今回の記事では、東京ゲームショウ2017のECCコンピューター専門学校ブースで見つけた格闘ゲーム『闘魂ファイト4』をご紹介いたします。
ゴジラインのメンバーたちと、会場をウロウロしているときに偶然見つけたこのゲームのPVに圧倒され、実際に遊んでみると、とてつもないレスポンスの良さと、かんたんで爽快なアクションにすっかりやられてしまったのです。まずは、見てください、以下のPVを!
格闘ゲーム好きが揃うゴジラインのメンバーたちも大絶賛の本作ですが、残念ながら商業作品ではないため、現時点では遊べる機会が限定されています。しかし、いつか、本作に関わった学生さんたちが、未来の傑作を生み出すはず!今から声を聞いておいて損はないということで、短いインタビューの方もさせていただきました。
『闘魂ファイト4』
西田博由基 担当:プログラム・演出
格闘ゲーマーを唸らせる怪作
本作は、方向キー1方向とボタンの組み合わせや、ボタンの同時押しで必殺技を繰り出せるタイプの格闘ゲームとなっています。2D格闘ゲームといえば「複雑なコマンド入力を伴う必殺技」をイメージする方が多いかもしれませんが、最近ではこの「コマンド入力」を新規参入者への敷居と捉える向きもあり、シンプルな操作でキャラクターを動かせる作品も増えてきました。しかし、操作をシンプルにしてしまうと、格闘ゲームとしての「やりこみ要素」が削がれてしまうため、全体として薄味になってしまうゲームも珍しくありません。
しかし、本作では、その点を、「動作を組み合わせる自由度の高さ」でカバーしています。使い道の多い技の数々、ユニークな性能を持つサポート攻撃、サクサクとつながる連続技など、操作をマスターしたうえで「やってみたくなること」が多いのです。戦術面では、投げと打撃を使い分けたガードの揺さぶりを軸としつつも、コンボはシンプルなものから、相手を空中に浮かせ、追撃をかけつつ地上まで引きずり下ろすという長めのものを組み立てることも可能です。コアな格闘ゲーマーは戦術の構築や「読み合い」を楽しむことができ、格闘ゲームにあまり馴染みのない人でも仕組みさえわかれば、シンプルな操作の組み立てで格闘ゲームのエッセンスを味わえる絶妙な塩梅が『闘魂ファイト4』には感じられました。
スゴ腕学生らにインタビュー
TGS会場で『闘魂ファイト4』の制作に携わった西田博由基さん、山越千楽さんにお話をうかがってきました。お二人は、ECCコンピューター専門学校の学生で、ゲーム制作について学びつつ、仲間たちと作品作りも進めているそうです。
ーー『闘魂ファイト4』、すごく楽しく遊ぶことができました。これだけレスポンスの良い格闘ゲームが、学生作品ということに驚かされました。格闘ゲームを普段から遊んでいるチームで制作したのでしょうか?
西田:ありがとうございます。格闘ゲームは3年くらい前に触り始めたのですが、遊んでいるうちに何か作ってみたいと思いはじめて、仲間と一緒にこの作品に取り掛かりました。
ーー格闘ゲームを始めたのが3年前と聞いて、とても驚きました。ゴジラインのメンバーたちは、「格闘ゲームマニア」が多いのですが、みんな「これを作った人は年季の入った格闘ゲーマーだぞ」というようなことを話していたんです。タイトルが『闘魂ファイト4』となっていますが、これは4作目ということなのでしょうか。
西田:格闘ゲームを作るために、いろいろな作品を触って、面白さについて考えたからでしょうか。ガチガチの格闘ゲーマーというわけではないんですが、大好きなジャンルです。この作品は、格闘ゲームというジャンルをより多くの人に遊んで欲しいと思って制作を進めました。ナンバリングっぽく見えますが、1作目です(笑)なんとなく数字を入れてみようと思いついて、数字を入れてみたんです。格闘ゲームを始めたのは3年くらい前なのですが、その時は某格闘ゲームの「4」に熱中していたというのもありますね。
ーー格闘ゲーマーが喜ぶツボを押さえつつ、操作のハードルを下げるという難しいことをこなしていて、見事に形になっていることに驚きました。
西田:コマンド入力が難しいという話はよく聞くので、それならコマンドを簡単にしてみようと考えたんです。難しいコマンドを入力するというのだけが、格闘ゲームの面白いところではないですから。連続技の狙いどころや伸びしろ、攻防の駆け引きに奥深さを置いた形ですね。トレーニングモードは、格闘ゲーム好きの人にはウケていますね。自分が遊んできたゲームを参考にしつつ、使いやすいものを組み立てました。プログラムを担当してくれた、山越くんのセンスも活きています。
ーー山越さんは、格闘ゲームを普段から遊ぶのでしょうか。
山越:この作品を作る以前から、友人と遊んだりはしていたのですが、腕前は自信がありません(笑)西田くんのアイディアを、うまく落とし込むというのが僕の役割でしたね。
西田:かなり少人数のチームで制作したので、山越くんにはサウンドもお願いしました。あとは、モーションデザイナとして、もう一人制作スタッフがいます。
ーートレーニングモードなども、格闘ゲーマーとして欲しい機能が盛り込まれていて驚きました。正直、今すぐに遊びたいと思うほどの出来栄えでした。
西田:僕らの作品は商業ではないので、手を抜いて作ろうするといくらでも下げられてしまうんです(笑)でも、それだと勿体ないよねという意識はみんなの中にありましたね。あとは、このゲームに関しては、僕たちの身近にいる人に支えてもらっているので、それが「良いものを作ろう」という意識になっているのかもしれませんね。学校では、多くの人に遊んでもらって、大会も開いています。大会ではすでに、僕よりも強い人がたくさんいるんですよ(笑)
山越:遊んでくれているのを見ると、格闘ゲームを作ってみてよかったと感じますね。プレイヤー同士が熱くなっているのを見られるというのは、こういったジャンルならではの醍醐味だなと思いました。
ーー大会!羨ましい(笑)僕らもいつか混ぜてください(笑)
西田:是非一緒に遊びたいですね(笑)
ーー西田さんと山越さんは、学校でどういった分野の学習をしているのでしょうか。
山越:僕たちは、ゲームプログラム専攻というところで学んでいます。ゲームプログラム専攻ではプログラミングだけでなく、「ゲームを面白くする」という視点についても学ぶんです。技術はもちろん、簡単な企画やデザインなどにも触れられます。
西田:学校の先生から教えてらうことを軸にしつつ、現役のゲームクリエイターの方から学べる機会などもあるのも嬉しいところですね。友達や先輩との交流から、おもわぬ学びの機会があるのもこうした専門性のある学校の強みかもしれません。この環境での学習で、格段に成長できている実感があります。
ーー今回は、とても楽しい作品に触れることができて、うれしかったです。将来的には、格闘ゲーム制作に携わりたいという考えがあるのでしょうか。
西田:将来的には、ジャンルに縛られず、いろいろなゲームに関わるのが夢ですね(笑)作ってみたいものがとても多いんです。まだまだ、勉強中の身ですが、たくさんの人に楽しいと思ってもらえるゲームを作りたいですね。
山越:音楽ゲームは、ゲームセンターに入り浸るくらい好きだったので、いつかVRで遊べる音楽ゲームを作ってみたいですね。
協力:ECCコンピューター専門学校(公式サイト)