【対談:喜多山浪漫×天河信彦】ゲームと小説の境界で新たなコンテンツ作りに挑む。二人のクリエイターが語る「仕事の面白さ」と「面白いもの」とは?

幣サイトでは、「ゲーム会社の社長を辞し、小説家になり、書いた小説をゲーム化する」という、道なき道を行くクリエイター・喜多山浪漫氏のインタビューを数回に渡って掲載してきた。

インタビューを収録しはじめた頃は、聞き手として「そんなことが可能なのだろうか」という思いもあった。しかし、喜多山浪漫氏の独立から3年が経ち、原作を手がけるたコンテンツのゲーム化が次々と発表されていっている。悪役令嬢を主役にした小説『エトランジュ・オーヴァーロード』はゲームの発売が間近に迫っており、この夏にはアークシステムワークスから『デモンズナイトフィーバー』という新作が発売されることも明かされた。

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喜多山浪漫氏の突破力は見ていて実に気持ちがいい。『八神庵の異世界無双』の作者である天河信彦氏もそう考えるクリエイターの一人だ。天河氏はかつて『双界儀』、『天地の門』などの制作に携わったゲームクリエイターで、最近は小説や漫画原作などを手掛けている。喜多山氏と同じく、自らの考えた原作をコンテンツ化していく面白さに惹き込まれているという。

本記事では、喜多山浪漫氏と天河信彦氏の対談の模様を掲載する。ゲーム業界と創作の道を独自の登り方で歩んでいく二人のこれまでの歩みやものづくりのスタンスをじっくりと伺った。

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喜多山浪漫:元ゲーム会社社長であり、現在は小説家。執筆した作品を原作とし、さまざまなメディアミックスも仕掛ける。『エトランジュ・オーヴァーロード』のゲーム化が決定した。
天河信彦『八神庵の異世界無双』シリーズの作者。ゲーム作品では『双界儀』、『天地の門』などの制作に関わる。現在はフリーのゲームディレクター、脚本家、小説家として活動中。

ゲームクリエイターから小説家に

――同時期に喜多山先生と天河先生と知り合ったんですよ。で、お二人の活動を見ていると、「ゲーム業界という山を、独創的なルートで登っている」なあと思ったんです。そのことを喜多山先生に話したら、「じゃあ飲んでみましょう」みたいなのが今日の趣旨です(笑)

喜多山:ゴジラインさんは格闘ゲームをよく扱っていますものね。天河先生が書かれた『八神庵の異世界無双』の記事を載せたのが出会いのきっかけですかね。

天河:そうですそうです。熱の入ったレビューを載せてもらったのがきっかけです。サイトのほうでたまに八神庵ネタを見ていたので、この人たちも好きなんだろうなあと思っていたんです(笑)今日はお会いできるのを楽しみにしていました。対談ということで来たんですが、お酒が入るとたぶんぐだぐだになります(笑)

――ぐだぐだになっても大丈夫です(笑)この記事は案件でもなく、好きなことをやっているだけの記事なので(笑)

喜多山:だ、そうです(笑)

――天河さんは格闘ゲーマー的にも興味がある作家なんです。『八神庵の異世界無双』の企画を最初に見たとき、読む前ですね。格闘ゲーム好きかつ設定厨の多いゴジラインのおっさんたちは、失礼なことに「この作者、KOFのこと知ってんのかな?」くらいの感覚の人もいたんですよ。僕も正直、八神庵というキャラを小説で描ける人がいるのか疑っていたんです(笑)が、読んでみると、「あ、これこっち側の人が書いてる」と感動したんです(笑)疑ってすみませんでした。

天河:そう言っていただけると嬉しいですね。八神庵格好いい……という1997年くらいに思っていた方に届いてほしいという思いも詰め込みました。八神庵ってすごく魅力的なキャラクターで、今でいう厨二病要素みたいなものを90年代から放ちまくっていた人でありつつ、ストーリーなんかを見るとそれだけじゃないんですよね。優しさとかコミカルさみたいなものも深堀りされてきています。格闘ゲームの『KOF』を遊びながら、物語や設定に書かれていないことを妄想するというようなことをやっていた人もいると思うんですよ。僕もその一人で、八神庵にはこういう部分もあるのかもと想像していたことなどもネタにしています。異世界転生ものということで、自由度の高い作品ではあるのですが、SNKさんの監修も入っているので、原作ファンの方も安心して読んでもらえると思います。

