待ちに待った『スターオーシャン5』をひたすらプレイするだけの土日を過ごしたトライエース信者の浅葉です。
昨年あたりから、トライエースの制作したRPGがたくさん世に出てきて嬉しい限りです。
今回の記事では、ひととおりの要素をクリアした感想をつらつらと書いていきます(クリアはしましたが、やりこみはまだまだこれからです)。
物語の核心に触れるネタバレは極力しないつもりですが、0から遊びたい!という方は、プレイしたあとに読んでください。
物語の舞台は、地球から6000光年離れた惑星フェイクリード。銀河連邦的には、”未開惑星”に分類されるこの小さな星から、宇宙を巻き込む異変の種が生まれます。シリーズのファンなら、プロローグから1時間程度でいつもの『スターオーシャン』風味を感じられるはずです。プレイを進めるにつれて、未開惑星保護条約、ケニーの血統、宇宙艦の戦いなど、シリーズの”お約束”も次々に出てきます。ストーリーの広がる範囲は、ちょっと好みが分かれそうですが、過去作に比べるとやや狭め。本作の目的は非常にシンプルで、”とある女の子を守ること”です。
ただ、個人的にこのシリーズの物語で一番重要だと思っているキャラクター描写は、過去のシリーズ作品と比べて、より良くなっているように感じました。ヒロインのミキなんかは、主張激しくてよかったです。『スターオーシャン』のストーリーというものはゆるりと眺めるもので、その大きな流れの中でキャラクターを楽しむ作品だと思っているので、おれとしては特に不満はありません。
『スターオーシャン3』は世界観を壊しかねないどんでん返しがいろいろな意味で話題になりましたが、キャラクター一人一人を見れば最高によくできています。ソフィアちゃんは結婚したいし、マリアちゃんはツンデレ可愛いし、ネルちゃんは弱みを握りたいじゃないですか。今作も、ヒロイン枠のミキちゃんがとにかく可愛いし、エロ担当のフィオーレもミステリアスな魅力に溢れてるし、クールになりきれないアンヌさんも素晴らしい。もうそれで満足なんだ、おれは!
次に、本作のキーワードともいえる”シームレス”について紹介します。シームレス、つまり”途切れのない”形で、移動、バトル、イベントが一体となっています。一部例外もありますが、マップの切り替えを除くほとんどの場面で、移動からロードなしに、バトルとイベントへと突入します。バトルに入るまでの流れは凄まじくスムーズで、このシームレスこそが、アクションRPGの到達点だったのかと思えるほどです。RPGの性質上、レベリングの作業やアイテムドロップを狙う際に、どうしても雑魚エネミーとの連戦になるのですが、シンボルエンカウントやランダムエンカウントではどうしてもロードの問題が出てきます。それをこの作品では、シームレスにすることで、ロード時間を排除しているんですね。
しかし一方でイベントに関しては、シームレスであるためにスキップできないという弱点を抱えています。全滅時は即ゲームオーバーかつ、やりこみ要素を埋めようとすると周回プレイが前提になってくるので、イベントスキップ機能がないことが大きな弱点になっています。ここは、ローディングを入れてもいいので、ゲームオーバーと周回プレイを考慮してスキップ可能にさせてほしかった。皆さまも、スピキュールを連打してくるボスには、お気を付けください。
バトルに関しては、3Dフィールドをフリーランで走り回れる、『スターオーシャン3、4』に近いものになっています。簡単な操作で、通常攻撃とスキルを絡めた派手なコンボが繰り出せます。
戦闘の最大参加人数は、まさかの7人。今作は、パーティに控えがいないので、普通にプレイしていても、全てのキャラクターを気軽に使い分けることができます。いろいろな技が飛び交うので、画面はとにかく派手です。さらに、今作からの新要素であるリザーブラッシュという、超必殺技的な新システムも加わったことで、バトルの爽快感という面では、ぶっとんだクオリティを発揮してくれます。リザーブラッシュの演出が、バトルのテンポを損ねない絶妙な尺になっているのも、素晴らしいチューニングだと思います。
