人によっては知ってた案件の可能性も高そうだが、東京ゲームショウ2025の期間中に、小説家の喜多山浪漫氏が元・日本一ソフトウェアの代表取締役である新川宗平氏であることが明かされた。
幣サイトでは、喜多山浪漫氏の活動を追いかけてきたが、「ゲームのシナリオなどを手掛けていて、もの作りを追いかけて小説家という新しい道へ飛び込んだ」という経歴を見たときに、ゲーム業界に明るい方であれば正体を想像できた方もいたのではないだろうか。
新川氏の喜多山浪漫氏としてのインタビューは実にその内容が面白かった。「ゲーム会社社長を辞めて小説を書いてビジネスを作る」と聞いたときは、夢物語か、はたまた悠々自適だから宣言できることなのかと疑ってしまったが、会う旅にビジネスの輪郭が見えてくることに驚かされた。新川氏は有言実行につなげるバイタリティが圧倒的なのだと感動しているうちに、自作の小説である『エトランジュ オーヴァーロード』のゲーム化まで決まってしまった。
本記事では、ゲーム会社から独立したクリエイターとしては異例の方法とスピード感で疾走する新川宗平氏のインタビューを掲載する。改めて語られる独立までの経緯はもちろん、現在の活動まで詳しく伺った。2026年3月26日に発売を控える『エトランジュ オーヴァーロード』や、元日本一ソフトウェアの伝説的クリエイター・小林良綱氏が手掛ける『宇宙銀河ウォーズ』についても初出の情報が満載なので是非チェックしてみてほしい。
新川宗平 氏:元日本一ソフトウェア代表取締役。営業や広報を経て、『マール王国』シリーズや、『魔界戦記ディスガイア』シリーズなどの制作も手掛けた。2022年に同社を退職し、現在は合同会社スーパーニッチの代表を務める。2026年にはプロデュース作品『エトランジュ オーヴァーロード』が発売予定。
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新川宗平=喜多山浪漫
日本一ソフトウェアからは円満に退社
――2025年もそろそろ終わりですね。新川さんにとってはどのような一年だったでしょうか。
新川:いろいろ動いてきたことが表に出せた一年になったと思います。ゲームでは『エトランジュ オーヴァーロード』の発売日、『デモンズナイトフィーバー』の発表などが大きなニュースですかね。蝉川夏哉先生とご一緒しているキマイラ文庫もスタートすることができました。あとは、喜多山浪漫が、新川宗平であると明かしたのも大きな出来事ですかね(笑)
――特に予告もなくいきなり喜多山浪漫が新川さんであることが明かされてびっくりしました(笑)ウチも『エトランジュ オーヴァーロード』の試遊レポートを載せたんですが、突如新川さんが出ることになりました(笑)正体を明かすことにしたきっかけはなんだったのでしょう。
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新川:きっかけは『エトランジュ オーヴァーロード』のプロモーションをしていく中で、海外イベントへの出張が決まったことです。日本ではいろいろな方の協力もあって小説家・喜多山浪漫の名前はそれなりに広まっていたのですが、海外では完全に無名です。また、北米欧州の販売を日本一ソフトウェアの子会社NISAが担当してくれることになって、彼らとしては新川宗平の名前を大々的に出していきたいという意向がありました。ちょうどTGS期間の生放送出演があったので、そこで明かすのがベストだと当日の朝に判断しました。

▲『エトランジュ オーヴァーロード』で海外出張することが決まり、喜多山浪漫=新川宗平であることを明かすことにしたそうだ。
――当日の朝(笑)。正体をばらして、何か変化はありましたか?
