初めましてM・G|ちよと申します。ゴジラインの代表に「文章書く練習したいっす」と伝えてみたところ「ウチで記事書きます?モリ・ゲームについてとかで良いですよ。ただし金はない」という雑な返答があったため書いてみることにしました。
モリ・ゲームとは「もりっつ」さん(以下もりさん)という方が配信しているゲーム実況です。元々はニコニコ動画での配信でしたが、現在はTwitch(https://www.twitch.tv/moritu_on)にて配信されています。内容は主に、レトロゲームの一人用モードを使用した実況配信で、ファンからは例えとして「無編集の『ゲームセンターCX』のようなもの」と表現されています。僕はこの例えを概ね正しいと感じています。人によっては見てても退屈かもしれません。しかし、もりさんの独特の言葉のチョイスと、突然起きるあまりにも予想外のやられ方に心を打ち抜かれた一部熱狂的なファンが存在することも確かです。
一度も見たことが無いという方は、サラッと30分でも見てもらえばすぐ雰囲気が分かるはず。また、この記事はある程度モリ・ゲームを見たことがある人向けの文章になることがあるのでご了承ください。
(ちなみに僕自身はモリ・ゲームの運営や管理をしているわけではありません。全てもりさん1人だけでやっているコンテンツです。面白そうだからイベントにしようと思い立って動いたりしていますが、本人には無断で進めました。先に聞くと断られちゃうので。)
2015年のある日、もりさんが、知り合いが集まるグループライン内で「配信をやってみたい」と言ったのが全ての始まりです。どんな機材やソフトが必要で、どのようにセッティングするのか、一通りの流れを自分でやって雰囲気を掴んでみたい。視聴10人以下でいいからやってみて、なんとなく理解したらやめる、そういうつもりだったようです。これはモリ・ゲームを視聴したことがある人には伝わると思うのですが、もりさんは「自分自身で実際に試してみる」ということを重視します。良くも悪くもアドバイスを鵜呑みにすることがありません。なので配信そのものが、「身体で覚える」という目的で始まりました。
初期は身内向け発信だったわけですが、そうだとしても不親切にも程がある状態でした。まず、配信をTwitterも連携しておらず、さらに最近やっている「何時から配信します」といった事前アナウンスもありませんでした。なのでいつ配信が始まるかが本当に分からなかったのです。視聴者は今以上に個別に問い合わせたり、当時もりさんが見てるアニメの1時間前からそわそわしたりを続ける日々でした。そして開始前にツイートが無ければ開始直後にも何も発しないため、いつ始まるかが分からないのと同時に始まっても気づかない、という恐ろしい状態でもありました。そこで視聴者はニコニコミュニティのトップに張り付きF5ボタンを連打するという対策を身に付けます。
配信に気づいた視聴者は他の人への共有のため、個別にTwitter上でリンクを貼ってTLに流すようになっていきます。よくアニメやゲームで村にやってくる侵入者を見つけた見張り役が鐘を鳴らすようなノリです。気づいた人からリンクを貼ってツイートする習慣が定着すると、TLが大変なことになるのも風物詩と化していました。
こうした狂気とも言えるTLはもりさんの友達が、気づいていない身内用にやっていたのが発端ですが、この活動で結果的に口コミ的に広がっていったように思います。また、始まり方も雑なら終わり方も酷かったです。今でも見たいアニメが始まると終了しますが、初期は今みたいに「アニメ始まるんで終わりまーす」といった締めの言葉すら無く、「あっ!○○(作品名)!」と言った直後に配信が終了していました。視聴者がどれだけ消化不良になっていても再開することはありません。
ちなみに、最初期のメガマン4(『ロックマン4』)、悪魔上(『悪魔城ドラキュラ』)、ワーギャン(『スーパーワギャンランド』)の3タイトルは残念ながらアーカイブが残っていません。放送終了後から1週間はタイムシフトで見返せたのですが、今となっては見返すことも出来ません。しかし、どれも伝説的な事件があったので、備忘録も兼ねてそれぞれ名場面を簡単に紹介します。
【メガマン4】
ロックマン名物のボスラッシュの途中、1体のボスに連敗して対策を模索し始める→あらゆる可能性を試した末に、地上戦なのに突然ラッシュマリンに乗り換える→そのまま身動きが取れなくなって死亡
【悪魔上】
ある日の平日、たまたまもりさんだけが翌日休みということで夜中に配信開始し、そのまま朝4時過ぎまで続ける。しかも3時ぐらいから1時間全く進展が無く、朝から普通に仕事な視聴者が本気でキレ始める。(僕は寝てました)
【ワーギャン】
この作品の神経衰弱というコンテンツには、配置パターンがありますが、そのパターンに全く気づかず相手にターンを数回渡し、さらにたまたまCPUの引きも強かった結果、一枚も取れないまま10:0で負ける。多くの視聴者が「このミニゲームで10:0で負けた人初めて見た」と騒然となる。また、ワーギャンについては奇跡的にしりとりの総集編がどこかにアップされているので、見たことない方は是非探してみてください。しりとりも何度も「ん」で終わって負け、視聴者が恐怖しました。
最初期の3作品以降は有志によってニコニコでアーカイブが残るようになりました。なんだかんだで、残っている分だけでもとんでもないボリュームになっています。ゲームはアクションゲームを中心に、アドベンチャーなどにも挑戦しゲームの幅が広がりました。個人的に『クロックタワー』や『アクトレイザー』なんかはアクションとは違った面白さ(と怖さ)を感じることが出来るのでおススメです。
