【ゾイドワイルド キングオブブラスト】子供も大人も楽しめる『ゾイドワイルド』の魅力をおもちゃ屋さんに聞いてみた

前回の記事で紹介したように、『ゾイドワイルド キングオブブラスト』は優れた格闘ゲームである。
操作や駆け引きの仕組みがかんたんで遊びやすく、格闘ゲームへの入り口としてお勧めしやすい。しかし、そのかんたんなパーツを組み立てて戦う対戦は、非常に奥深いものとなっている。そんな風に力説してみても『ゾイドワイルド』を原作とする格闘ゲームだけに”子供向け”のタイトルなのではと思う方も多いだろう。実際『ゾイドワイルド』は、過去の『ゾイド』作品よりも、さらに若い新規層に向けられた作品である。そんな事情もあって、『ゾイドワイルド』は”子供向け”のコンテンツではないかと敬遠している人も多かったようだ。

△ゲームだけでなく玩具も大好きなゴジラインでは、『ゾイドワイルド キングオブブラスト』をきっかけに、『ゾイドワイルド』を追いかけ始めた人も。

我々ゴジラインの周囲には、対戦ゲームが好きという理由で『ゾイドワイルド キングオブブラスト』を手に取り、そこから『ゾイドワイルド』の世界に足を踏み入れたプレイヤーもちらほらいる。
そんなプレイヤーたちと一緒におもちゃ屋さんで『ゾイドワイルド』を見た時、ちょっとはしゃいでしまった。アニメやゲームで感じていたメカ生命体としての存在感がしっかりと宿った玩具に一目惚れしてしまったのだ。それからというもの、みんなでコツコツと玩具を手にとっている。昔、ゾイドを集めていたという仲間も加わって、ゲームに、アニメに、玩具に。語り合うことも増えてきた。子供向け玩具と思って敬遠するのはもったいないということに気づき始めてきたのが最近のこと。
今回の記事では、そのことを皆様にもお伝えするべく、『ゾイドワイルド』の魅力をよく知る「おもちゃ屋の店員さん」をゲストにお話を伺った。

△今回取材に協力してもらったのは、徳島県のおもちゃ屋「おもちゃのイルカ」さん。店内には、ゾイドを展示したショーケースも設けられている。

おもちゃ屋さんに『ゾイドワイルド』のことを聞いてみた


△おもちゃのイルカで、『ゾイドワイルド』コーナーを担当する長尾氏。

ーー格闘ゲームだからというきっかけで『ゾイドワイルド キングオブブラスト』を遊んで、そこから『ゾイドワイルド』を追いかけ始めたんですが、玩具のゾイドがこんなに面白いとは思いませんでした。『ゾイドワイルド』って子供向けというイメージが強くて、玩具に触れることがなくなってしまっていたんです。もっと早く玩具を見ていれば、いま品薄で入手が難しいものも簡単に買えていたのかもしれません(笑)正直、もったいないことをしました(笑)

長尾さん:最近では、人気のものは一時的に売り切れになってしまうことも増えましたね。『ゾイドワイルド キングオブブラスト』から、玩具の方に興味を持ってくれる方というのは私の周りでははじめてです(笑)

ーー『ゾイドワイルド キングオブブラスト』の記事を作った時に、タカラトミーさんの開発さんへのメールインタビューをさせてもらったのですが、そこで『ゾイドワイルド』はアニメも、ゲームも、玩具も、ベースが共通のデータを使って制作資料として活かしていると聞いたんです。ゲームの中で動くワイルドライガーが、玩具だとどうなっているんだろうという興味から始まったのですが、すっかりやられてます。子供向けと思っていたのに、細部が本当に凄くて。玩具なのですが、ゾクゾクするような作り込みがあるなあと。ギミックなんかも大人でも楽しめるもので、これって本当に子供用なのかなと驚かされてます(笑)

長尾さん:『ゾイドワイルド』は、今までのシリーズよりも若い層をターゲットにしているようですから、子供向けかと通り過ぎてしまう人もいるかもしれませんね。引き続き追いかけているというコアなファンの方ももちろんいるんですが、そうでない場合は「自分たちの世代に向けたものではないのかな」という感想もあるのかなと。でも、に取ってみると、昔よりもさらに洗練されたホビーになってきていることがわかってもらえると思います。偉そうなことから語ってますけど、私自身、タカラトミーさんの方から『ゾイドワイルド』が発表された時は驚いたんですよ(笑)アニメの第二期シリーズ終了以降は落ち着いた展開が数年続いていたので、こんなに大きな展開があるとは予想していなかったんです。しかも、その内容が新規層をターゲットにしたものだと知って二度驚きました。『ゾイドワイルド』に至るまでのゾイドの展開は、だんだんと大人向けのホビーという位置付けになってきた印象が強かったんです。熱心に買ってくれるお客様が、往年のファンになってきていたんですよ。そのお客様が、子供向けということで離れてしまうかもしれないという心配はありましたね。

