【ゴジセレ】春にふと思い出す、『季節を抱きしめて』

ゲームを最大限に楽しむ集団・ゴジラインのオススメソフトを紹介するコーナーを作ろうということで、【ゴジセレ】なる雑な記事カテゴリを設けることにしました。他のメンバーに何も相談していないので、当面は私、浅葉、34歳がこのコーナーを更新していきますね。このコーナー自体は、ゴジラインのホームページでやってみたいことのひとつだったのですが、(一応)記念すべき第一回のタイトルをどれにするべきなのかとあれこれ考えているうちに、すっかり忘れてしまっていました。

思い出したのは先週、土曜のこと。
桜の咲く道路を車で走っていたときに、ふと、PSの『季節を抱きしめて』のことが浮かびました。

”やるドラ”という奇跡
△"やるドラ"シリーズの2作品目です。

△今回紹介するのは、”やるドラ”シリーズの2作品目『季節を抱きしめて』。亡くなってしまった主人公の想い人にそっくりな、記憶喪失の少女・麻由の記憶を探る物語です。

このソフトは、”みるドラマから、やるドラマへ”をキャッチコピーに制作された”やるドラ”シリーズの2作品目にあたります。
”やるドラ”シリーズは、当時としては斬新なフルボイスと(ほぼ)フルアニメーションで構成されたアドベンチャーゲームで、四季シリーズとして『ダブルキャスト』、『季節を抱きしめて』、『サンパギータ』、『雪割りの花』の4作品がリリースされました。今回紹介する『季節を抱きしめて』は、春と桜をテーマにした作品になっています。発売元はソニー・コンピューターエンタテインメント、アニメーション製作は、Production I.Gです。
発売は1998年、今から15年以上前ということを今実感して驚いていますが、今遊んでも心のどこかにひっかかって震えるような素晴らしい作品だと思います。
一般的には、サスペンス色の強い『ダブルキャスト』のほうが知名度が高いと思いますが、個人的に一番好きなのはやっぱり『季節を抱きしめて』。
春、桜の季節まっただ中の今、皆さまも是非遊んでみてください。

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▲物語内の季節は春。桜咲く小さな町が舞台です。一部の風景は、長野県松本市を舞台にしています。

おれがこのゲームを遊んでいたのは、発売当時のこと。
当時も今も、ギャルゲーが大好きなので、『ダブルキャスト』はもちろん『季節を抱きしめて』もヒロインの可愛らしさに惹かれて購入しました。そうやって一目ぼれしたギャルゲーを含めて、今までに買ってきたソフトをコレクションとして持っていますが、中には今遊ぶと「このヒロイン、こんなもんだったっけ」とか、「今見ると普通だな」とか、おっさんゲーマーならではの上から目線な感想を抱くことも少なくありません。(こうして、どこに需要があるのかわからないようなオススメ記事を書きたくなるのも、おっさんゲーマーの症状のひとつです。)

△今も変わらず可愛い麻由さん。おれの中で『ときめきメモリアル2』の光ちゃんと並ぶ伝説のヒロインです。

△今も変わらず可愛い麻由さん。おれの中で『ときめきメモリアル2』の光ちゃん、『ルームメイト』の井上涼子ちゃんらと並ぶ伝説のヒロインです。

しかし、この『季節を抱きしめて』は、今でもときどき遊びたくなります。遊ぶと、強烈にさまざまなシーンを覚えていることに驚かされます。そして、何度も見たとあるシーンのところで、泣くまではいかないけれど、何かこみあげるものを感じてしまうんです。
正直、シナリオだけみれば、2016年の今となっては、かなりありきたりなものだと思います。都合の良過ぎる展開も続きます。
しかし、そのシナリオも、決して雑ではなく丁寧に、読み手を離さないように構成されていて、どこにも妥協は見られません。

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▲主人公は大学生、横にいるのはガールフレンドのトモコ。高校時代に遊んだときは、麻友との関係にたびたび踏み込んでくるこのトモコにイライラしていましたが、大人になった今なら彼女の気持ちが1ミリくらいわかります。

▲物語は、選択肢で分岐していきます。

▲物語は、選択肢で分岐していきます。

そしてシナリオに、アニメーションを駆使した演出、音楽、システムが絡んで、”やるドラ”ならではの体験を生み出してくれます。メインのお話を追いかけるだけなら、2時間もあれば終わるこの作品ですが、作中に散りばめられた遊び心と、研ぎ澄まされた演出は、いま見ても凄味があります。エンディングの数は20近く、それらすべてを網羅し、作中の達成率を100%にしようとすれば、立派な”やりこみ”要素になってきます。達成率を100%にするためには、RPGでいうレベル上げのようにひたすら数をこなさなければならないのですが、その作業をしていると、細かい分岐の多さに驚くはずです。2016040523324511