そして、今年に入りニコニコ動画からTwitchに移行することになりました。画質の向上、アーカイブを残すのが簡単、など理由は色々あるのですが、クリップと相性良さそうという点も重要でした。実際に移行してみて、予想通りクリップ映えするなと思いました。クリップはTwitchのアカウントを持っていれば一覧で見返すことができます。また、アカウントさえあれば誰でも簡単に作成可能です。
また、Twitchではパートナープログラムというものがあり、モリ・ゲーム―はパートナーとなっています。パートナーになるとビッツによる所謂投げ銭や、汎用以外のカスタムスタンプの登録が可能など、視聴者側の楽しみが増えるようになりました。
全てのゲームタイトルに対してS級の適正を誇るTwitch界のダークホース もりっつ氏、配信中。https://t.co/sr2CjpP4Nf
モリ・ゲームの魅力はまずはクリップ集を見ることにより確認することができる。https://t.co/LqtTv6Ydpj— Twitch Japan (@TwitchJP) July 16, 2018
なぜかTwitchJPも激推しのコンテンツ。「全てのゲームタイトルに対してS級の適正を誇る」という表現に“わかってるな”と感じずにはいられない。
思ったより紹介が濃くなってしまったのですが、ここからはモリ・ゲームが何故ここまでの広がりを見せたのか、モリ・ゲームの魅力はなんなのかを考えたいと思います。そもそも本人が人気ストリーマーになる気なんて無いわけですが、昨今のストリーマーと比較してみましょう。
【ネガティブな発言をしない】
モリ・ゲームでは、もともと対人ゲームをしていないのですが、相手に向かって悪態をつくということがありません。ごく一部、有名ストリーマーの中にも配信中に本気でキレたり、面識が無い相手に暴言を飛ばしてしまう人が存在したりします。その点でいうとモリ・ゲームは相手に向かって悪態をつくことがほぼありません。むしろ、一人用のアクションゲームなのに敵のことを褒めたりしています。
ネガティブな発言が無いことは、ゲーマーの奥さんやお子さんにも安心して見せられるという予想外の波及を手伝ったように思います。
【コメントを見ない】
配信と言えば、視聴者と配信者でのリアルタイムのコミュニケーションが楽しみの一つだったりします。「こんばんは」というコメに対して配信者が「○○さんこんばんは」と名前付きで返すのが、人気実況者に必要なスキルなどと言われたりもします。ところが、モリ・ゲームでは基本コメントに一切反応しません。反応してるとしたら開始直後のマイクチェックぐらいです。
本人の話によると、ゲームプレイ中コメントに反応しないのは、無視しているのではなく、PC机とゲーム機が置いてある場所が離れているためだそうです。つまり、ゲームプレイ中は物理的にコメントが見られないのです。なので、視聴者としては「拾われない」のを前提としてコメントすることになります。しかし、プレイング自体はツッコミを入れずにはいられない。モリ・ゲームのチャット欄はそんなモヤモヤした気持ちを他の視聴者と共有し、不思議な一体感が生まれています。
【突然配信が終わる】
先ほども紹介しましたが、モリ・ゲームは基本的にアニメが始まると配信が終わります。普通の配信であればプレイしてるゲームが切りのいいところでやめるなど、視聴者の満足感を気にしながら終わるタイミングを見ていると思います。しかし、もりさんが配信を切り上げる一番の理由は見たいアニメが始まるからです。たとえ500人以上視聴中だろうがアニメを優先して配信が終わります。
アニメにより強制終了することが視聴者に浸透すると、終了間近に「アニメが憎い」というコメントを連打されるようになり、Twitchのサブスク用のスタンプにもなりました。冷静に考えると、配信が終了することへの不満がスタンプになるって意味が分かりません。
最近は、ストリーマーにしろゲームメーカーにしろ、受け手の要望を聞きすぎるきらいがありますが、全くブレないモリ・ゲームの姿勢はある種新鮮かもしれません。
9月にリアルイベント開催!
そんなモリ・ゲームですが、9月29日(土)にe-sports SQUARE AKIHABARAさんでイベントをすることになりました。
ゴジラインから取材の申し込みがあったので、もしかしたらレポートが載るかもしれません!
想像を超える応募数があったため、抽選となってしまい、落選となった方には申し訳ないです。とは言え配信はいつも通りゲーム画面を映す形で予定しています。会場に来れない方も知り合いと集まってワイワイ観戦してもらえたらと思います。相当特殊な配信者のイベントにも関わらず、イースクさんにもとても前向きに、多大な協力をしてもらっているのでなんとか楽しくやれたらなと思っています。もりさん本人は「普通にプレイするだけだから、面白いことなんてどうせ起きない」とか言っていますが、プレイングとか余計な心配はいいから当日ちゃんと来て欲しい、それだけを心から願っています。
イースクさんでの開催は初となりますが、無事に成功したら第2回の開催もあるかもしれません!
M・G|ちよ
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