レトロフリークを買って以来、昔のアクションゲームをカチャカチャと遊んでいるのですが、先日、ベルトスクロールアクションゲーム、SFC『美少女戦士セーラームーンR』を遊んでいたところ”たいせん”なるモードを画面に見つけました。キャラゲー愛好家として、さまざまな対戦もののキャラゲーを遊んできたおれですが、この作品は一人用のアクションゲームとしてしか認識していなかった!なんたる不覚!ということで、早速徳島の友人のハヤシくん(35歳、独身、オタクであることを隠し、社会人として生きている)を、23時30分に電話で召還しました。「明日当然仕事なんだけど」、「うむ、おれもだ」というやりとりの末、快く来てくれたハヤシくんに感謝です。
『セーラームーン』の格闘ゲームといえば、『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!?主役争奪戦』という超名作がありますが、この作品は、それより少し前に発売されています。
おれ「『セーラームーン』の格闘ゲームは名作としてなかなか有名なんだけど、このゲームにも”たいせん”モードがあることを今知った。これはやるしかない」
ハヤシ「これ、『スターオーシャン3DC』の対戦モードとかと同じで、”おまけ”でしょ。そりゃ注目するやついないだろ。1時までには家に帰りたい。マジで。」
おれ「『らき☆すた』のゲームの限定版には、おまけで『らき☆ばと』なるゲームがついてきたんだけど、おれにとってはそっちがメインだった。今こうしてこのゲームを見ると、この対戦モードが非常に美味しそうにみえる」
ハヤシ「まぁ、対戦してやるからパッド貸せ。早く帰って寝たい」
おれ「好きなキャラクター選ばせてやるよ」
ハヤシ「おれはセーラーヴィーナス、美奈子かな」
おれ「は?おれがヴィーナス使いてえんだけど?ちなみにおれは、リアルタイムでアニメ見てたとき、亜美ちゃんが好きだったんだけど、今見ると美奈子ちゃんが可愛く見えるんだよな。これが、成長ってことなんだろうな」
ハヤシ「好きなキャラ選んでいいっていったの、1秒で忘れてるあたり、完全にサイコパスじゃん」
おれ「仕方ない、おれはセーラージュピターでいくわ。強そうだし」
ハヤシ「確かに強そう」
いきなりのパンチ連打がガチなことに戸惑うおれとハヤシ。本作の”たいせん”モードには、移動、ジャンプ、ガードというシステムに、攻撃ボタンで繰り出せる地上技、空中技、必殺技ボタンで繰り出せる飛び道具があるようなのだが、必殺技を使うまでもなく、いきなりパンチが強い。
おれ「いきなりなんだけど。これ、パンチ連打がハメじゃね」
ハヤシ「うむ。なんかガードしても抜けれないね。ガードからパンチこすっても、相手のパンチに負ける。ジャンプしても空中くらいでもっかいハメられる」
おれ「ガードしても通常技で削りダメージが入る。これ、実質『ストリートファイター5』じゃん。ジュピターパンチ遅すぎてだめだこれ」
ハヤシ「『スト5』の名誉を棄損するな」
おれ「ほかのキャラクターもやってみよう。パンチ連打がハメになるなら、パンチが早いキャラが勝つはず。それを探してから、眠ろうじゃないか」
ハヤシ「確かに、パンチ早いキャラ見つけて、最強キャラクター決めておこう」
おれ「過去の愛し人、亜美ちゃんでいくわ。いや、今も亜美ちゃん好きかもな。目の前に現れたら好きになるわ」
ハヤシ「オタク……。おれは美奈子一筋かな。強いし」
ハヤシ「パンチ連打を押し付けあうキャットファイト、見た目がかなり圧ある」
おれ「亜美ちゃんパンチの密度は凄いけど、リーチが短いから立ち回りがよわいし、当てたときに連打で拘束しにくい」
ハヤシ「美奈子ちゃん。さすがに運動神経がいいって設定が活かされてる。フィジカル半端ない。リーチとスピードのバランスが神」
おれ「いきなり原作設定持ち出すオタクプレイはやめろ。しばらく亜美ちゃんでやってみる」
ハヤシ「パンチの性能差で折れないあたり、キャラゲー愛好家としての魂感じる」
そこから3連敗。パンチで絡まれるたびに、スピードとリーチの差で負けてしまう亜美ちゃん。おれのチャレンジスピリットがガリガリと削られていく。
これが、このゲームの答えなのか。
そう思ったとき、奇跡は起きた。
