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【ゲームレビュー】いますぐディストピア・ダンジョンRPG『黄泉ヲ裂ク華』に潜れ

   

ダンジョンRPGが好きだ。

このジャンルを遊んだことがない人からすると、ちょっと小難しいジャンルのように感じるかもしれないが、かつて方眼紙に手書きで地図を書いていた時代は遠い昔のことで、今はユーザーインターフェイスが洗練されておりとにかくカジュアルに遊べる。しかし一方で、育成の多様性や、強力な装備を求めて戦闘を繰り返す過程、さらには極限まで育成をしたうえで挑むエンドコンテンツなど、奥行きのある要素も併せ持っている。

今回紹介する『黄泉ヲ裂ク華(よみをさくはな)』は、まさに敷居は低く、しかし迷宮と育成は奥深いという傑作である。ダンジョンRPGの作り手として定評のあるエクスペリエンスの最新作ということもあって、このジャンルのファンとしては間違いない出来栄えなのだが、それは決してマニア向けの作品というわけではないのだ。

『黄泉ヲ裂ク華(よみをさくはな)』


発売中
メーカー:エクスペリエンス
プラットフォーム:Xbox One、プレイステーション4、ニンテンドーSwitch
ジャンル:ディストピア・ダンジョンRPG
CERO:D
価格:《パッケージ》:7,800円(税抜)《DL》通常版:7,800円(税抜)
お手軽版:5,800円(税抜)、やり込みDLC:2,000円(税抜)
※XboxOne版は、「DLの通常版のみ」の配信。

△物語の舞台は1979年の東京。”黄泉”という迷宮からの脱出が本作の主な目的となる。6人パーティを編成し、迷宮を探索するのだ。

ディストピア・ダンジョンRPGを掲げる本作の物語は、巨大迷宮”黄泉”を舞台に描かれる。1979年の東京、数十年前に突如現れた巨大構造体”黄泉”は、人々に新しいエネルギー資源をもたらした。黄泉を探索し、そこに巣食う危険生物を倒し、資源を持ち帰る地下探行士(アンダーノーツ)という職業すら生まれている。主人公たちは零細企業カサンドラに所属する地下探行士だが、大きなトラブルに巻き込まれ黄泉に閉じ込められてしまう。黄泉からの脱出を試みつつ、その秘密に触れていくことになるのだが、この過程が実に見応えがある。黄泉で命を落とした者たちの凄惨な死に様が突如描かれたり、そこに生きる異界の者たちにも暗い影を帯びた物語がまとわりついている。

プレイヤーが操作するキャラクターたちは、ゲーム開始時にキャラクタークリエイトで制作する。好きなアニメやゲームのキャラクターの名前をつけるのもよし、実際の友達の名前をつけて旅立つのもいいだろう。そうして生まれたキャラクター、パーティを操作していると、ロールプレイ的な没入感も生まれてくるはず。

▲主人公とそのパーティメンバーは、名前やプロフィール、職業や外見を選ぶキャラクタークリエイトで制作する。職業によって習得するスキルが異なるため、慣れないうちは前衛、後衛、回復役を意識して職業をふり分けるといい。

黄泉の描写を見ていると、本作の開発元であるエクスペリエンスがホラーアドベンチャーゲームとしてリリースした『死印』、『NG』で見せてくれた”恐ろしいもの”を描き出す表現力が存分に発揮されているように感じる。ダンジョンRPGのテンポを損ねないようストーリーが語られる会話パートなどは尺としては短いが、これが小気味良いテンポへとつながっている。そしてその中に世界設定やプレイヤーが知りたい情報が凝縮されているのだからたまらない。グラフィック、サウンド、そして切れ味のあるテキストが合わさることで、何が起きるかわからない迷宮の空気を絶妙に作り出している。この作品の雰囲気に惹かれたら、『死印』や『NG』も是非プレイしてみて欲しい。こちらは、ダンジョンRPG風の探索画面を採用した独特のプレイフィールを持つアドベンチャーゲームとなっている。

▲黄泉の中には危険な存在たちが潜んでいる。切れ味のあるテキスト表現も見所となるだろう。

ダンジョンRPGとしての遊びやすさも昇華されており、育成や装備集めで戦力を整えて徐々に進んでいく攻略の楽しさが確かにある。そのうえで攻略済みのスポットを再訪する際にはなるべくストレスなく遊ばせるような仕組みも用意されている。一度訪れた場所に自動で移動できるオートパイロット機能や、格下の敵と戦う場合に便利なオートバトル、爽快につながるマップのショートカットなどは申し分のない出来だ。難度と快適さのバランスがとれているため、幅広い層のプレイヤーにオススメしたくなるのは、こうした下地の部分が優れているからである。

△歩いた場所をゲーム内地図に記録してくれるオートマッピングがあるため、探索中に迷うことも少ないはず。詰まった場合は先人がインターネット上に書いてくれた攻略などもあるため、手段を選ばなければ探索でお手上げ状態になるということもまずないだろう。

