『FINAL FANTASY XV』のエンディングまでたどり着き、プラチナトロフィーも取得した社壊人・浅葉です。それでもまだまだやれることが残っているのがこのゲームの凄いところです。
今回のプレイレポートは、あくまで、おれの辿ったプレイを振り返ってのものなので、「全然そんなことなかったよ」という人もいるはずです。自由度の高いオープンワールド系のゲームは、プレイスタイルがさまざまですから、どういう遊び方をしたかによってその感想が大きく異なることが多いのです。とはいえ、本作も過去の名作と言われるオープンワールドRPGと同じく、「楽しもうとするプレイヤーに応えてくれる」作品になっています。
記事では、楽しいと感じながら終始プレイしていた自分が、どういったところに惹かれたのかを紹介しつつ、感想をつらつら書いていきます。
効率を追求すれば、クリアーもプラチナトロフィーもそれほど時間はかからなかったはずなんですが、このゲームでは寄り道を繰り返しました。(RPGをプレイするときはいつも、一周目はメインのストーリーだけを追いかけて、最後までたどり着くことを優先しています。)いろいろな場所に楽しみが配置されているオープンワールド系のゲームというのもあるのですが、この”旅”を続けたいという気持ちがずっと離れなかったのです。
本作の発表時からたびたび、インターネット上で”ホスト”と呼ばれていたイケメン兄ちゃん4人の旅はとにかく楽しそうです。車を走らせて広大な世界を移動し、キャンプをしたり、料理をしたり、写真を撮ったり、釣りをしたり。なんでお前らそんなに楽しそうなんだよと思っていたら、自分も楽しくなって、いろいろな寄り道をしてしまいました。
特にやられてしまったのは、仲間の一人、プロンプトが持つ”写真”のスキル。これは、プロンプトが冒険の様子を写真に納めてくれるというもので、放っておくと色々なところをパシャパシャと写真に収めてくれます。こなれてくると、自撮りを始めたり、戦闘中に写真を撮るスキルが使えるようになったりします。
オープンワールド系 RPGの醍醐味のひとつに、プレイヤーによって通る道のりが異なるという点があります。世界に生きる人々からの頼まれごとをどの順番でこなしたか、どういった経路で目的地に向かった。キャラクターのレベル上げやスキル構築などによって、ゲームから受ける印象も随分変わってきます。そんな「自分だけの冒険」を、プロンプトの写真スキルが強烈に印象付けてくれます。たとえ、同じ道のりを辿ったとしても、プロンプトの撮影する写真のタイミングや構図は、ランダム性が強いため、そこにはやっぱり自分だけの冒険が記録されているのです。
イケメンたちの旅に惹かれて、プレイ中に思わず、主人公たちが使っているキャンプ用品”Coleman”の商品をいろいろ調べてしまいました。最近はホームセンターなどでも見かけるほどメジャーなキャンプ用品ブランドですが、『FF15』の世界でまさか見かけることになるとは!おれも来年はキャンプマンとして生きるぜ。
本作で一番の、賛否両論が分かれる部分はおそらくストーリーでしょう。ストーリーの良し悪しというのは、プレイヤーの好みによって評価が分かれるものですが、本作のストーリーは本来、もっと長いものを想定していたか、作りこみきれなかったのではという印象もあります。
エピソード間のつなぎが緩い部分が多く、よく言えばプレイヤーの想像力をかきたてるところも多いのですが、「なぜこうなったのか」という説明が足りていない箇所がいくつかありました。発売後にも、追加コンテンツが来るらしいので、そこで補完してくれると嬉しいですね。
ただ、ストーリーを演出する映像や演出のクオリティが凄まじいので、面白いか面白くないかというよりは「これって凄いよね」という印象に巻き込まれることも確かです。ここまで美しい映像や演出であれば、どんなストーリーだって輝いて見えるのです。超大作の持つオーラは、半端じゃありませんし、ハッタリでもありません。エンディングは、「参りました」の一言です。
本作のバトルは、今までのシリーズの中でもかなり”アクション”性の高いRPGとなっています。アクションに寄ったことと、魔法を装備として精製して装備、使用するというシステムになった事で、武器による攻撃がメインのゲームになっているので、スーパーファミコン時代に色濃く感じた、剣と魔法のRPGという面での『FF』らしさは薄れていますが、遊び応えは十分です。
武器の種類は豊富で、多彩なアクションが用意されています。武器を切り替え、”シフト”を使いこなして有利な位置取りや体制の立て直しを図ったりする戦闘は、マップや状況によって戦術を切り替える楽しみがあります。しかし、ストーリーで戦うバトルは、比較的ワンパターンな動きで勝ててしまうため、戦闘の自由度という面では低めに感じる人も多いはずです。
こう書くと一見ネガティブですが、この点はコマンド系RPGが好きな、またはアクションRPGが苦手な人への配慮になっています。個人的にはこの緩い戦闘の作りのおかげで、安心して遊べるRPGになっていると感じています。
また、この戦闘の面白さがわかってくるのは、「ストーリーを余裕でクリアーできる」レベルに達してからだと感じました。ストーリーを適正レベルで進めていると、どうしてもごり押しがちになる戦闘ですが、ストーリーのボス以上のレベルの敵と戦う際は、特殊な戦略や下準備が必要になってきます。このレベル帯での戦闘は、これぞやりこみ系RPGと言えるものになっています。
最初にも書きましたが、本作は、そのプレイの仕方によって、受ける印象が大きく異なるゲームです。楽しもうとすれば、しっかりと膨大なコンテンツが応えてくれます。逆に、「このゲームはこういうものだ」と決めつけて遊べば、その範囲の出来事しか体験できず、なんともあっさりした冒険だったなという感想が湧いてくるかもしれません。本作を遊ぶ際は、先入観を持たず、「せっかく買ったんだしいろいろやってみよう」という緩い気持ちで臨むのが良いかもしれません。
ストーリーだけを追いかければ20時間という、発売前の情報も、概ね正しい概算です。ただ、これは広大かつ膨大な冒険が用意されているオープンワールドを最小限に冒険した場合の話で、すべてのコンテンツを楽しもうとすると、100時間はかかりそうです。(おれの場合、トロフィーコンプリートに50時間弱かかっていますが、トロフィーコンプリートを終えても、訪れていない場所や、倒していない敵がいます。)
筆者は今年も、かなりの数のRPGを遊びましたが、この作品だけは、ゲームファンなら遊んでおいて損はない作品だと思います。これだけのお祭りムードがあり、多くの人が遊んでいる作品ですから、語り合える仲間や機会に巡り合うことも少なくないはずです。そして、本作の要素の多くが、過去のゲームとの比較できないほど作りこまれているため、「面白かった、面白くなかった」という話だけにはならないはずです。きっと、この作品をきっかけに、いろいろな話ができるのです。どう遊んでも楽しいのが優れたゲームと言えるのだという意見もあるかもしれませんが、人によって体験や印象が変わるゲームって、それはそれで素敵だと思います。
今後のアップデートも発表されているので、今の『FINAL FANTASY XV』よりも進化したものが遊べる可能性も低くなさそうです。その時に、「発売した時は、こんな感じだったのが変わったもんだねえ」と話せる特権が得られるのは、今だけです!
前回の記事にも書きましたが、このお祭りを楽しみましょう!