喜多山:シリーズ化までしていっていますものね。ゲームのお話をそのままノベライズするのではなくて、ゲームのキャラクターを一人抜き出して、まったく新しい話を書いているものが、これだけ支持されているのはすごいですね。しかも、ライバルの多い「異世界転生」もの。

天河:ありがたいですね。実は僕『八神庵の異世界無双』が、商業ものとして書く最初のノベル作品なんですよ。ゲームのシナリオを書くということはやってきていたんですけど、ノベルを書くのは初めてだったので、いろいろ緊張しました。「SNKさんの40周年企画があって、角川さんとやる」という話が先にあって、知人のSNKの方からその話を振られたのがきっかけです。結構オリジナルものをやりたい気質が強いので、これがほかの案件だったら、書くところまでいかなかったかもしれません。「八神庵」なら書いてみたいとすぐに思ったんですよ。

▲『ザ・キング・オブ・ファイターズ』シリーズの人気キャラ・八神庵。95~97あたりの庵に思い入れのある方はぜひ『八神庵の異世界無双』をお読みください。(画面は『アケアカNEOGEO ザ・キング・オブ・ファイターズ97』より。)

喜多山ゲームシナリオと小説では、勝手の違う部分もあったと思いますが、書いてみていかがでしたか?

天河:地の文の雰囲気やボリュームをどうするかというところは悩みながらスタートしましたね。今も小説を書いているときはやっぱり悩みます。すらすら書けるというものでもないんです。ただ、話はキャラクターが引っ張ってくれているような感覚があって、書くことは楽しいですね。ゲームの物語や世界観を考えたことがある人は、小説を書くこともできるのではと今回の経験で思いました。「文章に不安がある」という気持ちはわかりますし、ぼくもそうなんですが、「書ききる」まで諦めなければ、ゲームのようにいつかは完成します。

喜多山:小説は書きたい、でも文章に不安があるという方は多いようですね。でも、天河先生のおっしゃる通り、書ききるまで諦めなければ小説はできるんですよね。

――お二人は、ゲーム会社に勤めた経験があり、シナリオを書いていたというところが重なりますよね。喜多山先生は、ゲームの企画やシナリオの執筆、社長業をやられていましたよね。天河先生はシナリオがメインでしょうか。

天河:私がゲーム会社にいた頃は、いまほど分業体制でもなかったので、ディレクターをやり、シナリオもやるというような感じでしたね。でもこれはとてもいい経験ができたと思っていて、シナリオを書く以外の力も身に付きました。

喜多山:ゲーム会社に入ったのはやっぱりゲームが好きだったからですか?

天河:創作が好きだったからというのが大きいですかね。もともと子供のころは漫画が描きたくて、でも若いうちに、コマ割りのセンスがないなと自己分析したんです。今思うと諦めるのが早すぎだろうと思うんですが、その後自主制作の映画の道にハマってしまって(笑)そこでシナリオやコンテを書いていました。自分の中で、そういう経験を融合させてできる仕事ということで、ゲーム作りの道を選んだという感じですかね。いまは退社して、創作を商売にしています。立場としてはフリーランスになりますかね。

――ゲーム会社を辞められた理由についてお聞きしても良いでしょうか?

天河:この道を選んだ理由はいくつかありますが、ゲーム以外の表現もやってみたいというのが大きな理由です。ゲームはもちろん今も大好きで、フリーの立場で関わっています。ただ僕の中では、漫画でも、アニメでも、実写映画でも、ゲームでも、自分の作りたい話や世界に適しているなら、どれでもやりたいですし、やれる体制でいたいなと思っていて。それを実現できるのがフリーという立場なのかなと。気楽ではないですが、面白い立場だと思っています。

