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【プレイレポート】ホラーゲームは、「完全」じゃない方が恐ろしい『死印』

   

ホラーゲームというのは、多少ひねくれているくらいが好みの浅葉です。
素直すぎるシナリオやグラフィックでは物足りなく感じることも多いですし、操作性なんかも一癖設けていてほしいと思います。最近では、レトロな雰囲気が「怖さ」と繋がることもあり、初代プレイステーションのホラーゲームなんかは、発売当時に遊んだ時よりも強く感じます。
おれにとってホラーゲームは、レビューの点数で満点がつくようなゲームではなく、完全ではないもののほうが良いのです。皆様も、快適に遊べない作品の方が、強烈に記憶に残っていたりもしませんか。理不尽すぎる選択肢、細部がボケているグラフィック、なんだか扱いづらいカメラワークなどがスパイスになったホラーゲームは数多くあるのです。
今回の記事で、ご紹介するPS Vita『死印』は、そういう見方でいくと、実に趣のあるホラーゲームです。

『死印』
発売日:2017年6月1日
プラットフォーム:プレイステーションVita

ジャンル:ホラーアドベンチャー
価格:パッケージ版:4,800円+税、ダウンロード版:4,000円+税
CERO:D
発売元:EXPERIENCE

△今回紹介するのは、2017年6月1日に発売された『死印』

STORY(公式サイトより引用)
京都H市、この郊外都市に最近奇妙な噂話が広がっていた。
“シルシ”を持つ者は死ぬ──
突如体にまるで噛まれたような痣 “シルシ” が刻まれ、
原因不明の死を遂げるというものだ。
事実この町では、人が謎の不審死を遂げる
怪奇事件が発生していた。
この事件は都市伝説的に、どこかで幽霊に遭遇したせいだ、
知らぬ間に呪いに祟られるようなことをした、
などと様々な憶測を元に広まっていった。
記憶を失ったあなたは、“シルシ” を持つ者を保護するという洋館の前にいた。
何かに引き寄せられる様に洋館の扉を開くと、そこで美しい人形に出会う。
「ようこそ、九条館へ──」
続けて人形は語る。
「このままでは、あなたは死にます」
「ただ、助かる方法がない訳ではない」
“死” へのカウントダウンはすでに始まっていた…

△死印ーシルシーを刻まれた人間は、謎の死を迎えます。シルシを刻まれてしまったプレイヤー(主人公)は、死のタイムリミットを迎える前に、”シルシ”の謎と呪いを解き明かすために奔走します。

主人公は、体に刻まれた”シルシ”を呪いを解くべく、その原因と思わしきホラースポットを探索することになるのですが、この探索はダンジョンRPGのようなテイストで進行していきます。このホラーとダンジョンRPG風の探索という不思議なとりあわせは、他のホラーゲームにはない不思議なプレイフィールをもたらしてくれます。
ダンジョンRPG的な探索は、あくまで風味付け程度のもので、レベル上げやトライアンドエラーの連続というわけではないのですが、やはりところどころでプレイヤーの手を止め、頭を使わせてきます。物語の謎を解き明かすために先を急ぎたくても、システム上慎重にいかざるをえない。そんなジレンマのような感覚が、ホラーゲームとして程よいストレスをもたらしてくれます。

△本作の探索は、ダンジョンRPG風の操作で進行していきます。画面右上に表示されるミニマップを見て身構える方もいるかもしれませんが、マップの構造自体はそれほど難しいものではありません。