新川:日本ではもともと、いろいろな人にはバレていましたけど、こういうインタビューで正体を隠さなくてよくなったのは大きいですね(笑)正体を隠す面白さみたいなものもありましたけど、発言には若干気を付けていたんです。こうしてインタビューを受けるときに、昔の会社が、昔の作品がという風に、ぼかして書いていてもらった部分も多かったですよね(笑)
――もともとここに、喜多山浪漫先生のインタビューを載せたいと思ったのは、僕自身が新川さんの作品が好きだからですしね(笑)シミュレーションRPGはもちろん、『流行り神』と『真 流行り神』シリーズも大好きなんです。なので、新川さんが日本一ソフトウェアを辞めたという報道が出たときはショックでした。改めて、日本一ソフトウェアから離れた経緯について、語っていただくことはできますか?いままでのインタビューでは、固有名詞を出せない状態だったので(笑)
新川:日本一ソフトウェアを離れた理由は、今までの喜多山浪漫のインタビューで語ってきた通りで、わたしの仕事の軸が経営サイドに行くようになったからです。もともとゲームを作りたくて日本一ソフトウェアに入れてもらって、社長になるまでやらせてもらいました。そしてありがたいことに、社長になっても、経営とものづくりを両立させてもらっていました。ただそれが続いていく中で、当たり前の意見として、社長である私がものづくりの現場にいつづけると、新しい人が育ちにくいという話も出てきたんです。理屈としてまさにおっしゃる通りなので、わたし自身が意識してものづくりの現場から離れていったんですが、同時に一人の経営者としてこの会社にとってどれほど力になれるだろうという懸念も湧いてきました。自分の経営者としての能力に限界を感じ、オーナーに相談して、退社させてもらうことになりました。ゲーム業界から見ると、電撃退社でいろいろ想像を掻き立てたかと思うのですが円満退社だと思っています。日本一ソフトウェアとの関係は辞めた直後から継続していて、日本一ソフトウェアの北米子会社NISAの顧問を務めさせてもらいました。
――日本一ソフトウェアを辞められて、喜多山浪漫として小説を書き、そのコンテンツを商品化するためのプロデューサーとしても活動していたんですよね。
新川:そうですね。元々ものづくりをしたくて独立したという面もあるので、自分だけのオリジナルコンテンツを作ることにしました。まずは一人でもすぐできる小説からスタートしたんです。それまでもシナリオを書いてそれをゲーム化するということはやってきていたので、自分で書いた小説を営業してプロデュースまでできれば事業になるだろうと考えました。あとは、ありがたいことに、会社を辞めてから、仕事の依頼をいくつかいただきました。ちなみに、こうした依頼は主に、売上を中心とした業績改善や、オリジナルIPを自社で持ちたい、リーダー育成といったサポート業務でした。最初はどのようにサポートをするのが良いのか戸惑いもしましたが、つまるところ「ものづくり」を一緒にやることで達成できる目標や解決できる課題だということがわかってきて、他社との取り組みは「ものづくり」を中心にやっています。なので事業としては、わたしが小説や脚本を書いた作品をプロデュースすることと、他社の作品をプロデュースすることが主になっています。サポート業務も現場にガッツリ入っています。このまま生涯現役でものづくりに取り組んでいく所存です。
――ゲームに限らず、ボードゲーム化、コミカライズなどいろいろなコンテンツ化を手掛けていらっしゃいますよね。それに、他社の作品だけでなく、他のクリエイターと一緒になって「キマイラ文庫」を立ち上げるなど、新川さんの活力の源泉はなんなのでしょう。正直「食っていく」ことだけが目的には見えません。
新川:面白いものを作りたいというのが大きいですね。わたし以外の作家の作品を扱う「キマイラ文庫」(公式サイト)は、豊かな才能ある方々の作品を知ってもらいたいという思いもありますし、そこからいろいろなコンテンツ化を実現することで、世に面白いものが増えていくと考えると楽しいじゃないですか。わたしはいろいろなエンターテイメントを見るのですが、「面白い」を発見するのが結構早いんですよ。まだ大きく世に出ていないものを面白いと思うことも多くて、後々その作品やクリエイターが評価されたり、人気を積み上げて行ったりしていくということもあります。なので、わたし自身がフリーになり、フットワークも軽くなったので、面白いものを見つけてなにかお手伝いをできたらなと考えているんです。
小林良綱氏の手掛ける『宇宙銀河ウォーズ』はどんな作品?

