いよいよ『鉄拳8』が発売となり、限界ゲーミングコミュニティ・ゴジラインでも日々対戦が盛り上がっております。
おかげで生活リズムが崩壊気味です。本当にありがとうございました。
メンバーのほとんどが2D格闘ゲーマーなので、発売前は「興味あるけど、難しそうだよな~(楽して勝てなそうだよなー)」とか「ナンバリングの8作目とか熟成されたオタクばっかで勝てないでしょ(上級者に狩られるの辛いわ)」みたく勝ちたがりのオタク的な感想をつらつらと述べていたことをここに謝罪いたします。
いざ始めてみるとそういうの全部吹っ飛ぶくらいに面白いです。確かに前作の技や立ち回りの知識があるといきなり強くてニューゲーム的な部分はあるのですが、新システムの「ヒート」があまりにも大味かつ爽快すぎるので意外と細かいことを気にせずともなんとかなります。そこそこやりこる人と対戦してもたまに何かが起こります。そして、いざうまくなろうとしたときに、本作のスゲェ機能たちが手厚く上達をサポートしてくれるのでなんかモチベーションが続きます。オンライン対戦周りも謎のオンライン対戦技術を持つアリカの協業もあってか恐ろしくハイクオリティ。
圧倒的なクオリティとボリュームでぶん殴ってくる格闘ゲームだよこれは。
ジャンル:3D対戦格闘ゲーム
発売日:発売中(2024年1月26日)
プラットフォーム:PlayStation5、Xbox Series X/S、Steam
メーカー:バンダイナムコエンターテインメント
今回の記事は、『鉄拳8』どうすっかなあ、と考えている格闘ゲームファンの方に向け、本作のおもしろポイントをご紹介します。
これは初心者の武器だ!
ヒートシステムでごり押す
ヒートシステムは、発動すると自キャラクターが一定時間パワーアップするという本作からの新バトルシステムです。ゲームモードとかバトルの雰囲気の話とかじゃなく、なんでシステムから紹介するのか。それはこのシステムが、これから『鉄拳』やってみるかあという人にとって、爆発的な面白さと笑いをもたらすものになるだろうからです。過去作を経験した人からすると、「大味すぎるのでは」みたいな意見もちらほら見られますが、格闘ゲームの歴史においては、「オタクが良し悪しについて議論しているシステムは初心者の親友」ということが多いので、楽しんでいく方向でぶちかましていきましょう。『ワイルドスピード』のニトロボタンみたいな感じですねこれは。そこにボタンがあるのならあるから押すしかない。
ヒートシステムを発動した際の全キャラクター共通のパワーアップ効果には、「すべての攻撃に削りダメージが付与」、「特定の技を当てたときにヒートダッシュへと派生可能になる」、「ヒートスマッシュという強力な攻撃が使用可能になる」、「ヒート中に再度ヒート始動技を当てると、ヒートダッシュに派生できる」というものがあります。この「すべての攻撃に削りダメージが付与」というのは、地味なようでいてとてつもなく強力で、ガードされても反撃を受けにくい技で攻めを組み立てるだけでスゲェ圧が出ます。ただでさえガードもままならない初心者同士の戦いではこれだけで勝負がつきかねない要素ですし、ちょっと攻めのセオリーを抑えておけば、上級者の体力もゴリゴリと削れたりします。
また、ヒート発動中のキャラクター別の強化要素も見逃せないポイント。ジャスト入力が必要な技がジャスト入力不要になったり、強化系の技を発動後に使える技がヒート中は使い放題になったり、パワフルな固有効果が満載。このあたりの感覚はかなり2D格闘ゲームに近いので、2D格闘ゲーム経験者にはかなり刺さるはず。特殊能力発動!相手は滅びる!みたいな感じで気軽に遊んでみましょう。
ヒート発動の条件のひとつである、「キャラクター固有のヒート始動技」を当てたあとの状況は”最高”です。各キャラクターのヒート始動技は主力技に割り振られていることが多く、それらの多くは当たりやすい行動になっています。その始動技が当たると、相手の前にヒートを発動しながら猛ダッシュし密着状態になり、その後は大幅に有利な状況で攻めを仕掛けられます。この固有のヒート始動技からの発動が「ヒット時に自動」で行われるのが思い切った仕様になっていて初心者には大変優しいです。主力技から相手をメチャクチャにしようという開発からの熱いメッセージを妄想しつつとにかく強気にいきましょう。
『鉄拳』は距離調整で相手のリスキーな技をいなしていくゲームではあるのですが、このヒート始動技を受けてしまった側は、ド密着でリスキーな読み合いに付き合わされるというアツすぎるシステムになっています。ヒートの持続時間は、固有のヒート始動技から発動した場合15秒。鉄拳においては永遠とも思えるような時間です。初心者の方は、コンボをある程度練習したら、ヒート中の攻めを磨くと良さそうですよ。
ちなみに、ヒートは、ヒートバーストという技を繰り出すことでも発動します。こちらはヒットorガードに関わらず発動可能。ヒートバーストは動作途中に相手の上中段攻撃を受け止めるパワークラッシュ性能を持っており、ガードされても有利という性能になっていて、相手の攻めへの割り込みとしても使えます。3D格闘ゲームを始めたばかりの頃、誰しもがぶちあたる「攻めの切れ間がわからなくて切り返せない」問題をぶち壊しに行くシステムというわけですね。つまり、ヒートを発動されたら、ヒートバーストで押し返すというのも選択肢のひとつです。現状の対戦環境では、ヒートに対して、ヒートバーストで何とか持ちこたえるというのがひとつのセオリーになっています。購入を検討している2D格闘ゲーマーの皆さま。『鉄拳8』も「ぶっパナし」でしっかり熱くなったり怒ったりできるゲームになっているので、安心して遊び始めてください。
技を簡単に繰り出せる「スペシャルスタイル」の手ごたえは?
