Goziline×『ルート』シリーズ02:声優&方言監修 麦穂あんなさまインタビュー【『√Letter ルートレター』&『Root Film ルートフィルム』】

今回の記事では、『√Letter ルートレター』の坂田智子役、『Root Film』の鳥山智佐役を務めた麦穂あんなさんのインタビューをお届けする。また、麦穂さんは島根県出身の声優・ナレーターということで『√Letter ルートレター』において出雲弁の監修も行っている。今回のインタビューでは、その熱演の裏側と島根愛について伺った。

▲『√Letter ルートレター』には、声優だけではなく、出雲弁監修としても参加した麦穂さん。

――『√Letter ルートレター』に関わることになった経緯についてお聞かせください。

麦穂:忘れもしません。2015年の6月の頭ですね。「島根県出身の声優さんを探している。」という形で、当時お世話になっていた事務所にご連絡をいただき、すぐにマネージャーさんと一緒に角川ゲームスさんに伺いました。談笑をさせていただきながら、「松江市の方の出雲弁を使えるか」を確認されたことをよく覚えています。安田社長と小学校が同じというお話で盛り上がり、そこで初めて『√Letter ルートレター』の雲弁監修のお話をいただきました。

――演じられたキャラクターの感想についてお聞かせください。

麦穂:魅力的なキャラクターばかりで、とても楽しかったです。『√Letter ルートレター』のメインどころだと、主人公が泊まる旅館に居た、仲居の坂田智子ちゃん。それから文野亜弥ちゃんの母親、文野洋子さんを担当させていただきました。智子ちゃんは、少し天然な雰囲気を持っている、癒し系のかわいい女性ということでオーダーをいただいており、「大変!私の性格とかけ離れている!」と、台本とにらめっこをしながらセリフを何パターンも何パターンも録り直しては研究をして、自分の表現の中に無かった「かわいい天然さん」像を寝ずの根性で生み出したことを覚えています(笑)あとは、ミステリーのカギとなる文野洋子さん、記憶が混濁してしまうおばあちゃんということで、これまた猛烈に研究しました。それから船頭のおばちゃん、まるこしのおばちゃん他、猫やカラスも含め、たくさんのキャラクターを演じさせていただきました。『Root Film』では、石見神楽三峰社中の美術担当、鳥山智佐さんを担当しました。ふくよかでガッシリとした肝っ玉母ちゃんのような雰囲気の方。埃の多い現場で毎日大きな声を出してみんなをまとめているのであろう彼女の声に合わせるには…と、2日前からとにかく大声を出しまくり、少し低くガサガサに響くよう、声を枯らしてから収録に挑みました。監督に挨拶したその声を「バッチリだね!そのまま智佐さんだ!」と言っていただけたことが、とてもうれしかったのを覚えています。一部、実在している方を担当させていただくということもあり、全キャラクター通して「そこに生きる、リアルな命」であること。そして、同じ人の声だとバレないことを念頭に、楽しく演じさせていただきました。みんな未だにどこかでまた会いたくなり、演じたくなる、大好きで大切なキャラクター達です。

――方言の監修としても参加されています。島根の方言(出雲弁)の特徴と、それを監修するうえで気を付けた部分についてお聞かせください。

麦穂:出雲弁の特徴と聞かれてしまうと、そんなに標準語と変わらないんじゃないかなぁ?と思ってしまうあたり、まだまだ地元の血が流れているのだなと思います(笑)気を付けた点については、「出雲弁濃度」ですね。お年寄りと若者では、常用する方言の濃さが違う。友達相手の言葉遣いと、初めての人に対する言葉遣いは違う。そういった部分に表れてくる、出雲弁の濃度をキャラクターごとにすべてランク付けして、スタッフさんと相談しながら振り分けました。その中で出雲弁を使うキャラクター、使わないキャラクターと、分けさせていただきました。島根県の日常風景や雰囲気により近づけるよう!もっともっと……!という思いが、若者の出雲弁までしっかり濃厚にしてしまうという現象につながってしまい、角川ゲームスのスタッフさんに「もう少しだけ薄めてください……!」と言われたのを覚えています(笑)

▲出雲弁の慣習は熱が入ったそうだ。実写版『√Letter ルートレター Last Answer』でも、出雲弁をところどころで聞くことができる。

――麦穂さんはどのような経緯で出雲弁を学んできたのでしょうか。差し支えなければ、島根の出身地の話などもお聞かせください。

麦穂:私の出身は島根県松江市です。育った場所が出雲弁区域だったので、もう生まれた時からそこにあったという形です。両親共働きの関係で、兄と二人でおばあちゃんの家に預けられている時間が長かったので、出雲弁に関してはある種の英才教育でしたね(笑)

――また、島根以外の方に伝わりにくい独特の方言、または、他の土地とは意味が異なる方言などあればご紹介していただけると嬉しいです。

麦穂:出雲弁地方の皆様には深く深くうなずいていただけると思いますが…(笑)七五三のことを「ひもおとし」と言うんです。松江では小さい頃からなじみのTVCMで流れていたりして、本当に常識の一つと思っていた言葉が、標準語圏で通じなかった時には驚愕でした。あとは、お腹が痛くて熱が出ちゃうような症状を「ちょうかんぼう」と言うのですが、そもそもちょうかんぼうという言葉に合う標準語がないと知った時には、不便に思うと同時に、少しだけ出雲弁をドヤッと、誇らしく思いました。(笑)

