【ゲームレビュー】全ての大人ゲーマーにオススメしたい、『Life Is Strange(ライフ イズ ストレンジ)』

美少女ゲームエロゲーだけはなく、硬派なオトナのアドベンチャーゲームも遊ぶ浅葉、34歳です。
日曜日はひたすら、PS4『ライフ イズ ストレンジ』をプレイしていました。
この記事は、アドベンチャーゲームということと、記事を読んでくれた人に是非遊んでもらいたいということもあり、ネタバレは(なるべく)しないつもりでお送りいたしますが、白紙の状態から遊びたいという人は、とにかく素晴らしい作品なので、ここで引き返して、プレイ後にお読みください。この記事のあとのほうにも書きますが、『シュタインズ・ゲート』のような”タイムリープ”をテーマにした作品が好きな人には、何かしら刺さるところのある作品であることは間違いありません。定価は4800円と、フルプライスの作品に比べてリーズナブルですから、興味のある方は是非遊んでみてください。

△主人公は、オレゴン州の田舎町にある高校で写真を学ぶマックス。突然、時間を巻き戻す力を手に入れた彼女は、5年ぶりに再会した親友のクロエとともに、女子生徒レイチェル・アンバーの失踪事件を調べ始めます。

△主人公は、オレゴン州の田舎町にある高校で写真を学ぶマックス。突然、時間を巻き戻す力を手に入れた彼女は、5年ぶりに再会した親友のクロエとともに、女子生徒レイチェルの失踪事件を調べ始めます。

海外では一足先に発売されていることもあり、日本国内のゲームメディア等でも、発売前から”良作”ということで紹介された本作ですが、実際に遊んでみてすこぶる驚かされました。本作が、期待以上に素晴らしかったことももちろんですが、予想していた印象とは全く違ったところで心を揺さぶる物語の構成とそれを支えるシステムが絡み合い、ゲーム作品としてオンリーワンの魅力を生み出していたからです。

△本作は、アドベンチャーゲームなので、アクション性はほとんどなく、非常に遊びやすい作品です。海外ゲームの三人称視点の作品を見ると「難しそう」と敬遠する方も多いと思いますが、めちゃ簡単なので是非遊んでみてください。

△本作は、アドベンチャーゲームなので、アクション性はほとんどなく、非常に遊びやすい作品です。海外ゲームの三人称視点の作品を見ると「難しそう」と敬遠する方も多いと思いますが、この作品については全くそんなことはありませんので、気になったら是非手に取ってみてください。

この作品は、公式サイトに書かれているとおり、”プレイヤーの選択によって物語の内容が変化するアドベンチャーゲーム”です。ゲームの流れとしては、キャラクターを実際に操作して、人に話しかけたり、マップの中からヒントを探したしたりすることで、物語が進んでいくというタイプのもので、いわゆる海外製のアドベンチャーゲームによくある作りになっています。(この手の洋ゲーは、画面を見ただけで、「難しそう」という印象を受ける方がいるかもしれませんが、そんなことは全くありません。瞬発力が求められることはありませんし、謎解きについてもヒントが多いのでそれほど難しくはありません。行き詰ったら、インターネットの攻略を読めば100パーセント先に進めます。)そして、ここに、本作ならではの”時間を巻き戻す”という操作が加わることで、独特かつ、没入感の高いプレイフィールを生み出しています。本作では、描写や選択肢としてただ、時を巻き戻すのではなく、プレイヤーの判断で、どれだけ時間を巻き戻すかというのを決定するシーンが多いんです。つまり、本作の肝である時間を巻き戻すという行動を、プレイヤーの意思にかなり近い形で、ボタン操作を経由してゲーム内アクションとして起こせるんです。

△プレイヤー操作可能な画面で、L1ボタンを押すと、短時間ですが時間を巻き戻すことができます。左上に表示されている渦巻きのようなマークが、どこまで巻き戻せるかを示してくれます。

△プレイヤー操作可能な画面で、L1ボタンを押すと、短時間ですが時間を巻き戻すことができます。左上に表示されている渦巻きのようなマークが、どこまで巻き戻せるかを示してくれます。

この時間の巻き戻しは、かなり雑に説明するとマックス本人の行動と記憶以外の事象を巻き戻します。基本的に、マックスは時間を巻き戻す前の記憶を持ったまま行動できるので、彼女にしかできない操作や、窮地からの脱出をこなすことができるんですね。この能力を使った謎解きや、ギミックの解除は、プレイヤーの脳を心地よく刺激してくれます。以下に、その一例である動画を貼っておきます。この動画では、南京錠を解除するために、モーター機とロープを使うのですが、そのモーター機を元の位置に戻すために、時を戻す能力を使っています。