と、キャラクターを操作する面白さにかけては間違いなしの本作ですが、ちょっと気になるのがバランス面。7人パーティの火力バランスや体力バランスを考慮すると、敵の攻撃で受けるダメージを大きくせざるを得なかったのかもしれませんが、難度ノーマルにあたるGALAXYレベルを一通り遊んだ限りでも、中盤以降のバトルバランスが回復魔法依存になるところが多いのが残念に感じました。本作には、弱攻撃、強攻撃、ガードという3つの要素が3すくみになっているんですが、そもそも後半のボスはアーマー状態で即死クラスの攻撃をしてくるので、この3すくみが活きるポイントが少ないように感じました。この問題があることで、ボス戦での爽快感と攻略の達成感が薄くなっています。
また、キャラクターに能力値や特殊能力を上乗せできる”ロール”というシステムがあるのですが、この中に一部ゲームバランスを著しく壊すものがあるのも気がかりです。
”デッドマン”というロールをうまく活用すれば、ほぼ無敵状態でしばらく戦闘できるため、この時間を活かしてごりおすという戦術で、ほとんどの難所を乗り切れます。開発インタビュー等で、救済措置的なロールを用意しているとの事前情報がありましたが、このデッドマンがそれだとすると、直球すぎる感は否めません。というのも、『スターオーシャン』に救済措置を期待するユーザーも少ないでしょうし、トライエースの大型タイトルは”いわゆる強くてニューゲーム”、”引き継ぎ”を否定してきた作品が多いからです。
トロフィーとして、「”デッドマン”を一度も使わずに、最大難度をクリアーした」みたいな証明とか、デッドマン未使用の特典があれば盛り上がったかもしれませんね。やりこみをドヤるという、トライエースゲームの醍醐味が欲しい!と思うのは特殊な人だけかもしれませんが……。
この記事を書く前に、ネット上の評判を見てみると、「ボリュームが少ない」という声が目立ちました。ストーリーだけを追いかけるなら、クリアーまでに15〜20時間くらいでしょうか。確かに、ここ最近の大型RPGとしては短いかもしれませんが、個人的にストーリー本編の短さはあまり気になりませんでした。ストーリーそのものを見るとやや盛り上がりにかけてあっさりしていますが、クエストなどをこなしつつやると、尺としては短すぎるということはありません。
ただ、やりこみ要素の部分に対する細かい配慮とボリュームは、若干足りていないように感じます。正直、やりこみ要素に関しては、バランス調整の面で、やや少なく感じているというのが現状です。先に挙げたデッドマンの存在のほかにも、技の覚え方や、技の数の少なさ、せっかくのリザーブラッシュに経験値面でのデメリットが設定されていて使いどころが難しいところなど、気になるところがちらほらありました。
しかし気楽に考えるなら、こうした問題点については、これからどんどんネットに出てくるでしょうし、開発サイドもそれを見ないわけがありません。そして、次があれば直せるはずとも思います。
そして、上にあげてきたいくつかの問題点を踏まえても、この作品の中には、確かに『スターオーシャン』らしさがあり、トライエースならではの尖った部分もたくさんあります。そして、可能性を感じさせる新しい試みも散りばめられています。全体としては、粗はあるもののよくできたRPGだと思います。驚くべきことに、トライエースの伝統芸能である、バグやフリーズの報告がまだありません。3月末という発売時期、PS3版だけ延期される等のハプニングがあったので、今回も「あるのでは」と思っていたのですが、杞憂でした。なんとしても、スクウェア・エニックス×トライエースで次の作品を出して欲しい!できることなら、もっともっと予算をかけて(笑)
おれのほうは、40時間遊んで、トロフィーコンプリートには程遠く、最高難度のCHAOSレベルもこれから遊ぼうというところなので、まだまだこの作品に対するモチベーションは高いです。そういう意味では、トライエース作品の持つ、スルメ性は今作にも受け継がれているのではないでしょうか。
全ての人のオススメ!というRPGではないですが、
RPGが好きな人は、是非手にとってほしいタイトルですね。