●格闘ゲームの敷居
——石井さんは、1990年代の格闘ゲームブームの真っ只中にいた時に、今よく言われる「格闘ゲームの敷居の高さ」というのを感じたことはなかったんですか?
石井氏:当時は、それが新しい娯楽だったから、敷居という意識はなかったんだよね。対戦格闘というジャンルを、「すごいぜ!」とか言って盛り上がってやってたんです。技術とかうまさよりも、それを遊ぶことがなんかすごく新しくて、楽しいようなものに感じていた人が多いんじゃないかな。今でいうと、iPhoneを買いに走るみたいな感じです。
琢磨氏:なるほど、そういう時代だったんですね。
石井氏:当時は、ボコボコにやられても、まぁボコられてるひとはおれだけじゃないからって自然にわかったんですよ。そこら中の奴がボコられてるから。いまの格ゲーだったりだと、自分が入っていって、ボコボコにやられたら俺だけが苦しい思いをしてるってなっちゃう部分もあると思うんですよね。多分、ここにいるメンバーがゲーセンでまだ「うまくなかった頃」、周りに同じくらい「うまくない人」がいたし、人が溢れていたから孤独感がなかったんですよ。ゲームの難しさとかよりも、そこが敷居のイメージを作ってるんじゃないかな。だから、敷居の低いゲームを作ろうと、ただ簡単にしちゃうと、面白さだけが損なわれて残念なことになったりもする。
琢磨氏:僕はゲームってどこかスポーツのようなものだと思っていて。e-sports的な考え方というのではなくて、プロを目指さなくてもサッカーって楽しいじゃないですか。そういう楽しさがきっとあるなって信じてるんです。あと、運動能力を鍛えれば、どのスポーツもコツを掴みやすくなるというのも、格闘ゲームはにている気がします。一つの格闘ゲームをやり込めば、基礎になる技術や考え方が培われるんですよね。うまくなくても楽しいところを表現したり、伝えられたりしたらいいなあと思いますね。ゲームの作りも、そういうことを意識している部分はありますね。
石井氏:その表現の答えかはわからないですが、いろいろな作品を遊んできた感覚として思うのは、共通システムを過度に増やさないことは大事かもしれませんね。簡単すぎるのも歯ごたえがないけれど、共通システムが増えると、爽快さにたどり着くまでのハードルは高くなる気がします。キャラクターごとにやることが分かれている方が、動かしたり練習する意義が出てくるのかなと思いますね。
琢磨氏:近い考え方かもしれませんが、「説明しにくいシステム」として入れようとしないというところは気をつけています。これってそういうシステムだからという風に訴えるようなものはあまりやりたくなくて、そこに理由が欲しいんですよ。プレイヤーがある意味直感的に受け止められるものをシステムとして組み混んでいます。ただ、格闘ゲームの場合は、アップデートや続編を出すときに「どう新しさを出すか」というのもあるので、増やすときに苦労しそうですね。
石井氏:煩雑になりすぎず、根底にある楽しさを壊さず、それでどんどん深くなってくものを見つけなきゃいけないと考えると、そこが本当に企画者の腕の見せどころになりそうですね。
琢磨氏:拡張や続編を考える際は、頑張ります(笑)
●ゲーセン通いはまだまだ続く
——お二人は、これからもゲームセンターに通い続けそうですね。
石井氏:僕の場合は趣味半分、仕事半分で通っていたりもしたんですが、最近はここまできたらもう最後まで通おうと思っていますね(笑)
琢磨氏:僕も、通える限りは通うと思います。知らない土地に行くと、すぐにゲームセンターを検索するんですよ(笑)だから、通おうというか、行きたくなってしまうんです(笑)個人経営のお店なんかをみるとワクワクしますし、企業さんがやっている同じ系列のお店でも、全然雰囲気が違ったりするじゃないですか。店内を見てるだけでも楽しいんです。
——今日、対談をしてみていかがでしたか。
石井氏:ゲーセン愛を感じられるプロデューサーとお話させてもらうという、貴重な機会をくれてありがとうございます。しかもガチゲーマーであるのも伝わってきました。ゲームのイベントというものの価値が再認識されてきているので、『アルカナブラッド』やその大会にも、大きな意義があると思うので注目しています。今日はありがとうございました。
琢磨氏:石井さんのように、僕もゲーセンに通い続けたいですね。僕を育ててくれた場であると思っているので。アーケードでしか味わえないものって、絶対にあると思っているので、もし記事を読んでゲームセンターや『アルカナブラッド』に興味を持ってくれた人がいたら、是非足を運んでみてください。ゲームだけではなく、イベントなども、楽しいものにしたいと思っているので、応援してくれると嬉しいです。
ーー今日はありがとうございました。(了)
goziline
様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。
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