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▲アニメ表現による細やかなシーン描写が”やるドラ”シリーズの最大の魅力。パーツだけの描写でも、迫力が全く違います。

あまりにもヒロインすぎる麻由について

あとは、もう誰がなんといおうと、”やるドラ”シリーズ最強ヒロインの麻由が、本当に素晴らしい。
すげえ気持ち悪い言葉を使うなら、二次元における女子高生の理想が詰め込まれている!
こんな娘は現実にいない、だからおれはおっさんになった今、現実の女子高生を好きにならないんだ!

▲物憂げな表情もたまりません。

▲物憂げな表情の麻由さん。彼女には、本人も知らない大きな秘密があります。

と、なんか普通のレビューのようになりましたが、興味のある方は是非遊んでみてください。

▲おれは真由が大好きなんだ!

▲おれは麻由が大好きなんだ!この瞬間、プレイヤーは作中の主人公とのシンクロ率が100パーセントを突破しています。

主題歌がたまらなく良いこととか

『ダブルキャスト』、『サンパギータ』、『雪割りの花』、どれも面白いです。PS Vitaで遊べるダウンロード版も出ています。(ディスクの入れ替えがない分、こちらのほうが遊びやすいかもしれませんね。)
ギャルゲーライクなテイストはちょっと苦手という方は、『サンパギータ』や『雪割りの花』から入るといいかもしれません。ただ、エンディングを見れば、『季節を抱きしめて』がよくあるギャルゲーとは違う方向性の作品ということもわかると思います。
これらの四季シリーズは、ドラマCDの出来も素晴らしいので、ハマった方は是非そちらもチェックしてみてください。
あとそうだ、主題歌の『季節を抱きしめて』もめちゃくちゃいい曲です。こちらは、iTune Storeにもありますので、試聴してみてください。そのタイトルからもわかるとおり、これほど作品にあった曲はなかなかありません。

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▲ドラマCDには、ゲーム本編にはないエピソードが収録されています。

人生に影響を与えたのかもしれないという話

おれは学生の頃、”ライター”のアルバイトをしていたんですが、それは、この作品の主人公の影響によるところが大きいです。この作品の主人公は、フリーペーパーのライターをしていて、主に、星座占いのページを書いています。占いの知識があるわけでもないのに、「今日のラッキースポットは」といったような文章をさらりと書いてしまうんです。その占いはでたらめだけど、多くの人に影響を与えて、時には人を幸せにしたりする。なんとも面白い仕事だなぁと興味をもって、おれは大学、大学院在籍中、タウン誌やゲーム誌のアルバイトをすることになりました。
(ゲーメストを読んでいた頃はゲームライターになりたかったけれど、この作品に出会ってしまって、先にアルバイトをしたのはタウン誌でした。)
そういう意味では、人生に影響を与えたゲームのひとつです。

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▲主人公のアルバイト先の編集長。この作品がなければ、ライターをすることもなかったような気がします。

△作中で登場する占いのマスコット。LINEスタンプにして販売して欲しい!

△作中で登場する占いのマスコット。LINEスタンプにして販売して欲しい!

”やるドラ”シリーズの、最大の特徴であるアニメーション表現。これは、当時の反響も大きく、アドベンチャーゲームとしては異例の売り上げを記録しています。シリーズを追うごとに売り上げ本数は落ちていったものの、少なくともこの四季シリーズが出ている間、アドベンチャーゲームの新しい可能性を感じた人も多かったのではないでしょうか。ソニー・コンピュータエンタテインメントだから作れた作品なのか、スタッフたちの情熱によるものなのかはわかりませんが、とにかく当時の衝撃ったらなかった。”やるドラ”の流れを汲む作品は、2002年の『サーヴィランス 監視者』で止まっていますが、今の技術で、こういう作品を見てみたいですね。
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浅葉 たいが

浅葉 たいが

ゴジライン代表。ゲーム、アニメグッズのコレクター。格闘ゲーム、アドベンチャーゲーム、RPGをこよなく愛する。年間100本以上のゲームを自腹で買い、遊ぶ社壊人。ゲームメディア等で記事を書くこともあるが、その正体はインテリアデザイナー、家具屋。バンダイナムコエンターテインメント信者かつ、トライエース至上主義者。スマートフォン版『ストリートファイター4』日本チャンプという胡散臭い経歴を持つ。

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