Xbox One X Project Scorpio エディションの予約戦争に負けた話

2017年9月20日、突如として日本国内でXbox One Xの予約がスタートした。この予約では、希少な初回版本体であるXbox One X Project Scorpio エディションの予約も受け付けていた。
この予約がスタートしたのは、僕が徳島から東京に向けて車を走らせている最中だった。千葉県の幕張メッセで開催される東京ゲームショウを取材することになったので、カメラなどの機材のことを考えて、ゆっくりと車で向かうことにしたのだ。

△Xbox One Xの限定版に当たるscorpioエディション。見た目はほぼ変わらないが、刻印などが微妙に異なる。

暇人ゆえに、ここ数年、ゲーム機の新ハードの予約を失敗したことは一度もないのだが、今回のXbox Oneは、予約開始発表とほぼ同時に受付が始まってしまった。これは全く予測していなかったことで、僕がこの予約開始を知ったのは、20日の夜のことだった。舞浜のホテルにつき、SNSを見ていた時に気づいたのだ。完全に出遅れた。この手のハード戦争は初日がとにかく肝心なのだ。しかし、同時に「まあなんとかなるだろう」という感覚もどこかにあった。基本的に、こういった新商品は、発売前の予約がいくら大変だろうが、発売日までに何度か予約のチャンスがあるのだ。
ニンテンドーSwitchも、プレイステーションVRもそうだった。iphoneのジェットブラックだかは、日本に発売日当日に入荷していなかった勢いだったけど、この手の新製品は粘り強く貼り付いていれば何とかなることがほとんどなのだ。

しかし、二週間くらい時間が経過しても、Scorpio エディションの予約が再開される気配はない。マイクロソフトのストアはもちろん、王手家電量販店も沈黙している。ネット上ではプレミア価格が高騰し、定価の2倍ほどの値段がつき始めていた。ここで僕は、初めて危機感を覚え、連絡先を知っている仲のいいゲーム仲間、ゲーム関係者に連絡をとってみた。

「Xbox One X Project Scorpio エディションが欲しいんだけど、売ってるとこ知らない?もしくは、何とかなったりしない?
なりふり構わず、そんな質問をしたことを覚えている。何とかなったりしないといって何とかなったりするわけはないんだけど、ゲーム関係の人であれば、「コネ」のようなものがあって、何とかなったりするのではないかと思っていたからだ。実際、こうした「コネ」でハードを手に入れている話も、何度か耳にしたことがある。
さらに、この時期にきた、ゲーム系の仕事の依頼には、全部追伸として「Xbox One X Project Scorpio エディションを探しています」みたいなことを書いて返信していた。冗談っぽく書いてはいたが、かなり本気だった。しかし、その下心にまみれたメールでは、何も解決しなかった。想像を絶する品薄だということを実感した。
「ゲームメディアって、何の力もないのでは」とこの時マジで思った。

結果的に、この品薄は本物だった。かなりの品薄品でも当日販売分が入荷する秋葉原ヨドバシカメラですら当日の入荷分はなし。
マイクロソフトの通販は開いた瞬間に「品切れ」の表示になっておらず、一瞬在庫があるように見えるのはなんとかしてほしい。
SNSや匿名掲示板を徘徊した限りでは、当日分を買えたという報告もほとんど上がってこなかった。発売1日前に、「店舗在庫あり」の表示が通販サイト上に出て、話題になった大手家電量販店も、蓋を開けてみれば在庫はなかったようだ。これはマジでキレそうだったというかキレた。
発売日当日になり、海外版を買うか、プレミア価格のものを買うか悩んでいた時、救いの電話がかかってきた。Scorpio エディションを買えた友人が、通常版と交換してくれるというのだ。本当にいいのかと確認したら、「俺はどっちでもいいからええよ。飯でもおごってくれ」というあっさりとした返事をもらった。彼は何かとてもスゴイ人の生まれ変わりか何かなのだろう。

こうしてウチにScorpioエディションがやってきた。
Xbox One Xの初週の販売台数は1300台程度とのことだった。日本で、Xbox One Xを欲しがっている数からすると、出荷数としては少なすぎるくらいだ。Scorpioエディションの数は、国内で500台もなかったのではないだろうか。実際に、通常盤となるXbox One Xの方も、プレミア価格がついており、12月下旬現在も品薄状態が続いている。
しかし、この販売台数に関しては、日本国内のXbox Oneの人気を考えると、仕方ない側面もある。「日本ではXbox Oneが売れていない」というのは、まぎれもない事実だからだ。Xbox Oneの日本国内発売日、海外の発売日からだいぶ遅れたことを考えると、Xbox One Xの日本国内発売日が、海外とほぼ同時になったのは、日本マイクソロフトの努力の賜物だろう。とか言えるのは、僕がScorpio エディションを手に入れることができたからで、もし手に入っていなかったらひたすら怒っていたような気がする。

彼からScorpio エディションを譲ってもらったとき、「ゴジラインで、Xboxの話も書けよな」と言われたので、かなり遅れてしまったけれど、今日から不定期でXbox One Xの記事を勝手に書いていこうと思う。このハードは、日本においては新作ソフトこそあまりでないものの、後方互換という素晴らしい機能があったりもするので、しばらくネタには困らないはず。
「ブログやSNSで騒いでたら誰かがくれたかもしれんぞ」と冗談っぽく友人に言われたけど、これはちょっと響いた。
ファミ通Xbox360があった頃は、ちょくちょく誌面用の記事を書いていたけれどここ最近は、たまにXboxでゲームを遊んでいるものの、それについては何も発信していない。そんな僕が騒いでも何の説得力も切実感もないなとふと思ったからだ。
最近、何かがなくなったり、縮小したりする時になって、「残念だ」という声が上がっているのをよく見る。伝統ある商品が廃盤になったり、歴史ある店舗が閉店したり、定価が上がったり、出荷数が減ったりした時、僕たちは、残念です、寂しいです、と発信したりするのです。それはそれで意味のある行為だけど、自分がいちばん好きなゲームに対しては、残念です、寂しいですと言う時になって、ちっぽけな説得力が欲しいなと思ったり。
と、しんみりするようなことを書いたけれど、Xboxには、いろいろな財産があるから、まだまだ頑張って欲しいので、1ユーザーとしてささやかに応援しています。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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