――喜多山先生も会社を辞めてから、一人でやっておられますよね。どうですか、3年目を迎えてみて。

喜多山楽しくて仕方がないですね。とはいえ、ゲーム会社を辞めたのは自分にとっても突発的な決断だったんですよ。ゲーム会社で働くことが嫌になったわけではないですし、むしろ生涯ここの会社でやっていくんだろうなくらいの気持もあったんですけど、長い間社長という立場でやらせてもらって、自分がここにいても、会社に貢献できることが減ってきたなとふと考えたんです。そこから実際に行動に移すまでに、それほど時間はかからなかったですね。

天河:さらりと話していますけど、社長の立場を手放すというのはなかなか想像がつかないですね。

喜多山:会社も徐々に大きくなって、時代も変わってきて、クリエイティブではなく経営をより良くしていくのが社長の役割となってきたときに、わたしはちょっと向いていないなと感じたんですね。ゲーム会社って、功績を残したクリエイターが、経営陣になっていくということがあるじゃないですか。でも、ゲーム作りと会社経営はぜんぜん問われるスキルが違うんですよ。ここで経営陣になって成績を残せる人というのは、ものすごい努力をしているんじゃないですかね。

天河:お辞めになって小説家と転身されたわけですね。ゴジラインさんの記事で拝見しましたけれど、面白い生き方だなあとわくわくしました。記事を読んでいくと「余生」ではなく、「背水の陣」であるみたいな雰囲気のことが書かれていたのにも驚きました。自分が同じ立場だったら、この思い切った決断ができたかなあと考えてしまいました。

喜多山:いろいろな人に驚かれましたね。「社長業からクリエイターですか、羨ましいですね」みたいな(笑)でも、実情はそんな羨ましいものではなくて、食っていかなければいけないわけです(笑)とはいえ、ゲーム会社を辞めたのにゲーム会社に行くというのも変ですし、組織の一員として何かをするわけに辞めたわけではないので、個人ですぐにできることが「物語を書くこと」だったんですよ。「好きなことをやる、けれどもそれを仕事にする」という考えではじめました。でも、作品を書いて売れるのを待つみたいなことをやっていても、いつまでかかるかわからないので、自分でその作品を売り込むということを同時に始めました。

――天河先生は、フリーの現状を楽しんでいますか?

天河:楽しいところは多いですね、苦しいこともありますけど(笑)立ち上がりそうだったプロジェクトが消えたりすると、それはそれは悲しいです。楽しいところは、本当に自由というところですね。「好きなものを作れる」というのは一番楽しいところじゃないですかね。

「新しいもの」をどう売るか

天河:喜多山先生を見ていると、行動することの大事さを改めて考えさせられますね。そして、『エトランジュ・オーヴァーロード』のゲーム化まで突き進んでいるというわけですね。改めて、ゲーム化決定おめでとうございます。

喜多山:ありがとうございます。発売まであと少しですので、楽しみに待っていてください。ゲームにまで行けたのは本当に周りの人のおかげなので、感慨深いですし、ありがたいですね。

天河:2024年の東京ゲームショウでは目立つ場所に展示されていましたよね。

喜多山:2024年の東京ゲームショウにあわせるようなタイミングで発表されたのですが、実は2023年のゲームショウでも、ジェムドロップさんのブースでエトランジュのキャラクターモデルが展示されていたんですよね。なので、ゲーム化されるのかも、と想像してくれていた方は多そうです。そしてですね、今年のゲームショウでは、昨年のよりも大幅にアップデートしたバージョンをお披露目できる予定ですので、ご期待ください。

——新規IPのゲーム化ということで、個人的にも楽しみにしています。安定感のある続編もいいですが、チャレンジを感じるような作品が大好きなので。

喜多山:わたしも好きですね。せっかくだから新しいことをやりたいという気持ちがいつも強いです。ゲーム会社の頃もそうでしたが、一作目を立ち上げて、二作目は自分がやらなくてもいいかなと思っていました(笑)二作目以降は、ほかの人に任せることも多かったんですよ。

天河僕も新規IPは好きですね。ただ、喜多山先生とちょっと違うのは、一作目をやったら、二作目も自分がやりたいと思うところでしょうか(笑)

