【ゆる『ウマ娘』】第1回:今週は日本ダービーなのでナリタブライアンを思い出してみた

  • 競馬ファンも納得の出来ゆえゲームにも期待が!

今週日曜は3歳馬の頂点を決める日本ダービー。ということで、今回はゲームサイトに似つかわしくないであろう“ウマ”に関する企画。

▲5月27日は3歳馬の頂点を決める日本ダービー。毎年この時期は1週間競馬のことしか考えなかったり。仕事しろ、俺。(画像はJRA公式より)

ま、なぜこんな記事を書いたかというと、あまりにも現在放映中のアニメ『ウマ娘-プリティーダービー-』が面白いからに他ならないのですが。今後出るスマートフォンゲームの『ウマ娘』に向けてもある程度実在の競走馬について知っておいた方が皆が幸せになるという勝手な思いから、競馬歴25年ぐらいの私、ケンちゃんが登場しているウマ娘のモデルに関して紹介していきましょう。

今週はダービーウィークなので、まずはダービー馬から紹介でもしましょうか。

▲アニメ『ウマ娘-プリティーダービー-』。かなりキワモノっぽい印象でしたがスポ根アニメとしてGood。リアル競馬とのリンクも多いので背景を知ってると20000倍面白い……というわけでこの企画

90年代の最強候補・ナリタブライアン

ナリタブライアンのプロフィール

名前:ナリタブライアン
誕生日:5月3日
身長:160cm
スリーサイズ:B91・W58・H85
学園史に輝く三冠ウマ娘。チーム<リギル>所属。硬派で頑固。我慢強いところもあり、どんなことがあっても感情を表に出すことはない。めったに笑わないため、周囲からは近寄りがたいと恐れられている。ヒシアマゾンにライバル視されているが本人あまり気にしておらず、友人として認めている。(『ウマ娘』公式ページより)

僕は38歳、いわゆるアラフォーということで、ファミリーコンピュータの『ダービースタリオン全国版』から競馬にハマった口なのですが、初めて見た日本ダービーが1994年のナリタブライアンでした。

▶『ウマ娘』公式サイト:ナリタブライアン

▲ブライアンズタイムに母パシフィカス(ノーザンダンサー)。『ダビスタ』的にはニックス配合ですね。兄は菊花賞、天皇賞(春)、宝塚記念を制したビワハヤヒデ。

シャドーロール(鼻に付けてるモコモコ)がトレードマークだったナリタブライアンでしたが、ウマ娘のブライアンは鼻絆創膏。こういうそのままではなく、ちょっとしたルックスの再現が『ウマ娘』の楽しむポイントのひとつだったりもしますね。

シャドーロール 頭絡の鼻革にボア状のものを装着したもの。 芝の切れ目や物の影などに驚く馬に対し、下方を見えにくくして前方に意識を集中させる効果を期待して用いられる。 また、競走中に頭を上げる癖のある馬に使用することによって、頭を下げさせ、馬を御しやすくする効果を期待して用いられることもある。(JRA競馬用語解説ページより)

こういう細かい部分が競馬ファンの心をくすぐります。「やるなあ」って感じ。

三冠・有馬を制覇で現役最強になった3歳

数ある名馬の中でも選ばれて『ウマ娘』にいるので、どれだけ強かったんだって話ですが、このナリタブライアンの全盛期は今なお最強馬の一角と語られるほど。

ビワハヤヒデの弟と注目されてデビューした本馬。3歳(現2歳)のデビュー直後は不安定な面を見せていたものの、G I朝日杯3歳S(現・朝日杯フューチュリティステークス)からは無敵街道まっしぐら。共同通信杯からスプリングS、そして皐月賞、日本ダービーをぶっちぎり3歳の頂点に立ちます。

3歳秋の初戦、京都新聞杯ではスターマンに足元をすくわれたものの、三冠最終戦菊花賞では皐月賞、日本ダービーでつけた着差をさらに広げて見事三冠馬に。そして、その余勢のまま、年末の有馬記念で古馬も撃破し、名実ともに日本の頂点に立ったというわけです。

有馬記念に関しては兄のビワハヤヒデとの対決が望まれていましたが、その兄は直前の天皇賞(秋)で故障、引退。兄弟対決は叶わなかったものの、あまりの強い勝ちっぷりに「来年はどうなってしまうのか? シンボリルドルフのGⅠ7勝を超えるのかな」と年末年始を過ごした記憶があります。

◆1994年菊花賞(GⅠ)


▲スペちゃんことスペシャルウィークがセイウンスカイに負けた三冠最終レースが菊花賞。前週の天皇賞(秋)でビワハヤヒデが怪我をしたためか、ヒヤヒヤしながら見た記憶はありますが他馬を問題にせず最大着差で圧勝。

 

◆1994年有馬記念(GⅠ)


▲古馬を問題にせず3歳世代のワンツーフィニッシュ。この時点では確実に現役最強……。『ウマ娘』の世界では有馬記念どうなったんだろう。

▲赤の囲み部分が4歳終了時までのナリタブライアンの成績。7戦6勝(6-1-0-0)であまりにも強すぎた……。(JRA公式ナリタブライアンページより)