――お決まりの質問ですが、ゲームの制作中で強く記憶に残っている出来事があればお聞かせください。

麦穂:いろんな思い出がありますが、あげるとするならやはり安田社長の笑顔ですね。シナリオ会議の時も、収録の立会の時も、イベント司会の時も、どのタイミングでもお忙しい中にもかかわらず、お会いした時には穏やかに楽しそうに笑っていらっしゃったことがとても記憶に残っています。社長のために、出来ることを全部やりたい!!と、方言監修にも気合が入りました。

――2016年に行われたイベント「列島最速 PREMIUM EVENT ~ご縁の国“島根”感謝祭~」では司会を務められました。このイベントの印象的な出来事、感想をお聞かせください

麦穂:故郷でこんなに大きなイベント、それもMCというとても大切な役割を任せていただき、仕事をする姿を両親に見せる機会をいただけるなんて……。本当に、誰もが手に出来るわけではない、尊い夢を叶えていただいた気持ちでした。印象的な出来事と言えば、おそらく絶対に忘れることのできない、文野亜弥ちゃん役の日髙のり子さんとの生アフレコです。1対1での会話劇。この思い出は間違いなく、一生の宝物になりました。亜弥ちゃんと智子ちゃんは、本編上では絡むことができないにもかかわらずイベント限定シナリオにより、『√Letter ルートレター』の世界にとっても特別な、その瞬間限りの時間を一緒に楽しく生きることができて、松江を観光することもできました。本当に幸せで、夢のような時間でした。

――『ルート』シリーズの中で描かれている島根県について、どのような感想を抱いたかお聞かせください。

麦穂:美しい、グラフィックというのでしょうか、色彩がやさしく透明感があって本当に美しいんです。でもとてもリアルに忠実に描かれていて、ゲームを進めていく中でよく知る懐かしい景色に出会っては、感動で高い声が出ました(笑)『Root Film』に登場する場所は、実は私も行ったことがない場所が多くて心惹かれました。『√Letter ルートレター』と『Root Film』では同じリアルにしてもテイストが全く違うので、その部分にもぐっと心をつかまれました。行ってみたい!どちらもプレイして、この心躍る感覚をぜひ体感していただきたいです。

▲『ルート』シリーズが描く島根に感動することが多かったという麦穂さん。両作品のテイストの違いも気に入っているそう。

――開発やさまざまな企画に参加するうえで、安田プロデューサーの島根愛を感じる瞬間があれば、記憶に残っている範囲で具体的なエピソードをお聞かせください。

麦穂:『√Letter ルートレター』制作の段階で、「松江南高校を出したいんだ!」とニコニコ顔でおっしゃっていた時の笑顔が印象的ですね。そのあと残念ながら「松江南高校」という名前をそのまま使うことが出来ず「松江大庭高校って名前にしたよ!」と、出身小学校の名前をもじって借りたことを教えてくださった時の、どこかイタズラっぽい笑顔も。それからウォーターワークス、中村BAR、はくちょう号、八重垣神社など、きっと安田社長の思い出の中にある大切な場所や人たちが全部全部盛り込んであるんだなと感じたときに、とっても純粋に島根とそこで過ごした思い出を愛していらっしゃるんだなぁと、とても心が温かくなりました。

――ご自身の考える島根県の魅力をお聞かせください。また、とっておきの場所を挙げるとしたらどこになりますでしょうか。選びにくい質問ですみませんが、もしあればお願いいたします。

麦穂:島根県の魅力は、ゆっくりと時間が流れていること、空気が綺麗なこと、歴史古い神社がたくさんあること、出雲大社、日御碕、宍道湖の夕日……うーむ。『ルート』シリーズを体感いただければわかる通り、とっておきの場所が多すぎて選びきれません……!地元民だからこそ知っていることを選ぶとしたら、観光地ももちろん素敵なのですが、街灯のない場所から見上げる星空がとても綺麗なんです。益田の山奥に父方のおばあちゃんの家があるのですが、家の前の真っ暗な道に家族で寝転がって見上げた星空が、空気が、静かな時間が、私にとってはとっておきの思い出です。空をゆっくり見上げる時間がない方こそ、ぜひ静かな場所を見つけて、見上げてみてほしいなぁと思います。

――『ルート』シリーズのファンにメッセージをお願いします。

麦穂:『√Letter ルートレター』は、私にとっては里帰りしている気分に。『Root Film』は、観光をしている気分になります。そして、近いうちに島根に帰りたいなぁと思わせてくれます。ゲームクリア後に現地に行くと、各地の空気に触れるだけでわくわくが倍増します。現地のリアルを追求した制作陣の皆様の努力の賜物ですね。今はもろもろままならず、難しい時期ではありますが、いずれその時がきたらきっと、『ルート』シリーズを楽しんでくれた皆様にこそ、島根に遊びに来ていただきたい心から思います。ストーリーをクリアしてからも、まだまだ楽しめる作品となっていますので、何度でも、キャラクターたちと一緒に島根を楽しんでくださいね!

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