喜多山:クリエイター自身が二作目をやりたいと思っていないと、次の展開も生まれてこなかったりもしますから、天河先生のような情熱も大事ですよね。わたしも過去の作品に全く興味がないというわけではないんですよ。誰かが引き継ぐ場合には、核となるコンセプトは変えてほしくないなくらいは思います。ただ、次の作品を情熱を持った人が、面白く、新しいものにしてくれればそれでもいいんです。自分の引き出しから出てこなかったものが遊べるということになりますから。あとは、過去に手掛けてきたゲーム作品に関しては、あくまで会社の作品であって、わたしのものではないと考えている部分もありますね。

天河:プロデューサー的な視点も感じて興味深いです。僕は自分の過去作や過去のこだわりに執着するタイプなので、喜多山先生とは逆なのかもしれませんね。でも、自分のやり方の弱点というのもわかっていて、とことんやらないと世に出すところまでいかないというのがあります。あとは、昔の作品は、商品としてお届けする以外の部分までいろいろと設定を作っていて(笑)それを次の作品で出したいと思いつつも、それが実現しなかったみたいなことから、「次があればやりたい」とまだ思っているのかもしれませんね。最近はやりすぎもよくないなとおもって、創作をするときに設定を最初から固め過ぎないようにしています。ちょっと余白があるほうが、書くときに楽しいかなと思うこともありますし、途中で物語を変えるときも、その余白が保険になってくれたりするんですよ。

喜多山:わたしはさっぱりしていると言われることもあるんですが、キャラクター設定を作って、物語の中で動かしてみるというやり方を取ることが多いですね。

――お二人が新規IPを好きなのは、ゲーム会社での経験が大きいのでしょうか。

喜多山:もともとの性格もあるでしょうが、会社の置かれていた立ち位置というのも大きいかもしれませんね。最近のゲーム会社ではなかなか味わえないかもしれませんが、まず「その作品を当てないと会社が終わる」みたいなヒリついた状況だったんです。その状況では、「置きにいく」作品を選ばないんですよ。最後かもしれないから、やりたいことを全力でやって、ダメなら仕方ないみたいなところもあったんだと思います。大作のフォロワー、模倣のようなものを作って、ある程度安定した売り上げを目指すという方法もありますよね。ヒット作から、似たような作品が生まれ、それがまた面白い作品になることも確かにあります。でも、これはかなり器用か、そもそもヒット作そのものが好きじゃないと、ヒット作の何分の一かの面白さを持つものすら作れないと思うんです。当時のわたしたちはそれほど器用じゃなかったし余裕もなかった(笑)あとはゲームの場合、ヒット作の模倣をするということは、潤沢な人と予算をつぎ込める大手メーカーと同じ土俵で勝負することになるんです。そんな事情もあって、新規IPかつ、世の中にないものをという意識が育っていきましたね。この考えは今も持ち続けています。

天河:共感できます。流行りに乗るというのも大事な要素ですが、作り手が楽しいと思えないものが、ほかの誰かに刺さるってことは少ないですよね。僕がゲーム会社にいた頃は、今のように大規模な開発ではなかったので、「好きなことをやる」というのがやりやすい環境だったというのは幸せでした。僕はかつて『双界儀』の制作に関わったことがあるのですが、好きなことをやらせてくれる環境に支えられていた部分もがあると思います。実は一度、予算面で苦しいことになったのですが、それでもいろいろな方の協力があって発売まで漕ぎつけられたんです。少なくともスクウェアさんは、「実験的な作品」に寛大だったように思いますね。今もそうですが、そういう作品を面白がってくれるユーザーさんにも助けられました。

▲1998年にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売された『双界儀』。独特の世界観を持つアクションRPGだ。(画面は『双界儀』より。)

――『双界儀』の話題が出たので声がでかくなりますが、めっちゃ好きです(笑)攻略本にも楽しませてもらいました。あの時代のスクウェアのソフトは、バリエーションがいろいろあって面白いですよね。最近のリメイク、リマスターブームに乗って『双界儀』とか、『アインハンダー』とか、『レーシングラグーン』とか出てほしいです(笑)

天河『双界儀』をやらせてもらえるなら、リメイクも続編もやりたいですね(笑)作っていた当時に考えていたこともたくさんありますし、実はまだやりたいことが残っているんです。