△『ゾイドワイルド』の思いきった若年層向けの世界設定に最初は驚いたが、玩具のディティールは「子供向け」という言葉では片付けられないほど美しい。

ーー実際、『ゾイドワイルド』のアニメの放送や、商品の発売後に、どのような反応があったんでしょう。

長尾さん:あくまで私の感想ですが、発売してすぐに大ヒットという形ではなかったと思います。でも、昨年末あたりから、人気の拡大をひしひしと感じています。販売開始当初は、大人の方、コアなゾイドファンの方が購買層の中心だったのですが、年末付近から子供たちが「おこづかい」で買いに来てくれるようになったんです。ゾイドシリーズには幅広い値段のアイテムがあるんですが、1000円前後のものが売れ始めて来たなと思ったら、年始にかけていろいろな商品が品切れになっていって。『ゾイドワイルド』が力を入れていた新規の層、つまり子供たちに届き始めてきました。
そして、子供たちに届きはじめるとどうなるかというと、親御さんもその玩具のことを知っていって、さらに裾野が広がっていくんですよ。同じファン層に向けた商品を出すことも大事ですが、新しい層を取り込む試みというのも長く続けるためには必要なのかなと最近の『ゾイドワイルド』を見ていて思いますね。

△1000円前後のものでも、ギミックが盛り込まれた繊細なデザインを保っている。

ーー徐々に若い世代に人気が出てきたのですね。

長尾さん:タカラトミーさんが『ゾイドワイルド』に力を注いでくれたことで、だんだんと目にする機会が増えて、実際に見てみると楽しいものだということが浸透してきたんでしょうね。私たちも『ゾイド』が好きなので、店内にブースを用意しているんです。ジオラマはタカラトミーさんから販売店向けに提供されたものですが、そこにゾイドを組み立てて、映えるように飾っています。他の玩具目当てできてくれた人も、何度かそのブースを見ているうちに『ゾイド』に興味を持ってくれるようですね。もっと大きなブースを大きくしたいなと最近は考えているところです(笑)

ーー長尾さまが考える『ゾイドワイルド』の魅力についてお聞かせください。

長尾さん私が魅力だと思うのは”箱を裏切らない”ところですね。『ゾイドワイルド』シリーズのゾイドは、組み立てると、箱に描かれたスケールに近いものが出来上がるんです。完全に一致しているというわけではないんですが、箱を開けて、組み立てて、拍子抜けしないんですよ。子供たちにとっては、これがかなり重要なことなのではと思っていますね。プラモデルを組み立てるのって我々大人はとても楽しいんですが、あの面白さって少しマニアックなところがあると思っているんです。意外と、箱に対して小さいものができますよね。私やプラモ好きの方はそれで全然いいんですけど、子供の視点からすると大きさというのは大事なのかなと。

△箱から伝わってくる情報を裏切らないのが『ゾイドワイルド』の魅力のひとつと長尾さんは語ってくれた。

ーー私も『ゾイドワイルド』の玩具をいくつか買って、組み立ててみましたが、確かにその通りですね。昔よりも、パーツが頑丈になっているような気もしました。キャップとか、昔はもっと外れやすかったかなと(笑)

長尾さん:昔よりもさらに組み立てやすく、耐久性も上がっていますね。細かいところで進化しているんですよね。組み立てというと敬遠する人がいるかもしれませんが、大きなものでも大人であれば1時間かからないくらいで組み立てられます。対象年齢の子供たちでも同じくらいの時間ではないでしょうか。なにせ簡単ですから、説明書通りにやれば出来上がるもののクオリティに大きな差がつかないのも良いところですね。うちのお店では、組み立てたものを展示しつつ販売しているのですが、買って帰ってもほぼ同じものが出来上がるわけですから。「裏切られた」ということがないと思います。もちろん、色をつけたり、ちょっと改造したりという楽しみ方もできますよ。

ーー僕らとしては『ゾイドワイルド』を入り口に、格闘ゲームの方にも若い層が来てくれるといいなと思っています。

長尾さん:私たちはゲームも扱うので、同じ想いですね。小売店のゲーム販売って、昔に比べて勢いが落ちているのは実感としてあります。でもレジにいると、アニメを原作に作られたタイトルなんかが、新しいプレイヤーを呼び込んで来てくれたのを直に見れて、そこに可能性を感じるんです。『ゾイドワイルド キングオブブラスト』も薦めてみたいですね。

協力店舗:おもちゃのイルカ
住所:徳島県板野郡藍住町奥野字東中須88番地の1 ゆめタウン2F

△さまざまなおもちゃやゲームを販売する徳島県の玩具店。

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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