不運の怪我による4歳の低迷期

現代ではこのクラスの競走馬になると、ドバイやフランスの凱旋門賞(アニメ8話でエルコンドルパサーが出走したレース)など海外遠征ってのがパターンですが、この時代はまだまだ海外レースへの敷居が高かった時代。4歳春は古馬の王道路線(天皇賞(春)→宝塚記念)を歩むことになります。初戦の阪神大賞典を大楽勝し、今年は盤石かと皆が思った直後、股関節炎により戦線を離脱……。ここから長いトンネルがはじまってしまいました。

春は全休し、復帰は10月の天皇賞(秋)。このレースでは怪我前の勢いをまったく見せず12着の大惨敗。続くジャパンカップも6着と全盛期の面影は消えた状態に。そして、復帰戦目の有馬記念では、一瞬4コーナーで復活の兆しを見せたのですが、同年の菊花賞を制したマヤノトップガンの4着と後塵を配し続けました。

◆1995年第40回有馬記念(GⅠ)


▲1995年有馬記念。マヤノトップガンの見事な逃げ切り。この時騎手は南井ではなく的場に。ババを引いて気の毒だなとか思ってました。

5歳で魅せた阪神大賞典での名勝負!

やはり股関節炎という怪我の影響もあり、もう「ナリタブライアンは終わった」感があった1996年。現役を続けたナリタブライアンは前年と同じく阪神大賞典から天皇賞(春)を目指すローテーションで始動します。

この初戦、阪神大賞典では前年の有馬記念で破れたマヤノトップガンも出走。復調しているかがまだ不透明ゆえか、1番人気をマヤノトップガン(単勝2.0倍)に譲り、ナリタブライアンは2番人気(単勝2.1倍)でレースはスタート。騎乗は当時若手のトップだった武豊でした。

◆1996年阪神大賞典(GⅡ)


▲平成の名勝負のなかでもトップクラスの神レース。何回見ても血液が沸騰しそう。

人気通り2頭のマッチレースになり、抜きつ抜かれつの名勝負が展開。ラストは三冠ホースの意地か、アタマ差抜け出しナリタブライアンが復活の雄叫びを阪神競馬場であげます。ナリタブライアンのベストレースはいろいろ語られるかと思いますが、記憶に残りつづけたのはやはりこのレースといまでも思います。

突然の1200m出走、そして……

阪神大賞典でマヤノトップガンとの決戦を制し、完全復活を遂げたナリタブライアン。次走の京都競馬場で開催された芝3200m天皇賞(春)ではもちろん1番人気に(単勝1.7倍)。人気ではマヤノトップガンをしのぎ、GⅠでの勝利をファンからは大いに期待されていたことでしょう。しかし、のちの年度代表馬サクラローレルの強襲にあい2着に敗退。全盛期とまではいかないものの、三冠馬としての意地は見せてくれました。

注目が集まった次走の選択。なんと天皇賞から2000mも短縮された芝1200mの高松宮杯。芝1200mは3歳時の函館以来ということです、競馬の常識ではあり得ないレース選択に物議を醸しました。結果は4着……そしてその無理が祟ったのか否かはわかりませんが、ナリタブライアンは不治の怪我“屈腱炎”を発症し、治療の目処が立たず同年9月に引退となってしまいました。

エビハラ 屈腱炎の俗称で単にエビと呼ばれることもある。前肢に多く発症する。肢勢、打撲、走行中に大きな負荷がかかることなどにより屈腱に刺激が加わると炎症を起こし、エビの腹のように腫〔は〕れるところからこの名がある。治療には、物理療法、装蹄療法が行なわれるが、完治しにくい病気であり、再発しやすい。(JRA競馬用語解説ページより)

◆1996年高松宮杯(GⅠ)


▲引退レースと結果なってしまったスプリント戦。この着順は凄いのか、そう出ないのか。常にファンに語られるレースでもあります。

波乱に満ちた馬生と最期

引退し、種牡馬になったものの、ナリタブライアンの苦難は終わることはありませんでした。1997年に種牡馬生活をスタートしたものの、1998年6月に疝痛(腹痛)を発症。そこから3ヶ月後の9月に胃破裂により安楽死の処置が取られました。わずか産駒(子供)は2世代しか残せず、彼の強さを受け継ぐ仔もおらず……。以後の血統表にも名を刻むことができませんでした。

華々しい戦績を残した4歳から失意の5歳、そして伝説のレースである1996年阪神大賞典と、血は残せなかったものの強さと名勝負を人々の記憶に残してくれた名馬だったことは間違いないでしょう。そんな彼と同じ名前を冠したウマ娘が、今後どういった活躍を見せるのか、アニメでそれが語られるかはまだ分かりませんが、競馬ファンとして見守りたいところですね。

現役時代の強さをゲーム、アニメでどう再現されるか、そもそもアニメで走る姿を見せてくれるのか楽しみでなりません。勝負に“たられば”はなし……といえど、競馬ファンはいつの日もifの世界線を求めている生き物でもありますから。

▲ナリタブライアンの全成績。はじめてリアルタイムで目撃した三冠馬ゆえ、思い入れもかなり深いのでアニメでも活躍してほしい。

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ケンちゃん

ケンちゃん

twitter ID:@ilpkenchan
二台のスマートフォンを駆使し、さまざまなスマホゲームをプレイする。
人呼んで”スマホのケンちゃん”。
メンバーからは白猫のケンとも呼ばれている。
大の格闘ゲーム好きでもあり、対戦格闘とつけば何でも買う。
『KOF MAXIMUM IMPACT 2』世界チャンプという強烈な実績を持つ。

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