喜多山:初代プレイステーションの時代は、ソニーさん自身が見たこともない作品を作っていて勇気づけられましたね。今もチャレンジを続けていますが、プレイステーションというプラットフォームに集ったメーカーに、「こういうのでもいい」というのを示してくれていたような気がします。

天河:良いことなのかはわからないですが、今ほど論理的じゃなかったような気がするんですよね。面白いものを作ろうとして純粋に走っていたような気がします。今は、ゲームとなると開発人数や開発費も増えましたから、メーカーの立場では冒険するのが難しいのかなと思います。

喜多山最近のゲーム会社は冒険するのが難しいでしょうね。組織が大きくなってくると、責任を取りたくない人がいたり、決裁権者がたくさんいるということで生じる問題があるという単純な問題があります。もうひとつは、ゲーム開発でたまに起きることなんですが、「みんなの意見を聞こうとしてつまらないものができる」というのがあるんです。みんなの欲しいものを節操なく取り入れていると、みんなの欲しいものではなくなっていくんですよ。Aという要素が欲しいひとはAが欲しいんであって、Bという要素が欲しい人はBが欲しいんですよ。そこにAとBをバランスを考えないまま混ぜ合わせても、なんか変な味のするものになってしまいますよね。

天河:「みんなにウケるものを作ろう」という考え方自体は悪いことではないと思うんですが、失敗したくないという状況だと、あんまり冒険ができず、委縮してしまうということもありますからね。個人の創作と違って、みんなでやるもの作りは、油断すると本当に丸いものができてしまったりしますよね。もともと何かの模倣をやろうとしている場合はまだよくて、「新しい柱」みたいなものを求めてものづくりをしていたはずなのに、蓋を開けてみると冒険もできていなくて、新規性も薄いものができてくるとなると辛いですね。

喜多山:挑戦的な新規IPを作ろうとしている現場ですら、上のほうから「これは売れるのか?」というようなことを聞かれたりしますものね。ぶっちゃけてしまうと、新しいものが売れるかなんて、そんなのわかるわけないんですよ。シリーズものや流行りのジャンルに乗っかったものをつくればなんとなく最低の数は読めるかもしれませんけど、新しいものに「売れるの?」って聞くことがナンセンスなんです(笑)ただ、作る側は、面白いものを作りたい、誰かに刺さるものを作りたいと思っているはずなんですよね。その熱の入った商品を、どう売ろうかみんなで考えるというのもクリエイティブに関わる会社の仕事なのかなと思います。そもそもわたしの場合は「売れる」と思って、交渉のテーブルに持っていっているんですよ。

天河:去年、漫画原作を担当した『月映えスキアグラム』という作品をビックガンガンに掲載していただいたのですが、この作品も多くの方に支えられ、「面白い」と賛同してくれる人がプロジェクトを後押ししてくれました。創作で食べていくわけですから、売れるものを作りましょうという空気も大事なんですが、クリエイターとして幸せを感じるのは「面白いものを作りましょう」という空気ですかね。そういう空気の中から生まれた作品って、誰かに刺さるような気がするんですよ。

▲天河先生が原作を手掛けた『月映えスキアグラム』。読み切り作品だが、今後の展開もあるかも?

――喜多山先生の場合は、ゲーム会社にいた頃も、独立されてからも、自社やご自身の作品を自ら営業していますよね。

喜多山:まず作品を知ってもらうことが最初の課題ですからね。待っていて何かが起きるということもありますが、その場合どれだけ待てばいいのかわからないですから。簡単に発信ができる時代なので、SNSや投稿サイトに載せるという以外のことも考えないといけないと思って、独立してからは行動していますね。冊子を作ってみたり、ほかのジャンルの作家さんとコラボしてみたり、会社にいた頃はいかなかったような場所に顔を出すというようなことも始めました。

天河良いものができたと満足していても、作品の存在が知られていなければ広がっていかないですからね。ただ、創作と発信のバランスが難しいなとも思うのですが、喜多山先生はどう切り替えていますか?