また、戦闘はコマンド選択式なのでこちらもすぐに理解できるはず。そのうえでキャラクターの職業や育成方針を変えればプレイフィールが大きく変化するので、自分だけの冒険を楽しんでいる感覚もある。ダンジョン探索という長期戦の中では、HPやMPといったパラメーターをどうやりくりするかというのを意識するものだ。そしてこの手のゲームで息苦しさを感じるのは、リソース配分を見誤り、ダンジョンの奥の方に到達したものの強力な技を使うためのリソースが枯渇するという事態なのだが、本作ではターン開始時にかけられる”スイッチブースト”という仕組みがあることで、リソース管理がやりやすくなっている。
このスイッチブーストには3種類の効果が存在する。”超電スイッチ”はスキルを1ターンの間強化し、そのうえ消費MPを0にする。”耐電スイッチ”は1ターンの間味方全員の防御力アップ、”神電スイッチ”は1ターンの間素早さをアップさせ、そのうえこのスイッチの効果中に敵を全滅させると獲得できる宝箱の数が増えるという仕様になっている。そして”同じスイッチは連続使用はできず、再使用には1ターンの充電が必要”という制約があるため、やみくもに使うというよりは、戦況を考えて使い分けることになるが、それほど難しく考える必要はなく、意外と直感的に選んでも恩恵を得られる場合が多い。コマンド選択式バトルに、一手だけ増えたものと考えてもらえば良いだろう。

△パーティメンバーのスキルを活かし、ダンジョン内の敵を倒すのだ。

△こちらがスイッチ、ターン開始前に使うかどうかを選択できる上、操作のテンポも良い。

また、本作独自の要素として”黄泉の花”を使ったダンジョンビルドが登場する。黄泉の花には迷宮の構造を変化させる能力があり、特定の壁に穴をあけたり、梯子がかかりそうなところに梯子をかけるなど、いわゆる「隠し通路」の開通に使えるのだ。このほかにも、魔物を呼び寄せる花や、拠点とのショートカットをつなぐ花なども存在する。古き良きRPGの魅力を受け継ぐこのジャンルに新しい要素が持ち込まれた時、僕のような昔ながらのファンは警戒心を強める。新しさにこだわるあまり、ダンジョンRPGとしての良さが薄まり、ストレスだけが強まったことも少なからずあるからだ。しかし、この黄泉の花に関しては、ダンジョンRPGの面白さを延長する仕掛けであり、それがストレスに感じることは一度もなかった。隠し通路を開通できるといっても、そのほとんどがとてもわかりやすい場所になっているため、花を無駄遣いするということもほとんどない。

△黄泉の花にはさまざまな種類がある。ダンジョン内で使い、新たな道を作るのだ。

△黄泉の花を使って新しい通路を開通し、先へ進むというのが基本的な流れ。説明だけ聞くと煩雑そうな要素だが、使うポイントはわかりやすい。

総評としては、本作はダンジョンRPGの”お約束”的な面白さを裏切らず、そこに嫌味のない新しさと親切な快適さを備えている。ダークな世界設定は人を選ぶだろうが、気にならないという方や、むしろ大好きであるという方は是非とも遊んでほしい。ちなみに本作には、プレイステーション4とニンテンドーSwitchのダウンロード版には”シナリオクリアまで遊べる” 『黄泉ヲ裂ク華 お手軽版』というものが存在するので、自分に合うかどうかわからないという方はこちらを買ってみるのもいいだろう。”シナリオクリアまで遊べる” 『黄泉ヲ裂ク華 お手軽版』を買った場合でも、”クリア後コンテンツが遊べる” 『黄泉ヲ裂ク華 やり込みDLCを適用することで、すべてのコンテンツを遊べるので安心だ。

▲黄泉に登場するボスモンスターにも”物語”が用意されている。こうしたテキストを読んでいるだけでも楽しくなる属性の人にもおすすめだ。

本作がこれから発売されるダンジョンRPGのお手本になって欲しいと願っている。ダンジョンRPGは長い歴史があり、プレイヤーが「面白い」と思う要素は明確になっているはずなのに、たまにとてつもない手触りの作品に出会うことがある。ユーザーインターフェースを触った時に絶望感に包まれるものすらある。こうした悲しい事故を避けるために、ダンジョンRPGを作るメーカーは、ユーザーが喜ぶダンジョンRPGのテンポ、UIなどをこの作品から学び、盗んで欲しいとも思うのだ。
コアなダンジョンRPGファンからすると、本作の難度はやや簡単に感じるかもしれない。育成のやり直しが簡単なこと、ある程度強力な装備やスキルがあれば、エンドコンテンツまで踏破できること。トロフィーコンプリートも普通にプレイしていれば達成できる。もっと難しくても楽しく遊べただろうが、いろいろな遊び方に耐えうる良作だと思っている。

この冬、長くじっくり遊べるRPGを探しているという方は、是非本作を手にとってみてほしい。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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