーというところで、”EVO”のタイトルで選ばれている、強キャラはなんだろう!という直球なところから遊び始めたら、このゲームの持っている眩い可能性に引き付けられてしまいました。ゴジラインのメンバーはまだ、どの技を使うべきかもよくわからないし、チュートリアルで教えてもらったコンボが実戦で使えるものなのか判断もつかないというレベルですが、とにかく最初から面白いこの感覚、久しぶりです。LANを有線接続し、専用コントローラーを買い、リビングのTVからゲーミングディスプレイにWiiUをつなぎ変えましたが、このゲームの楽しいところって、これらのガチガチな環境がなくても、しっかり味わえるんですね。「格闘ゲームをゲームパッドで遊ぶなんてありえねーよ」なんて思っていましたが、これはこれで楽しいじゃないと、作品全体の虜です。今のところ自分自身も、上手い人から見ればガチャガチャとやっているようにしか見えないプレイで、一人用や対戦を楽しんでいます。
この面白さが少しでも、広く伝わってほしいです。できることなら、是非ともいろいろなところで、子供向けのPRイベントを開いてほしいなと、(ダメな)大人の立場から思います。あとは、個人的に、おれの周りには結婚して、子供のいる格闘ゲーマーが増えてきたので、是非一緒に遊んでみてほしいですね。
格闘ゲーマーパパの家庭内での地位が向上すること間違いなし、と思うのですが、いかがでしょうか。
あと、最後にひとつ物申しておきます。本作のマスクドピカチュウはあざと可愛すぎる。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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