――今日は『宇宙銀河ウォーズ』のお話を一番楽しみにしています。初代『魔界戦記ディスガイア』、『ファントムブレイブ』、『ファントムキングダム』の中心人物の一人だった”小林良綱氏”の新作というだけで、凄く気になる作品です。「レベル至上主義、超絶やり込みシステムハックシューティングRPG」とは発表されていますが、これってどんなゲームなのでしょう。
新川:ローグライトなシューティングRPGと説明すると、多くの人が、『ヴァンサバ』(『Vampire Survivors』)的なものを想像していると思うのですが、全く異なります。こんなこと言うと初動が落ちるかもしれませんが(笑)どういうゲームなのかと言われると、ネタバレしたくない部分もありまして。自分で遊び方とかコツを学んだり発見したりしていき、それが楽しさとつながっているというゲームなんです。遊んでもらって驚いてほしい部分が多いのであまり具体的には話せないんですが、人によってクリア方法が違うでしょうし、多少やりこんだとしてもゲームの全貌を把握できないと思います。なので今日は、このゲームを作っている、わたしが天才だと信じている小林良綱というクリエイターの話をさせてください。
――正直『ヴァンサバ』風のものを想像していました(笑)『ヴァンサバ』大好きなので(笑)
新川:『ヴァンサバ』は傑作ですし、それに倣った良作も多いと思うんですが、『宇宙銀河ウォーズ』は新しく面白いものを作るというところに力を入れています。わたしと同じく、小林さんも「同じようなものを作るのならほかの誰かが作ればいい」と考える性質なんです。小林さんの経歴をわたしの知る限りで簡単に説明すると、納得感があるかもしれません。
――小林さんというと『ディスガイア』制作の中心人物というイメージが強いですね。1作目のディスガイアを遊んだときは衝撃を受けました。要素てんこもりなゲームで、ひたすら遊んでるのにやめどきががなかな見つからないという(笑)
新川:小林さんと最初に仕事をしたのは『マール王国』三部作の2作目で、そのときにヘルプとして入ってもらったのがきっかけです。少人数のゲーム制作だったので、仕事ぶりを近くで見ることができて、この人は凄い人だとすぐにわかったんです。独自性のある面白いものを考える力がものすごいですし、形にするプログラムの能力もあるんです。『天使のプレゼント マール王国物語』『ラ・ピュセル 光の聖女伝説』ではメインで参加してもらって物凄く手ごたえを感じて、次はやりたいものを全部入れようと意気込んで作ったのが『魔界戦記ディスガイア』です。やりたいものを全部入れるって、言葉では簡単ですが、とても難しいんですよ。闇鍋が美味しくなるかどうかわからないのに似ています。でも、『ディスガイア』は闇鍋を美味しく調理できた作品だと思っていて、その調理は小林さんなしでは完成しなかったと今でも思っています。小林さんの作った『ディスガイア』、『ファントムブレイブ』が、日本一ソフトウェアの黄金時代だったという方は今でも多いのではないでしょうか。
――『ファントムブレイブ』もぶっ飛んでいましたよね。ゲームとして掘れる場所が多くて、楽しませてもらいました。日本一ソフトウェアの『マール王国』以降、”萌え”とはまた一風違うかわいらしいキャラクターたちは、いまでも愛されていますよね。
新川:イベントなどで声をかけてくれる方は、作品名を挙げてくれる方もいますが、キャラクターを挙げてくれる方も多いですね。デザイナーにも恵まれたと思います。
――日本一ソフトウェア時代、小林さんとはいつ頃まで一緒にものづくりをされていたのでしょう。
