【ゲームレビュー】『ゾイドワイルド キングオブブラスト』は、今こそ必要な対戦格闘ゲームなのかもしれない

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『ゾイドワイルド キングオブブラスト』の記事をやるにあたり、タカラトミーさんにメールでのインタビューをお願いした。
回答を見ると、本作が「楽しく、新しく、優しい」ものになっているのは決して偶然ではなく、「物作り」のプロにたちが情熱を持って本作を作成したからということがはっきりとわかる。驚くほど美しく落とし込まれているゾイドの造形や、格闘ゲームとしての読み合いを熱く盛り上げる「3すくみ」などがどのようにして生まれたのかにも注目してほしい。

『ゾイドワイルド キングオブブラスト』【メールインタビュー】


Q:『ゾイドワイルド キングオブブラスト』開発の経緯についてお聞かせください。また、なぜ、対戦型ゲームというジャンルを選んだのでしょうか。

A:第3期のゾイドシリーズとなる「ゾイドワイルド」は玩具を軸にしながら、メディアミックスでの展開を前提としてシリーズを立ち上げました。TVゲームソフトに関しては、そのメディアミックス戦略においても重要な位置づけとなっており、ゾイドワールドへの強力なの入り口として、2017年より開発がスタートいたしました。ゾイドワイルドのコンセプトとして、1/35スケールでゾイドに人が直接跨り、ゾイドと人の絆で「人機一体」となって戦う、という設定があり、戦い方もモチーフの生物らしさを活かした直接攻撃主体、ゾイドと人の絆が高まると本能解放(ワイルドブラスト)という、より攻撃的な形態に変化して戦う・必殺技を放つ、というものがありました。また味方と敵という明確な対立設定や、ゾイドを自分で動かして戦う充足感を味わってほしいという思いがあり、自然と対戦型ゲームに決まりました。

Q:ゾイドの造形が、非常に美しく描かれていることに驚きました。アニメ、ゲーム、玩具といったメディアミックスを行ううえで、ベースとなるゾイドの設計図のようなものがあるのでしょうか。ゲームの中に落とし込む際、苦労されたことなどあればお聞かせください。また、ゲームという表現媒体の強みはどこになるのでしょうか。

A:ゾイドワイルドは、玩具のCADデータをもとに、アニメのCGが作られ、アニメのCGを基礎として、ゲーム用のCGを作っておりますので、原作となるゾイドの玩具がベースとなっています。完全なトゥーンシェードではなく、トゥーン的な表現を一部のこしつつも、金属パーツの輝き・照り返しなど「金属生命体」として必要な表現を追いかけ、現在の玩具とアニメの中間のようなカッコイイ表現(ルック)となりました。ゲーム表現の強みは、「ゾイドを自分で動かして戦う充足感」を味わえることだと思います。

Q対戦型ゲームとして、極めてクオリティの高い作品になっています。特に、速攻撃、強攻撃、回避、ガードといった要素の対立構造は、シンプルながら奥深い戦いを生み出してくれます。こうした「基礎となるシステム」はどのような発想から生まれたのでしょうか。

A:カンタン操作であるためゲームに慣れていない方にもできることが本作のポイントですが、すぐに飽きがこないようにするためにも「3すくみ」要素も入れることにより、対戦の奥深さも追求しました。格闘ゲームにおいて一般的に使われている「3すくみ」には「投げ」がありますが、ゾイドには「投げ」という表現が難しかったため、新たな対戦システムを作る必要がありました。「こうげき」や「移動」などで「3すくみ」を実装できないか検討を重ね、今回の「速こうげき」、「強こうげき」、「ステップ」による「3すくみ」構造を作ってはどうかとなり、今回のシステムが生まれました。対戦の奥深さを生み出すためのチャレンジでしたが、格闘ゲームにおいて重要な要素である「3すくみ」のシステムをゾイドならではの形で取り入れることができ、本格的な対戦者同士の駆け引き・読み合いを生むことができました。カンタン操作ですが本格的な対戦ゲームも楽しめるバランスに仕上がっていると思います。

Q:対戦後の再戦のレスポンスの良さ、トレーニングモードライクに使える対戦モードなど、「対戦」をかなり意識しているように見えるのですが、いかがでしょうか。

A:超絶爽快!なゲームにするために、アクションが爽快であることはもちろん、ユーザーにとってプレイ中のストレスを感じさせない仕様にすることを心掛けました。対戦モードに関する仕様に関しても同様で、簡単にコンボや立ち回りの練習もできる対戦モードの実装をしております。

Q:本作の隠れた見どころなどあれば、お聞かせください。

A:ゲームオリジナル設定のゾイド「ゾイド亜種」です。色によってゾイドの雰囲気が変わるだけでなく、強さや設定が変わっている点もゾイドの世界観の拡張に繋がっています。玩具の改造のテーマとしても人気です。ギャラリーモードの「ゾイドビューア」はゾイド(亜種ゾイドも含む)のCGモデルをあらゆる角度から観察できる機能です。ゾイドファンにはたまらない要素と思います。ゲーム中の背景もかなり作り込んでおり、60fps(秒間60フレームでの描画)を実現しています。ゾイドの動きが滑らかに感じるのも、このためです。また、アニメの挿入歌をOPムービーだけでなくバトル中の演出BGMとしても使用しており、アニメと同様にワイルドブラスト時の高揚感を感じられると思います。

Q:発売後の反響についてお聞かせください。購買層はどのような広がりを見せているのでしょうか。

A:購入者アンケートでの商品評価も高く、96%以上の方に非常に満足頂いております。購入者は大人から小学生まで幅広い層となっております。おかげさまで販売数も落ちることなく継続して売れ続けている状況です。

Q:大会や対戦会の予定はあるのでしょうか?

A:イベント等での大会を予定しております。詳細などは今後発表させて頂きます(了)

メールインタビューを見る限りでは、まだまだこのゲームは可能性を残している。イベント等で行われる大会が、どのような年齢層をターゲットに行われるのかは不明だが、きっとそこで行われる試合模様は、本作ならではのユニークなものになるはずだ。また、本作は、発売後にDLCが追加されることも発表されている。


なんと、新しいゾイドが参戦するというのだ。タカラトミーが格闘ゲームに参戦するのは久々のことだが、最近の格闘ゲームの流れに合わせ、アップデートを施しながらゲームを拡張していくという試みをとるというのだから驚きだ。ゴジラインでは引き続き、本作の展開を追いかけてつつ、攻略記事などを掲載していく予定。お見逃しなく!

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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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