8月18日は『テイルズ オブ ベルセリア』の発売日!ということで、ゴジラインのRPG好き、浅葉とさいとうが本作のプレイインプレッションをお届けします。(今回は、PS4版をプレイしての記事になりますので、PS3版とは若干違う可能性もあります。)
浅葉:ゲームを最大限に楽しむ集団・ゴジライン代表。RPGはなんでも買う勢いの34歳。『テイルズ オブ』シリーズは、スピンアウト的なものを含めて多数プレイしている。RPGはバトルとやりこみ要素が充実していればそれでいい派で、シナリオはどうでもいいと豪語する。最も好きな『テイルズ オブ』シリーズ作品は戦闘が面白い『テイルズ オブ グレイセス エフ』、最も好きな『テイルズ オブ』キャラクターは『テイルズ オブ シンフォニア ラタトスクの騎士』のマルタ。
さいとう:RPG、格闘ゲーム、アドベンチャーゲームなど、幅広いジャンルを遊ぶゲーマー。ゴジラインいち「シナリオにうるさい男」。好きな『テイルズオブ』シリーズは世界観の広がりとシナリオが秀逸な『テイルズ オブ シンフォニア』、好きな『テイルズ オブ』キャラクターは同作品のプレセア。最近PS4版で『テイルズ オブ ゼスティリア』をやり直したばかり。
シリーズファンにはおなじみの”リニアモーションバトルシステム”を踏襲したバトルでは、バトルフィールドを自在に動き回れる”フリーラン”ベースの移動と、□、△、○、×のボタンに割り振ったアクションを使い分けて闘います。バトルでは、ソウルという”気力・霊力をアイコン化”したものを所有している数だけ術技を連携することが可能で、ボタンを押すだけで次々にコンボがつながります。
一見アクション性のみを追求しているかに見えるこのバトルシステムですが、ここに”ソウルの奪い合い”という要素が絡んでくることで、戦略性が生まれています。ソウルは敵から奪ったり、特定の行動をとることで増やすため、戦闘の状況によって、繰り出せるコンボが大きく変わってきます。
難度ノーマルでは、敵の強さに対して若干物足りなさを感じるところがあるものの、プレイ中に難度変更が可能です。難易度ハードでは”術での回復量が減少する”ため、戦闘の難度が歯ごたえのあるものに変化します。うかつな被弾を許すと立て直せなくなるため、適当なボタン連打は全滅を招くので、スリルを楽しみたい人はハードモードで遊ぶことをオススメします。
バトルの爽快感とテンポの良さに加えて、ローディングの短さも本作の優れた点のひとつです。『テイルズ オブ』のやりこみは、周回プレイを前提としているため、戦闘や移動に伴うローディングが長くなるとストレスになってくるのですが、本作のローディング時間はとにかく短い!戦闘に入るのはもちろん、フィールドの移動なども、非常にスピーディです。
また、バトル以外のやりこみ要素も、アイテムなどのコレクション要素や、装備の強化、本編のボス以上に強力な敵とのバトルなど、さまざまな分野に用意されているため、長く遊べる作品になりそうです。
本作の物語は、ベルベットの復讐という明確な目的に沿って進み、仲間たちはそれぞれの思惑のもとで次第に彼女のもとに集ってきます。物語の各所で、本作のテーマである“生き方”について、それぞれのキャラクターの持つ思いや、向き合い方がしっかりと描かれ、シナリオに一本筋が通っている印象を受けました。
前作を遊んでいなくても楽しめる作品であることは間違いありませんが、前作とのつながりをほのめかす箇所も用意されているため、そこに気づくには前作を遊んでいる必要があります。普通の人間の目には映らなかった”天族”などの設定を理解していれば、物語をより一層楽しめます。『ゼスティリア』を遊んだ人は、本作を遊ぶことで、再解釈できる部分がでてくるのではないでしょうか。
『テイルズ オブ』シリーズの醍醐味である、キャラクター同士のコミュニケーション”スキット”に関しては、キャラのカットインが多彩で、立ち絵で表現されていた過去作のものと比べて躍動感が増しています。パッケージイラスト、スキットの絵、3Dモデリングで雰囲気が異なるため、それを違和感ととらえるか、違った表現方法として受け止めるかで、ここの評価は分かれるかもしれませんね。