新川:『ファントムキングダム』の仕事を終えたときですね。このタイミングで小林さんは日本一ソフトウェアを去り、ゲーム業界からも離れたんです。わたしはそのあとも日本一ソフトウェアで働いていましたが、小林さんが作ってくれた財産に思いを馳せつつも、また一緒に仕事をするということはできないままでした。辞めた方の力を借りるということが組織としてそう簡単ではないですから。そんな事情もあって、わたしが会社を辞めてから久しぶりに連絡したのですが、17年ぶりぐらいだったと思います。最初に連絡したときは、近況報告くらいの気持ちだったんですが、そこで「ゲーム作らないんですか」と聞いてみたんです。そう聞こうと決めていたわけではないんですけどね。そうしたら、小林さんが「ちょうどゲームを作りたいと思っていた」と。そのうえ「一緒にやってくれるならやる」と言っていただいたんです。そんな経緯があり、天才ゲームクリエイター小林良綱の復帰が決まりました。月並みですが、本当に嬉しかったですね。どんなゲームができるのかワクワクしました。

▲「シューティングRPG」から想像する体験をユニークに裏切ってくれそうな『宇宙銀河ウォーズ』は2026年に発売予定。
――うわー、いい話ですね。
新川:すごく面白い話がありまして。小林さんからあがってきた『宇宙銀河ウォーズ』はプロトタイプ的なものの時点でシューティングRPGだったんですよ。そこでふと思い出したんですよね、日本一ソフトウェア時代の『ラ・ピュセル』、『ディスガイア』を作り始めたとき、小林さんは最初はシューティングRPGを最初にプロトタイプとして作っていたんです。そのときは誰かが止めたわけではないんですが、いつの間にかシューティング要素が消えて、シミュレーションRPGになっていきました。
ものづくりに関して自由な会社だったので、シューティングRPGで押しきることもできた環境だったのではと思うのですが、もしかしたら会社のことを考えてくれた結果なのかなと思ったりもします(笑)そんな小林さんが、ある意味すごく純粋な形で取り組んだ『宇宙銀河ウォーズ』は、最初プレイさせてもらったときから、発売前の今にいたるまでずっとシューティングRPGなんです。温めていたものなのか、新たな発想の元で生まれたものなのか、この先インタビューで本人に聞いてみてほしいですね。
――ぜひ聞いてみたいですね。新川さんは『宇宙銀河ウォーズ』において、どのような役割を担っているのでしょう。
新川:ゲーム内容、システムやプレイフィールには口出しはしていません。プレイさせてもらって、意見を聞かれたら思ったことを言いますが、それを採用するかどうかは小林さん次第です。小林さんがわたしに任せたいところは新川宗平としても、喜多山浪漫としても協力しています。作品を売り出すための会社として「キマイラ機関」を作りましたし、作中の歌は作詞を喜多山浪漫が担当しています。ちなみに、オープニングソングは高橋洋樹さん、エンディングソングはmaoさん、編曲は細井そうしさんです。音にも力を入れているので、楽しみにしていてください。
――サウンドめちゃくちゃ豪華じゃないですか。キマイラ機関は、『宇宙銀河ウォーズ』のあとも作品を出していくのでしょうか。
新川:キマイラ機関は、もともと小林良綱さんのため、『宇宙銀河ウォーズ』のために作った会社なのですが、この作品が出たあとは新たな展開も考えています。他のゲームクリエイターの作品で、属人性の強いインディーゲームを出す場所として活用するつもりです。
――楽しみにしています。
2026年春、『エトランジュ オーヴァーロード』発売!
