ニンテンドー3DSの名作RPG『アライアンス・アライブ』のHDリマスターを今更ながらゆったり遊んでいます。
一度遊んだゲームのリマスターって、慌ただしいときは後回しにしてしまうんですけど、腰を据えて遊べそうなときにちゃんと出番が来るんですよね。特に本作のような”ほどよい”やりこみ要素がある作品というのはなかなか貴重です。しかも、オリジナル版の発売から時間が経っている作品であれば、「どのようにプレイを進めるか」というざっとした予定まで立てられる。『ロマンシングサガ3』をやり直す時、「今回は竜槍スマウグを3本とろう」とか考えたりしますよね。しませんか?
やりこみゲーを求めてるならオンラインゲームがあるというのもわかるんです。
ただ、自分の場合は現在”ある程度終わりの見えるやりこみ”が用意されているコンシューマーゲームにお熱です。オンラインゲーム以外のやりこみはヌルいと言われればそれまでですが、現実的な問題として自分自身が、オンラインゲームのやりこみについていくのが難しくなってきました。若い頃はサービス終了まで終わりなき冒険を楽しめるオンラインゲームとかが大好きでした。必死にプレイして、なんなら学生生活なんてものよりも大事にしてて、おかげで大学の単位は本当にギリギリのところで卒業しました。青春の『ラグナロクオンライン』であり『ファイナルファンタジー11』だったんですね。
そんな経験があるから、未だに新しいオンラインゲームが出るとちょくちょく触ります。その度に、楽しむことはできても、がっつりやりこむことは時間の都合上難しいということに気付かされるんですね。学校は行かなくてもいいけど、仕事は自分の中でそれより優先順位が高いし、家族もいる。ウチはかなりというか異常なレベルで奥さんがゲームに理解のある人ですが、それでも昔のようなハングリー精神でオンラインゲームに向き合うのは難しいかなと思います。(バンダイナムコの『BLUE PROTOCOL』はとても楽しみですが)
そんな言い訳もありつつ現状で自分が楽しめるやりこみゲーというのは、据え置きの終わりのあるゲームなのかなと考えています。「終わりのある、それでいてそこそこにハードルのあるRPG」というのを体が欲しています。そんな自分には『アライアンス・アライブ HDリマスター』はとても嬉しい作品で、この作品はまさにほどよい”やりこみゲー”なのです。(海外産のRPGも大好きなのですが、個人的には日本のRPGは収集などが楽しいやりこみ向き、海外産は収集などを気にせず”多数の遊び方”を追求するやりこみ向きかなと考えていて、自分の好きなやりこみはゆったり遊べる日本のJRPGです。)
本作はスーパーファミコン全盛の時代に発売されていた古き良きRPGを思わせる、コマンド選択式RPGです。
『ロマンシングサガ』の技の閃きに似たシステムが用意されている時点で、自分のようなおっさんゲーマーには刺さるでしょう。冒険をサポートしてくれるギルド機能、道中に配置された初見ではまず勝てない強力なモンスター、装備の開発、普通に遊んでいるとちょっと大変な収集要素、クリアデータの引き継ぎなどなど。こういうのでいいんだよ的な要素がてんこ盛りで、それでいて渋滞を起こしていないのが素晴らしい。細かい楽しさと達成感が冒険の道中に詰め込まれた傑作です。
『ロマサガ』らしさは多分に感じる作品ですが、本作には本作のオリジナリティや組み合わせの妙があり、『ロマサガ』を本家とするなら、こちらは違った味わいが楽しめる分家のような関係です。ちなみに、本作のゲームデザイナーは元スクウェア・エニックスで『サガ』シリーズの開発にも携わった小泉今日治氏です。そして、クリエイター陣も『サガ』シリーズについて言及していたので、本作のベースが『サガ』なのも必然でしょう。同じくフリュー発からニンテンドー3Ds用タイトルとして発売された『レジェンドオブレガシー』もまた『サガ』シリーズらしさを前面に押し出した作品ですが、本作はより『サガ』寄りかつ遊びやすい作品となっています。(個人的に『レジェンドオブレガシー』は、『サガ』らしさをプロモーションに活用しつつも、そのプレイフィールが程遠いものだったので当時あまり好きな作品ではなかったのですが、別のゲームとして遊べば歯ごたえのある作品です。)
ストーリーは複数主人公による群像劇。ここは『サガ』シリーズよりも”力を合わせる”というところが濃く描写されています。多くを語らないのが『サガ』シリーズの良さであると思っていますが、この作品の語るべきところはしっかりと語るという構成も素敵ですね。分断された世界で、分断されていた種族が集っていくことで起きるドラマも、JRPGらしい美しい着地を見せてくれます。衝撃のストーリー!というわけではありませんが、こちらもやりこみ要素と同じく”ほどよい”のがかえって良いんです。ボイスが無いのは人によって評価が分かれると思いますが、個人的には全く気になりません。
そして、この手の古き良きRPGでいつも気になるのはユーザーインターフェース。古き良きを意識しすぎた結果、時代遅れかつ使いにくいものが組み込まれていたりするのですが、本作はその点しっかり今風です。使いやすく、RPGで起こりがちな”繰り返し”に配慮したスキップ機能や、戦闘の倍速機能までついています。最近のゲームに慣れたプレイヤーでも楽しめる古き良きRPGというのは嬉しい限り。
自分と同じようなスタンスの方がいましたら、ぜひ遊んでみてください。