物語は2人の女の子、主人公のマックスと、その友人であるクロエを中心にして進んでいきます。かって親友だった二人は、マックスの引っ越しと、クロエに起きた悲しい事件を経て疎遠になっていましたが、マックスの帰郷と、クロエが追いかけている奇妙な事件をきっかけに、再び絆が蘇ります。二人は、マックスに突如目覚めた時を巻き戻す能力を使って、失踪してしまったクロエの現在の親友・レイチェルの足取りを探っていきますが、その過程で街や学校に潜む”闇”を発見していきます。この、二人の再生した友情と、推理ものを絡めた構成は、本作の大きな見所になっています。

△物語が進むにつれて、さまざまな登場人物たちとの間にドラマが生まれます。

△物語が進むにつれて、さまざまな登場人物たちとの間にドラマが生まれます。

そして、もう一つの見どころは、マックスとクロエの再会と同時に起きはじめた、彼女たちの住む町・アルカディア・ベイに起きはじめた異変です。晴れた日に降る雪、起きるはずのない日食、二つに見える月、これらの現象が秘めた謎も、物語の進行とともに、深い意味をもってきます。先に紹介した、推理ものとしての着地点は、サスペンスもののドラマを見慣れている人からすれば、(おそらく)意外性のある展開ではありませんが、この異変に答えを出すのは、そう簡単なことではありません。そしてこれらのテーマが時に、意外な形で絡み合い、プレイヤーに揺さぶりをかけてきます。

△街を照らす二つの月。こうした異常現象の原因も、次第に明らかになります。

△街を照らす二つの月。こうした異常現象の原因も、次第に明らかになります。

△マックスは、不思議な白昼夢のような経験をしていきます。

△マックスが突如迷い込む、嵐に襲われつつある世界。

と、そんな本作に夢中になり、日曜をほぼ潰す勢いでプレイしてしまいました。プレイ時間は、エンディングまで10~15時間程度。作中の行動で、ちょっとした分岐はありますが、危険や不穏な空気を感じて時間を巻き戻せば、ほぼ間違いなく本作のラストシーンにたどり着きます。導入部分のような1章、2章で物語の雰囲気を掴んだと思いきや、3章以降のスピーディな展開に呑まれてやめ時を見失うはず。物語のラストはある意味王道ですが、そこに至る物語と、その描写が鮮烈すぎて、これこそがベストと思えるものに仕上がっていました。グラフィックが郡を抜いて美しいというわけではないんですが、情景ごとの雰囲気をこれほどうまく表現した作品は、なかなか他にありません。

△主人公のマックスの成長も見所のひとつです。

△物語の要素をひとつひとつ拾い上げると、ベタな話もあるのですが、それらのつながりが、深いドラマを作り上げています。

冒頭にも書きましたが、本作は、タイムリープをテーマのひとつにした作品です。このタイムリープものというのは、涙腺を刺激しやすいのか、ゲームでは『シュタインズ・ゲート』、『CROSS†CHANNEL』、映画では『バタフライエフェクト』などなど、名作が多数挙げられるジャンルになっています。そして、本作『ライフ イズ ストレンジ』もまた、これらの名作の後に並ぶ、素晴らしい作品であると個人的には感じました。
感動の要素や物語の流れが異なるのはもちろんですが、これらの作品に匹敵するほど、心に突き刺さるものをもっています。そして、個人的に驚いたのは、テキストアドベンチャーに比べて、大掛かりな仕掛けや描写の使いにくい(尺の問題や、こうしたアクションアドベンチャーを作るうえでの予算の関係など、いろいろな理由を想像します)という制約の中で、これほどの作品が出てきたこと、そして、時を遡るという万能感と、それを行使する高揚感をプレイヤーにひとつのアクションとして体験させてくれるゲームという意味では、他のゲームにも、映画にもない強みを持っています。ゲームの作りも非常に丁寧で、タイムリープものに多くありがちな、反復して同じシーンを見ることにより生じるテンポの悪さを解消するべく、スキップモードを使える箇所を設けていたりするのも好感が持てます。

△本作には、選択を迫られる場面で、他のプレイヤーがどのような選択をしたか章クリアー後に教えてくれるというオンライン要素があります。

△本作には、選択を迫られる場面で、他のプレイヤーがどのような選択をしたか章クリアー後に教えてくれるというオンライン要素があります。

本作は、非常に遊びやすい、ゲーム初心者でも間違いなく楽しめる作品なので、遊べる環境がある方は是非手にとってみてください。
と、全体的にべた褒めしてしまいましたが、この作品の制作を手がけた、DON’T NOD社の次の作品が本当に楽しみです。今回の作品規模も、大満足のものでしたが、次があれば、フルプライスかつ、もっと進化したものを見てみたいですね。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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