残り少ない体力でパンチをくらい、敗北の気配を感じながら、ゲームパッドをガチャガチャやってたら、パンチ連打でガリガリ体力を削られる亜美ちゃんが、いきなり逆立ちをし、蹴りを繰り出したのだ。
衝撃的な光景に、おっさん二人の手が止まる。
おれ「なんか今見たことない技が出たぞ」
ハヤシ「無敵あるっぽかったけど。どうやったのそれ」
おれ「わからん、ガチャガチャしてたら出た」
ハヤシ「説明書とかないの」
おれ「実家の倉庫とかにあるはず」
ハヤシ「コマンドを探してみるか」
こうして、調べ物をすること約30分、全てのキャラクターの無敵技コマンドが判明した。
セーラームーン:左、左下、下、上+必殺技ボタン
セーラーマーキュリー:右、下、右下+必殺技ボタン
セーラーマーズ:左、左下、下、右下、右+必殺技ボタン
セーラージュピター:左、左上、上、下+必殺技ボタン
セーラーヴィーナス:右、左、右+必殺技ボタン
セーラームーンやセーラージュピターのコマンドが、近年の格闘ゲームではまず見られないコマンドなので、「一回転か」、「『ドラゴンボールZ超武闘伝』のメテオスマッシュ系コマンドかもしれん」などといろいろ試したもので、正確かどうかはわかりませんが、とりあえずこれで出すことができます。以下に、その特徴とモーションを並べておきます。
ハヤシ「このゲーム、やられ状態のあとに一瞬無敵あるっぽいから、パンチ連打もこれで抜けられるぞ」
おれ「完全に始まった。そうすると、飛び道具を使った遠距離戦ができるやつが強い説ある」
この発見により、ゲーム性が大きく変わった。
・パンチ連打による固め、コンボは、無敵技で割り込まれるため、リスクがある
・飛び道具により細かくダメージをとる戦術は、無敵技による反撃を受けないためリスクが低い
・パンチをヒットさせたあとに、遅らせて無敵技を出しておくことで、相手の無敵技による割り込みを狩れる
・コマンドの受付がシビアなので、即座に出すのは格ゲーオタクでもかなり困難
おれ「パンチ→無敵技の流れ、『ギルティギア』のサイクバーストを狩るような感じで面白くなってきた」
ハヤシ「無敵技が読みあいに増えたことで、飛び道具かなり重要になったね。ジュピターも再評価ある。美奈子ばっかり使うと、キャラクターの強さわからないし、ちょっと触ってみるか」
当事の会話を今こうして書き起こしてみると、もうこの時点でだいぶ正気ではありません。
ハヤシ「セーラームーン、つよない?」
おれ「主人公だしね。仕方ないね。それよりお前、飛び道具を回避するために、無敵技使うとかいう格闘ゲーマーみたいなことをやめろ」
ハヤシ「つい、『スト4』力見せてしまったわ」
おれ「うさぎは、昇龍拳の下降部分に判定ついてるの、かなりの圧を感じる。端にいけばゲーム終わりっぽい」
ハヤシ「『ストリートファイターZERO』の神龍拳思い出したけど、あれの一億倍強い」
おれ「このゲームの無敵技、でかかりから終わりまで無敵っぽいから、理論上は連打すれば体力減らされないんだけど、コマンドの受付がシビアすぎて厳しい。神調整かよ」
ハヤシ「神調整かどうかは怪しいけど、これでいくと、強いのは美奈子かセーラームーンかな。美奈子、無敵技のリーチ仕上がってる」
おれ「なんでヴィーナスだけ美奈子呼ばわりなのかわからないけど、うさぎが最強ってこと、わからせるわ」
ハヤシ「あのこれ」
おれ「お前はよく頑張ったよ。最後に勝つのは、主人公、なんだよなぁ」
ハヤシ「このゲームで対戦してるおれらが一番おかしいのはわかってるんだけど、そいつの飛び道具おかしくない?他のキャラクターと比べて隙が小さすぎる」
おれ「そら、マーズの飛び道具とか、当たったら相手燃えてるじゃん。かっこいいだろ?」
ハヤシ「燃えてるとこやられ消えてるから別にダウンでいいんだけど。あと美奈子、スゴイ問題がある。無敵技のコマンドが短いけど、しっかり間に何も入力していない時間を挟まないと出ない」
おれ「コマテク磨いてまたこいよ」
ハヤシ「いや、もう次ははないかな。しばらくキャラクターをレバーニュートラルにしておくと、もじもじしだすのが可愛いゲームだったな。じゃあな」
おれたちの4時間のプレイは、「うさぎ最強では」という仮説にたどり着きました。
いろいろ調べてみたものの、ネット上にはやりこみ情報が載っていなかったので、完全に独断と偏見まみれの仮説ですが、「実はこんなスゴテクがある」という方がいらっしゃいましたら、是非ご一報ください。