試合中にボタンひとつで技が繰り出せる「スペシャルスタイル」に切り替えられるので、技を覚えるのが大変という方もすぐそれっぽい立ち回りができるのも見逃せないポイント。2D格闘ゲームで近年流行している簡易操作を持ち込んだものと思われる方がいるかもしれませんが、本作のものはボタン一つで華麗な空中コンボまで決めてくれるスマートさも備えています。
スペシャルスタイルで繰り出せる技には限りがあるものの、その技のチョイスはなかなか絶妙ではないでしょうか。一部のキャラクターを除けば、立ち回りの軸となる技や使いやすい浮かせ技をバランスよく備えているように見えます。スペシャルスタイルだけで勝ち抜いていくというのは難しそうですが、入り口としては十分に活用できるシステムでしょう。試合中に操作タイプを切り替えられるため、「最速風神拳」など難度の高い技を出したいときはスペシャルスタイルで、ほかの立ち回りは通常操作でこなすという動きもできますよ。
余談になるが、こうした、通常操作とスペシャルスタイルを切り替えつつ戦うスタイルは、上級者でも活用できそうなポイントがあるため、大会シーンでの運用にも注目したいですね。最後の削り合いの部分で「スペシャルスタイルに切り替える」という戦術などが生まれる可能性もありそうです。
初心者はまずアーケードクエストを遊ぼう
ゲームセンターを舞台にした「アーケードクエスト」では、プレイヤーがアバターを作り、『鉄拳8』のバトルを学びながら楽しめるコンテンツになっています。基本的な動きから、『鉄拳』の華である「空中コンボ」、上達するうえでは欠かせない「確定反撃」までいろいろなことを教えてくれます。アーケードクエスト自体は数時間で終わるうえ、敵の強さもそれほどではないため、ストレスなくゲームを学べるはず。
アーケードクエストは、ハイレベルな攻略が盛り込まれているわけではありませんが、「どうやって強くなっていくのか」という道筋を示してくれるモードになっています。シリーズをやりこむのが初めてという方は、是非遊んでみてください。格闘ゲームの上達を図る際には、闇雲にプレイするだけでなく、知識をつけ、練習するのも大事ですから。
また、チュートリアル的な側面のある「アーケードクエスト」ですが、ここで語られる物語は実に見ごたえがあります。かつてゲームセンターでビデオゲームをして遊んだという方なら、共感できたり、懐かしさを感じるシーンも多いはず。また、かつてのゲームセンターの空気を知らない方が見ても、「こんな施設があるといいな」と思えるような、小粒ながら素敵なエピソードが満載です。格闘ゲームの対戦コンテンツにのめりこんでいると忘れがちなこともこのモードは堂々と描いていているところも良すぎる!格闘ゲームって、対戦だけがすべてじゃないのです。現在の家庭用格闘ゲームになって、ストーリーやおまけコンテンツが充実してきましたが、かつてゲームセンターに置かれていた格闘ゲームの時代から、「対戦」以外のファンはたくさんいたんです。キャラクターが好きだったり、ストーリーが好きだったり、カスタマイズが好きだったり、コミュニティそのものが好きだったり。そうしたファンにきっちり向き合うかのような「アーケードクエスト」の物語は、ちょっとくすぐったい部分はありますが、こういうのって理想かもしれないと思わせてくれるような暖かさも感じさせてくれます。
トレーニングモード&リプレイは名コーチ
スーパーゴーストバトルは新時代のスパーリング
最近の格闘ゲームでは一人でも遊べる練習要素がどんどん進化していますが、評判の良かった前作後半のものをさらに磨いたた『鉄拳8』のものも超スゴい。
まず、トレーニングモードでは自分や相手の状況をさまざまに設定したり、相手を自分で設定したように動かし、さまざまな対策や反撃を調べるといったことは当然のようにできますし、プレイヤーと相手のフレーム情報などもしっかり可視化されています。そのうえ、キャラクターごとの主力技やサンプルコンボも収録されているうえ、「確定反撃練習」なるモードまでついてます。これは指定した技の反撃を練習しつつ、そのオススメ技を教えてくれるという便利なもの。対戦中に「この技にぼったくられてるなあ」と思ったら、このモードでその対策などを学ぶというわけですね。