喜多山:わたしの場合はスケジュールを作ることですかね。書くと決めた時間は書くことに使うということを意識的にやっていました。書き始める前に、前回書いたものを見直して、創作の頭に切り替える感じです。一晩寝かせるというのは、小説とかシナリオの場合、鉄板で効果があるような気がしますね。残りの時間を、発信や仕事の仕込、人との交流に使うという感じでしょうか。

――この春には、喜多山先生と蝉川夏也氏がタッグを組んだ「キマイラ文庫」(外部リンク:キマイラ文庫公式サイト)がオープンしましたよね。コンテンツのゲーム化&コミック化率100%を目指すレーベルということで、楽しく拝見しています。

喜多山:はい。複数の作家が、「書きたいもの」を楽しく書いているので、この記事を読んだ方も見に来てくれると嬉しいですね。推しの作品を見つけたら応援してください。キマイラ文庫は、ゲーム化&コミック化率100%を目指して活動しています。興味のあるゲームメーカーさんや出版社さんは、是非ご連絡ください。

▲作家の蝉川夏哉先生が編集長を務めるキマイラ文庫。各作家が書きたいものを書き、同時にゲーム&コミカライズ化を目指すというユニークなレーベルだ。

――今後のお二人の活動予定についてお聞かせください。

喜多山:いろいろやりたすぎて予定は山積みです。まず、公開されている情報としては『エトランジュ オーヴァーロード』のゲーム版を原作者としても、一人のファンとしても応援していく感じでしょうか。あとは、『デモンズナイトフィーバー』というゲームを発表させていただきました。販売はアークシステムワークスさん、制作はドリコムさん、プロデューサーは新川宗平氏というユニークな座組での挑戦的なゲームになっていますので、これから先公開されていく情報をチェックしていただけると喜びます。

――『デモンズナイトフィーバー』が突然発表されたときは驚きました。本当に何も聞いていなかったので(笑)喜多山先生のTwitterを追いかけていると、「これはなにかの伏線なのだろうか……」といろいろ想像してしまいます。

喜多山実はほかにも脚本を書いていて、ゲーム化が動き出しているタイトルがあるんですよね。

――えええ……。大忙しじゃないですか。というか、「ゲーム会社の社長を辞めて小説を書いてゲーム化する」みたいなインタビューをとったのってそんな前のことじゃないはずなんですけど、ものすごいスピードでいろいろ動いていて困惑しています(笑)

喜多山:動いていないと不安なんですよ。フリーランスに向いているのかもしれません(笑)

天河:喜多山先生はかなり先の予定まで決まってそうな感じですね。ぼくは『八神庵の異世界無双』の第3巻を執筆しつつ、大きなプロジェクトを二つ進めていますが、中身はまだ秘密ということで。インタビューとしては最悪の匂わせですけれど、この記事を読んだ人が「なるほど天河ならやるわ」と唸る未来にたどりつくといいなと思っています。予定とはぜんぜん関係のない話でいうと、魔法少女ものは書いてみたいです(笑)時代を超えて人気のジャンルだと思うのですが、まだ使われていないであろうネタをいくつか持っているんです。これを軸に書いたら面白いだろうという自信はあるので、機会をいただけると嬉しいです。

喜多山:わたしも自分が書きたい物語はまだたくさんあるので、引き続き書くことも続けていきます。AIが流行っていますが、わたしの書きたいもの、好きなものは、まだAIが書いてくれないと思うんですよね。「ニッチで面白い」ものを追求できたらなと思います。天河先生の今後の活躍や作品も楽しみにしています。天河先生!また、飲みにいきましょう(笑)

天河:AIに関する話も次はしてみたいですね。ゲームやアニメ、漫画に関係する、ニッチで、ディープで、新しいものをAIが書けるのかというようなテーマは、お酒何時間でも飲みながら語れそうです。今日はお会いできて楽しかったです。ゲーム業界に縁のある者同士として、共感することや、刺激を受けることも多かったです。あとは元気をもらいました(笑)

喜多山:そう言っていただけると嬉しいです。

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ゲームを最大限に楽しむことを目的としたゲーミングチーム。
様々なジャンルのゲームを大人気なく遊びます。

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