前作『テイルズ オブ ゼスティリア』は広大すぎて移動が手間に感じるマップが多かったのですが、今作はマップが探索しやすい適度な広さに収められています。それでいて、敵のシンボルが密集している場所も多いため、気軽にバトルを繰り返せるのは戦闘好きな”やりこみ”系のプレイヤーには嬉しいはず。一度に大量の敵と戦えるデンジャラスエンカウントも起こしやすくなっているため、敵ドロップ品の装備集めがはかどりそうです。また、フィールドでの敵シンボルの移動速度もマイルドになり、敵に追いつかれることがほとんどなくなっているので、移動中のストレスがかなり軽減されています。
戦闘では三すくみが廃止されて、敵の術の詠唱を止めるのが簡単になったことで、爽快感が増しました。前作では、強化状態である”神依化”を行うと、奥義と術しか使えず、三すくみが窮屈さを生むひとつの原因になっていました。今回は特技の攻撃発生もスピーディになっていて、バトルでは直感的な操作がテンポよくキャラクターに反映されます。味方のAIも、戦闘不能になる印象が強かった前作に比べて動きがよくなっており、しっかりサポートしてくれる場面も増えました。
僕は本作のバトルがシリーズで一番に挙げるくらい大好きになったのですが、それは“操作キャラの強さ”が、キャラクターを動かしている楽しさに繋がっているんじゃないかなと思っています。敵の攻撃をステップで回避した時のリターンの大きさ、各種特技や奥義の使いやすさ、各キャラクター固有の強力な攻撃を発動し連携のアクセントとなるシステム“ブレイクソウル”など、難易度ノーマルがちょっと物足りなくなるくらい、戦闘でキャラクターを動かすことに爽快感があります。僕はもっと長くバトルを楽しみたいと思って、かなり早い段階で難易度をハードに変更しました。味方がめちゃくちゃ強く、敵もそれに対抗してくるくらい強い。そんな尖ったバランスを楽しみまくっています。
アクションRPGが大好きで、『テイルズ オブ』シリーズは毎回、周回プレイを楽しんでいる浅葉です。このシリーズは、自分からすると、程よいやりこみ要素が面白く、周回プレイがゴリゴリの作業にならない塩梅で、非常に遊びやすいRPGたちです。そのどれもが完璧というわけではなく、『テイルズ オブ リバース』の強制敗北戦闘で、全滅回数が1と記録されてげんなりしたことなんかももちろんあるんですが、長く遊べるタイトルとして、毎回楽しんできました。
そんなわけで、『テイルズ オブ ゼスティリア』に関しては、それほどネガティブな感情もありませんでした。もちろん、点数をつけるとすると、100点というわけではないし、自分がシリーズ最高傑作と思う『テイルズ オブ グレイセス エフ』ほどの衝撃もありませんでした。カメラワークの酷さも目立ちました、戦闘面のバランスも若干雑でした。でも、『テイルズ オブ』もこういうときはあるよなと、周回プレイまで楽しく遊んでいました。他にも、なんだかしっくりこないなと思う『テイルズ オブ』作品は、いくつかあったからです。
ところが、この作品が大炎上。それも、シナリオという”好み”によって評価が分かれがちな要素で炎上してしまい、ついには粗探し大会のようになってしまいました。個人的には、『テイルズ オブ』のシナリオって、毎回そんなによかったかと驚いたのですが、ヒロインの交代劇的なところは、デリケートなところだったのかもしれません。おれが若かりし頃に味わった、ギャルゲーの『下級生2』でメインヒロインに彼氏がいることが判明したときのショックに近いものを人々に与えたのかもしれんと納得していました。
その炎上劇からしばらくして、『テイルズ オブ』シリーズが出ると聞いたときは、いろいろな意味で大丈夫かと心配したものです。次の作品は、きっともの凄い厳しい目で、プレイヤーたちから評価されることになるはずだと感じました。そして、この作品に関しては、評価が正しく伝わらない状況になるだろうとも考えました。