△探索には、同行者を選んで訪れることになります。特定の同行者を連れていくことで解放される仕掛けなども用意されています。

ホラーゲームとしてはなかなか異色のこの進行と、時にはプレイヤーの死に直結する選択肢”デッドリーチョイス”の相性はなかなかのもので、中には運任せにするしかないような生死に関わる選択肢もありますが、これが怖さの演出としては絶妙です。ゲームの流れを追いかけていようが、いくら物語を読み込んでいようが、「運」の要素がなければ振り解けない”選択”も用意されています。理不尽なものに追われている、取り憑かれているとき、理論や理屈が助けになるとは限らないのです。(「『ウィザードリィ』シリーズのワープギミックで、石の中にワープして即死する」ほどの理不尽感ではないので、そこはご安心ください。)
クリアーまでの道のりが平坦ではないからこそ、謎や真実が明かされていく過程では達成感を噛み締めることができます。プレイしている間は、「ふざけるなよ」と思うことも少なくなかったのですが、クリアー後はこうして急いで記事を書きたくなるくらい「良かったなあ」なんて思えてしまうんです。
こう書くと、なんか面倒くさそうなゲームだなあと思う方かもしれませんが、セーブはこまめにとれる仕様になっていますし、選択の幅も雑多にあるわけではないので、ノーヒントでも比較的簡単にエンディングを迎えることができます。トロフィーコンプリートまでの時間は、多めに見積もって10〜15時間くらいです。

△こちらが、「デッドリーチョイス」の画面。霊魂というのは、主人公の体力のようなもので、これが0になると死んでしまいます。霊魂は、時間とともに減少していくので、選択肢に悩んでいるとあっという間にゲームオーバーになってしまいます。

△各章の終りには、怪異の”ボス”との戦いが用意されています。探索で手に入れたアイテムや知識をフル動員して戦うことになりますが、中には理不尽な選択肢も用意されています。

本作の怖さを演出するもう一つの要素は、飛び道具的なイベントCGです。2Dイラストを使うタイプのアドベンチャーゲームとしては、かなり強烈なシーンが数多く用意されています。ところどころ、ホラーとエロスを混ぜ込んだようなシーンも存在します。ホラーにはやはりエロスが必要なのだ!これほんま家庭用ゲームなのかよというギリギリを攻めたものも多いので、もしかしたら特殊な趣向をお持ちの方にも刺さるかもしれません。見方によっては、日本の風情溢れるエログロの世界が広がっている作品といっても良いのではないでしょうか。

△人の死を直視するシーンの一つですが、見方によってはエロスも漂ってきます。

△ホラーとエロスの相性は抜群です。

個人的な好みでいくと、ダンジョンRPG的な探索パートでは、表示や演出の都合上か、テキストにちょっと物足りなさを感じる部分もありました。このあたりがもう少し怪しさや深みを出してくれば、より恐怖感が増したのかなと思います。(テキストについては、非常に繊細な部分で、好みによって受ける印象も違いますし、おれの場合はかなりの数のホラーゲームを遊んでいるので、あくまで「怖さ」に慣れているプレイヤーの一意見として眺めてください)。
じゃあ怖くないのかというとそんなことはなく、ホラーゲーム好きの自分としても、ゾクリという感覚が来る箇所がたくさんありました。システムと飛び道具的なイベントCGの衝撃は、本作の強烈なオリジナリティです。普通のゲームと同じ評価軸でいくと、ちょっと古く感じるところや、簡素に感じるところもある作品ですが、「得体の知れないもの」と対峙する怖さを、「得体の知れない」作りのゲームの中で体験するという意味では、大変素晴らしい作品だと思います。

△不便なようで、決して手抜きではないUIは、ホラーゲームの演出として一役買ってくれています。

いやあ、この不完全さこそが、ホラーゲームの醍醐味なんですよと偉そうなことを書こうとしたら、プレイ後に振り返ってみると、シーンの切り替わりなどは概ね快適で、セーブの親切さなど、ちゃんとしている部分の多さに気づきました。「ホラーゲームとして求められているレトロ感、不親切さ」を計算づくで作ったのだろうかと想像していたら、発売後にはプレイヤーの不満点に対するアップデートも発表されました。なんだよ、わかって作ってるんじゃないか!
ホラーゲームの新規IPとして応援したい作品ですし、EXPERIENCEの新境地が見える怪作。ホラーゲームフリークはもちろん、多少怖いのは大丈夫という方にも、オススメですよ!

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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