――『エトランジュ オーヴァーロード』はいよいよ来年の3月26日発売ですね。ゲーム画面を見るまでは、新川さんが手掛けてきたシミュレーションRPGやアドベンチャーゲームかなとも予想していたのですが、違うジャンルだったことに驚きましたし、嬉しかったですね。
新川:ジャンルがアクションになったのは開発を担当しているジェムドロップさんの力によるところが大きいのですが、最初の作品でシミュレーションRPGやアドベンチャーをやるつもりはありませんでした。いろいろやってみたあとに、昔の作品の進化系を目指すということはあるのかもしれませんけど、すぐに同じようなことをやるというのは前の会社に失礼ですよね。それ以上に「自分でものづくりをやりたい」という理由で去ったわたしが、前職で手掛けたようなものと似たものをいきなり出したら、説得力がありませんから。
――ブロッコリーさんから発売されるというのも面白いところですね。最近のブロッコリーさんというと、乙女ゲーの印象が強いですし、アクションというのは意外でした。
新川:これは前のゴジラインさんのインタビューでも語りましたが、プロデューサーとして考えた結果でもあるんです。まずブロッコリーさんに『エトランジュ オーヴァーロード』を一緒にやりましょうと提案したのは、ブロッコリーさんの得意としているジャンルに乙女ゲーがあったからなんです。乙女ゲーには悪役令嬢ものという派生ジャンルがあるので、この方面に強いブロッコリーさんと実はマッチするのではと考えました。ジャンルがアクションになったのはジェムドロップさんとのシナジーを活かせるものですし、意外性もあるので面白いかなと思ったからです。もうひとつ大きな理由としては、世界で売れるものを作ろうという考えがあるからなんです。アドベンチャーゲームは日本では人気があるものの、世界に売ると考えたときに、新規IPでは売るのが難しいジャンルなんですよね。
――『エトランジュ オーヴァーロード』は新しさと同時に新川さんらしさも感じられて楽しみです。「ミュージカル」要素もあるんですよね。
新川:はい。ジェムドロップの社長の北尾雄一郎さんと私は日本一ソフトウェアの新卒第1号組の同期でした。そのとき一緒に『マール王国の人形姫』を開発したという歴史があります。ですから『エトランジュ オーヴァーロード』にミュージカルシーンがあるのは、ある意味必然だと思いますし、その進化ぶりに期待していてください。ミュージカルに限らず、サウンド面にも力が入っています。ジェムドロップさんのサウンドチームがいろいろな曲を作ってくれて。そのいろいろな曲というのがとにかく曲数が膨大で127曲もあるんです。一度しか聞けない曲みたいなものもあると思うので、曲が気になる方は三枚組サントラのついた限定版を手にとっていただけると嬉しいです。
※ミュージカルPV YouTubeより引用
――『エトランジュ オーヴァーロード』の海外プロモーションの手ごたえはいかがですか?
新川:新川宗平としてプロモーションしたことで、興味を持ってくれたメディアが多くありました。新規IPで初回は苦戦するでしょうから発売から発売後にかけてのプロモーションに注力していこうと思っています。海外の展開は日本一ソフトウェア アメリカが手掛けてくれていてありがたいですし、力強いです。前述の通り、わたしとジェムドロップの北尾雄一郎社長は、日本一ソフトウェアの同期生です。その二人の作品を、日本一ソフトウェアの海外子会社に扱ってもらい、少しでも売上利益に貢献できるのは恩返しにもなりますし、ストーリーとしても美しいのではと思っています(笑)
「みんな」って聞こえはいいけど本当にいるの?