『テイルズ オブ ゼスティリア』の発売前、一部のゲームメディアでは絶賛の声が目立ちました。しかし、発売後、一連の炎上騒動があったあとは、これらのメディアから特に何のフォローもありませんでした。面白いと書いたライターや編集が再び何かを発信することはほとんどなかったと思います。こうして、発売前に『テイルズ オブ ゼスティリア』を絶賛していたメディアが、一気に手をひいたことで、『テイルズ オブ ゼスティリア』関係のメディアからの評価、一番注目を集めるべきところの読み物は、全て広告記事だったような印象を与えました。
作品の評価やレビューは、書き手によって変わるもので、ある人には神ゲーでも、ある人にとってはクソゲーということも珍しくありませんから、そこで最初のスタンスを崩さずに、ちゃんとしたレビューや評価を集めてこそ、メディアとして面白く、信用もできてくるのではと当時は思ったものです。
そして、『ベルセリア』の発売前、また、ゲームメディアでは「面白い」という言葉がちらほらレビューのようにあがりはじめました。”今回は安心”というような書き方のところも見ました。でも、そんなものが信用できるか、広告記事じゃないのかというのが、ゴジラインで『テイルズ オブ ベルセリア』を取り上げるモチベーションになりました。
そんな不健康なスタンスで臨んだ本作のプレイですが、少し遊べば、『テイルズ オブ ゼスティリア』で掘り起こされた不満点を積極的に解消していった作品であることが伝わってきました。前作で痒いと思っていたところが改善されていて、『テイルズ オブ』シリーズの醍醐味である戦闘も、非常に軽快なものになっています。
シナリオ面に関しては、RPGのシナリオの良し悪しを重視しない自分から見ても、導入はバッチリです。衝撃的なシーンから始まる物語は、これはありきたりな展開になるのか、それとも全く予想だにしない方向に向かうのかと、プレイヤーを揺さぶってくれます。なぜ、とある人物がその行動をとったのかというところが、序盤で語られている通りの理由なのか、それとも実は何か秘密があるのか。そういった疑問を抱えながら、プレイを楽しむことができました。『テイルズ オブ』的なこそばゆいほどに熱いシーンもあり、笑える小話もあり、それでいて、なかなかハードな展開もあり。懐かしくも切れ味を感じるシナリオになっています。
さいとうさんも書いているように『テイルズ オブ ゼスティリア』と世界観が共通するところも多いため、やはり前作を踏まえてプレイしたほうが理解が深まることは間違いありません。このリンクがあるため、本作が”完全新作”として受け止めにくい感もありますが、本作だけでも十分に楽しめますし、この作品を遊んでから『テイルズ オブ ゼスティリア』に戻っても良いのではと思います。
あまり作品を比較するというのは好きではありませんが、今回の『テイルズ オブ』は、前作よりも格段に満足度の高いものになっています。『ゼスティリア』があるからなあと心配している方も、きっと遊べば、”これだよこれ”となるのではないでしょうか。
今作で、『テイルズ オブ』シリーズにかかった、呪いのようなものがとければなといちRPGファンとして強く思います。一度炎上した作品についた呪いは、なかなかとれませんから、今作も現段階ではどうなるかわかりません。ただ、個人的には、今作で呪いを解いて、是非次回作を出してほしい。そして、PS4の表現力の水準まで、グラフィックや演出を引き上げた『テイルズ オブ』を見てみたい。
そう、本作で唯一、残念なのは、PS4の表現力をベースにしたゲームを見過ぎたせいか、本作のグラフィックや演出がちょっと古く感じてしまったことです。国内の購買層を考慮した結果のPS4、PS3のダブルプラットフォーム形態になったと予想しますが、やはり日本で5本の指に入る大型RPGシリーズだけに、新しい環境でのチャレンジを見てみたいものですね。
おかえりなさい『テイルズ オブ』。
goziline
様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。
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