オンライン対戦などのリプレイを鑑賞するモードも、今の格闘ゲームでは当たり前になりつつありますが、『鉄拳』のものは一味違ったものになっています。まず、自分のリプレイは最大で100件まで自動保存され、そのうえ対戦のリプレイ中に「相手の技への対処法」や「おすすめのコンボ」がTIPSとして表示され、実際にそのシーンを練習できるのです。つまり「こういうことできてないから、やってみたらいいよ」とゲーム側が教えてくるんですね。この教えを忠実に守っていくだけで、恐ろしい速度でゲームが上達してしまいます。なんなんだこの神機能は……。
「スーパーゴーストモード」なるものも新時代を感じます。なんとこのモードでは、プレイヤーの立ち回りやコンボなどを学習したAI「ゴースト」と対戦できるんです。ゴーストの学習は、各種オンラインモードやARCADE QUEST、SUPER GHOST BATTLEなど、様々なモードのバトル内容を学習し自動的に生成されるとのこと。すごすぎる。
ゴーストとして、フレンドのものをダウンロードできるので、昨日こっぴどく負けた友人のゴーストをダウンロードして対戦するという格闘ゲーマーにとって夢のような練習をすることもできます。ゴースト機能を搭載したゲームは過去にもありますが、本作のゴーストはかなり本人っぽい動きをしてくるので驚きです。格闘ゲームの上達法って、テクニックを練習しつつ、あとは対戦に籠るというものが一般的ですが、『鉄拳8』はやりこみの新しい登山口のように見えてきます。これ本当すべての格闘ゲームにつかないかな……とないものねだりをしてしまうくらいの出来栄えなので、是非お試しあれ。
『鉄拳8』すごすぎるでしょ
格闘ゲーマー的にバトル視点から本作の良さを紹介してきましたが、ストーリーモードやミニゲームとは思えない「鉄拳ボール」やら、「なんだよこのCGファイナルファンタジーかよ……」みたいな感想すら出る超クオリティのストーリーモードなども必見です。過去作のストーリーをざっくりと教えてくれるモードもありますから、今作から入っても十分楽しめます。『鉄拳』のストーリーって、笑いあり、涙ありのなかなか骨太なものになっているのですが、今回もそのバランスが絶妙。謎の新キャラクター・麗奈の存在なども気にしつつ遊んでみると良さそうです。
2023年に対戦から一人用の遊べるコンテンツまで全部入りともいえる『ストリートファイター6』が出てきた時、その完成度の高さと同時に、格闘ゲームとは思えないボリューム感に驚きました。同時に、こんなリッチな格闘ゲームが出てきてしまうと、後に続く格闘ゲームを見ても、どこか物足りなく感じる部分があるのだろうなと思っていたのです。ストーリーや一人用モードに加えて、トレーニングモードやオンラインロビーや、マッチングの仕様なんかも最高峰のものがでてきたわけですから。超巨大戦艦がやってきてしまった……みたいな感じです。
その後に発売となった『鉄拳8』も同じく超巨大戦艦のような作品だったことに本当に興奮しています。『スト6』も『鉄拳8』も、作っている時期はかぶってそうですから、カプコンとバンダイナムコエンターテインメントの未来予知能力すごいなと感動するばかりです。同じ時期に、同じようなクオリティ&ボリュームのゲームがぶつかりあったってすごいことだと思います。
日本でさまざまな作品がリリースされ、海外でも人気を博してきた格闘ゲームというジャンルですが、まだまだ世界に通用するエンターテインメントであることを雄弁に物語る『鉄拳8』を出してくれたのは嬉しい限りです。
キャラクターの動きや戦略は過去作の『鉄拳7』ベースな部分もありますが、変化と進化は確かなもので、特にシリーズをはじめて遊ぶという方や、久々に遊ぶという方にとっては、間違いなく驚ける作品になっています。旧作ファンの方も、これから見られるであろう大会シーンや、アップデートの新キャラ追加などでさまざまな楽しみを追いかけられるはず。
もう、本当にこれは超おすすめ!絶対買ったほうがいいと断言します。
我々も、新しい『鉄拳』を楽しみつつ、記事で攻略などを発信していこうと思います。
goziline
様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。
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