「ニッチ」の面白いところとは
――独立した新川さんの取り組みは、「組み合わせ」も面白いですよね。前職の縁を感じるものもありますし、どこで出会ったのだろうというような組み合わせもあります。
新川:自分が面白いと思ったことを叶えるために奔走していると、面白いことや面白い出会いがあるんですよね。あとは、仲良くなりたいと思ったら、一緒に仕事をしてみるというのが手っ取り早いと思っているんですよ(笑)仕事を通じて、お互いが見えてくるということも多いじゃないですか。
――新川さんが新たに立ちあげた会社・スーパーニッチというのは、どのような由来があるのでしょうか。ビジネス的には、限定された領域などを指す言葉だと思いますが、どのような想いがあるのでしょう。
新川:「みんなが」というのを信じていないんです。みんなが喜ぶものを作るとか、みんなに売れるものを作るというと聞こえはいいんですが、「みんな」って本当にあるのかという話ですね。流行っているものが「みんなにウケている」とするなら、わたしはそれを追いかけることにクリエイターとして面白さを見出せないんです。それに、ウケているものを後追いで作って成功させるのってそんなに簡単なことでもないのはゲーム業界を見ていてもよくわかると思います。自分をゲーム業界におけるゲリラみたいな存在だと思っていて、前職からニッチなもので勝負してきました。たとえば『マール王国』シリーズなんかは、大手と同じことをやってもお金も人手も足りないという前提があって、それなら自分たちしかやらないようなことをやり遂げようとスタートしたんです。切り札がない中で唯一の特徴としてミュージカルを入れるということをやったりもしました。これからもわたしのものづくりは、ニッチなもの、でもスーパーなものを目指したいと思います。あと、スーパーニッチというのはダブル・ミーニングになっていて、SOHEI NIKAWAの頭文字を略すとSNになるという仕掛けもあります。
――会社名の由来を聞いたあとで考えると、遊んできた新川さんの作品は、確かに「ニッチ」さを感じる部分が浮かんできます。それに、『流行り神』シリーズのようなホラー作品も、ただのホラーアドベンチャーにしなかったというところが、作りとしてニッチですよね。
新川:いろんなエンタメに触れていく中で、好きなものが出てきますよね。その好きになったもので何か作ろうと考えたときも、ベタな後追いはしないようにしているんです。「このジャンルは面白いけれど、こういう要素があるものはまだ世の中にはないな」と考えてみたりします。『エトランジュ オーヴァーロード』であれば悪役令嬢という人気のテーマがメインですが、そこにはいろんな足し算や掛け算があることもわかってもらえると思います。
――2026年、新川さんはどのような動きをされるのでしょう。
新川:そう聞かれるとすごくいろいろありますね。『エトランジュ オーヴァーロード』や『宇宙銀河ウォーズ』、『デモンズナイトフィーバー』。ホロライブの二次創作ブランド「holo indie」もやっていきます。キマイラ文庫の作品のゲーム化・コミカライズを目指すことにも取り組んでいくでしょうし、未発表のものも情報出ししていく予定です。
――キマイラ文庫も楽しみですね。コミック化、ゲーム化100%を目指すとおっしゃられていました。
新川:はい。目標達成のため動いています。蝉川夏哉先生の『まものグルメ』は2026年夏にコミカライズが決定しています。キマイラ文庫の作品は、ゲーム化とコミカライズいずれかではなく、どの作品もゲーム化、コミック化の両方を目指しています。このインタビューで初めて知ったという方は、是非サイトのほうを訪れてみてください。無料で楽しい連載作品を読むことができます。通勤や通学のお供にもおすすめです。

▲独立してからは各地のイベントに足を運ぶことも増えたという新川氏。活動歴はXで積極的に発信されているので、興味のある方は是非フォローを。
――働きすぎなような(笑)
新川:幸い一人でやっていることに関しては、ワークとライフの境目がないような状態ですからね。楽しいんです。今年は特に加速できた気がしますね。大きな支えになったのが「サウナ」です。特にホームグラウンドの新岐阜サウナにはお世話になりました。サウナの実際の効果については諸説ありますけど、わたしにとってはいろいろな疲労が、特に脳疲労のようなものから解放される感覚があります。サウナに入ると、いろいろな考えが湧いてきたり、考え疲れしていたような感覚が抜けて、生産性が3倍になっているんですよ。フリーになったことで生産性が3倍になったなと思っていたのですが、サウナでさらに3倍になりました。つまり3×3で9倍の生産性です。2時間の労働が18時間分くらいの成果を生みだせている感覚です。
――新岐阜サウナ、岐阜にいった際には行ってみます(笑)引き続き面白い発信や作品を期待しています。
新川:ありがとうございます。生涯現役で面白いものをお届けしていきます。一緒にやってくれる会社やパートナーの信頼にも応えていきたいです。その信頼というものは、ものづくりをすることで獲得していきたいと考えています。
goziline
様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。




